(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)
江戸川コナン 工藤新一 毛利蘭 目暮警部 鈴木園子 千葉刑事 橋垣幸子(45) 前田剛(28) 藤野泰男(30) 森本友美(26) 刑事A 女性客 |
本編の主人公、正体は工藤新一 本編の主人公、高校生探偵 本編のヒロイン、新一の幼なじみ 警視庁捜査一課警部 鈴木財閥の令嬢、蘭の同級生で親友 捜査一課刑事、目暮の部下 エクリチュール 店長 パティシエ、「戦うパティシエ」 パティシエ、「お菓子の貴公子」 パティシエ、「キャンディ・マジシャン」 捜査一課刑事 エクリチュールの客 |
高山みなみ 声の出演なし 山崎和佳奈 茶風林 松井菜桜子 千葉一伸 小林優子 小杉十郎太 私市淳 吉田小南美 平井啓二 渡辺智美 |
博物館の入場料金が500円で、天下の〈エクリチュール〉のケーキがどれでも半額で食べられる─そんな絶好の機会を逃すまいと、園子は蘭と「メガネのガキンチョ」の二人を引き連れて洋菓子の老舗〈エクリチュール〉のお菓子の家へと向かっている所でした。
そんな興奮状態の園子とは裏腹に、コナンはというと…甘いものには全然興味が湧かないのか、最初からテンションは最低で足取りも鉛のように重く、早く帰りたいと愚痴をこぼしてばかりだったのです…。
今もっとも人気のある洋菓子店の〈エクリチュール〉だけのことはあって、建物の中に足を踏み入れてみると、そこには豊かな緑を背景にして西洋風の建物が並んでいました。
更に驚くべきことに、何とその建物は絵本の中の「ヘンゼルとグレーテル」の世界さながらにすべてがお菓子で造られているというのです…!
そして建物の中には〈エクリチュール〉が誇る三人の人気パティシエごとにコーナーが設けられていて、それぞれのパティシエが大勢の見物客の前で自慢の腕を存分に振るいながら菓子作りに励んでいたのです。
まず一人目、一番手前のコーナーでは不精髭がトレードマークの前田剛という精悍な顔つきの男が陣取っていましたが、彼は人気番組「お菓子の鉄人」にも出演していて〈戦うパティシエ〉と呼ばれている強者の菓子職人でした。
そして彼はクッキーにパイ、そしてタルトの三つの菓子を同時に作る離れ業を演じて、見物客を驚かせていたのです。
次に真ん中に陣取っているのは、甘いマスクと優雅な物腰で女性からも高い人気を誇り〈お菓子の貴公子〉と呼ばれている藤野泰男で、彼は木の幹を象ったウッドチョコで一躍注目を集め人気パティシエの仲間入りを果たしていました。
最後に一番奥に陣取っているのが、アメをまるでマジックのように扱うことから〈キャンディ・マジシャン〉と呼ばれている森本友美という女性のパティシエでした。
彼女の作るお菓子はまるでガラス細工でも見ているかのように透き通っており、アメで造られたイルカや金魚などの動物たちはどれも生き生きとしていて、見る者を魅了して止まなかったのです。
そしてこれらのキャンディのお菓子でいつか一等賞を獲ることが彼女の目標らしく…、彼女はそのことを誇らしげにコナンたちに話すのでした。
三人が三人とも素晴らしい才能を持っており、〈エクリチュール〉が高い人気を誇っている理由も何となく分かるような気がしてきたコナンでしたが…しかしそんな三人にも華やかな表の顔とは別に、暗い裏の顔を持っていたのです…。
それは営業の面から店を支え、〈エクリチュール〉の店長を務めている橋垣幸子との根深い確執でした。
前田剛は橋垣に多額の借金があり、藤野泰男は独立問題で橋垣と揉め、そして森本友美は味で勝負したい自分の気持ちに反してお菓子パフォーマンスばかりさせられることに反感を持っており……
やがてそれらの確執の一つが殺意へと変貌を遂げて…午前の部が無事終了し、パティシエたちが午後の部の準備に取りかかっていた12時半頃、事件は発生しました。
橋垣幸子が、レジで伝票の計算をしていた所を背後から何者かに襲われ、後頭部を殴打されて亡くなっているのが発見されたのです…!!
すぐに目暮警部の指揮の下捜査が開始されますが、犯行当時レジの係員や見物客たちは皆出払っていたため、容疑は自然と午後の部の準備をしていた三人のパティシエに降りかかります。
その一方で警察は橋垣幸子を殴打した凶器の捜索にも乗り出しますが、警察の懸命の捜査にも関わらずどこからもその凶器は発見されず……
グリム童話の一つで、森におき去りにされたヘンゼルとグレーテルがお菓子の家にたどり着き、そこでおばあさんに会って…というお話。ネタをばらしては面白くありませんので、詳しくはご自分で読んでみて下さい。