(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)
江戸川コナン 毛利蘭 毛利小五郎 目暮警部 小嶋元太 円谷光彦 吉田歩美 落合 窪田 飯島 真中 警備員A 警備員B |
本編の主人公、正体は工藤新一 本編のヒロイン、新一の幼なじみ 蘭の父親で私立探偵 警視庁捜査一課警部 帝丹小学校に通うコナンのクラスメート 帝丹小学校に通うコナンのクラスメート 帝丹小学校に通うコナンのクラスメート 米花美術館館長 米花美術館館員 米花美術館館員 米花美術館オーナー 米花美術館の警備員 米花美術館の警備員 |
高山みなみ 山崎和佳奈 神谷明 茶風林 高木渉 大谷育江 岩井由希子 大木民夫 藤城裕士 一条和矢 小関一 千葉一伸 山崎たくみ |
夜の米花美術館に現われたという甲冑の騎士。二人の警備員が目撃し、近所の評判になっているというその中世の甲冑見たさに、蘭は小五郎とコナンに一緒に美術館に行って見ようと提案しますが、当の二人はそれは美術館の客寄せのための作り話で、そんな子供だましの手には乗らない…といかにも蘭を馬鹿にしたような様子。それを聞いた蘭は半ば’強引な手’を使って…結局三人は米花美術館へと向かうことになります。
米花美術館に到着すると、三人はペカソの代表作という「天使の休息」などの絵を見て回ります。そしてそのきれいな色使いに蘭はただ感激するばかり。蘭が感心して眺めていると、そこへ一人の老人がやってきて蘭に親しげに話しかけます。
その白く長い鬚を伸ばした老人は落合といい、この米花美術館の館長を務めている人物でした。物腰の柔らかな親切そうな老人で、しばらくは蘭たち三人と談笑していたのですが、途中一人の男が絵を壁から取り外そうとしているのを見て表情が一変。血相を変えてその男を怒鳴りつけたのです。
その男は窪田といい、この美術館に勤める館員でしたが、どうやら彼が大切な美術品を素手で触ろうとしていたことに落合館長は腹を立てたようでした。
しばらくするとそこへ一人の小太りの男がやってきて落合館長に話しかけます。その男は美術館のオーナー・真中で、彼の話だとこの美術館は来月にも閉鎖され、代わりにホテルが建つというのです。バブルの影響で前のオーナーがやむなく売り払った美術館を、新オーナーの真中は存続させるという約束を破り取り壊してしまう…館長の落合も館員の飯島も寂しそうにそのことを話して聞かせてくれるのでした。
その後蘭たちは「天空の間」「大地の間」「海原の間」と見学して回りますが、その頃にはもう小五郎もコナンも空腹と疲れですぐにでも帰りたい様子でした。しかし蘭はというと、もう一つ残された「地獄の間」を見ていこうとまだまだ元気な様子。結局小五郎とコナンもそれに付き合うことになり、三人は「地獄の間」へと入っていったのですが…。
名前のとおり「地獄の間」は薄暗く気味の悪い雰囲気を部屋一杯に漂わせていました。三人が恐る恐る部屋の中へと入っていくと、奥には「天罰」という題名の大きな絵が飾られていました。正義の騎士が悪魔を封じ込めた様を描いたというその迫力ある絵をしばらくじっと眺めていた三人でしたが、ふとその時何か水が滴るような物音が近くでするのに気づきます。そして三人がその音のする方を振り返ってみると……
何とそこには喉に剣を突き立てられ壁に磔にされた、血まみれの真中オーナーの無残な姿が……
今回は美術館を舞台にした凄惨な事件ですが、トリックに工夫が凝らされていて面白いですし、伏線もいくつも丁寧に張られているので、推理するのも楽しい作品です。ただちょっとヒントが簡単すぎるかなという気もしますが、大人でも充分楽しめる本格ミステリです。
それから何といってもコナン、蘭、小五郎の三人のやり取りが全編にわたって楽しいです。それもあってたとえ犯人やトリックが分かっていても、何度でも見られるのがファンとしては嬉しいですね。
今回の作品は割と原作に忠実だった気がしますが、強いて挙げるなら冒頭で蘭が空手で破壊する物が違っています。原作ではロッカーですが、アニメでは小五郎のデスクです。それにしても凄いパワーですよね(苦笑)
それからラストも違っていて、原作では再び毛利探偵事務所に戻って蘭と小五郎と三人のやり取りとなるのですが、アニメでは米花公園に移って少年探偵団たち3人が登場します(原作では未登場)
今回の殺人事件の舞台となった美術館。ペカソの代表作の一つである「天使の休息」が展示され、中は天空の間、大地の間、海原の間、地獄の間の各部屋に分けられています。
この年創立50周年を迎えるも、バブル崩壊のあおりを受けて前のオーナーの会社が倒産し、代わって新しくオーナーとなった真中の手により閉鎖され、ホテルに建て替えられることに…その後事件が収束に向かうと同時に美術館の運命も……
今回の作品は本当に本格ミステリしていると思います。トリックも犯人が計算し尽したと言っていた通り、なかなかのものでした。最後にコナンが犯人に罠を仕掛けて追い詰めるシーンも子供という立場を上手く利用したものでしたよね。
そして今回は小五郎が起きていながらにして解決した数少ない事件の一つとして記録された訳ですが(笑)、今回の事件を見ている限りでは小五郎の方がコナンのヒントはあったものの見事に推理してみせ、一方で目暮警部が一番鈍感でしたよね(苦笑) コナンが発見したボールペンも見逃してしまっていて、警察の捜査としては???でしょうか。もうちょっとしっかりしないと、たとえ小五郎がいてもいなくても迷宮入りの事件が増えるかもしれません。警部にも頑張って頂きたいものです。
あとはとにかく蘭がいい味を出していました。冒頭の空手で無理やりコナンと小五郎を美術館に連れていく行はとても大人気ないですし(苦笑)、地獄の間直前で帰ると言い出した二人を晩御飯は自分で作ればと脅す所は結構意地悪だったりもします(苦笑)
でもそういった三人のやりとりが本当に微笑ましくて、ただミステリを見ているだけではなく、何か楽しい気分にさせられ、心を和ましてくれるのですから不思議なものです。
ということで個人的には結構気に入っている方の作品ですね。