(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)
江戸川コナン 毛利蘭 毛利小五郎 横溝刑事 堂本栄造(65) 堂本保則(40) 堂本純平(30) 堂本里菜(24) 吉野綾花(23) 青柳哲也(28) 神山静(75) 町田修(36) 中野善仁(28) 司会者 駅長 高畑 |
本編の主人公、正体は工藤新一 本編のヒロイン、新一の幼なじみ 蘭の父親で私立探偵 静岡県警警部 堂本観光 社長 長男、堂本観光 副社長 次男、輸入雑貨業 長女 堂本観光 副社長秘書 フリーのルポライター 尼僧 東海日報記者 東海日報記者 オープニングセレモニーの司会者 天部山ロープウェイ駅長 トンネル作業員、作業中に事故死 |
高山みなみ 山崎和佳奈 神谷明 大塚明夫 川久保潔 徳弘夏生 荒川太郎 落合るみ 井上喜久子 植村喜八郎 鈴木れい子 牛山茂 巻島直樹 千葉一伸 長嶝高士 声の出演なし |
何百年もの間村人たちの信仰を集め村の平和を守る一方、その怒りに触れた者たちは皆無残な最期を遂げたという天部山の天女像。
そんな天女像の建立された岩山に、よりによってトンネルを掘りロープウェイを通すとは…神をも恐れぬ悪行であり、必ずや天罰が下るであろう……
天部駅へと向かう電車の中で、小五郎、蘭、コナンの三人は年老いた尼僧からそのような恐ろしい逸話を聞かされますが、何と小五郎たちが向かう先というのは他ならぬその天部山に建設されたロープウェイだったのです…。
天部駅へ到着した小五郎たちは、そこで今回小五郎たちを招待した堂本観光の副社長秘書を務める吉野綾花の出迎えを受けます。綾花は小五郎が思わず鼻の下を伸ばしてしまうほどの美貌の持主で、人当たりも良さそう。自然小五郎のテンションも上がり気味となります。
一方駅を出ると観光による町おこしが功を奏したのか街の中は観光客で溢れ、山菜そばや手打ちうどん、天女だんごなども人気を集めている様子。
そしてそんな天部山の観光スポットの目玉として期待されているのが、明日いよいよ運営を開始するという新設のロープウェイでした。
いよいよ明日オープニングセレモニーを開催する運びとなり、小五郎は堂本観光からの招待を受け、そのセレモニーの来賓として臨席することになっていたのです。
もっとも小五郎たちが駅からロープウェイのある天部山の方へ向かう途中には、「乱開発反対」とか「堂本一族に天の裁きを」などといった、ロープウェイの建設に異を唱える過激な文字の躍る看板も多数見受けられ、その建設は必ずしも住民たち全ての同意を得たものではないことが見て取れたのです。
そして小五郎が呼ばれたのも、単にセレモニーに出席するためだけではなく、反対する人間たちを抑える役目も担っているということは誰の目からみても明らかでした。
天部山ロープウェイの特別室に案内された小五郎は、そこで堂本観光社長の堂本栄造ら堂本一族の歓待を受けます。しかし話を聞いていくうちにコナンは、堂本一族の人間関係が一筋縄ではいかないことを知ったのです…。
堂本一族は社長の栄造の他、長男の保則が副社長を務めていましたが、次男の純平は栄造の敵を作る強引なやり方に反発し、早くから独立して輸入雑貨業を営んでいました。もっともその事業は必ずしも上手くいっている訳でもなさそうで、長男の保則との仲もとても良好とは言い難いものでした。
一方長女の里菜も勝手に家を飛び出して東京に行ってしまい、一年間好き放題暮らしていたらしく、こちらも純平の皮肉にひどく憤慨している様子。
更に里菜が連れて来た男も、堂本一族にとっては厄介な存在でした。青柳哲也といってフリーのルポライターらしいのですが、表向きは取材のためと言っているものの、「トンネル工事中にいろいろあったということは聞いている」と、意味深なことを言うのです。そしてそれを聞いた副社長の保則は、何やら社長の栄造と影でひそひそ話を始めて……
何か弱味でも握られているのでは? コナンもオープニングセレモニーを前に緊張を隠せない様子で彼らのやり取りを見守っていたのです。
その後小五郎たちは明日のセレモニーに備えて天部山の麓から山頂までを往復する例のロープウェイに試乗することになりますが、蘭とコナンが楽しそうにロープウェイからの景色を見下ろしているのに対し、小五郎は終始元気がなさそうな様子でした。一体小五郎に何が…!?
ロープウェイは3000メートルの高さを約10分で登りますが、「交走式」といって一本のロープウェイが山を登ると、もう一本のロープウェイが反対に山を下っているというシステムになっていました。
その一方で山の斜面には麓から山頂まで遊歩道も造られていて、まだ一般公開前のため閉鎖状態でしたが、ロープウェイで山頂まで行き、帰りは森林浴を楽しみながら歩いて遊歩道を下っていくのがオススメだというのです。
そしてロープウェイは山頂へ向かう途中、天部山の岩山をくり貫いて造ったトンネルの中を通るのですが、中には500体の羅漢像が安置され、山頂に建つ天女像のいわば胎内巡りをするという趣向が凝らされていたのです。
小五郎たちが電車で出会った神山静という尼僧の話といい、ルポライターの青柳の意味深な発言といい…何やらいわくありげなトンネルではありましたが、30秒の胎内巡りから外に出るともうそこは麓からは遥か上方まで来ていて、外の景色を見下ろすと、近くには天女像の上半身を背後から見ることができ、その後方には天部駅の豊かな美しい景色の広がりを見ることができるように設計されていたのです。
そして800年前に岩山を削って建立されたという天女像は、与願印といって右手は前に出し、顔の近くに掲げられた左手には如意宝珠という災難や不幸を除いてくれるという珠を握る姿勢で立っていたのですが、何とその如意宝珠を近くで見ることができるようにと、天女像のそばには遊歩道から行くことができる展望台が設置されているというのです。
それが何だか罰当たりな気がして…コナンは今更ながら年老いた神山という尼僧が怒るのも無理はないと思い始めていたのです。
それから山頂駅に到着した小五郎たちは頂上から見下ろすことのできる絶景を楽しんだ後、綾花の案内で〈ホテルDOUMOTO〉へと向かい、明日のセレモニーに備えて鋭気を養うことになったのでした。
翌日の正午、いよいよ天部山ロープウェイの開通式がスタートし、盛大に花火が打ち上げられる中、大勢の関係者や観光客、それに新聞記者たちがセレモニーの様子を見守っていました。
ところが、そのセレモニーは開始早々、とんでもない騒動に巻き込まれたのです…。名探偵の小五郎が紹介されることで何とかその場は上手く収まりますが、しかしそれは嵐の前ぶれを予告するほんの小さな出来事に過ぎなかったのです…。
セレモニーは着々と進んでいき、13時10分、いよいよ天部山ロープウェイの初運行の試乗時間となります。
社長の栄造や長男で副社長の保則はもちろんのこと、次男の純平と長女の里菜、それにルポライターの青柳も同行。もちろん小五郎と蘭、コナンの三人も乗り込み、更にはマスコミ代表として東海日報の町田修と中野善仁の二人の新聞記者の姿も見られました。
ロープウェイは麓を立った後、快調なスピードで登り始め、岩山のトンネルへと向かいます。そしてトンネル内に入り、社長の栄造が得意気にロープウェイについて語っているその時でした。
突然ロープウェイ内の照明がふっと消え、中は真っ暗に…。すると程なくして何者の争う声と物音が聞え始めたのです…。皆が狼狽する中、闇に飲み込まれたロープウェイは30秒のトンネル内の旅を終えて再び外へと吐き出されます。すると…
何と、先ほどまで自信たっぷりにロープウェイについて語っていた栄造の姿がロープウェイの中から忽然と消えていたのです…そして社長が座っていた座席のすぐそばの窓ガラスには「因果応報」の札が貼られていたのでした。
そして長女の里菜の一言で皆が外の天女像の辺りを覗いてみると……
小五郎がホテルDOUMOTOのスイートルームで飲んでいたビールの本数。相変わらず飲んでいますね(笑)
「煙り」とかいろいろと言われていますが、今回はこれ(笑)
仏教用語で手を下げ、掌を礼拝者の方へ向けて指をまっすぐに伸ばした形をいいます。詳しくはフリー百科事典ウィキペディアのこちらのページを参照のこと。
災難や不幸を除いてくれるという珠。願いを何でも叶えてくれる神秘的な宝物として重宝がられる、いわば開運グッズとして有難がられています。
詳しくはこちらのページが参考になります。