(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)
江戸川コナン 工藤新一 毛利蘭 毛利小五郎 阿笠博士 目暮警部 天永和尚(71) 寛念(21) 屯念(19) 木念(19) 秀念(18) 菊乃(21) 菊乃の夫 忠念 警官A 警官B |
本編の主人公、正体は工藤新一 本編の主人公、高校生探偵 本編のヒロイン、新一の幼なじみ 蘭の父親で私立探偵 新一の家の近所に住む自称天才科学者 警視庁捜査一課警部 山泥寺住職 修行僧、修行僧たちの兄貴分 修行僧、料理・力仕事担当 修行僧、大工仕事担当 修行僧、勉強熱心な新入り 和尚の孫娘 大きな寺の跡取り 二年前に亡くなった山泥寺の修行僧 目暮の部下 目暮の部下 |
高山みなみ 山口勝平 山崎和佳奈 神谷明 緒方賢一 茶風林 八奈見乗児 植村喜八郎 巻島直樹 咲野俊介 川鍋雅樹 岩井由希子 声の出演なし 声の出演なし 千葉一伸 高木渉 |
道に迷った上にパンクまで…、方向音痴は蘭も同じで人のことは言えないとしても、どうしてこうも小五郎のレンタカーはトラブルばかり発生するのかという蘭の不満は、コナンにも充分理解できることでした。
町中に咲くソメイヨシノも悪くはないが、人里離れた山の中に慎ましく咲く山桜にこそ本当の桜の美しさがある─そんな名言も飛び出すほどきれいな山桜を見物した帰り道、その観光気分を台無しにしてしまうかのように山の中で車のトラブルに巻き込まれた小五郎、蘭、コナンの三人。更に追い打ちをかけるようにして雨まで降り出して…
山の麓まではまだ何キロもあり、山奥で人家も見当たらず、仕方なく車の中で野宿せざるを得ないと小五郎が覚悟を決めかけた時でした。コナンが遠くの方に山寺があるのを発見。何とかそこに一泊させてもらおうと、三人は険しい山の上に建てられたその「山泥寺」という表札の掲げられた寺の階段を上がっていったのです。
階段を登り切り建物の玄関へとやってきた小五郎たちは、そこで誰かいないかと大声で呼びかけます。
すると建物の中からではなく三人の背後から突然、蓑を纏い頭を丸め立派な髭を生やしたいかにも僧侶然とした老人が、凄味のある表情で三人を睨みながら何の用でここに来たのかと訊ねてきたのでした。その迫力に思わずたじろぐ三人でしたが…
すぐに小五郎は自分たちが山道の途中で車がパンクしてしまい、できたら一晩泊めてもらいたいと遠慮がちに申し出ます。
すると途端にその老人の表情は一変、急に和やかな態度になったのでした。そしてその老人─寺の住職・天永和尚は「てっきりまたアレを取材に来たTV局の関係者なのかと思ったのだ」と謎めいた言葉を残し、宿坊も兼ねたこの寺に精進料理付で一人1万円でぜひ泊まっていくようにと勧めるのです。
一人一万円…それを聞いた小五郎は財布の中身を気にしながら一瞬ためらいますが、嫌なら麓まで6時間歩けばいいという天永和尚の脅すような口ぶりに仕方なく宿泊することに。更に天永和尚が言うには、この辺りには熊などよりももっと恐ろしいものが出没するというのです。それは雨と闇を好み、人の魂を喰らう古の魔物・霧天狗…
小五郎たちが宿泊を決めると、天永和尚は寺の四人の修行僧たち呼び集めて自己紹介を始めます。
もっとも修行年月が長く四人の兄貴分の寛念、大飯食らいだが料理上手で力持ちの屯念、手先が器用で寺の大工仕事を任されているという木念、更に今年入ったばかりで体は小さいが勉強熱心で頭の切れる秀念。
それから屯念と木念が夕食の準備をしている間に、小五郎たちは寛念と秀念の案内で寺の中を案内してもらうことになったのですが…
山泥寺の御本尊を紹介された三人は更に奥へと案内されていきます。すると廊下の突き当たった右側に錠のついた部屋があるのをコナンが発見。好奇心が芽生えたコナンが、表情を真っ青にした寛念が止めようとするのも聞かずに部屋の扉を開けて中へ入ってみると…
部屋の中はただの小さな空き部屋で、物も置いておらず全く使われていない様子でした。ただし天井は見上げても先がよく見えないほどの高さで、小さい割には狭さは感じさせない作りになっていたのです。
一体何をする部屋なのかと小五郎たちが不思議がっていると、修行僧一番の切れ者の秀念がここは修行の間で、戒律を破った僧侶をここに閉じ込めて反省させるために作られたものであると説明します。もっともそれは昔の話で、今はまったく使われていないというのですが…。
ところがコナンが部屋をよく見てみると、奇妙にも部屋の壁の一部分だけが新しく張り替えられていたのです。そしてそれをコナンが不思議そうに訊ねると、それは「あの事件」が起きた時に壊れたものを大工仕事担当の木念が修理したものだと秀念が説明してくれたのです。
それを聞いた寛念はまたもや顔を真っ青にして、すぐにその話を止めるように秀念を叱りつけるのでした。話はそれきりになってしまいますが、それにしても「あの事件」とは一体…!?
それから山桜の花びらも舞い散る中、山の上から寺のすぐ近くへと流れ落ちる風流な滝を見物した三人は、夕食の席でひょんなことから霧天狗の話を和尚から聞かされることになります。
霧天狗とは雨の夜に霧のように村に忍び寄り、仁王の如き剛力で家の壁を突き破って人をさらい、天翔るその足で高い木の上に登り、死体を吊るしてその肉を喰らっていたという古の魔物…
とはいえ所詮それは他愛もない昔話だと、和尚は笑いながら怯える小五郎たち三人を安心させようとしたのですが…
ところがその話を聞いた木念が、二年前にその「伝説と同じ」ような奇妙な事件が起きたのだと話始めたのです…。
どうやらそれは先ほど秀念が話した「あの事件」のことのようで、慌てて寛念は先ほどと同様にそれを静止しようとしますが、小五郎があの有名な名探偵の毛利小五郎だとコナンから聞かされると途端に態度は急変。
寛念だけでなく修行僧すべてがもしかしたら謎を解いてもらえるかもしれないと、小五郎にその事件のことを詳しく話そうとし始めたのです。
しかしそんな修行僧たちを天永和尚は一喝。事件のことは二度と口外しないという約束だと、修行僧たちの話を途中で遮ってしまったのでした…。
そして翌朝─朝食の時間になり、部屋には小五郎たち三人と修行僧たちが集まっていました。ところがそこに天永和尚と寛念の姿がなく…
どうしたものかと蘭が修行僧たちに訊ねると、和尚の姿が見えないので寛念が捜しにいっているのだと大飯食らいの屯念が説明してくれたのです。
その直後でした。突然寛念のものと思われる悲鳴が遠くから聞えてきて、部屋にいた人間たちを驚かせます。慌てて小五郎たちが悲鳴のした修行の間へと駆けつけてみると…
修行の間では、昨晩聞かされた霧天狗伝説になぞらえるかのように、数十メートルはあろうかという高い天井の梁から下ろされた縄で首を吊って死んでいる天永和尚の姿が……
原作では5「新幹線大爆破事件」該当部分で明らかになるはずの二人のコードネームですが、アニメではその話にこの二人がそもそも出てこなかったため、今回の1時間SPの中で今までのあらすじという形で紹介されています。これはこの話の2回先の54「ゲーム会社殺人事件に備えてのものでしょう。
博士の発明品で、蝶ネクタイ型変声機とセットで使用します。しかし離れているとはいえ、おでこに付けるのは…(笑) 大仏の白毫(びゃくごう)とかけているのでしょうか? 白毫については豆知識を参照。
この辺りの回まではカットされる場面が多かったアニメ・シリーズですが、今回は逆に冒頭の桜見物のシーンをはじめ、アニメオリジナルのシーンが多数あります。それだけこの作品に対するスタッフの意気込みが感じられますね。管理人もこの作品はコナン史上に残る最高傑作の一つだと思っています。
今回の事件の舞台となった寺の名前。名前の由来はもちろんコナンの原作が連載されている漫画雑誌〈週刊少年サンデー〉。
仏の眉間(みけん)にあるという白い巻き毛。ここから慈悲に満ちた光を発し人々を導いていく。仏像では玉を嵌入してこれを表す。眉間白毫相として仏の三十二相の一つに数えられる。(gooの国語辞典検索─三省堂提供「大辞林 第二版」より)
大仏の頭のパンチパーマのような髪型のこと。仏の三十二相の一。縮れて右に渦巻く巻貝の形をした頭髪。仏像に特有の形式として表示される。(gooの国語辞典検索─三省堂提供「大辞林 第二版」より)