名探偵コナン342「ハウステンボスの花嫁」

(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)

タイトル
File342 ハウステンボスの花嫁
英題
Bride of Huis Ten Bosch
放映日
2003/11/17(1時間SP)
2006/8/7 (再放映1時間スペシャル)
原題
TVオリジナル
ジャンル
本格
事件現場
長崎ハウステンボス
管轄
-
登場人物
江戸川コナン
毛利蘭
鈴木園子
販売員
高橋純一(27)
大賀真哉(24)
香取あかね(26)
大賀辰也(55)
大賀雅代(52)
大賀美華(29)
大賀タエ(78)
持田英男(53)
香取あかねの父
運転手
スタッフ
女性従業員
ウェイトレス
本編の主人公、正体は工藤新一
本編のヒロイン、新一の幼なじみ
鈴木財閥の令嬢、蘭の同級生で親友
新幹線の社内販売員
小樽のガラス職人
新郎
新婦
大賀財閥当主、真哉の父
真哉の母
真哉の姉
真哉の祖母
大賀銀行副頭取 真哉の叔父
長崎で有数のガラス職人、10年前他界
大賀タエの運転手
ルフティ・バルーンの施設スタッフ
テーマパークの女性従業員
レストラン〈Anchors Lounge〉のウェイトレス
高山みなみ
山崎和佳奈
松井菜桜子
百々麻子
速水奨
成田剣
鷹森淑乃
福田信昭
磯辺万沙子
久川綾
京田尚子
稲葉実
声の出演なし
隅本吉成
高瀬右光
進藤尚美
木村美佐
あらすじ
「横文字ばかりで何のことやら…」

 「ハウステンボスで結婚式かぁ、ロマンチックね」─園子がヨチヨチ歩きをしていた頃からの友達という大賀財閥の跡取りである大賀真哉の結婚式に招かれた蘭は、ハウステンボスのパンフレットを眺めながら、まだ見ぬテーマパーク、長崎ハウステンボスに一人思いを馳せます。
 もっともその結婚式というのが、園子の話によれば決まるまで相当ゴタゴタしたとのこと。一体どんな事態が三人を待ち受けているのでしょうか…?

 現地に到着したコナン、蘭、園子の三人は、ハウステンボスの壮大さ、広大さにただ感激するばかりでしたが、そんな中三人はハウステンボスへと向かう新幹線の車内で親切にもコナンにウーロン茶を半分分けてくれた高橋純一とそこで偶然再会を果たします。

 その高橋を加え四人でハウステンボスを見て回っていた一行は、待ち合わせていた今回の結婚式の新郎新婦・大賀真哉と香取あかねと落ち合います。ところがその時コナンたちに同行していた高橋は後は皆さんで楽しんで下さいと言い残し、急にその場を立ち去ってしまいます。一体彼はどうしてしまったのでしょうか?

 オランダ風の風車、デルフト橋、水面を泳ぐ白鳥たちと、次々と繰り広げられていくハウステンボスの魅力溢れるクルージングを存分に堪能した蘭たちは、その後自分たちを招待してくれた大賀一族の待つホテルヨーロッパへと向かいます。

 ホテル内にあるラウンジレストラン〈アンカーズラウンジ(Anchors Lounge)〉で一行を出迎えたのは大賀家の当主辰也とその妻雅代、更に二人の娘で真哉の姉である美華、そして大賀財閥を安心して任せられる跡継ぎがなかなか決まらないためおちおち引退もできないと元気一杯の真哉の祖母・タエの4人でした。
 どうやら彼らの話し振りを聞いていると、姉の美華と祖母のタエは今回の結婚をあまり歓迎していない様子…二人にはこの結婚式に一体どんな不満があるというのでしょうか?

 カロヤンシンフォニカでカロヨンタワーの奏でる鐘の音を聴き、キャラクターギャラリーでテディーベアに夢中になった後、スタッドハウス(ギヤマンミュージアム)に向かったコナンたち三人は、そこで17世紀に造られたというガラス古美術の精巧さと美しさにただ見とれるばかりでした。

 その一方でガラス職人である高橋純一と、大賀タエは同じガラスの古い作品に興味を持つことが功を奏し話をしている間に意気投合します。
 それから皆でドムトールンの地上105メートルからのハウステンボスの眺めを楽しんだ後、タエの招きで高橋は高級フレンチレストラン〈エリタージュ(Heritage)〉での大賀家の晩餐に招待されることになります。

 晩餐の席では、真哉の叔父・持田英男も同席しますが、そこで真哉の母・雅代は明治の初めに海運業を始めた初代から代々大賀家に伝わるという、ヨーロッパ生まれのルビーの指輪を嵌めて明日の披露宴に出るようにと促されます。
 しかし祖母のタエは、大賀の嫁と認めるまでは指輪を渡すべきではないと、頑なに主張し雅代の言葉を一蹴。晩餐は重苦しい雰囲気のまま終焉を迎えたのでした。

 財閥特有の人間関係からか?あかねが年上だからか? タエたちがなぜ新婦・あかねにあのように冷たいのか納得できない蘭は、宿泊先のホテルの529号室で園子を相手にひどく不機嫌そうでした。

 その翌日、披露宴の行われるパレスハウステンボス、そこでは新婦・あかねの眩いばかりのウェディングドレス姿が…。その晴れ姿には蘭も園子も、そしてその後にやってきた新郎の真哉と高橋も思わず見とれてしまうのでした。

 その後大賀一族も皆勢揃いし、いよいよこれから披露宴というまさにその時でした。突然部屋の明かりが消えて周囲は暗闇に包まれます。そして再び明かりが灯った時…しばらくしてコナンは、先程まで新婦・あかねの化粧台の上に確かに彼女の家族の写真とともに置いてあったはずの指輪がケースから無くなっていることに気づきます。
 そして空の指輪ケースの傍らには、今年の6月に真哉の手で撮られたというアジサイを背景にしたあかねの写真が…。

 一体誰が何の目的で…?タエの一声で指輪が見つからなければ結婚は取りやめにすることになり、動揺を隠せず一人で部屋に閉じこもってしまったあかね。
 コナンたちは懸命に指輪の行方を追って捜査を開始しますが…。そんな中心配になった蘭があかねの控え室をのぞいて見ると…。

今回の見どころ
ウーロン茶下さい

 「オレコーヒー」が口癖のコナンにしては珍しいオーダーでした。

蘭を誘うとメガネのガキンチョがもれなくついてくることが判明(笑)

 いつになく不機嫌そうな園子でしたが、テディーベアにはご機嫌だったようです。

どこでもボール射出ベルト再び

 やはり相当使い勝手がいいようで最近結構使われています。でも個人的には「何かねーか」と蹴るものはないかと探すコナンも好きだったんですけど(苦笑)

NEXTコナンズヒント
整理整頓
コント
コナン「次回のコナンは12月、来週はお休みだよ」
???「その訳は…」
コナン「誰だよ…?」
OP
君と約束した優しいあの場所まで」(三枝夕夏 IN db)
ED
君という光」(GARNET CROW)
監督
佐藤真人
脚本
小木曽豊斗
絵コンテ
三家本泰美
演出
横田和善
作画監督
川島明子、青野厚司/サブキャラクターデザイン 佐々木恵子
ビデオ
PART12-7
DVD
PART12-7
評価

■以下ネタバレつき感想■
(未見の方はご注意下さい)

感想
評価 ★★★★

  まず一番に思ったことですが、とにかくEDの「君という光」が今回の作品ほどぴったりはまった回もないと思います。この作品のためにEDに起用されたと思えるほど今回は心に染みわたりました。

 南紀白浜、松江玉造、関門海峡に引き続くミステリーツアー・シリーズ第4弾ですが、このシリーズはどれも秀作揃いですね。今回の作品もなかなかの出来栄えだったと思います。ただなぜ小五郎が出なかったのかが小五郎ファンとしては合点がいかない所ですが(苦笑)

 ミステリーとしての出来は、他のミステリツアー作品と比べると若干弱い気がします。伏線自体がかなり知識問題の部類に入ります(推理するというより知っていれば気付くでしょうし、逆に知らないとまず分からないということです)し、実際にハウステンボスを見て回れれば、楽しい作品だと思いますが、テレビで見ている視聴者からすると、推理するには苦しかったかもしれません。

 犯人が写真をなぜ残していったのかも疑問でしたが、これについては解決編を聞けば納得できます。それと伏線が上手く絡み合っているのでここは成る程と関心させられました。それに事件の構図・真犯人の存在にも一捻りありこれも良かったと思いますが、ただヒントがあまりに分かり易かったでしょうか。難易度は低めの作品だと思います。

 ミステリーとしてよりも今回の作品はラストでとても心温まり、感動的だったのが何よりも印象に残っています。「消えた誘拐逃走車」もかなり感動的なラストでしたが、2003年のコナンは最初の2時間SP(「1200万人の人質」)を筆頭に感動的な話が多かったですね。
 この話も2003年度の代表作だと思います。ミステリとしての出来栄えも考え点数は4点なのですが、個人的にはベスト3には入りますね。

 余談ですが、今回の事件解決のための伏線に絡んだエピソードについていろいろと勉強してみました(このページの一番下に特集してあります)。普段は1日あればUPできるのですが、今回は4日間とかなり時間もかかりました。
 しかし、やはり何かを学んでいる時は楽しいもので、あっという間の4日間でした。

 それからハウステンボスのHPもご覧になれば、この作品をより一層楽しめると思います。当然ですが、作中で出てきた地名・施設名がたくさんあります。

 最後に冒頭の新幹線の女性販売員の声が某弁護士秘書っぽく、気になって仕方がありませんでした(笑)

豆知識
シーボルトとハイドランジア(紫陽花・アジサイ) (歴史上の人物と植物)

 アジサイの古い学名は「ハイドランジアオタクサ(Hydrangea otakusa)」といって、これを命名したのは江戸時代後期に長崎・出島のオランダ商館医として活躍したドイツ人医師シーボルトです。

 名前の由来は彼が日本滞在中に結婚した日本人女性・橋本滝からだそうです。また二人の間にはお稲という娘が誕生しますが、父親に憧れて医学を志し、国外追放となってしまった父親と離れ離れになるなど、数々の困難と苦労の末に日本初とされる女性医師となったそうです。

 シーボルトは長崎郊外に塾兼診療所として〈鳴滝塾〉を開講し、後の蘭学者高野長英、二宮敬作らを輩出するなど、日本の近代医学の発展に大きく貢献しました。

 その一方で日本滞在の成果を「日本」という著書で発表し、ヨーロッパに持ち帰って紹介しています。

 シーボルト自身は1828年当時の江戸幕府の最高機密であった日本国内の地図の国外への持ち出しが発覚した、いわゆる「シーボルト事件」によって国外追放となってしまいますが、1859年に再来日を果たしています。
 現代でも長崎ではシーボルト記念館が建設されていて、生涯を日本のために尽くした彼の功績が讃えられています。

 ちなみにハイドランジアの花言葉は「忍耐強い愛」だそうです。

アフロディーテとプシケ (ギリシャ神話)

 今回の事件の動機あての伏線となったローマ・ギリシャ神話。アフロディーテ(ローマ神話ではヴィーナス)は美の女神でその息子が愛の神クピト(別名エロス、キューピット)。そしてプシケは美しい人間の娘で三人姉妹の末娘。

 ある日美の神アフロディーテは人々がプシケの美しさをあまりに讃えることに嫉妬し、プシケが醜い豚飼いに恋をするようにと息子のクピトに命じます。愛の神であるクピトは彼の持つ矢で人を射ることで、自由に人に恋をさせることができたからです。

 ところが命令を受けてプシケに近づいたクピトは、眠っているプシケのあまりの美しさに驚いて、思わず自ら自分の胸を矢で傷つけてしまったのでした。
 こうしてプシケに恋をしたクピトは、自分の姿を決してみないこと、暗闇の中でしか出会わないことを条件に彼女と結婚し、自分の宮殿に匿います。神と人間が結婚した場合、神は自分の姿を見られると、それを見た人間は無事では済まないからでした。

 しかし幸福そうなプシケの結婚生活に嫉妬した姉たちの「クピトがひょっとすると恐ろしい怪物なのではないか」という言葉によって疑念を持ってしまったプシケは、夫クピトの真の姿を見たい衝動を抑えられなくなります。
 そしてある晩ついに夫が眠りに落ちている時にロウソクの灯を点して、夫の姿を見てしまいます。すると夫は今までに見たこともないような美しい青年だったのでした。

 プシケは夫の言葉を信じずに彼の姿を見てしまったことをひどく後悔しますが、心をひどく傷つけられたクピトは「信頼のない所に愛は存在しない」という言葉を残し彼女の元から姿を消してしまいます。

 何とかクピトを探し出して許しを得たいとプシケは彼を探し出すために神々の助けを請いますが、皆クピトの母で美の神アフロディーテの怒りを買うことを怖れて助けることをためらうのでした。

 そこでプシケは自らアフロディーテの元に赴き許しを乞いますが、アフロディーテは様々な試練をプシケに課します。しかしプシケはそれに見事に耐え抜きます。
 そして最後にはアフロディーテからもクピトの妻と認められ、夫との結婚生活を取り戻し、そして神々の一員として迎えられたのでした。

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