名探偵コナン492-494「赤と黒のクラッシュ 血縁・絶叫・冥土」

(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)

タイトル
File492-494 赤と黒のクラッシュ 血縁・絶叫・冥土
英題
Clash of Red and Black ! : Blood Relative
Clash of Red and Black ! : Exclamation
Clash of Red and Black ! : Sheol
放映日
2008/1/21・1/28・2/4
原題
第56巻
File11「血が語る真実」(ラスト5ページ目途中から)
第57巻
File1「母の遺品」
File2「死を呼ぶ片手袋」
File3「黄泉からの殺人者」
File4「哀しみの手袋」
ジャンル
本格
事件現場
毛利探偵事務所→杯戸町3丁目 奥平角蔵邸・書斎
管轄
東京警視庁捜査一課(目暮警部)
登場人物
江戸川コナン
毛利蘭
毛利小五郎
阿笠博士
灰原哀
目暮警部
高木刑事
鈴木園子
本堂瑛祐
沖野ヨーコ(回想)
奥平角蔵(63)
奥平詠子(56)
奥平鍛吾
田端菊代(39)
瀬川旗郎(48)
瀬川の兄
水無怜奈
瑛祐の父(名)
瑛祐の母
庵野
看護師
スタッフ
新名香保里
ジン
ウオッカ
宮野明美
ジョディ先生
赤井秀一(諸星大)
本編の主人公、正体は工藤新一
本編のヒロイン、新一の幼なじみ
蘭の父親で私立探偵
新一の家の近所に住む自称天才科学者
黒の組織から来た謎の少女、本名宮野志保
警視庁捜査一課警部
巡査部長、目暮の部下
鈴木財閥の令嬢、蘭の同級生で親友
蘭のクラスに来た水無怜奈似の転校生
人気アイドル
奥平家主人
奥平家主人の妻
奥平家の一人息子、1年前に変死
奥平家家政婦
奥平家執事
元奥平家執事、2年前に他界
日売テレビ アナウンサー
本堂瑛祐の父親
元奥平家家政婦
小五郎の友人、水無怜奈の大ファン
録画ビデオに登場する女性看護師
日売テレビ 番組スタッフ
ミステリー作家、「黄泉からの殺人者」の著者
黒の組織の男、新一に毒薬を飲ませた人物
黒の組織の男、ジンの手下
灰原哀の姉
FBI捜査官
FBI捜査官
高山みなみ
山崎和佳奈
神谷明
緒方賢一
林原めぐみ
茶風林
高木渉
松井菜桜子
野田順子
声の出演なし
藤本譲
竹口安芸子
声の出演なし
斎藤喜美子
長克巳
声の出演なし
三石琴乃
声の出演なし
声の出演なし
柴本浩行
増田ゆき
佐藤美一
声の出演なし
声の出演なし
声の出演なし
玉川紗己子
一城みゆ希
池田秀一
あらすじ
「心当たりか…外にはないが内にはある…」

 庵野家の事件を無事解決したコナンは、阿笠博士の屋敷から極秘に入院中の水無怜奈を監視するために杯戸中央病院に滞在中のジョディに連絡。水無怜奈にそっくりな姉を持つ少年、本堂瑛祐が水無怜奈のことを調べるためにいろいろな病院を探っているので、くれぐれも注意するようにと伝えたのでした。

 さらにその瑛祐の父親と思われる人物が”カンパニー”の一員かもしれないという事実を知らされたジョディはコナンの身を案じますが、コナンは一応大丈夫だといってジョディを安心させるのでした。

 その後コナンが探偵事務所に戻ってくると事務所には園子がやって来ていて、小五郎と蘭と三人で瑛祐と水無怜奈の話をしている所でした。そして話題は瑛祐と水無怜奈の血液型の話になったのです。なぜならその血液型が水無怜奈と瑛祐の姉が同一人物ではないという決定的な理由になりえたからなのです。

 蘭たちがビデオの中で知った水無怜奈の血液型はAB型。
 そしてAB型の人間はAB型の人間にしか血をあげられない。
 とすれば小さい頃に姉から血をもらったという瑛祐は、もし水無怜奈がその姉ならAB型でないとおかしい
 しかし瑛祐の血液型は、蘭が以前聞いた話ではそれとは違っていたらしく…

 そこへ突然タイミングよく本堂瑛祐本人が姿を見せたため、コナンは驚きます。しかしどうやら蘭たちと一緒に事務所に来ており、今までトイレに行っていただけでした。そしてそんな瑛祐自身の口から彼の血液型はO型であることが明らかにされたのです。

 それから瑛祐は、小五郎たちに最近献血したり大怪我をしたりしたことはないかと血液型についていろいろと質問されます。すると瑛祐はそんなに自分の血液型が気になるのであれば、明日自分に付き合えば分かると言うのでした。

 何でも以前瑛祐と彼の母親が世話になった屋敷から母親の遺品が出てきたらしく、その中には母子手帳も入っておりそれを取りに行く予定だというのです。
 ところがその瑛祐が明日訪れる予定になっているという屋敷には、偶然小五郎も訪問する予定になっており…

 そんな小五郎と瑛祐の二人が訪問する予定となっていたその屋敷というのは、杯戸3丁目にあるという奥平という名前の屋敷で、小五郎の方はその屋敷の主人の一人息子が1年前に妙な殺され方をした事件について再調査を依頼されていたのでした。

 一方瑛祐の方は以前母親が奥平邸で住み込みの家政婦として働いてたことがあったらしく、瑛祐自身も母親が亡くなり大阪で働いていた父親に引き取られるまでは、母親の手でその屋敷で育てられたのだというのです。

 翌日、小五郎と瑛祐、それに蘭とコナンの4人がその奥平邸を訪れると、主人の妻の奥平詠子が4人を出迎えたのです。特に瑛祐との約10年ぶりの再会でお互いとても懐かしそうに再会を喜ぶのでした。

 その後蘭とコナン、瑛祐は家政婦の田端菊代の案内で瑛祐の母親のバッグを出しておいた応接室へ、一方小五郎は詠子の案内で屋敷の主人角蔵の部屋へと案内され、さっそく角蔵から依頼された一人息子の変死事件について話を聞くこととなったのですが…。

 角蔵の話によると、その事件というのは角蔵が撮ったホームビデオを被害者である息子を除く家の者全員で鑑賞している間に起こったものでした。
 警察の調査では息子は家のプールで外部から侵入した何者かに溺死させられたらしいのですが、死亡推定時刻は夜9時から10時の間。その一方角蔵たちは夜7時から12時まで居間でビデオを観ていたため、家の者全員にアリバイが成立したというのです。

 ところが角蔵はそういう状況でも外部の者ではなく内部犯、つまり家の者の誰かに息子は殺されたのだと考えているというのです。そしてその根拠というのが、被害者が発見された時に右手にはめられていた白い手袋…。

 それは2年前のちょうどその日に車で崖から落ちて亡くなった奥平家の前の執事が、車を運転する時にいつもつけていたもの。しかも手袋のもう片方は事件の3日後に角蔵の書斎で見つかったというのです…。

 そのため角蔵は執事の事故死が自分と自分の息子のせいだと考えた何者かが息子に執事の手袋をはめて殺害し、今度は自分の番だというつもりで角蔵の書斎に置いていった……そのように考え、小五郎に相談したという訳だったのでした。

 小五郎との面会が終わると、角蔵は執事の瀬川に小五郎や蘭たち3人を居間に案内させ、家政婦の菊代にはコーヒーのおかわりを準備するように指示。またそのついでに書斎の本の整理を手伝わせるため詠子を呼んで来るようにと二人に命じます。

 ところがそれを聞いた詠子は以前角蔵から細かい点でいちいち文句を言われたことがあったらしく、手伝うのを嫌がるのでした。そこで詠子は自分が小五郎たちを案内するので、自分の代わりに本の整理を手伝うように執事の瀬川を書斎に向かわせたのです。

 それから詠子の案内で居間へとやって来た小五郎たちは、居間を調べつつも息子の変死事件について詠子から話を聞きます。コナンもつぶさに居間とその周辺を調べますが、その結果居間を抜け出して息子を殺害することは難しく、家の者のアリバイは完璧だという結論に達しつつあったのでした。しかし念には念をと、コナンは息子が水死体で発見されたプールも見せてもらおうと詠子に頼みます。

 しかしちょうどその頃外はあいにくの雨…。そこで詠子はコーヒーのミルクが切れていたからと近所のスーパーに買出しから戻ってきた家政婦の菊代に小五郎たちを案内するように頼み、自分が代わりに書斎にコーヒーを届けると言い出します。

 そこで今度は菊代の案内でプールへとやって来た小五郎たちでしたが、ここでも瑛祐がいつものようにドジっ子を発揮して転倒。あえなくびしょ濡れになったため、仕方なく屋敷に戻り亡くなった息子が着ていた服を借りることとなったのです。

 そしてちょうどその時でした。突然角蔵のいる書斎の方から、バリンという何かが割れるような大きな音が聞こえてきたのです。その音を聞いた家政婦の菊代は、執事の瀬川を連れて様子を伺いに書斎へと向かいます。

 ところがその直後、角蔵の「開けるなァ!!!」という叫び声が聞こえてきて……

今回の見どころ
瑛祐の母親が家政婦をしていたという奥平邸を訪れた小五郎たち…

 水無怜奈の血液型はAB型、そしてAB型の人はAB型の人にしか輸血できないため、姉から血をもらったことのあるという瑛祐が自分が言うようにO型なら、水無怜奈は瑛祐の姉ではあり得ない…

 瑛祐のその主張を裏付けるべく、瑛祐の母親が以前家政婦をしていたという奥平邸に向かうことになったコナンたち。しかも奇妙な偶然かちょうどその時小五郎が当の奥平邸の主人からある事件の調査の依頼を受けていたため、小五郎も同伴する形でコナンと蘭、そして瑛祐は奥平邸へと向かうことになります。

 懐かしそうに奥平邸を見る瑛祐でしたが、彼の言うとおり母子手帳から彼の血液型はO型であることが実証されます。
 一方小五郎の方は、奥平邸の主人から彼の一人息子・鍛吾が一年前に奇妙な亡くなり方をしたことについて再調査を依頼されますが、主人は鍛吾が2年前に起きた執事の事故死に絡んでこの屋敷に住む誰かに殺害されたのではないかと疑っているようなのです。

 そして次は自分の番なのでは…そう怯える奥平の主人の恐怖は、やがて現実のものとなり……。

原作との相違点

 第1話については大体原作に忠実な構成になっていますが、下記のような違いがあります。

 冒頭舞台が阿笠博士の家から毛利探偵事務所に切り替わる時にアニメでは再び杯戸中央病院に切り替わり、水無怜奈の病室で壁にもたれかかって瞑想する赤井秀一のシーンが挿入されている(原作では赤井の登場はなし)

 次いで毛利探偵事務所に切り替わってすぐ、蘭が以前小五郎が引き受けた依頼で水無怜奈の住むマンションに行ったことがあると話した際に、その時起きた事件の回想シーンが丁寧に挿入されていて、沖野ヨーコもちらっとですが回想で姿を見ることができます。
 425「ブラックインパクト!組織の手が届く瞬間」に該当する部分で完全なネタバレになっていますので、ご注意ください。

 第2話については原作2話目から3話目の目暮の「この家にいたあなた方の誰かに…」という部分までですが、セリフの言い回しや順次に多少変更はあるものの、ほぼ原作に忠実な作りになっています。

 第3話の解決編については、コナンが犯人が分かる直前の犯人当てのヒントともいえる部分にかなりシーンが追加されていて、より推理しやすくなっていると思います。原作ではさっぱりでも、アニメのヒントであればひょっとしたら犯人が分かるかもしれませんね。それ以外についてはセリフの順番の相違や若干の変更削除はありますが、ほぼ原作どおりです。

豆知識
青山総合病院

 アニメで追加されている赤井秀一の瞑想シーンの中に登場する病院の名前。彼は以前灰原哀の姉・宮野志保に車で轢かれこの病院に入院していたことがこの回想シーンから窺い知れます。

黄泉からの殺人者

 奥平邸の書斎にあった本の一冊で、事件発生後、この本の表紙に血の滴が落ちていました。

 著者は新名香保里で、この方の名前はもう何度も登場してきているのですっかりお馴染みだと思いますが、探偵左文字シリーズの生みの親で高名な小説家の新名任太朗の娘で、116-117「ミステリー作家失踪事件」で登場以来、381-382「どっちの推理ショー」、487「本庁の刑事恋物語8 左手の薬指」などの作品でも名前が登場しています。

ART OF THE TRUTH

 主人の奥平が注文していたという大判の本。原作ではタイトルははっきり読み取れませんが、アニメではこのようなタイトルがつけられていました。

NEXTコナンズヒント
File492 高価な壷
File493 踏み台
File494 七つの子
コント
File492
蘭「瑛祐君触っちゃダメー!」
瑛祐「大丈夫ですよー、見るだけですから…」(ガチャンと壷の割れる音)
コナン「おしおきだべー」

File493
コナン「高木刑事踏み台になって」
高木「ああ、いいよ」
蘭「じゃ、アタシも」
瑛祐「ああ、ボクも!」
高木「ああー、くぅっ…、重い…」

File494
蘭「七つの子といえばカラス!」
目暮「カラスといえば黒!」
高木「黒といえば組織!」
一同「うわぁーッ!!!」
OP
愛は暗闇の中で」(ZARD)
ED
雪どけのあの川の流れのように」(三枝夕夏 IN db)
監督
佐藤真人
脚本
古内一成
絵コンテ
File492 青木雄三
File493 鎌仲史陽
File494 鎌仲史陽
演出
File492 戸澤稔
File493 鎌仲史陽
File494 黒田晃一郎
作画監督
File492 宍戸久美子/サブキャラクターデザイン・総作画監督 佐々木恵子
File493 増永麗/サブキャラクターデザイン 佐々木恵子、宍戸久美子/総作画監督 佐々木恵子
File494 朴昊烈/サブキャラクターデザイン 佐々木恵子、宍戸久美子/総作画監督 佐々木恵子
ビデオ
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DVD
PART17-1
PART17-2
評価

■以下ネタバレつき感想■
(未見の方はご注意下さい)

感想
評価 ★★★★★

 赤と黒のクラッシュの第2部といっていい今回の事件ですが、奥平邸の事件自体はまったく独立したストーリーで本格ミステリーであり、ここだけに興味を持って読んでも十分楽しめる内容だと思います。というより個人的には一番面白かったです。

 今回の殺害方法というのは何と言うかちょっと残酷というか、被害者を苦しめるだけ苦しめてからあの世に送ってやろうという、犯人の恨みの大きさが分かるやり方ですよね。

 それにしても今回の作品は大判の本と部屋にたくさん詰まれた本がトリックだけでなく犯人の決め手となったり、息子がボディビルダーだったことが殺害トリックに上手く使われたことや、ティッシュから動かぬ証拠が出てきたり、黄泉=冥土というダイイングメッセージなど、随所に手がかりが散りばめられ、実によく練り込まれたストーリーとプロットだった気がします。

 このシリーズの中では少し地味というか派手さのない事件ですが、実に味わいのある玄人好みの作品で、本格ミステリとしては一級品じゃないでしょうかね。謎解き推理が大好きな方にはオススメの作品だと思います。

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