(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)
江戸川コナン 工藤新一 毛利蘭 毛利小五郎 目暮警部 鈴木園子 姫野弥生(24) 皇裕一(25) 妃英理(37) 殿山十三(38) 若王子士郎(21) 鑑識課員 刑事 マスター ウェイトレス |
本編の主人公、正体は工藤新一 本編の主人公、高校生探偵 本編のヒロイン、新一の幼なじみ 蘭の父親で私立探偵 警視庁捜査一課警部 鈴木財閥の令嬢、蘭の同級生で親友 喫茶店の客、フリーター 喫茶店の客、大学院生 喫茶店の客、弁護士 喫茶店の客、大学ラグビー部コーチ 喫茶店の客、広告代理店勤務 鑑識員 目暮の部下 コーヒーショップ〈Cafe Royal〉のマスター コーヒーショップ〈Cafe Royal〉のウェイトレス |
高山みなみ 山口勝平 山崎和佳奈 神谷明 茶風林 松井菜桜子 淵野陽子 石田弘志 高島雅羅 郷里大輔 一条和矢 高木渉 千葉一伸 永幡洋 岩井由希子 |
ある日のこと、蘭は入口のドアの陰から小五郎が机の缶ビールの山の中でぐっすりと眠っていることを確かめると静かにドアを閉め、それから階段を降りてこっそりと毛利探偵事務所を出て行こうします。
ところが、そういう時に限って他人に見つかってしまうもの。階段を音を立てずに降りる努力も空しく、蘭はコナンに見つかってしまいます。
どこに行くのかというコナンの問いかけに対し、蘭は「新一とデート」すると笑いながら説明。何とかコナンを納得(?)させた上で、時間を気にしつつ探偵事務所を後にしていったのでした。
一方そんな蘭を見送ったコナンは、「自分」とデートするのがそんなに嬉しいのかと微笑ましそうに蘭が歩いていくのを2階から見守っていたのですが……
結局コナンは、そんな見え透いた嘘をついてまでこっそりと出て行った蘭のことが気にかかり、蘭の後を追いかけることになってしまったのです。
そして二人が辿りついた先は〈Cafe Royal〉というコーヒーショップで、そこで蘭は「私のすっごく大切な人」と待ち合わせているというのでした。それを聞いたコナンはそれが一体誰なのか一層気が気でない様子に……
しばらくして蘭はコナンを帰らせるためのケーキを買いに外へ出て行きますが、コナンはその間を利用して蘭が待ち合わせている人物が一体誰なのかを推理してやろうと決意するのです。
それから店には、態度の悪い若い女、論文を書きにきた大学生、美人の女弁護士、常連のラガーマンの大男、そしていかにも女好きのしそうなロン毛の若い男…と次々に入店。コナンはそれらの客たちを一人一人じっくりと観察していきます。
そしてその中のロン毛の若い男が怪しいと睨んだコナンは、男の「女なんてモノにしてしまえばこっちのもの」という言葉に憤りを覚え、キック力増強シューズで思い知らせてやろうとします。ところが…
突然ケーキを買いに外に出ていた蘭から呼び出しの電話がかかり、キック力増強シューズの出番はお預けに。そして店員から受話器を受け取って蘭とやり取りをしていると、その間にロン毛男はトイレの中に入って行ってしまいます。
仕方なくコナンはしばらく蘭と電話で会話を交わし何とかロン毛男と会うのを止めるように説得しますが、全く話は噛み合わず平行線を辿ります。
苛立つコナンでしたが、そんな中蘭はケーキ屋のレジが壊れお釣りが貰えないため戻るまでに時間がかかると伝え、一方的に電話を切ってしまったのです。
受話器を戻したコナンは、何とか蘭が戻るまでに手を打たねばと、ロン毛男がトイレから出るのを今かと待っていたのですが…
その時化粧室からそのロン毛男の悲鳴が響き渡ります…慌てて化粧室に向かったコナンがトイレの一室をのぞいて見ると…
トイレの中では一番最初に店に入ってきた例の態度の悪い若い女が、胸から大量の血を流して血塗れになって横たわっていたのです…!!!
すぐに警察が呼ばれて目暮警部の指揮の下捜査が開始されます。殺されたのは姫野弥生というフリーターの女で、ナイフで心臓を一突きされていました。
そして現場には血の付いたナイフが残されており、そのことと現場の状況を照らし合わせていった結果、犯人は外部犯ではなく内部犯。即ち被害者の前後にトイレに入った店の客の中にいるという線が濃厚となります。
そして事件当時トイレに入ったのは、順番に論文の大学生・皇裕一、それから被害者の姫野弥生、弁護士の妃英理、大学ラグビー部コーチの殿山十三、そしてロン毛男の若王子士郎だと判明。
目暮警部の手で順番に事情聴取が行われていったのですが、話を聞いているうちにコナンは容疑者たちに何かの違和感を感じたらしく……
「あの方」が初登場する作品ですよね。別に今更隠し立てしても仕方ない気もしますが(苦笑)
とにかく衝撃度という点からはコナン作品中ダントツでトップの作品でした。この感想をアップしている時点ではもう300回を越えていますが、その中でも未だに全作品中で私がもっとも好きな作品です。
とにかく読んだ当時は本当に驚きました。それと同時にこの作品でコナン・ファンとしての自分が確立したような気がします。
密室トリックに近いテーマを扱った話ですが、心理的盲点をついたなかなか面白い話でした。難易度は低いので気付いた方も多いとは思いますし、犯人当てもさほど難しくはないように感じます。
しかしそれよりももう一つの焦点蘭の「すっごく大切な人」が誰なのかを当てるのがこの話のポイントだと思います。
このようにこの作品は2つの謎が上手く組み合わさって、ミステリとしても極上の作品に仕上がっています。今となってはシリーズキャラクターとなってしまっていますから、後でこの作品を読んでも驚きがないのが残念ですが、そうでなければ間違いなく代表作に挙げてもおかしくない作品です。