名探偵コナン84-85「スキーロッジ殺人事件」

(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)

タイトル
File84-85 スキーロッジ殺人事件
英題
Ski Lodge Murder Case
放映日
1997/12/8・12/15(前編・後編)
原題
第14巻
File9「奇妙な集まり」
File10「最後の客」
第15巻
File1「ない!?」
File2「消えた凶器」
File3「涙で語る真実」
ジャンル
本格(消えた凶器の行方)
事件現場
とある雪山の貸別荘
(杯戸小学校の教師たちによる恒例の一泊二日のマル秘スキーツアーにて)
管轄
-
登場人物
江戸川コナン
工藤新一
毛利蘭
阿笠博士
鈴木園子
米原晃子(30)
下田耕平(30)
坂井隆一(29)
中村実里(27)
杉山
望月美奈子
森敦士(37)
地元の男
本編の主人公、正体は工藤新一
本編の主人公、高校生探偵
本編のヒロイン、新一の幼なじみ
新一の家の近所に住む自称天才科学者
鈴木財閥の令嬢、蘭の同級生で親友
杯戸小学校教師、蘭と園子の元担任
杯戸小学校教師、5年1組担任
杯戸小学校体育教師
杯戸小学校養護教師
杯戸小学校音楽教師
杯戸小学校6年2組生徒、三年前に自殺
新聞記者
スキーロッジ付近の住民
高山みなみ
山口勝平
山崎和佳奈
緒方賢一
松井菜桜子
三輝みきこ
水野龍司
中村隆一
山崎美貴
声の出演なし
声の出演なし
大友龍三郎
高木渉
あらすじ
「心配すんな蘭! オレがついてる!! 大船に乗った気でいろ!!」

 「冬、雪山とくれば…やっぱスキーよねー」─クリスマスも近くなっきた12月21日のこと、冬の雪山にスキーを楽しむためにやって来た蘭と園子、そしてコナンの3人は、ふとした偶然から蘭と園子の帝丹小学校時代の担任・米原晃子と再会します。

 彼女は現在は杯戸小学校に転任しているらしく、その日は新しい職場仲間の先生たちと一緒に、毎年恒例となっているらしいスキーツアーにやって来ていたのです。
 それから蘭たちは人気もまばらな閑散としたロッジに集まり、米原とその職場仲間の杯戸小学校の教師たちとしばらく雑談を交わしていました。

 ロッジに集まったのは米原と、同じく杯戸小学校5年1組担任の下田耕平、体育教師の坂井隆一、養護教師の中村実里の四人。ツアーには他にもう一人杉山という音楽教師が参加することになっているらしく、彼と2時に待ち合わせた後、5人で宿泊先の貸別荘へと向かう予定になっているらしいのです。

 ところがその杉山がなかなか姿を見せないというのです。それからしばらくして、杉山が先に貸別荘に向かっているかもしれないと考えた彼らは、結局4人で別荘に向かうことに決まったのでした。
 そして蘭と園子、コナンの3人も一緒に来ないかと誘いを持ちかけられ、3人は彼らに誘われるまま杯戸小学校の教師たちの泊まる山奥の貸別荘へと向かうことになったのです。

 ところが貸別荘に向かう頃になるとそれまでの晴天はどこへやら、周囲はすっかり猛吹雪に変わっており、外へは出るのは極めて危険な状態でした。
 ロッジの中が人気もまばらだったのもまさに吹雪の予報があったためで、教師たちはそんな天候の中、山奥の貸別荘を借りたツアーの企画者に恨みの言葉を投げかけながらも貸別荘へと車で移動していたのです。

 しかし奇妙なことに、教師たちがお互いに今回のツアーの企画者が誰なのかを尋ね合っても、誰も自分だと名乗り出る者はいませんでした。ただそれぞれの机の中に参加メンバーと集合場所と時間、それに貸別荘までの地図が書かれた紙が入っていたと言うばかりで…そこで教師たちは、今回のツアーは未だに姿を見せない杉山が企画したもので、彼はきっと貸別荘に先回りして、自分たちが来るのを待っているのだと考え始めたのです。

 ところが苦労して別荘に到着した彼らの前にも、その杉山は姿を見せませんでした。そんな杉山のことを心配する一方で、一行は別荘の豪華な作りにひどく感心している様子。行きがけには文句ばかりだった彼らも、別荘の状態には大満足の表情でした。

 そして別荘の話で盛り上がっている丁度その時、まるでタイミングを見計らったかのように突然玄関のチャイムの音が鳴り響きます。そこで杉山の到着と思った教師たちが、玄関まで出迎えに迎えにいってみると…

 玄関の前に姿を現わしたのは、杉山ではなく、何とも不気味な表情を浮かべた長い髪の男だったのです。その男は森敦士という名前の新聞記者で、彼が言うのには「今夜ここで何かが起こる」という匿名のタレコミが新聞社あてにあったため、わざわざここまで出向いてきたというのです。
 しかも彼の話を聞いていると、彼はどうやら3年前にもその日別荘に集まった教師たちとの間に何かがあったようような口ぶりだったのです…。
 一体彼と教師たちとの間にはどんな因縁があるというのでしょうか…!?

 森敦士はそれから教師たちが断ろうとするのも聞かずに別荘の中へと上がり込み、リビングの暖炉の前で吹雪で冷え切った体を温めていました。それからは教師たちも急に無口になってしまい、不穏な空気が充満する中でそれぞれが思い思いの行動を取り始めていたのです。

 そんな中蘭と園子は米原に頼まれて、蘭はコナンとともに食堂で夕食の準備をしている養護教師の中村の手伝いを、園子は各部屋のベッドのシーツを敷く米原の手伝いをすることになります。

 ところが蘭とコナンが食堂に行ってみると、そこには中村実里はおらず…一方米原の手伝いをしていた園子は、米原がいるはず隣りの部屋から妙な物音がしたのが気になり、米原のいる隣りの部屋の様子を見に行ってみたのですが…

 園子が隣りの部屋のドアを開けてみると…何とそこにはうつ伏せになって床の上に倒れている米原の姿が…!! 驚いた園子は慌てて米原のそばに駆け寄ろうとしますが、その時突然背後から何者かに襲いかかられ意識を失ってしまいます。そしてその人物は手に持っていた縄で園子の首を……

 園子の叫び声を聞いたコナンと蘭は、急いで叫び声のした部屋へと向かいましたが、幸い園子も米原先生も無事で、園子は意識を失い、米原は額に軽いケガはしてはいるものの命に別状はなかったのです。

 それから意識の戻らない園子とそれに付き添う蘭の二人を残して、重苦しい雰囲気の中、リビングでは夕食のカレーが振舞われていました。。
 しかしこの事件の裏には何かあると考えたコナンは、リビングを出て一人トイレに籠もり、イヤリング型携帯電話を使って密かに阿笠博士と連絡を取り、新聞記者の森敦士がほのめかした「三年前に杯戸小学校で起きたという事件」を調べるように頼んでいたのです。
 そして同じ頃…別荘には再び玄関のチャイムを何度も鳴らす音が響き渡っていました。ようやく杉山の到着かと教師たちが玄関まで迎えに出てみると…

 今度の訪問者は確かに杉山でした。ところがその杉山は…全身を氷のように冷たくしたまま、玄関の外の壁にもたれかかるようにしてすでに亡くなっていたのです…!!!

今回の見どころ
冬山で起きた連続殺人事件

 とにかく今回のこの作品は本格度の高い作品ですよね。犯人は一体どうやって杉山先生の死体を玄関に運んだのか? そして二番目の事件で使われた凶器の縄の行方は?と興味は尽きません。他にも大胆なりトリックがひとつ使われていて、個人的にかなり面白い部類に入る作品だと思います。

 話の構成・テンポも非常にいいですし、細かな伏線がたくさん張られています。ラストも意外性充分です。また、嵐の山荘という本格ファンなら思わずニヤリとさせられてしまう舞台設定も魅力的です。

「三つ子別荘殺人事件」との比較

 今回のお話は、原作で見ると特によく分かりますが、13巻の「三つ子別荘殺人事件」と冒頭の出だしがそっくりです。というより明らかにそれを意図して始まっていますね。

 出だしの園子の台詞だけでなく、その後の男がコナンしかいないという所やコナンが園子の言葉に呆れる所まで微妙によく似た仕上がりになっています。これは結構笑えました(笑)

NEXTコナンズヒント
File84 髪の毛
File85 電車
コント
File84
コナン「次回は、今年最後のコナン」
元太「クリスマスにー、おしょうが…」
コナン「犯人分かったのか?」
元太「ヤバイ、ピンチ…」

File85
コナン「次回は、新年。映画も見てね!」
蘭「メリークリスマス! そして良いお年を!」
OP
」(小松未歩)
ED
願い事ひとつだけ」(小松未歩)
監督
こだま兼嗣
構成
File84 のがみかずお
File85 こだま兼嗣
絵コンテ
File84 のがみかずお
File85 こだま兼嗣
演出
のがみかずお
作画監督
File84 志村泉
File85 清水義浩
ビデオ
PART4-1
DVD
PART4-1
評価

■以下ネタバレつき感想■
(未見の方はご注意下さい)

感想
評価 ★★★★

 個人的にはオーソドックスで、基本に忠実な本格ミステリーだったと思います。おそらくもっとひとひねりさせようと思えばできたのでしょうけど、あまりひねりを聞かせると長くなってしまいますからね。これくらいで丁度いいのではないでしょうか。
 そのひとひねりがないせいもあって、米原先生が襲われた段階で彼女はかなり怪しいと睨んでいました(笑)。まさにその通りだったのですが、あまりミステリを読みなれていない方はきっとダマされたでしょうね。大胆な入れ替わりトリックも実に上手かったと思います。

 凶器の隠し場所というのも盲点を突いていて面白いですし、更に杉山先生をどうやって玄関に運んだのかという謎もありました。こちらは小道具を使ったトリックですが、まあ最大の焦点ではないので、おまけとしては充分いい出来だったのではないかと思います。

 他にも怪しい新聞記者を登場させたり、被害者の手の甲に文字を書き残したりといったいかにも本格ファンが好みそうないろいろな仕掛けもふんだんにあって、充分満足のいく出来だったと思います。ラストはかなり哀しかったですね。蘭がとても可哀相でした。

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