(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)
江戸川コナン 吉田歩美 小嶋元太 円谷光彦 川崎哲也(22) 清水ルミ(20) 堀井正雄(22) 若井健児(28) 運転手 駅アナウンス |
本編の主人公、正体は工藤新一 帝丹小学校に通うコナンのクラスメート 帝丹小学校に通うコナンのクラスメート 帝丹小学校に通うコナンのクラスメート 花山大学 4年、鉄道研究会所属 花山大学 2年、鉄道研究会所属 花山大学 4年、鉄道研究会所属 針井署 刑事 路面電車の運転手 駅アナウンス |
高山みなみ 岩井由希子 高木渉 大谷育江 遊佐浩二 小林愛 園部啓一 沢木郁也 長嶝高士 千葉一伸 |
「遅いですね、コナン君…」─歩美、元太、光彦の少年探偵団3人が首を長くして到着を待つ中、約束の時間に10分も遅れてしまったコナンは、必死で待ち合わせ場所の針井駅に向かって走っていました。
もっとも早めの集合時間だったため電車の到着時間には問題なく間に合い、電車に乗ることはできたのですが…
その日探偵団たちは新しくできた絶叫マシンに乗るため、日曜日の朝早くにもかかわらず早起きして米花ランドに遊びに行く予定を立てていたのでした。そしてその待ち合わせ場所となったのが、米花ランド行きの電車の出ている針井という駅で、その待ち合わせの時間というのが何と朝の5時半…。
何でも今回の絶叫マシンは新しく出来たばかりということもあってか待ち時間も相当なものらしく、そこで早起きして一番乗りを果たそうと、探偵団たちは張り切って早起きをすることになったのです。
コナンが到着してほどなく10分が過ぎ針井駅構内の時計が5時50分を過ぎると、”7502”とナンバーの打たれた電車がようやくコナンたちの前に姿を見せ、探偵団たちは喜び勇んで電車に乗り込みます。
ところが日曜の朝早くということもあってか、車内は運転手を除けばまったくの無人状態。そこで自分たちの貸し切りだと元太は嬉しそうな表情で叫ぶのでしたが…喜んだのも束の間、残念ながらしばらくすると一人の若い男が乗り込んできたのです。
「何だ、まだ来てねーのか…」─赤い野球帽をつばを反対にして被り、肩から重そうな金属製のカメラケースを下げたその若い男は、車内に入るなりそうつぶやき眉をしかめたのでした。どうやら彼も探偵団たちと同様、この針井駅で仲間と待ち合わせをし、どこかに向かう様子が窺えたのです。
もっともしばらくするとその若い男の仲間と思われるオレンジの上着を着た髪の長い若い女と、いかにも時間にルーズそうな茶髪の若い男が現われて彼らのメンバーは全員が揃ったらしく、まるでそれが出発の合図でもあったかのようにほどなく電車は針井駅を離れて米花ランドへ向けて走り出したのです。
その若い男女三人組は、一番最初に現れた赤い野球帽の男が4年生の川崎哲也、次に現れたオレンジの上着の女が2年生で川崎の後輩にあたるという清水ルミ、そして最後に現れた茶髪男が4年生で川崎の同級生の堀井正雄という名前で、いずれも花山大学の鉄道研究会に所属する大学生ということでした。
そして三人がこの電車に乗ったのは、コナンたちの向かう米花ランドに行くためではなく、最近ではめっきり数も減りすっかり珍しくなってしまった路面電車の写真を撮影する目的だというのです。
それから間もなくして電車は針井神社前に到着しますが、そこで赤い野球帽の川崎が肩から提げていたカメラケースを清水と堀井の二人に託し、カメラを手に一人だけ電車を降りてしまいます。
何でもこの駅の近くに市電を撮影するベスト・ポイントとでも言うべき場所があるらしく、そこに先回りしてコナンたちの乗る路面電車を撮影するつもりだというのです。
電車を降りると川崎は一目散に駆け出し、歩道橋を渡って民家の裏路地を抜け、目の前に現れたフェンスを乗り越えていきます。するとあっという間にそこはもう路面電車が走る線路のそばで、彼が言っていた通りに電車を撮影するには最高の場所のように思えました。
それから川崎は前もってその場に用意してあった脚立の上に立ち、カメラを構えてあとは電車が来るのを待つだけという状況になります。
一方コナンたちの乗る路面電車もしばらくすると針井神社前を発ちますが、すると車内にいた清水ルミと堀井正雄の二人も準備を開始し、後ろの窓から撮影するために電車の後方に移動したのです。
こうして鉄道研究会の面々は全員が持ち場につき、あとは三人それぞれが自慢のカメラの腕前を見せつけるだけのはずでした。
ところが撮影が始まってすぐのこと、彼らの身にとんでもない災いが降りかかります。電車を降りて先回りし前方から路面電車を撮影していた赤い野球帽の川崎が、撮影中突然脚立の上でバランスを崩し、そのまま線路上に落下してしまったのです…! そして気がつくと川崎の目の前にはもう路面電車が迫っており…
線路の上に川崎の姿を認めた路面電車の運転手は慌てて急ブレーキをかけますが、そのため車内にいた乗客たちは皆勢い余って前方に飛ばされそうになります。
しかし手すりに掴まったりして何とかその場をしのいだ一同は、路面電車が急停止すると川崎の身を案じて運転手とともに電車を飛び降り、一目散に彼の下に駆け寄っていったのです。
もっとも幸いなことに路面電車は川崎の倒れている位置よりも手前の所で無事停車することができたらしく、川崎は突然の災難に呆然としてはいるものの元気な姿で線路上に横たわっていました。
脚立の脚は4本ともしっかりしているはず…なのに突然揺れた…川崎はそう言いながら運転手に申し訳なさそうに頭を下げていましたが、一方で川崎の言葉を聞いたコナンは何かがひっかかったらしく、彼の乗っていた脚立を詳しく調べ始めたのです。
すると脚立の脚の一本に何かで引っ掻いたような傷が残っており、更にコナンが現場付近を詳しく調べてみると…
川崎の落下現場に残されたいくつかの不自然な痕跡…一体それが何を意味しているのか、その時はまだコナンには分かりませんでした。そして間もなく歩美に呼び止められたコナンは、それらが気になりつつも川崎の無事な姿に心から安心したらしいその他の面々と路面電車の車内に引き返そうとします。
ところがこの路面電車の急停止事件、その場にいた誰もがまったく予想していなかった形で別の悲劇をもたらしていたのです……そしてそのことは、川崎の無事な姿に安心しきった一同の頭の中には、まだ露ほどもなかったのでした…。
今回の事件は将来県警本部長、警視総監の椅子を目指しているという野心家の若井健児刑事が登場。
フィリップ・マーロウを思わせるようなハードボイルド探偵風の出で立ちは立派ですが、「なるほど」と何度も頷いたかと思えば、突然怒鳴り散らしたりと少々騒がしいのが玉に瑕。しかし個性的でどこかお茶目な部分もあり再登場させても面白いキャラクター像だと思います。
ちなみに今回はコナンが麻酔銃で眠らせられる相手が誰一人登場しないため、コナンが若井刑事を相手にどのようにして事件を解決していくのかも注目ですね。
今回コナンたち少年探偵団が遊びに行く予定だった遊園地。新しくできた絶叫マシンは待ち時間も相当なものだといいます。そこで探偵団たちは早起きしてランドに向かおうと米花ランド行きの路面電車に乗り、今回の事件の遭遇します。
ちなみにこの次の回の149「遊園地バンジー事件」では、にちうりランドというランドが登場。今度は小五郎と蘭と一緒にコナンは行くことになるのですが、それはまた次回のお楽しみということで。
今回少年探偵団たちが路面電車に乗り込んだ駅の名前。この次の駅が針井神社前で、今回事件を担当した若井刑事は針井署の刑事ということなので、針井という地名は結構大きな町なのかもしれませんね。