(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)
江戸川コナン 毛利蘭 毛利小五郎 目暮警部 高木刑事 灰原哀 吉田歩美 小嶋元太 円谷光彦 鏡堂ナナミ(21) 鏡堂望(48) 鏡堂桃枝(38) 鏡堂ツトム(25) 長瀬研作(75) 鏡堂征太郎 鏡堂妙子 |
本編の主人公、正体は工藤新一 本編のヒロイン、新一の幼なじみ 蘭の父親で私立探偵 警視庁捜査一課警部 巡査部長、目暮の部下 黒の組織から来た謎の少女、本名宮野志保 帝丹小学校に通うコナンのクラスメート 帝丹小学校に通うコナンのクラスメート 帝丹小学校に通うコナンのクラスメート 鏡堂家 長女、蘭の空手部の先輩 鏡堂家 現当主 望の妻、後妻 鏡堂家 長男 先代の助手 鏡堂家の先代 望の先妻、ツトムとナナミの母親 |
高山みなみ 山崎和佳奈 小山力也 茶風林 高木渉 林原めぐみ 岩居由希子 高木渉 大谷育江 愛河里花子 水内清光 星野千寿子 武内健 丸山詠二 佐々木省三 新井里美 |
都市伝説─それは少しずつ街の中に広まっていく、ありそうでなさそうな噂…口裂け女とか人面犬のようなもの。そしてその一つがくらやみの塔…入口も窓もない不思議な塔で、それが町はずれにある鏡堂庭園という場所に建っているというのでした。
鏡堂というのはレンズとか鏡とか、光学製品をいろいろと作っている製作所で、その日喫茶店で蘭と二人で話している若い女性こそ、鏡堂家の長女で蘭の空手部の先輩でもあるという鏡堂ナナミだったのです。
そのナナミが蘭をわざわざ呼び出したのには何やら訳がありそうでした。鏡堂家には宝がザクザク…と思われがちなものの実際は家の財政状況は良いとはいえないらしく、そのため鏡堂家の資産目当てに彼女の父親と再婚したという義理の母・桃枝とナナミの父・望との仲が近々壊れそうだというのでした。
そこでナナミは「家に伝わるという宝物」が見つけることで、それを慰謝料に父と桃枝を別れさせようと考えているらしいのです。鏡堂家に伝わるという宝物…そんなものが本当にあるのか、あったとしても果たして探し当てられのか…ナナミは蘭が一緒に連れてきた少年探偵団たちにダメ元で宝探しをしてみないかと持ちかけるのでしたが…
そのような経緯で鏡堂庭園へとやってきた探偵団たち。中はまるで公園みたいに広々としていて、それが全部鏡堂家の庭だというのですから、厳しいとはいっても鏡堂家の力はすごいものだと感じざるを得ませんでした。
そしてその広々とした庭の一角にそびえ立つくらやみの塔の姿がほどなくコナンたちの目の前に…入口も窓もなく、たまに屋上から正体不明の笑い声が降ってくるというくらやみの塔の歴史は、ナナミの祖父・征太郎が建ててからもう40年ぐらいになるというのです。
鏡堂征太郎というのは凝り性な技師で、屋敷内にたくさんの仕掛けを作り、くらやみの塔もその一つだというのでした。そのため宝が塔の中にあるという都市伝説もあながち嘘ではないと思われたのですが、彼女の父親・鏡堂望は鏡堂家を立て直すため庭も含め塔ぐるみで土地を売る予定らしく、宝を見つけて慰謝料の足しにしたい彼の妻・桃枝は早く探し出さなければと必死になっているという訳だったのです。そして最近は長男のツトムも交えて、顔を合わせれば宝があるかないかの醜い話ばかり…その日も同じように熱いバトルが展開されていて…。
そのため探偵団たちは鏡堂家の人たちと会う前に先にくらやみの塔を見ておくことになります。改めてそばで見てみるとくらやみの塔はずいぶん高さがあり、窓がないからきっと真っ暗なのではと思いつつも屋上の様子を下から窺い知ることはできませんでした。征太郎は何のためにこの塔を建てたのか本当に謎でしたが、鏡堂家に伝わるという宝物の隠し場所…そう考えるのが自然であり、であればどこかに入口があるはずだとさっそく探偵団たちは入口を探すことにしたのです。
もっともナナミは宝の話は父の望が娘婿だったせいもあってか全然聞いておらず、彼女の実の母・妙子なら何か聞いていたかもしれないものの既に他界…もう一人、技術者で先代の助手を務めていたという長瀬研作なら何か知っているかもしれないというのですが…。
ところがその頃鏡堂家の離れに住み込みでいるという長瀬は、桃枝たちにまったく同じことを聞かれている最中だったのです。しかし桃枝の質問にも「存じません」「何度おっしゃられても宝のことなど知らない」と愛想のない返事ばかり…宝がなければろくな慰謝料ももらえないと必死の桃枝は、鏡堂家の皆からバカにされていると怒りのあまり震える手でコーヒーを花にぶちまけて…。
一方塔への入口を探す探偵団たちはその頃すぐ横にバラ園の隣接する渡り廊下にいましたが、ほどなくその探偵団たちのもとに桃枝が姿を見せます。すると探偵団たちと軽く挨拶を交わしたものの「あんな子供たち役に立つものですか」とコナンたちをまったく信用してない様子。そのまま渡り廊下の奥へと消えていってしまったのです。
桃枝が向かった渡り廊下の奥はすぐに直角に折れて離れの蔵へとつながっていて、そこは味噌・醤油・酒が保管されている倉庫になっていました。そして桃枝がそのそばを通ると、何と宝のことなど知らないと言っていたあの長瀬老人が蔵の中に入っていく姿が…何かあると踏んだ桃枝はそのまま長瀬を追いかけていき……
その後探偵団たちは台所で料理に打ち込むナナミの兄ツトムから話を聞いている所でした。するとツトムは7歳の時のとある出来事について話しはじめたのです。
それは風邪で40度近い熱を出し、彼の母・妙子と祖父・征太郎が見舞いに来た時のこと、彼の枕元で二人が話をしていたらしいのですが、征太郎が「お前にだけは私の宝の話をしておきたい」と妙子に言ったかと思うと、気がつくといつの間にか二人はいなくなっていたというのです。
心細くなっていたツトム少年は二人を探そうとしますが、探している間に倒れたようで気がつくと母・妙子に介抱されていたというのです。ところがそれ以外にも三色のボタンを指して「あのボタンを押せばそれが宝だ」と祖父・征太郎が言ったこと、征太郎が指したのは青いボタンだったこと、そして母・妙子と追っていったらツトムの方が消えた…消えたとしか言い様がない…それ以上は記憶がなく、そこが宝物の入口だったはずだということなどを思い出し…。
更に「泣きながら歩いていたら、ボクは大きくなって、小さくなって、その後うじゃうじゃボクが増えた」と……そんなの熱でうなされていただけだと、ナナミからは呆れられますが…
あの調子だから鏡堂製作所は兄の代で終わりだと、ため息まじりのナナミを連れて廊下を歩く探偵団たち。しかし探偵団たちは宝を探すからつぶれないとナナミを励まします。一方一緒に歩いていたコナンはそこで奇妙なことに気がつきます。コナンが塔がだいぶ近くなったと窓の外を見ていると、灰原哀が塔なんて見えないと不可解な様子を見せたのです。少し後ろを歩く蘭たちの横の窓はというと塔はちゃんと見えていて…
その時コナンは閃きます。それら窓はただの窓じゃなく、立体写真がはめ込まれていて窓ごとに外の景色が違って見えるように作られたものだったのです。晴れもあれば曇りの天気もあり雷まで鳴っていて…本物の天気はどれだろうと歩美が言ったその時…
女性の悲鳴が屋敷内にこだまし、探偵団たちは声のしたくらやみの塔に急いで向かいます。すると塔のすぐ下のあたりに桃枝が倒れていて、夫の望がそばで妻に声をかけている所でした。そしてツトムが子供たちは来るなと行く手を遮り、少し遅れて長瀬研作が走って現場へと現れたのです。
あの人まるで塔から落ちたように見えるけど……しかしくらやみの塔には入口はないはずであり、そもそも塔の上へと上がれる方法がないにもかかわらず……一体桃枝の身に何が起きたというのでしょうか…!?
それからすぐに目暮警部ら警察が呼ばれて捜査が開始されますが、「子供はあっちへ行け」と言われた探偵団たちは現場から追い出されてしまいます。
そこでコナンたちも事件について独自に推理をめぐらすことにしたのですが、桃枝は事件直前に渡り廊下の所でコナンたちと会っていたため、「どこか別の場所で殴り塔の前へ運び、悲鳴は録音テープか何かで聴かせる」…という可能性は時間的に無理に思えたのです。
となれば桃枝は塔から突き落とされた、すなわち探偵団たちと別れた直後に塔への入口を発見し、塔に詳しい犯人に誘い込まれて突き落とされたと考えるのが一番自然だったのです。そこで塔への入口を見つける必要があるとコナンたちは独自に調査を開始したのですが…
桃枝は庭園灯の近くを歩いていたことから考えれば、入口があるならそのあたり…そして征太郎は技術者でガラスやレンズみたいな仕掛けで入口を隠しているのではと推理するコナン。すると屋敷内を探し回った探偵団たちは征太郎が仕込んだと思われる仕掛けをいくつか発見したのです。
それを見たコナンは何が起こるか分からないからと一人にならないように注意を促します。ところが歩美が灰原哀に付き添われて女子トイレへ向かった時、歩美に付き添っていたはずの灰原哀が忽然と姿を消してしまい……
光学製品で有名な鏡堂製作所の庭園にあるくらやみの塔。入口も窓もない不思議な塔であることから鏡堂家に伝わるお宝が眠っているのではと今や都市伝説と化していました。
ところが鏡堂製作所は現在経営が非常に厳しい状態にあるらしく、資産目当てで後妻となった桃枝と現当主の望も今や離婚状態…そこでお宝を探し出し離婚の慰謝料に当てることで解決を図れればと、ダメ元で蘭の空手部の先輩でもある鏡堂ナナミから依頼された少年探偵団たちはくらやみ塔の秘宝探しを手伝うこととなります。
しかし技術者だった先代の征太郎が設計したというガラスやレンズを使った仕掛けに探偵団たちが戸惑っている間に、事件が発生。ところがその事件というのがまた不可解で、被害者となった桃枝は入口も窓もない塔の上から突き落とされたとしか思えない状況だったのです。
果たして桃枝はどんな方法で殺害されたのか…そして鏡堂家に伝わるお宝の行方と、入口も窓もない「くらやみの塔」に隠された秘密とは?
今回の事件の舞台となった「くらやみの塔」は鏡堂家の所有する庭園の中にありました。
レンズとか鏡とか、光学製品をいろいろと作っている製作所。探偵団たちに持ってきたお土産の中には万華鏡(Kaleidoscope)もありましたよね。
クレソンはフランス語で日本語では水がらしとかオランダガラシ、英語ではウォータークレス(watercress)ともいいます。
明治時代のはじめに日本に入ってきた西洋の野菜でカロチンやビタミンC、カルシウムや鉄分などのミネネルが豊富なほか、シニグリンという成分が食欲を増進する効果があります。
食べ方としてはサラダやおひたし、油炒めにして食べます。またワサビのようにピリッとした辛さとさわやかな香りが特徴で、ステーキなどの付け合わせにもよく使われます。
今回は久しぶりのオリジナルの前後編でしたが、皆さんの評価を見ると5点満点と1点と大きく別れましたよね。こういうのも非常に珍しいですが、これは結末が単なる事故だったという所が大きいのかなと思います。
確かにあれだけ他殺を匂わしておいてそれはないだろうというのも分かりますし、よりによって前後編なので前編見ただけで犯人を推理しようとした人にとっては思いっきり肩透かしですからね(苦笑)
それに一番の問題はツトムの緑を青と言ってしまうというのが多分唯一のヒントだと思いますが、それだけで亡くなった桃枝がボタンを押し間違えたと推理するのは無理でしょうし、更にその先あんなデカいホロスコープが出てきてそれに驚いて転落したと推理するのはますます無理だと思うからですね。30分ものならまだいいのですが、前後編でこういう構成だとちょっとしんどかったのかなというのは同感ですね。
あとは後編見ていると塔のてっぺんまで行くのに相当時間かかりそうで、他殺で別の場所で殺害して悲鳴だけ録音して後で聞かせてという方法はその時間がないとされていましたが十分それだけの時間がありそうな気がしましたし、灰原哀が女子トイレで鏡に吸い込まれたのも少し手で押しただけで普通あれだけバランス崩さないでしょうし、その後の灰原愛の倒れている位置も折り返しの階段の下でかなり不自然ですし、酒蔵のわざとらし過ぎる位置に置かれた鏡の仕掛けも机の上の手鏡が回転するだけで見つかるのに、何で40年もの間誰も見つけられなかったのかとツッコミたくなりますし。細かい部分をもう少ししっかり作り込みが欲しいというか何とかして欲しかったとは感じました。
まあそういったあたりで厳しい評価をした方が多かったのではと推測しますが、ただストーリーとしては個人的にはとても心温まる内容で、見終わった後の余韻も悪くなく、また明日から頑張ろうと思わせてくれる素晴らしい内容だったと思いますね。祖父のツトムに対する思いも十分過ぎるほど伝わったみたいですしね。
それに元太の酒蔵の酒臭さに対し「オレは父ちゃんで慣れてるぞ」のセリフとか、眠りの小五郎になった小五郎に対する「あんな場所で居眠りですか」「器用な男だ」という目暮と高木刑事の反応などはかなり大笑いさせてもらいましたし、いろいろと楽しめる要素が詰まっていたと思います。なので個人的にはそんなに悪い印象はありませんでした。
あとこれは中部地区ローカルですが、酒蔵でのコナンの「消えた!?」というセリフで「追求しよう! 安心ガスライフ」という言葉が思わず出てきた方は多かったのではないでしょうか(笑)
「くらしのコナンズヒント!」
「あっ!油が放ったらかし! (カチッという音)…消えた!?」
「このコンロは油が250度を越えると自動消化するんだ。追求しよう!安心ガスライフ!」
これは中部地区の東邦ガスの宣伝で、名探偵コナンの放送中に放送されているCMでのコナンのセリフなのですが、自分は関東・中部・関西すべての地区でコナンを見た経験がありこのCMもよく知っているので、コナンの声で「消えた!?」と言われてしまったので思わず反応してしまいましたね(苦笑)