名探偵コナン383「甲子園の奇跡! 見えない悪魔に負けず嫌い」

(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)

タイトル
File383 甲子園の奇跡! 見えない悪魔に負けず嫌い
英題
Miracle at Koshien Ball Park! The Defiants Face the Dark Demon
サブタイトル
Side.1 暗雲 (Ominous Clouds)
Side.2 戦場 (Battlefield)
Side.3 挑戦 (Challenge)
Side.4 暗号 (Code)
Side.5 発見 (Finding)
Side.6 捜索 (Search)
Side.7 難敵 (Opponents)
Side.8 危機 (Crisis)
Side.9 光明 (Light)
Side.10 決着 (End Settlement)
放映日
2004/12/20(2時間スペシャル)
原題
第43巻
File10「53,000分の1の悪魔」
File11「甲子園の魔物の挑発」
第44巻
File1「3つの数字の謎を解け!」
File2「ヒントが無い!?」
File3「試合終了…!?」
ジャンル
サスペンス
事件現場
甲子園球場(日本高校野球大会決勝戦会場)
兵庫県西宮市的禄町にあるビル 高野運輸の入ったテナント
管轄
大阪府警(大滝警部)
兵庫県警(和久刑事)
登場人物
江戸川コナン
工藤新一
毛利蘭
毛利小五郎
服部平次
遠山和葉
大滝警部
沖野ヨーコ
和久刑事
沼田
長島茂雄
稲尾一久
江夏
高校生の大滝
大滝の友人
大滝の後輩
川上智也
鳥光裕
ラジオ実況
球審
場内アナウンス
TVナレーター
高校生
高校生
甲子園の魔物
鳥光行雄
本編の主人公、正体は工藤新一
本編の主人公、高校生探偵
本編のヒロイン、新一の幼なじみ
蘭の父親で私立探偵
西の高校生探偵、新一のライヴァル
平次の幼なじみ
大阪府警警部
人気アイドル
兵庫県警 刑事
兵庫県警 刑事
港南高校の主砲、4番サード
大金高校のエース
喫茶店〈景虎〉のマスター
高校時代の大滝警部
大滝警部の高校時代の野球部の同僚
大滝警部の高校時代の野球部の後輩
富山南商業主将、開会式の選手宣誓を担当
帝都実業のエース左腕
高校野球の実況アナウンサー
高校野球決勝戦 主審
甲子園の場内アナウンス
開会式のナレーション
開会式の進行役の高校生
開会式の進行役の高校生
謎の脅迫者
甲子園の魔物、鳥光裕の父親で野球部顧問
高山みなみ
山口勝平
山崎和佳奈
神谷明
堀川りょう
宮村優子
若本規夫
声の出演なし
一条和矢
???
声の出演なし
声の出演なし
???
小野坂昌也
田中一成
陶山章央
井上隆之
千葉進歩
丸山純路
巻島直樹
中島沙樹
松下美由紀
中尾良平
前田沙耶香
荒川太朗
荒川太朗
(注)ネタバレになるため一部伏字になっています
あらすじ
「勝って勝って、勝ち抜いて… 一等賞になりたいだけなんや…損得勘定抜きで… ただ単純にな…」

 甲子園─それは日々の血の滲むような努力と鍛錬の成果を発揮し、自らの力と技を競い合う、高校球児たちにとっては神聖であり、かつ憧れでもある場所…ところがそんな夏の風物詩ともいえる甲子園球場での高校野球の開会式のテレビ中継をよそに、とある町の小さな工場の薄暗い部屋の中では、まるで魔物に取り憑かれでもしたかのように、何やら怪しげな行動を見せる一人の男の姿が……

 それから数日の後─甲子園球場では既にほとんどの高校が会場を後にし、厳しいトーナメントを勝ち抜いた最後の2校が、優勝の栄誉をかけて決勝戦を戦っている所でした。
 対戦カードは奇しくも三大会連続同じ顔合わせ。4番長島の強打を武器に昨年の夏の甲子園を制した港南高校と、豪腕のエース稲尾の快投で今年の春の大会を制し、春夏連覇を狙う大金高校の2校が、三たび雌雄を決することとなったのです。

 試合の序盤は両チームともに得点を挙げることはできず、静かな立ち上がりを見せますが、両チームの選手が持ち味を如何なく発揮し、声援を送る観客たちのボルテージは上がる一方でした。
 そして大入り満員となった観客席の中─ライト側のスタンドの上方では、平次と和葉の招きで再び関西へとやって来たコナン、蘭、小五郎の三人も姿を見せ、それぞれが思い思いの応援をしながら、試合を楽しんでいたのです。

 ところがそんな中、時には冗談も交えながら楽しそうに観戦していたコナンたちのそばで、突如携帯電話の音が鳴り響いたのです。携帯はコナンの席のすぐ下の地面に転がっており、どうやら誰かが通りすがりに落としていったもののようでした。ひょっとすると落とした本人が自分の携帯にかけてきたものと思った平次が、親切心を起こしてその電話に出てみると…

 「楽しいかい?」

 電話の主は一言そうつぶやき…それから突拍子もなく自分が立てたという恐るべき”計画”について話し始め、やがて電話の向こうにいる平次たちにとんでもない要求を突きつけてきたのです…。

 男の計画とは次のようなものでした。これから自分は自分の手で命を絶つ。しかし、独りでは寂しいから…甲子園に来ている観客たちを道連れにするというのです!

 そしてもしそれを止めたければ、スタンドのどこかに隠してある自分の居場所の手掛りを示した携帯電話を探し出し、それをヒントに決勝戦の試合終了までに自分を見つけ出せというのでした…!!!

 更に自分の計画が嘘ではないことを示すために、2回の裏が終了と同時に証拠を見せると宣言して、男は電話を切ったのでした。最後に自分のことをこう呼んで……

 ”甲子園の魔物”─そう名乗った男の暴走を止めるため、平次とコナンはまず最初に携帯に送られてきたヒントの暗号「96 [7] 13」に挑みます。

 ところがそうこうしているうちに2回の裏は終了し、ほどなく男の自殺が「爆弾による自爆」という、最悪の惨事を招きかねない方法だということも分かって……

今回の見どころ
夏の甲子園の最中に爆破を予告する電話が…

 前作の381-382「どっちの推理ショー」を受けて甲子園へとやって来ることとなった平次&和葉と、コナン、蘭、小五郎の三人。しかし当然のようにのんびりと野球観戦とはいかず、またもや事件に巻き込まれます。

 そして白熱した甲子園の決勝戦の熱戦を背景にして、卑劣な計画を企てる爆弾魔の正体を追いかける平次とコナンの緊迫の捜査活動が2時間スペシャルで、サスペンス感たっぷりに描かれています。

4番サードの番外編

 また今回は原作者・青山剛昌先生の描いた野球漫画「4番サード」からゲストキャラも登場していて、青山ワールドにたっぷりと浸ることができる、特別編でもあります。

原作との相違点
甲子園球場の看板

 今回はスペシャルということで、かなりオリジナルシーンが加えられています。

 まずは甲子園のいたる所にある広告看板から。あれだけの大きな球場ですから、作中ではやはり多数のスポンサー企業の看板が見受けられました。アニメスタッフの方もこれだけの企業名や商品名を考えるのはさぞ大変だったことと想像されます。

 別に暇を持て余している訳ではないのですが、どうも気になって仕方がなく、結局一つ一つチェックして拾い集めてみました(笑) 以下今回の作品で見られたスポンサー企業様の数々です。

 携帯は五菱電機
 BITAOHI
 関東ペイント
 SKK
 StarMoon
 空吹工務店
 アロインズ化粧品
 大阪林業大学
 田中ハム
 ZEEET
 二和シャッター
 HITAOHI
 DVDはノニーのゴリ録
 SKS(第1の暗号解読目前だけSZK)
 日本大塗料
 近畿きんきん(5回表だけ青)
 EITACHI
 田商エステム
 日本イベント
 TAYOTA(5回表だけTEKETA)
 西東ペイント
 居須田工務店
 上田園
 田動火災
 CITUZEN
 ピンダロッソ
 わかせ生活
 YAMAD
 東テラミック
 森田ポリチック
 サンクリーン
 あんしん火災
 六吹工務店
 関口ペイント
 ?NVATT
 茂毛シャッター
 NITTA?HI
 エスケー火研
 サンークリレラ
 EXPO500
 MIZUO
 カウネットー
 聖日新聞
 大阪元気通信
 ドードードリンコ
 サニ・クロレラ
 ニムスン
 木林組
 MITT
 わかせ生活
 カゴトップ
 東セラ
 日吉火災
 古本ペイント
 日工システム
 オロガミンD
 酒のホクシカ
 アサシビール
 ワニクリーン
 PAPESI
 Aqua Sweat
 JE共済
 和気シャッター
 EXPACC250
 日新火災
 大阪学院大学
 大日本奥義
 日本ティリード
 カーソルL
 GEKNEIKAN
 日商エステム
 大小組
 コロナミンC
 山崎信用金庫
 ウマシカ
 日日システム
 日本プイント

 よく見るとあるシーンでは別の看板だったり、名前がちょっと違っていたりと、整合性の取れない所もありました。注意して見ると、面白いかもしれません。

夏の甲子園出場校

 次に冒頭では開会式のTV中継の横で、犯人が何やら怪しげな行動をしているシーンが追加されています。その際のTV中継の中で、今回の大会の出場校の名前がいくつか出てきています。

 沖縄 沖縄中央商業
 鹿児島 桜島実業
 宮崎 砂土原工業高校
 大分 明報高校(3回目の出場)
 熊本 熊本産業
 長崎 佐世保学院
 鳥取? 鳥取
 広島? 広島北
 岡山? 岡山文
 和歌山? 西和歌山
 不明 池理
 不明 東海
 神奈川? 港南(長島茂雄が主砲、沖野ヨーコの出身校でもある)
 大阪? 大金(稲尾一久がエース)
 不明 ?原赤雲
 富山 富山南商業(主将・川上智也が選手宣誓を務める)
 不明 湯?

 ちなみに今回の全国大会出場高校数は4146校で、16万人の球児が参加したと、開会式の放送では紹介されていました。

港南高校 vs 大金高校

 そして決勝戦の港南高校vs大金高校のスターティングメンバーも発表しておきます。

 大金高校(三塁側)
  1 遊 井上
  2 二 新井
  3 投 稲尾
  4 一 三沢
  5 左 茂田
  6 中 松田
  7 三 森田
  8 捕 渡辺
  9 右 関

 港南高校(一塁側) 「熱き青春 燃えろ港南!!」の垂れ幕
  1 左 岩田
  2 遊 波岡
  3 右 菊池 (3年生で地区大会.429 甲子園.400)
  4 一 長島
  5 捕 久保田
  6 三 戸谷
  7 投 桜葉 (3年生)
  8 中 鍋島
  9 二 道下

 球審
  主審:佐藤 1塁:宍戸 2塁:堀内 3塁:佐々木

大滝警部の略歴

 最後に大滝警部についても若干エピソードが追加されていましたね。

 【本名】 大滝 悟朗
 【出身高校】 長谷川商
 【高校野球の成績】
  ・地区予選ベスト8が最高(中之島に1対2で惜敗)
  ・1年生の時薬師寺高校との練習試合に7番キャッチャーで初スタメン
   その時は背番号15(結果は2対10で惨敗)
  ・のちキャプテンに(背番号2)

豆知識
4番サード (青山作品)

 大の巨人ファンで、野球好きとして知られる原作者の青山先生が、1993年に描いたファンタジー野球漫画。

 巨人ファンということもあり、主人公の名前は何とミスター・ジャイアンツと同じ長島茂雄で、彼の成長ぶりを描いた6編が連作短編集として刊行されています。

 今回のコナンではこの作品のその後という形で、当時2年生だった主人公の長島茂雄が成長して3年生になり、彼の港南高校と彼のライバルである稲尾一久の大金高校が再度夏の甲子園で対決するという設定になっています(ちなみに作中から春の選抜大会は大金高校が勝ったことも分かります)

 また作中にはこの二人の他に、ヒロインの江夏豊の父親がチラッと登場しており(「さすがは甲子園の決勝戦! いい試合だねぇ!」とちゃんとセリフもあります)、ファンなら是非チェックを入れておきたい箇所です。

 なお詳しくは当サイトの「4番サード」のページをご覧下さい。

阪神甲子園球場 (スポーツ)

 詳しくは前作381-382「どっちの推理ショー」を参照のこと。ここでは番組で語られた豆知識についてご紹介。

 まず「甲子園」の名前の由来は、甲子園が完成した年が十缶(機の絵)と十二支(ねずみ)が60年ぶりに出会うめでたい年だったためにこう名付けられたそうです。

 また名物の蔦の数の総数は430本で、葉の面積畳8000畳分にもなるとか。53000人を収容することができる大リーグ級大型スタジアムでもあります。

高野運輸 (企業名)

 兵庫県西宮市的禄町にあるビルにテナントを持つ運送会社の名前。

NEXTコナンズヒント
サービス券
コント
コナン「もうすぐクリスマス、今年は何がもらえっかな?」
平次「おまえ、ガキやな…」
コナン「見た目は子供ですから」
OP
START」(愛内里菜)
ED
忘れ咲き」(GARNET CROW)
監督
佐藤真人
構成
山本泰一郎、佐藤真人
絵コンテ
山本泰一郎、佐藤真人
演出
戸澤稔
作画監督
作画監督 佐々木恵子
キャラクターデザイン とみながまり
レイアウト監修 堀内博之、宍戸久美子
作画監督補佐 増永麗、川島明子
ビデオ
PART13-9
DVD
PART13-9
評価

■以下ネタバレつき感想■
(未見の方はご注意下さい)

感想
評価 ★★★

 甲子園を舞台に見えない犯人と対決するという作品で、130-131「競技場無差別脅迫事件」の野球版といってもいい設定ですね。そして爆弾魔という点では304「揺れる警視庁 1200万人の人質」に通じるものがあります。

 推理ものとしては犯人の示す暗号をもとに隠された携帯電話を探して…という感じで暗号解読が中心で、それにタイムリミットを設けることで、視聴者ならびに読者に一層の緊迫感を与える、サスペンスの部類に属する作品です。

 暗号に関しては私は事ある度に何度も繰り返しておりますが、このジャンル自体ミステリではあまり好きな方ではないのですが、それでも他に楽しめる要素がいくつも詰まっていますし、また肝心の暗号解読部分もよく考えられて作られていることも理解でき、それなりに楽しめました。

 しかしそれよりも何よりも、何といってもラストのオチのハイジが今回は最高でした。まさか冒頭の小五郎のあのダジャレが後々になってあんなに役に立つとは(笑) 全然関係ありませんが、小さい頃に見た「アルプスの少女ハイジ」、久しぶりに見たくなりましたね(笑)

 今回の作品はミステリとして良かったというよりは、ラストで大滝警部が犯人を諭すようにしながら発した言葉の数々が印象に残っています。こういう役回りには大滝警部というのはうってつけですよね。警部としての貫禄充分だったと思います。

 それと大滝警部に関しては冒頭の高校時代を描いたアニメオリジナルシーンも当時の大滝警部の思いが伝わってきてとてもいいシーンでした。今回一番目立っていたのはやはり大滝警部でしょう。

 もう一つこの作品は青山先生の「4番サード」の番外編にもなっていて、この作品について知っているとなお一層楽しめると思います。

 「4番サード」は私も拝見しましたが、野球好きな方はもちろん、そうでない方も充分楽しめると思います。話は決して難しくありませんし、テンポもよくスイスイと読め、またラストでジーンと来る心温まる話が多いのが特徴です。

 それにたとえ失敗続きでも、腐らずに頑張っていればそのうち良いことが訪れるかもしれない…と、元気をもらえること請け合いの作品です。

 話が逸れましたが、今回のSPについては、残念だったことが一点あります。それはやはりクリスマス直前に放映されたため、季節感がまったくなかったことですね(苦笑)

 まあスペシャル向けの話ですからスペシャルにしたこと自体は理解できるのですが、できれば何とか調整をつけて真夏にやって欲しかった所です。

豆知識
鳥光精機製作所 (工場)

 TVアニメのみの登場で、番組冒頭にとある町の工場という感じで登場しましたが、名前からして犯人の普段の仕事場かと思います。

帝実高校 (高校)

 東京に配属された刑事の話から事実が判明しているのでおそらく東京の高校。今年の春の大会の1回戦では稲尾率いる大金高校と延長18回の死闘を演じました。
 惜しくも敗れはしましたが、その時18回を投げ抜いた帝実のピッチャーが鳥光裕というサウスポーでした。他に4番に山本という打者がいます。

アルプスの少女ハイジ (小説)

アルプスの少女ハイジ  スイスの作家ヨハンナ・スピリ原作の児童文学小説で、日本では1974年にフジテレビ系列にて「カルピスまんが劇場」の枠でアニメ化されて、大変な人気を集めました。

 ちなみにアニメの製作には、今やすっかり巨匠として知られる宮崎駿(画面設定)、高畑勲(演出)の両氏も参加しています。

 全52話の放映終了後も事あるごとに再放送がなされ、新しいファンを獲得している名作中の名作です。

原子番号 (化学)

 「水兵リーベ僕のお船」という風に覚えた方もたくさんいらっしゃると思います。詳しくはウィキペディアの原子番号のページを参照下さい。

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