(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)
江戸川コナン 毛利小五郎 目暮警部 高木刑事 奥村刑事 立松新三郎(25) 小此木清隆(65) 榊一馬(27) 一倉知美(25) 立松浩(12) おばさん 若者 通行人 通行人 |
本編の主人公、正体は工藤新一 蘭の父親で私立探偵 警視庁捜査一課警部 巡査部長、目暮の部下 捜査一課刑事 会社員、事件の被害者で”日本一運の悪い男” 資産家、事件の被害者 小此木の甥 榊の婚約者 立松新三郎の甥、面白ビデオ大賞の投稿者 立松新三郎と同じアパートの住人 ひき逃げ事件の目撃者 ひき逃げ事件の目撃者 ひき逃げ事件の目撃者 |
高山みなみ 神谷明 茶風林 高木渉 成田剣 福島潤 長克己 三宅健太 冬馬由美 川上とも子 林玉緒 井上隆之 幸田昌明 小伏伸之 |
焼肉屋を探して米花公園裏の通り付近をうろうろしていた小五郎とコナン。しかしお目当ての店はなかなか見つからずいつの間にか時刻はもう夕方の6時半を回っていました。見かねたコナンはもう他のものでいい、もう帰ろうと小五郎に訴えますが、小五郎は蘭が留守の時ぐらい豪華な晩飯を食わせてやると頑として聞かず、また戻って最初から探すと言い出したのです…。ところがそんな風に二人が言い争っている所へ、突然遠くの方から大きな物音が─。
小五郎たちが物音のした方に視線を移すと、そこに映し出されたのは一台の車が二人の通行人をはねそのまますごいスピードで逃走していく光景…小五郎はすぐに持っていた携帯電話で救急車を呼び、コナンも被害者たちの元に駆け寄っていこうとしたのですが、ほどなくして被害者の一人が自力で起き上がり……
この人、どこかで…
そのスーツを着たサラリーマン風の若い男性の顔にコナンは見覚えがあったのです。それもそのはず、男性はちょっと前に放映されたテレビの面白ビデオ大賞で甥っ子の撮ったビデオにより「日本一運の悪い男」として紹介されていた有名人だったのです…。
ぼくのおじさんの立松新三郎さんは、たぶん日本で一番運の悪い人です。
歩いているといろんな物が降ってくるし、よけると必ず足をねん挫します。
行列に並ぶと必ず自分の前で売り切れになるし、(その後彼の頭の上に鳥がフンを…)
─コナンからその話を聞いた小五郎は、それでとうとう”事故”にまで遭ってしまったのかと呆れた様子でいたのですが…すると路上で腰を抜かしていた目撃者の一人の若い男が突然奇妙なことを言い出したのです。
男が言うにはひき逃げをした車は先ほどからずっと彼が指を差した地点で待ち伏せしていて、被害者の二人の姿が見えた途端、二人目がけて突っ込んでいったというのです…! もしそれが本当なら、これは単なる”事故”ではなく”事件”、つまり殺人未遂ということになり……
二人の被害者はすぐに米花中央病院に搬送されますが、幸い命に別条はない模様で、小五郎たちもホッと胸をなで下ろします。一方で警察により捜査も開始され、小五郎たちは高木刑事から事件の詳しいあらましを聞くことになったのです。
目撃者の一人の話によるとひき逃げ”事件”を起こした車を運転していた人物については帽子とサングラスで人相は分からないものの、勤め帰りの立松新三郎氏が米花駅の方から歩いてきて、散歩の途中だった近くに住むもう一人の被害者で資産家の小此木清隆氏に声をかけた時、待ち伏せしていたその車がいきなり二人めがけて突っ込んでいったというのは間違いなさそうでした。
この点両方を狙ったとすると一人ずつ狙いを定めていった方が確実であるし、また片方だけであるとすると二人が出会った瞬間に突っ込んでいったというそのタイミングがどうにも不自然に思えたのです…。いったい犯人の狙いはどちらで、どういう目的でひき逃げ事件を起こしたというのでしょうか…!?
結局じっくり考えるには情報が少なくそのまま考えていても埒があかないと考えた小五郎たちは、誰かに命を狙われるような覚えがないか当人たちに聞いてみることにしたのですが、するとそこに小此木の甥の榊一馬と、その婚約者の一倉知美という女性が小此木を見舞うために姿を現わしたのです。
ここで二人を連れてきた奥村刑事が気になる事実をもたらしたのです。というのは小此木氏はかなりの資産家なものの家族はなく、血縁者といえるのはこの榊という男性だけ。つまり小此木氏が亡くなれば全財産は彼一人のものになるということになり、その一方で榊は小此木に随分借金があるということが分かり……
そこで高木刑事は事件のあった夕方6時半頃、榊と一倉の二人がどこで何をしていたかを詳しく聞くことにしたのですが…
一方もう一人の被害者の立松氏の方はというと、意識の戻らない重症の小此木氏と比べれば容態は重くなく、事情聴取中の高木刑事たちの元に自ら姿を現わしたのです。するとその立松氏、何とひき逃げ事件を起こしたあの車は、口封じのために自分を引き殺そうとしたのだと証言し始め……
米花公園近くにある焼肉店を探していた小五郎とコナンは、偶然にもひき逃げの現場に遭遇します。被害に遭ったのはサラリーマン風の若い男性と、資産家の老人。ところが若い男性の方はというと、先日の面白ビデオ大賞という番組で”日本一運の悪い男”としてテレビで紹介された有名人だったのでした。
一方で目撃者の証言から今回のひき逃げは計画的に殺害を狙って起こされたものだと判明し、警察は被害者二人の周辺の調査を開始。ほどなく老人の方にはたった一人の親族がいて、しかも老人からかなりの借金をしていることが判明したのです。
そして”日本一運の悪い男”と呼ばれる若い男性の方はというと、実は数日前からある人物に命を狙われていたことを証言したのです。
いったい犯人の狙いはどちらで、何の目的で二人をひき逃げしたのでしょうか?
少年探偵団たちもよく遊んでいるおなじみの公園。今回はこの公園裏の路上でひき逃げ事件が発生しました。またコナンが目暮警部に小五郎の声で電話をかけていたのは、この公園の前でした。
ひき逃げに遭った2人の被害者が搬送された先の病院。小五郎たちもここで高木刑事と事件について話し合っていました。
こちらも作品の中ではよく出てくるおなじみのデパートの一つ。事件当日一倉知美は銀座にあるこのデパートに滞在していて、時限爆弾騒ぎに巻き込まれたと証言しました。
これもアニメではすっかりおなじみのサンデーみたいな雑誌。エンディング後毛利探偵事務所でコナンが読んでいましたね。
今回の作品はまあ水準作といっていい出来栄えではなかったでしょうか。ミステリとして評価すると犯人当てを楽しむ作品ではないですし、大がかりなトリックがある訳でもないのですが、今回は何か感じるものがありました。
まず犯人は小此木氏を狙うにあたり立松氏をダシにして実に用意周到に準備していましたよね。まず立松氏を尾行してその行動パターンを分析し、更にひったくりから脅迫電話、そして東都デパートでの爆弾騒ぎまでかなり入念でした。これでもかというぐらい入念にです。
がしかしそれでも世の中そんなに上手くいくはずもなく、計画の到る所でほころびが生じ、そこからアリバイはもろくも崩れていってしまう訳です。
そしてそれを今回の悪運グランプリというタイトルと掛け合わせている所はなかなかでしたね。いつも運のないことばかり続く立松氏ですが、今回の犯人のようにここでミスは絶対許されないという時に運がないよりはましなんでしょう。その点からいえば今回のグランプリ勝者はまぎれもなく犯人だったと思います。
逆にいつもツイていない立松氏ですが、その分ここぞという人生の転換時にはきっと良いことがあるのではないでしょうか。人生どこかで帳尻が必ず合っているのだと、普段からツキのない人に前向きに頑張って欲しいというメッセージもどこかに込められていたと個人的には感じましたが皆さんはどうお感じになりましたでしょうか?
そして今回の作品の一番のツボややはり小五郎の「そう言ったのか、オレが?」というセリフでしょう。このあたりの高木・奥村両刑事とのとんちんかんなやり取り、またそれを受けて麻酔銃で打たれた後も「多重人格の扉が開いてく…」というセリフもかなりうけましたね。
更にエンディング後の「モーニングビールはうめー」というセリフも(笑) そんな言葉あるのかとGoogleで”モーニングビール”で検索かけてみたら、2700件もヒット(笑) 朝っぱらから結構皆さんやっていらっしゃるようですね。