(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)
江戸川コナン 目暮警部 高木刑事 灰原哀 吉田歩美 小嶋元太 円谷光彦 千葉刑事 沖野ヨーコ 萬田年久(53) 原本高平(28) 島木 市村 ノベル 百鬼夜子 仮面ヤイバー |
本編の主人公、正体は工藤新一 警視庁捜査一課警部 巡査部長、目暮の部下 黒の組織から来た謎の少女、本名宮野志保 帝丹小学校に通うコナンのクラスメート 帝丹小学校に通うコナンのクラスメート 帝丹小学校に通うコナンのクラスメート 捜査一課刑事、目暮の部下 人気アイドル 時代小説家 萬田の弟子 萬田担当の編集者 原本宅のハウスキーパー 萬田年久の愛猫 幽霊探偵 子供達に大人気の特撮ヒーロー |
高山みなみ 茶風林 高木渉 林原めぐみ 岩居由希子 高木渉 大谷育江 千葉一伸 声の出演なし 野島昭生 桜井敏治 巻島直樹 青木和代 ??? 声の出演なし 声の出演なし |
その日ホテルニューベイカの504号室には一人の訪問客が訪ねてきていました。男の名前は島木といい、出版社の編集部に勤務していて、彼が担当する小説家の萬田年久の原稿の催促にやってきていたのです。
その島木から「印刷所はもう2時間しか待てないといっている」と半ば脅された格好の萬田でしたが、焦りと苛立ちを隠せない島木に対し小説の執筆はラストの山をもう既に越えていて、あとはエピローグを書くだけ。2時間もあれば十分だ、と言って安心させようとします。
しかし何としても原稿を時間までに間に合わせなくてはいけない島木は、萬田が逃げないようにと萬田のいる504号室のすぐそばのエレベーターホールで待機する念の入れよう。一方萬田の方はというと、相槌を打つと部屋のドアを閉め、原稿を仕上げるために机に向かうかと思われたのですが…
ところがドアを閉めるやいなや、萬田はそばに置いてあった紙袋からホテルのボーイ服を取り出して身にまとい、出版社と携帯電話で連絡を取っていた島木を尻目にまんまとホテルから抜け出すことに成功したのです。
それから萬田は近くに停めておいた自転車にまたがり、必死の形相で堤無津川沿いを駆けていきます。その傍で偶然にもコナンたち探偵団が野球に興じている事など、知る由もなく…
ほどなくして萬田が到着したのは、彼の弟子である原本高平の住んでいる一軒家でした。そして編集者の島木から原稿を催促されているこの切羽詰った状態の中で原本の家を訪れたのには、ある重大な理由があったのです。というのは…
実はこの原本という男は、最近萬田が最近発表した小説の大半を萬田の代わりに執筆している、萬田のゴーストライターだったのです…! そして今回の原稿も原本が6時間前に既に完成させており、萬田がホテルを抜け出して彼の家を訪れたのは完成した原稿を受け取るためだったのです。
原本は萬田のゴーストを務めることで彼からたくさんの謝礼をもらっているらしく、その事については十分満足しているようでした。しかしやはり世間を欺くような行為は長続きするはずもなく……
謝礼をもらう一方で物書きといての血が疼く原本は、自分も作家としてデビューできるように出版社の編集に自分を紹介して欲しいと萬田に頼み込んでいました。一方弱味を握られているも同然の萬田も、彼の機嫌を損ねないようにと今回の原稿を渡し、編集と次回作の打ち合わせが終わり次第彼を紹介すると約束したのです。
そしてそれを聞いた原本は当然のように舞い上がり…彼はミニカーや人形や本など、いろいろな物を集めているコレクターだったのですが、そんな自分の趣味になぞらえてこれからは文学賞のコレクターになっていろいろな賞を集めていきたいと夢を膨らませます。
その背後から、師匠の萬田が彼の後頭部目がけて壺を振り降ろそうとしていることなど、まったく知る由もなく…
─その頃、堤無津川沿いの河川敷で野球を楽しんでいたはずの探偵団たちの姿は、いつの間にかそこから消えていました。なぜなら元太がバッターとしてかっ飛ばした打球が近くの民家まで飛んでいき、たまたま開いていた窓から部屋の中に飛び込んでしまっていたからです。
そこで探偵団たちはその民家を訪れて玄関のチャイムを鳴らし続けていたのですが、中からはまったく返事がなく…しばらくすると玄関の扉が施錠されていないのをいいことに、コナンたちは勝手に中に入っていってしまいます。
ところが部屋の中に入ったコナンたちは、そこで奇妙な光景を目の当たりにします。何とその部屋の中では棚に並べられたミニカーや人形、そして本などがほとんど逆さになって置かれていたのです…!?
そしてさらに奥の部屋には、後頭部を血で染めて床にうつむけに倒れている、その家の主の原本高平の姿が……
時代小説家として世間でも有名な萬田年久。ところが彼にはある秘密がありました。それは最近彼が発表した作品のほとんどは、彼の弟子の原本高平の手により書かれていたのです…。
高額な謝礼で萬田のゴーストを引き受けてきた原本でしたが、そのような危うい関係はいつまでも長続きするはずもなく、その日萬田はついに原本の口を永遠に封じ込めるため、アリバイトリックを使って彼の殺害を実行に移します。
そして萬田の殺人計画は途中危険な場面が何度かあったものの何とか彼の思い通りに終了。ところがホッとして彼が自宅に戻ってくると、向かいの原本の家のチャイムを押すコナンたち少年探偵団の姿があり…
冒頭で編集者の島木が萬田年久を訪ねてホテルニューベイカを訪れるシーンが若干長めになっている。この点島木がドアをノックし続ける中、萬田が電話をしているシーンが追加されていますが、この電話の相手は原本です(この後原本と会った際に電話の件について話すシーンで触れられている)
探偵団たちが野球をやるシーンも大幅に増加で、「帝丹小1年B組エース、手ぬぐい王子こと小嶋元太、ノーヒットノーラン目前!」という元太のセリフは結構笑えますね(笑) 手ぬぐい王子というのはもちろん早稲田実業のエースとして甲子園を沸かせたあの”ハンカチ王子”を意識したものでしょう。
ちなみにその後「ツーアウトランナー満塁、ここのところ絶好調の円谷光彦(歯がキラリ)」という光彦のセリフは元太のセリフと矛盾しているように思える(まあ四球やエラーが絡めばノーヒットで満塁ということはあり得なくはないです)のですが、これは二人が自分の世界に入って勝手に妄想しているだけかと思います(苦笑)
後編に入ってまず最初にオリジナルシーンという訳ではないのですが、冒頭の前回のあらすじの部分の最初を今回の犯人である萬田自身が語っているのが今までにない珍しいやり方で新鮮でした。まあこれは倒叙ミステリだからこそできる技ですが(苦笑)
次に後半の冒頭では現場に到着した目暮警部に萬田が自己紹介するシーンがあるのですが、そこがアニメではカットされています。そしてそれ以外にも細かい部分でかなりセリフなどのカットが目立ちましたし、ラストもオチも若干変更されています。
このホテルの504号室で萬田年久はカンヅメにされ、編集の島木から小説を仕上げるように頼み込まれていました。
これはTVアニメのみですが、コレクターだという原本の部屋にあった数多くの中に、沖野ヨーコと仮面ヤイバー、それにナマコ男と思えるフィギュアもありました。
ちなみにヨーコフィギュアは手にフライパンを握っており、「沖野ヨーコの4分クッキング」での一コマをモデルにして作られたものではないかと想像されます。
そしてナマコ男はコアなファンの方ならご存知の通りで蘭の携帯ストラップになっているキャラクターで、元々は青山先生の人気作品「YAIBA」に登場するキャラクターでもあります。
またヤイバーに関しては、もう一度登場シーンがあります。それはこの後元太の打ったボールが原本の家に入ってしまった時に、花瓶が割れたかもしれないと灰原が言った際、元太が「すげー高かったらどうしよう…お年玉もお小遣いも全部使っちゃったしな…」と焦るシーンなのですが、その際元太が買った物として思い浮かべた商品の中にたくさんのヤイバーグッズがありました。
小説家の新人賞らしく、萬田も審査員の一人なのだとか。原本は小説家としてデビューしたらこの賞を獲りたいと夢に描いていたようです。余談ですが、逆さまになった本の中に「芥川寅之助」という名前の小説家の本がありました(苦笑)
名前の由来はもちろん芥川龍之介を記念して創設された芥川賞でしょう。ちなみにコナンの世界では随分昔の作品ですが9「天下一夜祭殺人事件」で直木賞をもじった直本賞をいう賞が登場しましたね。横溝警部初登場作品ということで、かなり懐かしい作品です。
芥川賞についてはウィキペディアのこちらのページを参照下さい。
アニメのみ名前が登場。萬田が島木を伴って自宅に帰る際に利用したタクシー。コナンの世界ではお馴染みとなっているタクシーですね。