名探偵コナン97「別れのワイン殺人事件」

(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)

タイトル
File97 別れのワイン殺人事件
英題
The Farewell Wine Murder Case
放映日
1998/4/13
原題
TVオリジナル
ジャンル
本格
事件現場
市川産業会長・市川孝太郎邸
管轄
東京警視庁捜査一課(目暮警部)
登場人物
江戸川コナン
毛利蘭
毛利小五郎
目暮警部
高木刑事
市川孝太郎(65)
市川一重(30)
市川瑞枝(27)
今村利明(55)
岡野均(30)
親族1
親族2
本編の主人公、正体は工藤新一
本編のヒロイン、新一の幼なじみ
蘭の父親で私立探偵
警視庁捜査一課警部
巡査部長、目暮の部下
市川産業 会長
市川家 長女、画廊経営
市川家 次女
市川家執事
市川孝太郎の主治医
市川孝太郎の親族
市川孝太郎の親族
高山みなみ
山崎和佳奈
神谷明
茶風林
声の出演なし
加藤精三
速見圭
佐藤しのぶ
清川元夢
家中宏
千葉一伸
高木渉
あらすじ
「10万だぁ? 天下の毛利小五郎もずい分と安く見られたもんだ!!」

 その日小五郎が依頼を受けて向かった先は市川産業の会長・市川孝太郎の屋敷でしたが、レンタカーを運転する小五郎の表情を見るとどうも気乗りがしない様子でした。
 それもそのはず、市川孝太郎というのは法律スレスレのあくどいやり方をいろいろと使ってのし上がってきた評判のあまり芳しくない人物であったからです。

 しかし小五郎の所には最近まったく依頼人が来ず…背に腹は変えられず仕方なく話を聞きにレンタカーを借りて向かっている所だったのです。しかも蘭とコナンたちもなぜか招待されているらしく…

 市川邸に到着すると、屋敷の庭の中は毎年市川の誕生日に合わせて開催されるという親族会の真っ最中らしく、きれいな桜が何本も咲き誇る中で大勢の客人が立ち話をしながら交流を深めている所でした。
 そんな中小五郎たちは市川の私室へと通され、まずは市川から依頼料の提示を受けます。ところが元々気乗りしない状態の小五郎は、市川が見せた小切手の額を見るなりそれを放り投げ不満をぶちまけたのです。ところがコナンがその小切手をよく見てみると…

 結局依頼を受けることになった小五郎。そしてその依頼内容というのが、今日の親族会に出席することになっている市川の二人の娘が、何をし何をしようとするかを見届けてもらいたいという、何とも風変わりなものだったのです。

 それというのも市川は心臓に持病を抱えていて、主治医の岡野均の話によると今のまま無理を続ければ命の保証もできかねる状態だというのでした。そのため市川は近いうちに引退することに決めているらしく、後継者を決める必要から二人の娘が自分のことをどう思っているかを知りたいというのです。

 もっともその一方でたとえ自分の子供であろうと、自分の意に背くようなことがあれば財産を分け与えるつもりはないと考えているらしく、小五郎が民法上では遺留分という規定がある以上嫌でも何分の一かは残さなくてはいけないと説明しても、相続する側に問題があれば別のはずと、何とも意味深なことを言うのです…

 何かが起こりそうな気がする…市川はそう説明し、結局小五郎たちは市川の友人の家族ということで親族会に参加することになったのですが…

 親族会のパーティに出席すると、小五郎たちはそこで市川孝太郎の二人の娘に出会いますが、当の長女の一重と次女の瑞枝はお互いの姿を見るなり醜い罵り合いを始めて小五郎たちを呆れさせたのです…。そして小五郎もコナンも市川の言っていたことが何となく分かり始めたのでした。

 長女の一重はどうやら以前から好き勝手なことをやっていて市川とケンカ別れをして家を出たらしく、しかも経営する画廊が訴えられている状態にあるというのです。一方次女の瑞枝は父親の顔も見たくないからとさっさと結婚して家を出たらしく…小五郎の手帳の1ページ目には早速「長女次女ともに性格悪し」と書き加えられたのでした。

 それからコナンは会場を抜け出してトイレに行きますが、その帰り道に屋敷の中で不審な行動をとる長女・一重の姿を認めて後を追跡します。
 そしてコナンは、一重がカーヴ(ワインの倉庫)の中に入り倉庫から取り出してきたワインのボトルに注射器を使って何かを混入させている姿を目の当たりにしたのです。

 毒物…!? コナンはその一部始終をドアの鍵穴越しに思わず見入っていたのですが、そこへ背後から何者かが現われ、コナンの口にハンカチを押し当てて…

 一方親族会の会場では、市川が大勢の親族や会社関係者たちが見守る中で自らの会長職の辞任と引退、そして自らの所持する株と会社運営に関する権利の全てを日売産業に譲渡することを発表したのです。

 突然の発表に驚き自分たちはどうなるのかという親族たちの不安そうな言葉にも、譲渡先の日売産業の経営陣に実力を示せばいいと冷たく応じるのでした…更に売り渡して自分が手にした膨大な財産は、たとえ娘であっても一文も与えることはないと宣言したのです…。

 しかし親族会が終わると、二人の娘は市川の私室で自分たちは市川の決定に従うつもりだと述べ、神妙な様子で市川の労をねぎらっていました。更に長女の一重は、先ほどカーヴから取り出してきた例の1957年ものの赤ワインを、市川の新たな門出を祝すると称して捧げたのですが…

 一方何者かに襲われたコナンは、気がつくと地下室の倉庫の中に閉じ込められていました。早く一重が毒入りのワインを飲ませるのを止めなければいけない…何とかキック力増強シューズの力を借りてその場を脱出したコナンは、急いで市川の私室へと向かったのですが…

 しかし時既に遅く、市川は主治医の岡野の必死の手当てにも関わらずそのまま帰らぬ人となっていたのです…

 そして警察の捜査が始まると、市川にワインを飲ませた一重が真っ先に疑われます。コナンもそれは納得しているようなのですが、だとすると自分を背後から襲った人物は一体何者で、何の目的があったのか…!?

 この事件にはまだ裏がある…コナンはそう直感し自らそれらの謎を解明すべく捜査に乗り出していったのです…

豆知識
別れのワイン (海外ドラマ)

 これはもちろん1973年に放映されたアメリカの人気TVシリーズ刑事コロンボの名作のタイトルです。

遺留分(民法1028条)

 慰留分とは被相続人が相続人のために必ず相続財産の一部分を残さなくてはいけない制度のことをいいます。

 この制度の趣旨は被相続人が遺言などで財産を処分する自由と、一方で相続人の生活の安定と公平な財産の分配を保障するという相反する二つの要請の調和を図るためといわれています。

 遺留分を主張できるのは相続人である配偶者・子・直系尊属(ほとんどが両親か祖父母)・兄弟姉妹のうち、兄弟姉妹を除いた配偶者・子・直系尊属と規定されています。そして
 1 直系尊属のみが相続人の場合は相続財産のうち3分の1
 2 それ以外の全てのケースの場合は相続財産のうち2分の1

 相続人のために残さなくてはいけません。

 今回の場合は二人の娘(一重と瑞枝)が相続人として挙がっている以上2のケースで、もしこの二人しか相続人がいないのであれば、結局二人には全財産のうち遺留分として2分の1が残され、それを二人で平等に分ける訳ですからそれぞれ全財産のうち4分の1を相続できたはずでした。

 ちなみに相続というのは遺言による場合と法定相続による場合がありますが、まず被相続人による遺言が尊重され、これが無い場合に初めて法定相続が開始します。
 ただ遺言も全く自由に決めてよい訳ではなく、上記のように遺留分を相続人に残さなくてはいけないのです。

法定相続(民法900条)

 ついでに法定相続(民法900条)について説明しておくと

 まず配偶者(夫ないし妻)を中心として相続人の組み合わせから次の3つのケースがあり、それぞれ分配する額が異なります。

 1 配偶者と子が相続人である場合
    →配偶者は1/2、子に1/2
 2 配偶者と直系尊属が相続人である場合(子がいないケース)
    →配偶者は2/3、直系尊属に1/3
 3 配偶者と兄弟姉妹が相続人である場合(子も直系尊属もいないケース)
    →配偶者は3/4、兄弟姉妹に1/4

 なお、子、直系尊属、兄弟姉妹が複数いる場合は、それぞれの額が更に等分されます(例えば1のケースで子供が3人いる場合は、配偶者には1/2が分配され、子には1/2を更に3等分するのでそれぞれに全財産の1/6が分配されます)

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