名探偵コナン625-626「絶叫手術室」

(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)

タイトル
File625-626 絶叫手術室(オペルーム)
英題
Exclamation Operating Room
放映日
2011/7/23・7/30(前編・後編)
原題
第72巻
File5「ヤバイ死に様」
File6「動く死体」
File7「偽りの足」
ジャンル
本格
事件現場
米花大学祭(米花大学サマーフェスティバル)内 絶叫病棟 手術室
管轄
東京警視庁捜査一課(目暮警部)
登場人物
江戸川コナン
工藤新一
毛利蘭
毛利小五郎
目暮警部
高木刑事
鈴木園子
辻栄尊作(22)
蜂谷貴市(22)
唯見安菜(22)
村主睦(21)
橋口
学生
学生
学生
学生
学生
検視官
仮面ヤイバー
本編の主人公、正体は工藤新一
本編の主人公、高校生探偵
本編のヒロイン、新一の幼なじみ
蘭の父親で私立探偵
警視庁捜査一課警部
巡査部長、目暮の部下
鈴木財閥の令嬢、蘭の同級生で親友
米花大学4年生、文学部芸術学科映像芸術専攻
米花大学4年生、文学部芸術学科映像芸術専攻
米花大学4年生、文学部芸術学科映像芸術専攻
米花大学4年生、文学部芸術学科映像芸術専攻
米花大学4年生、1ヶ月前に服毒自殺
米花大学祭に参加していた学生
米花大学祭に参加していた学生
米花大学祭に参加していた学生
米花大学祭に参加していた学生
米花大学祭に参加していた学生
倉石義男似の検視官
子供達に大人気の特撮ヒーロー
高山みなみ
山口勝平
山崎和佳奈
小山力也
茶風林
高木渉
松井菜桜子
小西克幸
大西健晴
柚木涼香
能登麻美子
声の出演なし
幸田昌明
室元気
樹元オリエ
別井友美
天神林ともみ
黒田崇矢
声の出演なし
あらすじ
「OK! 私の死に様、篤と御覧あれ!!」

 母校の米花大学の学園祭で講演することとなった小五郎の付き添いで米花大学キャパンパスを訪れた蘭と園子、それにコナンの三人。

 会場に小五郎の名前が紹介されると有名な名探偵の登場に大歓声が巻き起こりますが、悪ノリした小五郎は調子に乗って両脇にいた女子大生の肩を抱き妻の妃英理が見たら修羅場になるえあろう下劣な笑い声を上げて悦に浸っていたのです。

 一方小五郎が壇上で講演をしている時、蘭と園子は客席にいて先日のロンドンでの新一との再会について語り合っている所でしたが、その最中に二人はポツリと独り言をつぶやく男子学生が目に留まります。

 彼は名前を辻栄尊作といい、米花大学の4年生。せっかく名探偵が来るっていうから見てもらいたかったのに…そんな彼のつぶやきを聞いた蘭は自分が小五郎の娘だと告げ小五郎の代わりに話を聞くことになったのです。

 蘭が小五郎の娘だと知った辻栄は、それならば名探偵の小五郎と一緒に事件現場に行って見たことがあるのではと言って「あるもの」を二人に見てもらうことにしたのですが、その「あるもの」というのが何と…

 辻栄が小五郎に頼もうとしていたのは、何とお化け屋敷に入って死体の出来栄えを確認するということだったのです…生で何度も死体を見たことのある人の方がリアルな評価ができるからといのですが…

 実は辻栄が所属するのは米花大学文学部芸術学科で映像芸術を専攻。卒業制作でホラー映画を撮影することとなったらしいのですが、その映画で人が死ぬシーンがあるもののリアルじゃないと名監督気取りのうるさい女がいるため、リアルな評価が必要だというのです。

 辻栄が同級生の蜂谷貴市とそんな話を蘭たちにしていると、突然カーテンの向こう側からヌッと顔が蘭たちの前に出現します。それは不気味な死体のメイクを顔に施した「名監督気取りのうるさい女」こと唯見安菜その人でした。

 彼女は蘭たちが小五郎の代わりに来たことを知ると蘭たちの目はあまり信用していないらしく、見た感想を小五郎に伝え後で連れてくるようにと高飛車な態度。
 それでも自分が死体役をやっている所を見てもらいたいからと、交代で死体役を演じるもう一人の女子メンバーの村主睦を連れてカーテンの奥の方へと再び消えていったのです。

 勝手に話が進む中、自他共にお化け嫌いを公認する蘭は自分は入らないからとやんわりと断ろうとしますが、それを邪魔したのは園子でした。そんなことではいつまで経っても新一に「好き」とは言えない、度胸をつけるためと、もっともらしい理由をつけられた蘭はついついその気になってしまい……

 結局蘭は園子に連れられ、コナンと三人で辻栄と蜂谷の二人の先導でお化け屋敷へと足を踏み入れてしまいます。
 ところが大丈夫、怖いのは最初だけだという園子の言葉に反しそのクオリティはなかなかのもので、まだまだ序の口だという段階ですでに蘭は恐怖のあまり目を回してしまっていたのでした。

 そんな蘭たちの反応に手ごたえと達成感を感じる辻栄たちがふと気になることをつぶやいたのです。

 コレを橋口に見せてやりたかったぜ……橋口というのは彼らの大学の仲間で、今回のお化け屋敷も卒業制作のホラー映画も企画したのはその橋口という青年だったらしいのですが、何とその彼はつい1カ月ほど前に毒を飲んで自殺してしまったというのでした。

 彼の残したという遺書によると、何か治らない病気であと半年の命と医者に宣告されたのを苦にしていたというのですが、その彼の遺体を発見したというのが辻栄と蜂谷、それに死体役を務める女子大生の二人だというのです。

 ところがそんな話を蜂谷から聞かされていたその時、突然蘭たちのそばから辻栄の姿が見えなくなります。さっきまでいたのにと蜂谷は首を傾げつつも彼を捜しに行ってくるからと、蘭たちには真っすぐ進めば出口に出られると言い残してその場を立ち去ってしまったのでした。

 仕方なく蘭たちは真っ暗な中で言われた通りにまっすぐ進んでいきますが、するとほどなくして「手術中」のランプのついた灯りが目に入ってきます。恐る恐る扉を開けて中に入ろうとする蘭と園子でしたが…

 手術室の中に入ると奥の方には手術台があって、本当にオペをしているかのごとくマネキン人形の医者たちが患者役の唯見安菜に施術を施している光景が目の前に現れたのです。

 そして出口はというと、その手術台のベッドの枕元を通らないと外に出られないようになっており、蘭たちは仕方なく恐る恐る手術台の横をそーっと歩きはじめます。

 ところがそこで蘭たちは手術台の上の異変に気がつきます。ほどなくして手術台がガタガタと揺れ始め、それから患者役の安菜が体を痙攣させながらバタバタと足を上下に揺さぶり始めたのです。

 それからダンとベッドにかかとを叩きつけたかと思うと腹部の傷口からはプシューっと血しぶきが……それを目にした蘭たちは本日最高とも思える絶叫を上げますが、更にそれにトドメを刺すかのようにいつの間にか姿を消していた辻栄と蜂谷の二人が不気味なメイクをして蘭たちの前に姿を見せて…

 蘭たちのビビり過ぎるぐらいの絶叫に満足の辻栄たちでしたが、ふとあることに気がついたのです。それはいつもなら血が噴き出した後にムクッと上半身を起こして目を見開いて笑うという安菜の様子でした。

 手を抜くんじゃない、ヤバイ死に様を見せてくれるんじゃなかったのかと、蜂谷が安菜の口を覆う人工呼吸器を外してみると……

今回の見どころ
小五郎の母校・米花大学の学園祭で起きた惨劇

 母校から学園祭の講演を依頼された小五郎に付き添って米花大学を訪れた蘭と園子は、小五郎のスピーチを聞いている時に知り合った米花大学の学生・辻栄尊作からお化け屋敷に入って死体の出来を確認して欲しいと頼まれ「絶叫病棟」と題したお化け屋敷を体験する羽目になります。

 辻栄たちは米花大学文学部芸術学科で映像芸術を専攻しており、その卒業制作でホラー映画を撮影しているらしいのですが、彼らの仲間であった橋口という学生がつい1ヶ月前に服毒自殺した悲劇を乗り越えての撮影だったのです。

 お化け嫌いの蘭は渋々園子とコナンを連れて辻栄と彼の同僚である蜂谷貴市の案内で絶叫病棟に入りますが、学園祭のお化け屋敷にしては出来栄えもよく、蘭と園子の絶叫が何度も館内に響き渡る中、三人はクライマックスの手術室へとやって来ます。

 三人を案内するはずの辻栄と蜂谷がいつの間にか姿を消す中で恐る恐る手術室の中に入ると、まるで本当にオペをしているかのように手術着に身を包んだマネキンと患者役を務める唯見安菜が手術台にいて、三人はその真横を通って出口へ歩いていくこととなります。

 ところが三人が安菜の枕元まで来たその時でした。突然安菜は体を痙攣させてベッドがガタガタと音を立てて揺れるぐらいに足をバタバタさせたかと思うと、次の瞬間腹部から血がドバーッと噴き出して蘭と園子は悲鳴を上げます。

 これ自体は演出で安菜はこの後ムクっと上半身を起こして目を見開いて笑うはずだったのですが、何と彼女は息をしておらず口の中からは青酸カリ特有のアーモンド臭が…

原作との相違点
前編

 まず前半は原作第1話目と2話目の最初の2ページまでですが、冒頭には米花大学祭で賑わう会場内の風景がアニメでは詳細に描写されています。

 まず入口のゲートが原作では「米花大学祭」となっているのがアニメでは「米花大学サマーフェスティバル」と変更されているほか、ワンゲル部名物山小屋風焼きそばが販売されていたり、ミス米花大学のコンテストでエントリーNo.5有栖川アリサさんというミステリー作家の有栖川有栖氏をもじった女子学生が登場したり、仮面ヤイバーと怪人のコスプレ(怪人は596「転落のアリバイ」に登場したやつですね)やCafeべいかというコスプレ喫茶、UFO研究会、3号棟4階のコスプレ写真館(603-605「降霊会W密室事件」に登場した雅原煌のコスプレをしている学生がいる)などのカットが追加されています。

 それからゲストとして呼ばれた小五郎がようやく会場に紹介された後、緊急事態252の時と同様にロンドン編の新一と蘭の回想シーンが長めに挿入されています。

 その後小五郎がスピーチをはじめる中で蘭と園子が辻栄尊作と話をしている間に小五郎が遠くで「探偵に欠かせない108つの袋」について熱心にスピーチしているのですが、さすがによく聴き取れません(苦笑)

 その後は死体がゾンビに置き換わっているなど細かいセリフの変更や追加はあるものの、全体的にはほぼ原作どおりの構成・内容となっています。

 後半はコナンが目暮たちの事故死(自殺)という結論に対して「ホントにそうなのかなぁ?」と疑問を呈し被害者の爪の間に皮膚と血が見つかる所までストリーが進みますが、ほぼ原作どおりに進み大きなセリフの変更やカットもありませんでした。

後編

 まず前半は前編でも放送された「あれからだよなぁ…安菜が変わったの…」という蜂谷のセリフあたりから再度スタートして原作3話目の4ページ目冒頭の犯人は3人の中のいるというセリフまでストーリーが進みますが、大きな変更点もなくセリフの変更やカットもごくごくわずかです。

 後半についても細かいセリフの変更・追加はあるものの全体的にほぼ原作どおりのストーリー構成となっています。

豆知識
探偵に欠かせない108つの袋

 小五郎が米花大学祭のゲストとして呼ばれた際にスピーチした内容。1つ目は知恵袋、104つ目が堪忍袋なのだとか。

 おそらくこれは結婚式のスピーチの定番である結婚した際に大切にしなければならない3つの袋の話(給料袋、堪忍袋、お袋)をもじったものだと思います。

 ちなみに探偵といえばよく言われるのは探偵の7つ道具ですよね。

米花大学

 小五郎の母校で今回の事件の舞台です。コナンではかなりたくさんの回に登場しているのかとここまでの登場回を調べてみた所、

 6「バレンタイン殺人事件
 27-28「小五郎の同窓会殺人事件
 66「暗闇の道殺人事件
 153-154「園子のアブない夏物語
 207「見事すぎた名推理
 414「青い鳥を追う探偵団

 と思ったよりは多くない印象ですね。

 この中ではやなり何といっても小五郎の同窓会殺人事件でしょう。小五郎が本当にカッコよかったですよね。

 骨内に悪性の腫瘍ができる病気で骨にできる癌というと分かり易いでしょうか。10代から20代にかけてかかる場合が多く以前は不治の病とされてきましたが、最近は治療法が確立されてきて生存率も6割以上になってきたそうです。

倉石義男

 テレビ朝日系列の人気ドラマ「臨場」(内野聖陽・主演)に登場する検視官で、この話が収録されている72巻の青山剛昌の名探偵図鑑で紹介されている探偵でもあります。

 原作3話目にあたる解決編にはこのキャラクターを彷彿とさせる検視官が登場していましたね。これまで検視官・鑑識(アニメオリジナルではトメさんがいますが原作には未だ未登場)などは原作では目立った人物が登場していなかったこともあって、かなりインパクトがありました。

NEXTコナンズヒント
File625
ペディキュア

File626
アイスクリーム(放映分は直後にまじっく快斗SP3「魔女は涙をこぼさない」の放映のため)
(本来のNEXTヒント)
コント
File625
園子「犯人が分かったわ」
蘭「さすが推理クイーン!」
コナン「あっ…、まだプシュッってしてねーけど…」

File626
「絶叫手術室(後編)」放映分
蘭「8月は怪盗キッド祭り!」
園子「きゃあ…キッド様!」
コナン「はい!」

「怪盗キッドの忙しいデート」放映分
「」
「」
OP
Don't Wanna Lie」(B'z)
ED
月夜の悪戯の魔法」(BREAKERZ)
監督
於地紘仁
構成
影山楙倫
絵コンテ
影山楙倫
演出
File625 池田智美
File626 黒田晃一郎
作画監督
キーアニメーター 牟田清司
File625 石井ゆみこ、宮井加奈、熊田亜輝
File626 山本道隆、青井清年
ビデオ
-
DVD
PART20-6
評価

■以下ネタバレつき感想■
(未見の方はご注意下さい)

感想
評価 ★★★

 今回は小五郎の母校・米花大学の学園祭の最中に起きた殺人事件ということで、お化け屋敷ということもありかなりオドロオドロしいというか、怖い描写もあってお子様の中には厳しい方もいたのではないでしょうか。かくいう私もあまりホラーっぽいのは得意ではなく子供の頃は目をつぶってしまってまともに見ることもできなかったんですよね(苦笑)

 トリックとしてはなかなか面白いですが、目の前に蘭や園子たちがいるのに何という大胆な犯行だと思わざるを得ませんし、コナンがやんちゃな子供だったら暴れてせっかくの舞台装置をぶち壊すかもしれませんし、蘭とかが恐怖のあまりベッドを叩き壊す可能性もあるでしょうし(苦笑)、とにかく自分が犯人ならちょっと怖くて真似は決してできないトリックだと思いました。まあだからこそ成功すると完全犯罪の可能性が高いのかもしれませんが。

 そして動機については被害者はちょっと気の毒な気がしますね。自殺を止めなかったのは道義的には責任あるかもしれませんが、だからといって殺されるほどかというとちょっと微妙です。

 あまり後味のいい話ではなかったかと思いますが、オチで小五郎がまだスピーチをやっていたシーンが最後に出てくる事でちょっとホッとさせられるというか、そのせいもあって読後感が悪くないのが幸いでした。出来栄えとしては水準作といった所だと思います。

TOPへ

名探偵コナンカレンダー

×