(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)
江戸川コナン 阿笠博士 目暮警部 高木刑事 吉田歩美 小嶋元太 円谷光彦 力石健吾(38) 深町真二(30) 中里秀彦(28) 木島大作(40) 西脇政雄(45) スタントマン 仮面ヤイバー |
本編の主人公、正体は工藤新一 新一の家の近所に住む自称天才科学者 警視庁捜査一課警部 巡査部長、目暮の部下 帝丹小学校に通うコナンのクラスメート 帝丹小学校に通うコナンのクラスメート 帝丹小学校に通うコナンのクラスメート スタントマン ディレクター アシスタントディレクター カメラマン 車両係 仮面ヤイバー役のスタントマン 子供達に大人気の特撮ヒーロー |
高山みなみ 緒方賢一 茶風林 高木渉 岩居由希子 高木渉 大谷育江 野沢那智 中原茂 岩永哲哉 千葉繁 梁田清之 千葉一伸 ??? |
絶対ダメだ、そんなプランは危険過ぎる…誰が貴様と話している、黙っていろ! 若僧…確かに普通のスタントマンなら危険過ぎるかもしれない、しかし俺にならできる、こんなスタントぐらい今までいくらでもやってきた…
その日少年探偵団たちは仮面ヤイバーのロケを見学するために、阿笠博士の引率で都内のとある立体駐車場にやって来ていました。仮面ヤイバーの関係者にまでコネを持っている博士の顔の広さに関心する探偵団たちでしたが、更にたくさんの仮面ヤイバーシールももらい大喜びでいたのです。
ところがそこへロケでスタントマンを務めている力石健吾の怒鳴り声が聞こえてきたのです。
力石はディレクターの深町真二とアシスタントディレクターの中里秀彦を相手に自分のスタントの腕をアピールし、その日行なわれる予定の立体駐車場の屋上から柵を破り車を落下させるシーンのスタントを、落下するまでワンカットで撮り切ると主張して聞かないのでした。
一方ディレクターの深町の方はというと、今ではデジタル技術が進歩し、本物のスタントより迫力ある映像がいくらでも作れると説得。
今回のシーンも、屋上から落下する予定の怪人の乗るA車が屋上に上がってきたらそこで停車し、屋上で待機していたもう一台のリモコン無人車Bがスタートし、A車に代わって柵に向かってダッシュする。
もちろんカメラは下からなのですり替えは写らないこと、あとはデジタルで補正すれば問題がないこと、このシーンのスタントとしてはそれで充分だと、論理的に説明したのです。
横で話を聞いていたカメラマンの木島大作も少し危険とは思いつつも下からのカメラアングルなら力石が車から飛び出すシーンも写らないからと大丈夫なのではと主張しますが、ディレクターの深町はプロデューサーの了承も取りつけてあると、結局リモコン無人車の採用が決定し、車両係の西脇政雄のチェックで万全が確認されると、ロケは昼食を挟んで再開することになり、現場は休憩に入ったのでした。
ただ力石の方は自分のスタントが時代遅れだとでも言われているような気がしたらしく怒りを露わにし、深町に対して、「いいのか? 後悔するぞ…」と不気味な言葉を残してその場を立ち去ったのです…。
それから現場のスタッフは皆昼食を取り始め、見学に来ていた探偵団たちも食事をしながらサインをもらったり、撮影用のヘルメットや怪人の頭や手の着ぐるみを被って遊んでいました。
ところがそうしているうちにまたスタントマンの力石の怒鳴り声が聞こえてきて、ディレクターの深町と口論になったのです。するとしばらくして力石は深町の静止を振り切ってスタントのために準備されていたA車に乗り込み、立体駐車場を屋上目がけて物凄いスピードで走り出してしまったのです…!
深町は力石を止めろとスタッフたちに命令しますが、車はあっという間に屋上へと駆け上がり、皆が下から見上げる中、屋上から落下して地上に激しく叩きつけられたのです。そして運転席には、血まみれになってシートに座ったままのスタントマンの力石の無残な姿が…
だから止めろと言ったのに…そう言って愕然とする深町。普通に考えれば屋上で柵を破る寸前に車外に飛び出すにの失敗した不幸な事故と思えたのですが、車を詳しく調べてみたコナンはそこに事件の臭いを嗅ぎ取り…
仮面ヤイバーのロケ現場を訪問した阿笠博士と少年探偵団たち。大好きなヤイバーの姿をたくさん見ることができ、シールまでもらって大喜びだったのですが、現場ではベテランスタントの力石とスタッフたちが屋上からのカースタントをめぐって何やら揉めていました。
そして起きたカースタント中の力石の転落死。一見事故のように思えましたが、コナンは巧妙に仕組まれた殺人だと断定。更に現場スタッフたちは皆力石を殺す動機を持っていることが分かり、事件は複雑化するように思えたのですが…!?
仮面ヤイバーのロケ現場で少年探偵団たちがもらったシール。
今回の作品は正直評論したくないほどの出来でした。こういう作品を見せられると更新意欲が一気に下がってしまいますね。以下かなり厳しく評論していますので、ご承知の上で先に進んで下さい。不快になられても責任持てません。
とにかく謎らしいものがまったくない上に犯人を特定する根拠が全然薄弱で全然ミステリになっていないですし、作画も毎回のことですが目暮警部のコートといい、いずれDVDになってずっと残るということを頭に置いてやってもらわないと、後世に恥を残すだけではないでしょうか。プロなのだからもう少し自分たちの仕事にプライドを持って臨んで欲しいものです。
まずミステリとしての点では、一体今回は何をしたかったのかがさっぱり分からないです。2台の車は片方がリモコン操作で動き、片方がリモコンが付いていないのですから、落下した方がたとえ大破したとしても、屋上にもう一方が残っている訳ですから、それを調べたら一発で車を乗り換えたかどうかなんて分かります。
犯人は爆薬を積み替えたことで落下したB車をA車に錯覚させたかったのでしょうし、コナンの方はカメラマンの撮った映像を見てコートが挟まっていたことですり替えに気づいたのでしょう。その辺りはまあよく考えられているとしても、リモコンが片方の車にしか付いていない以上はすり替えはバレバレであり、そもそも元々の設定に無理があり過ぎますよね。
そして乗り換えたことが分かれば、車はリモコンで操作されていたためにスタントマンの力石が運転ができなかったことはすぐ分かりますから、当然リモコンを持っていた人間が犯人になってしまうにも関わらず、犯人はリモコンを所持したまま…。まあたとえ始末しておいたとしても、車両係の西脇の証言ですぐに誰が使ったか分かる訳ですから、今回のトリックと言えないトリックは警察を舐めているとしか思えないお粗末なものでした。
次に犯人ですが、これも決定的な証拠は何一つ提示されていません。リモコンが犯人の上着のポケットに入っていただけで確かに車両係の西脇の証言と合わせると決定的ではあります。
しかしコナンは犯人を特定できたシーンはあるものの、肝心のこのシーンが顔がまったく見えない状態でポケットをいじっているシーンだけで視聴者には何の手がかりもなしであり、これでは犯人を特定できる訳がありません。フェアとはとてもいえないでしょう。
結局良かったのは仮面ヤイバーを登場させたことぐらいでした。これはファンにとっては嬉しいことですし、これからもたくさん登場させて欲しいと願っています。
それにしても今回の作品は最近のデジタル化に問題提起を投げかけるような作品になっていましたね。
製作者側もデジタルの方は金がかならないし、楽のかもしれませんが、見ている方としてはやっぱり手作業で一つ一つ丁寧に手作りしているものと、デジタルでCGなどで適当にごまかしているものの違いというのは馬鹿じゃないんですから分かるのではないかなと思います。
コナンに限らずアニメ全体が視聴率低下を叫ばれて著しいですが、視聴者がお年寄りの割合が多くなったということ以外にも、こういったクオリティ面でも考えるべき、見直すべきことはあるのかもしれません。
私もデジタルでアニメが作られるようになってからほとんど見なくなりましたしね。作り方を以前どおりにするのは難しいでしょうが、少しでも昔の作風に近づけられるように努力はして欲しいものです。