(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)
江戸川コナン 毛利蘭 毛利小五郎 阿笠博士 目暮警部 広田雅美 広田健三(48) 広田明(28) 謎の男A 謎の男B 大家 クローク TVアナウンサー カイ テイ ゴウ オウ |
本編の主人公、正体は工藤新一 本編のヒロイン、新一の幼なじみ 蘭の父親で私立探偵 新一の家の近所に住む自称天才科学者 警視庁捜査一課警部 本件の依頼人、父親の捜索を依頼 行方不明の雅美の父親、元タクシー運転手 謎の大男、別の探偵に広田健三捜索を依頼 ??? ??? 広田健三の住むアパートの大家 ホテルのクローク 競馬中継のアナウンサー 広田健三の飼い猫 広田健三の飼い猫 広田健三の飼い猫 広田健三の飼い猫 |
高山みなみ 山崎和佳奈 神谷明 緒方賢一 茶風林 勝生真沙子 声の出演なし 手塚秀彰 徳丸完 大友龍三郎 水原りん 千葉一伸 山崎たくみ ??? ??? ??? ??? |
強盗に誘拐に殺人…阿笠博士の家で新聞を読みながら兇悪事件が絶えないと一人愚痴をこぼすコナンでしたが、博士からはだからこそコナン=新一の推理が役に立っているのだと言って励まされます。そしてさらに博士は今回コナンのために新発明のメカを完成させたというのです。
─その名も〈犯人追跡メガネ〉。発信機をつければその相手を半径20キロ先まで追跡できるという優れものでした。それを嬉しそうにかけながらコナンは博士の家を後にしていきます。
コナンが毛利探偵事務所に戻ると、丁度そこでは眼鏡をかけ髪をおさげにした少女が小五郎に自分の父親の捜索を依頼をしている所でした。
東京に出稼ぎに来ていたがこの一ヵ月まったく連絡もなく、働いていたというタクシー会社も辞めてしまっている…警察にも頼んだが効果はなく……高校を休んで山形から出てきたという彼女の真摯な訴えが小五郎の心を動かしたのか、それから小五郎は必死になって彼女の父親を捜し回ります。
広田が勤めていた毎朝タクシーや猫好きの広田が行きそうなペットショップなど、手当たり次第に聞き込みに回った小五郎でしたが、一週間経ってもまったく手がかりはなく、次第に焦りの色が濃くなっていきます。そんな中、事務所のテレビを見ていたコナンはふとあることを思いついて……
無事に広田健三を見つけ出した小五郎たちは、広田健三のアパートで父娘の感動の再会に胸を熱くします。広田健三も突然の再会に驚きを隠せないのか言葉も出ずその場に立ち尽くしていました。無事にひと仕事終えた小五郎たちは、満足げにアパートを後にします。
その帰り道…ふと後ろを振り返ると、サングラスにコート姿のがっちりとした男が電柱の影からこちらを見ていました。小五郎たちが自分に気づいたことを知ると男はコートの襟を正してその場を立ち去っていきます。それを不審に思う小五郎たちでしたが…
その夜、広田健三のアパートでは四匹の飼い猫たちがお腹を空かしているのか主人の広田健三にしきりに鳴きついていました。そして当の主人・広田健三はというと…部屋の中央で首に縄をかけて天井からぶら下がり、既に帰らぬ人となっていたのでした……
その後彼と再会を果たしたはずの広田雅美もアパートから姿を消して…謎が謎を呼び事件が一層混迷の色を極めていく中、コナンは再び再調査を乗り出しますが…
行方不明の父親を探して欲しいと依頼された小五郎とそれを手伝う蘭とコナンの三人が巻き込まれる奇妙な事件の意外な真相とは? そしてラストにコナンを待ち受けている驚愕の結末とは一体…!?
今回初登場した犯人追跡メガネも所々で大活躍する、一風変わった本格謎解きミステリです。
今回のお話はラストが全く原作と異なる設定となっています。そしてそれが後々の第18巻の作品の放映に至って響いてくるのですが、それは128「黒の組織10億円強奪事件」で上手くカバーされていました。
ただ私も18巻を読んだ当初はこのお話のことはかなり曖昧にはなっていました(苦笑) それはアニメの印象が強かったからかもしれませんね。
ラスト以外はほぼ原作どおりですが、原作では真ん中あたりで小五郎が探偵事務所で蘭に「ポカスカポカ」と殴られるシーンがあるのですが、アニメではそのシーンが一喝されるだけに変更されている点と、コナンが犯人追跡メガネでの追跡を開始する直前に「あははのは!!」と言って上手くごまかすシーンがアニメではカットされている点が、細かいですが両者で異なっています。
発信機付きのシールとセットで使用。発信機からの電波は半径20キロメートル以内ならどこにいても受信可能で、居場所が分かる仕組みになっています。今回は特に重要な役割を果たしました。
原作でもアニメでもこの作品で初登場し、以後コナンの捜査活動に多いに貢献している優れモノのメカです。
冒頭でコナンが阿笠博士の家で読んでいた新聞の名前(原作のみ)。10億円強奪事件が表紙にて大々的に報じられていました。
行方不明になった広田健三が以前勤めていたタクシー会社。
コナン、蘭、小五郎の三人が人捜しの際に訪れた競馬場。当日はGIレースが開催されていました。
コナンが人捜しの際に訪れたパチンコ店。
説明するまでもなくコナン(新一)が敬愛してやまない名探偵。今回はともすると無茶な行動をしがちなコナン(新一)を諌めるために、阿笠博士がこの名探偵を引き合いに出しました。
やはり200回、300回と放映された後にこの作品を見返してみると、この話が後々(18巻)になって重要な意味を持ってくる訳ですから、原作とはかなり違った結末にしてしまったのは、まずかったとして言いようがないですよね。
しかしそこはまだこの作品が放映された頃というのはここまでの国民的人気を誇る作品にまでなるとは製作者側も思っていなかったでしょうし、何百回も続く作品になるともその時点では思っていなかったと思いますから、やむを得ないことかなと思います
この作品が放映されている時点で18巻の話が既にサンデーなりで連載されていたら話は別ですが、かなり後になってからですしね。
5「新幹線大爆破事件」でも触れましたが、初期作品はジンとウォッカ、即ち黒の組織が絡んでくる話は皆ラストで犯人が捕まるように変えられているのですが、これはTV向けに、勧善懲悪を押し出した結果だと思います。確かに最後に探偵が真犯人を捕まえられないというのは、後味が悪いといえばそうですよね。
作品としてはこれだけ登場人物が少ない中で、ラストに意外な結末を配して、そこにたどり着くまでには丁寧に伏線を張り、それをユーモアやサスペンスなどで上手く覆い隠して容易に気づかせない手法はさすがと思います
ただ発信機のシールみたいにちょっとわざとらしいかなと思える伏線もありはしますが、それでも本格ミステリとしては充分楽しめる、及第点を与えられる作品だと思います。
一コマ一コマにちゃんと意味があって、シンプルですが無駄がないんですよね。だから自然とテンポもよくなって、あっという間に読めてしまいます
下手なストーリー展開だと途中でイライラさせられるものですが、この話にはそういう所がないですし、最後まで楽しく見ることができました。
あとは蘭が本当に豪快でしたよね(笑) 毛利探偵事務所から飛び降りるやいなや、怪しい人物の乗った車に飛び蹴りを食らわして窓ガラスを破壊しましたし、競馬場での小五郎やコナン顔負けの捜査活動も、豪快といえば豪快ですし、強運といえば強運です(笑) 蘭がギャンブルなどに強くて豪快に勝ちまくるという設定は、ここから始まったのかもしれないですね。
個人的には最初期の作品では11「ピアノソナタ『月光』殺人事件」と並ぶ最も優れた作品の一つと考えていますので、ラストが原作どおりでないのがちょっぴり残念といえばそうです。リメイクされることがあるなら一番にして欲しい作品でしょう。
GI5連勝を果たした実力ナンバー1の競走馬。行方不明になった広田健三は競馬好きだったらしく(蘭の推理によればですが)、自分が飼っていた猫に「ゴウ」「カイ」「テイ」「オウ」と名付けていました。
名前の由来は名馬として競馬ファンの間ではよく知られている「トウカイテイオー」だと思われます。