(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)
江戸川コナン 毛利蘭 毛利小五郎 大楠友之(50) 二宮寛人(28) 竹内早苗(21) 杉山元男(37) 望月兼成(46) 医者 警官 マダム・リープ |
本編の主人公、正体は工藤新一 本編のヒロイン、新一の幼なじみ 蘭の父親で私立探偵 OKUSU牧場 牧場主 牧場従業員 牧場従業員、案内係 装蹄師 不動産会社 社長 現場に駆けつけた医者 事件担当の警察官 OK牧場で飼育されている繁殖牝馬 |
高山みなみ 山崎和佳奈 神谷明 内海賢二 宮本充 浅野真澄 田中正彦 小島敏彦 丸山詠二 千葉一伸 ??? |
ドライブに行こう─ある日小五郎の突然の発案で澄んだ空気と緑豊かな牧場へと向かうこととなった蘭とコナンは、「お前たちに、大自然を満喫させてやろうと思った」という小五郎の言葉に首を傾げながらも、山の美しい景色と美味しい空気に満足そうな様子でいました。
ところが一方小五郎の方はというと…期待どおり(?)に道に迷ったらしく、同じ場所を行ったり来たり…もちろん同じ方向音痴の蘭に小五郎を責める資格があるかどうかは疑問な所でしたが、しばらくして後方からやってきたトラックに書かれた文字を見て小五郎は安堵のため息を漏らしたのです。
なぜならトラックの後部に書かれていた文字は「OKusu牧場」─そこが小五郎がこれから向かおうとしていた場所だったからでした。
目的地のOKUSU牧場に到着すると、受付では先ほどトラックを運転していた牧場従業員の二宮寛人が久々に訪れた見学者たちを嬉しそうにしながら待っていました。馬専用の牧場らしく、建物の中には競馬で活躍する馬の姿を写した写真なども飾られていて、その時になってようやくコナンは小五郎がわざわざこんな山奥の牧場までやって来た理由というのを理解したのです。
コナンたちが楽しそうに建物の中を見渡していると、突然そこに「帰れ!」という怒鳴り声が響き渡ります。声の主はこのOKUSU牧場の主の大楠友之で、どうやら牧場の権利を乗っ取ろうとしているらしい不動産会社社長の望月兼成を毅然とした態度で追い出している所のようでした。
ところがそんな大楠の鬼のような形相にも、望月は平然と「くれぐれも牧場の売り時を見誤らなんことだな」と不敵な笑い声を上げながら邸を後にしていったのです…。
それから大楠は小五郎たちに見苦しい所を見せてしまったと詫びながらOKUSU牧場のことについて説明を始めます。
彼の話によれば彼自身の所有するこのOKUSU牧場はその頭文字を取って〈OK牧場〉と呼ばれて親しまれているらしいのですが、この頃はどうもOKなことばかりではないらしいのでした。そしてそんな苦笑しきりの大楠に更なる不幸が襲いかかることになろうとは……
大楠と別れると小五郎、蘭、コナンの三人は、牧場の従業員の竹内早苗の案内で牧場の中を見て回ることになります。今の時期、馬主のついている馬は皆レースに出走中ということで出払っていましたが、それでも小五郎は昔よく儲けさせてもらったというマダム・リープという馬に出会いいたく感激します。ところがそのマダム・リープはどうも元気がない様子らしく…。
早苗の話によるとマダム・リープは引退して繁殖牝馬となり、このOK牧場で幸せな余生を送ることができるはずでした。ところがつい先日お腹の子が亡くなってしまい、更に悪いことに自らももう子どもが産めない体になってしまったというのです…。
それから三人と早苗は厩舎の外に出て、次の目的地へと向かおうとしますが、とそこへ突然遠くの方から赤い車が砂煙を巻き起こしながら厩舎の方へと向かって来ます。そして厩舎の前に停車した車の中から現われたのは、元騎手で現在は装蹄師として有名な杉山元男という男でした。
ところが杉山が車を降りるなり、小五郎たちを案内していた早苗は彼を凄い形相で睨み始めたのです。一体早苗と杉山との間に何が……
装蹄師というのは蹄鉄を打つプロのことですが、そもそも人間界にいる馬は運動量が多いため蹄の消耗が激しく擦り切れてしまうため、蹄鉄をつけることでそれをカバーしているということでした。他方蹄鉄をつけると今度は逆に蹄は消耗せずに伸び放題になるため、定期的に削ってやる必要もあるらしいのです。
しかも蹄というのは馬によってそして同じ馬でも一本一本の足によって全然形が違うらしく、装蹄師というのはそんな馬の蹄に合うような形の蹄鉄をつけたり、定期的にそれを外して蹄を削り再び蹄鉄を蹄の形に合わせてつけ直したりする仕事で、特殊な技能が必要らしく、また馬主たちからの信頼を勝ち取るのも大変な職業ということでした。
杉山は牧場へ到着すると大楠の指示でその日はマダム・リープの蹄鉄の世話をすることになり、高温に熱した蹄鉄を金槌のようなものを使って打ち、形を整えるという作業に没頭し始めます。
一方そんな中蘭とコナンは近くの草原で小五郎が見守る中、早苗のサポートを受けながら馬乗りを楽しんでいました。ところがそこへ…
突然興奮した啼き声を上げながらマダム・リープが牧場の外へと逃げ出そうとするのを小五郎たちは目撃したのです…!!
慌てて近くにいた二宮と邸の中にいた大楠、それに早苗と小五郎たちがそれを追いかけていきます。何とか外に出る前にマダム・リープは取り押さえられ、二宮たちの処置のおかげで興奮も収まったのですが…
ところがコナンがマダム・リープの後右足をよく見てみると、蹄鉄にはべっとりと血がついていたのです。それを見たコナンはもしやと思い、マダム・リープの蹄鉄の世話をしていたはず杉山の元へと向かってみたのですが…
するとその場所には、頭から大量の血を流してうつ伏せに倒れて事切れている、装蹄師・杉山元男の無残な亡骸が横たわっていたのです……
今回の事件現場は地名が出てこずどこなのか当初は分かりませんでしたが、スローでよく見てみると遺体を搬送していった救急車に「千葉市消防局」という文字がありました。