(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)
江戸川コナン 毛利蘭 毛利小五郎 白鳥警部 本城牟呂蔵(42) 赤丸吾郎(50) 広瀬晋也(70) 小池 小池の妻 仲根 シェフ スタッフ 仮面ヤイバー |
本編の主人公、正体は工藤新一 本編のヒロイン、新一の幼なじみ 蘭の父親で私立探偵 警視庁捜査一課警部 アパレル会社社長 フランス文学の翻訳家、ワイン評論家としても有名 ワイン評論家 ワインセラーで会ったパーティー会場スタッフ 小池の妻、幼稚園児の孫がヤイバーファン パーティー会場スタッフ パーティー会場スタッフ パーティー会場スタッフ 子供達に大人気の特撮ヒーロー |
高山みなみ 山崎和佳奈 神谷明 井上和彦 石井康嗣 丸山詠二 西村知道 岡和男 伊倉一恵 千葉進歩 柳沢栄治 紗川じゅん 高木渉 |
全国ワイン協会会長で、フランスの名誉ある勲章を受勲した広瀬晋也の古稀を祝うパーティーに招待され、アパレル会社社長・本城牟呂蔵の所有する山荘にやって来た白鳥警部と小五郎、蘭、それにコナン。時刻は昼の2時半を回った所でしたが、会場では夜の開催に向けて係員が準備のため世話しなく動き回っている最中でした。
高名な先生のパーティーに招待されるということで小五郎はワインを手土産に勇んで会場に足を踏み入れますが、早速白鳥警部からワインの取り扱いについてたしなめられる始末。しかしそんな小五郎に主催者の本城は今回のパーティーの最中にちょっとした寸劇を演じてもらおうと企画しているというのでした。
係員から寸劇のシナリオを渡された小五郎は蘭の心配をよそに大風呂敷を広げるのですが、白鳥警部に稽古に付き合ってもらうもののなかなかセリフを覚えられず……ついには稽古の間ずっと待ちぼうけだった蘭とコナンは白鳥の勧めで景色を眺めに山荘のすぐそばにあるロープウェイで山頂まで行くことになり山荘を後にします。
「呼ばれてもいないのに、どういう訳だ?」─蘭とコナンが山荘の外に出てみると、山荘の裏口から聞こえてきたのは先ほど小五郎たちを出迎えた本城が誰かと言い合いをしている声。相手の男はカラシの背広に白髪にメガネという格好で、どうやら赤丸という名前のようでした。
赤丸は今回のパーティーで1959年産のシャトーペトリュスマグナムを準備してきた本城に対して、ワインの味が分かるのかと皮肉を言い、今日はワイン通の化けの皮がはがれる記念の日だと本城を挑発。それに対して本城は赤丸の襟首を掴みにらみつけるのでしたが……。
蘭にすぐに現場から離れるように促されたコナンはしぶしぶその場を去りますが、二人の言い争いがずっと気になっているようでした。すると蘭と乗り込んだロープウェイの窓から荘が見えてきて、二人はまだ山荘の裏口で言い争いを続けていたのです。
ところがコナンがその姿を目撃した直後、本城はコンクリートのブロックのようなものを両手に持ち、赤丸の頭目がけて……!!!
しかし残念なことにそこでロープウェイから見たその光景は山の木々で遮断されてしまい、最後まで見届けることができなかったのです。コナンが時計を確認すると時刻は3時半を回った所でした。
一方その頃山荘では小五郎がまだ寸劇の稽古を続けていましたが、その様子を扉の向こうから探っていたのは本城でした。そして小五郎が気づいていないと確認すると、彼は向かいの部屋からカラシ色の上着で頭を覆った人間を背中に背負って廊下の奥へと消えていったのです。
先ほどの現場を目撃し居ても立っても居られなくなったコナンは蘭にお腹が痛いとウソをついて山荘へと戻ってきて、先ほどの本城と赤丸が言い争いをしていた裏口にいました。
しかし現場に積まれていたコンクリートのブロックの山を調べ、青いゴミ箱をのぞいていた所で本城がシェフを連れて裏口にやってきたため、探し物をしていたと言っていったんは現場を立ち去ろうとしますが、そこで本城が赤丸と話をしているのを見たと伝え本城の反応を確かめます。すると本城は大事な話があったのだが、もう帰ったと明らかに動揺した表情で説明したのです。
時刻は4時半を過ぎ、山荘のパーティー会場では小五郎が白鳥と戻ってきた蘭の前で相変わらず寸劇の稽古を続けていました。一方のコナンは今度は厨房に押しかけて探し物をするフリをして調査を続け、それから通路を奥に進み突き当たりの左側に設けられた下り階段を下って扉の前へとやって来たのでした。
扉は暗証番号によるセキュリティーシステムが設置されていて厳重に管理されているようでした。そしてコナンがドアノブに手をかけて中の様子を探ろうとすると……
すると突然扉が開き、中からは本城と箱を抱えた小池という係員が現れます。とっさにコナンは落し物とごまかそうとしますが、本城はまたお前かと苦々しい表情をしますが、コナンはボールを失くしたと言って部屋の中へと強引に入っていきます。
その部屋はワインセラーで、たくさんのワインが棚に所蔵されてはいましたが、コナンが目指すものは残念ながらありませんでした。
ワインセラーの扉は指紋認証式になっていて本城以外は開けられないらしく、ボールが入ることなどあり得ないと小池に言われて足早にその場を立ち去ろうとするコナン。ところが本城はそんなコナンを呼びとめ、小池にパーティーの準備はもういいのでコナンが失くしたというボールを一緒に探すようにと指示を出し、コナンは2階の部屋で小池の妻と一緒に仮面ヤイバーを見ることになってしまいます。
それでも諦めないコナンは小池の妻が掃除をしている隙に部屋を抜け出し、本城の目を盗んで再び山荘の内外を調べ始めたのでしたが……。
高名なワイン評論家・広瀬晋也の古稀を祝うパーティーに招待され白鳥警部と小五郎、それに蘭と一緒に主催者・本城牟呂蔵の山荘へとやって来たコナン。ところが小五郎がパーティーで披露する寸劇の稽古をしている間に乗ったロープウェイから、山荘の裏口前で本城が赤丸というカラシ色の背広に白髪の男をコンクリートのブロックで殴りかかる場面を目撃します。
残念ながらその光景は山の木々に隠されて途中で遮断されてしまいますが、コナンは直ちに山荘へと戻り本城に殴られたと思われる赤丸の行方を探し始めます。
果たして本城に殴られたと思われる赤丸の行方は? そしてパーティーで寸劇を披露する事になっている小五郎は無事にセリフを覚え大役を見事に果たすことができるのでしょうか?
ワインのビンの底に溜まっている沈殿物のことで、熟成年数が増えると澱の量も増えていくそうです。
赤ワインの場合ワインの口当たりが悪くなるタンニンや色素成分のため、今回の小五郎のようにビンを振ったりしてしまうとビンの全体に澱がまわって沈殿するのに時間がかかり、いいワインでも味が落ちてしまいます。
パーティーでメインとして予定されていたワインの銘柄。ちなみにワインの銘柄についてはOva.2「16人の容疑者!?」で特集していますので、興味のある方はそちらをご覧ください。
シャトー・ヌフ・ド・パブ。本城が間違えたと赤丸に指摘されたワインの銘柄。
パーティーで最初に出てきたボルドーワイン。1本10万円以上。同じ名前で高級ステーキ肉も有名ですよね。
パーティーで2番目に出てきたボルドーワイン。ワインのラベルはエチケットというそうで、ムートンのエチケットは、年ごとに著名な画家や芸術家が描いていてアーティスッティックなことで有名。ちなみに1970年のエチケットはあのシャガールが描いているのだそうです(白鳥警部談)
パーティーで3番目に出てきたボルドーワイン。
パーティーで4番目に出てきたワイン。
パーティーで5番目に出てきたワイン。
パーティーの際に広瀬先生が小五郎に解決した事件について話を聞いていた際に出てきたセリフ。これは235「密室のワインセラー」の事を言っています。密室もののミステリーでなかなか面白い作品でした。
これまで名探偵コナンにおいてワインがメインとなった事件というと、File97「別れのワイン殺人事件」、File235「密室のワインセラー」、File328「バースデー・ワインの謎」、Ova.2「16人の容疑者!?」などがありました。今回もふんだんにワインの知識が盛り込まれていて、ワイン愛好家にはたまらない作品になっています。
今回のお話はいわゆる犯人が最初から分かっている倒叙ものでコナンが犯人を追い詰めていく過程を楽しむサスペンスとしての要素が中心で、更に被害者の行方を推理するという本格要素もありますが、謎解きについてはそんなに難しくありません。
ただ被害者がワインセラーに移動された事でパーティーのワインに重大な欠陥が生じ、その事がきっかけで犯人の犯行が露見するという何とも皮肉な結果になります。この当たりを素早く見抜き、眠りの小五郎を使って犯人を追い詰めるシーンが今回は実に面白かったですね。皆がワインと犯人を気遣って一緒について行くと言う事が犯行の発覚につながり犯人を苦しめるという何とも皮肉な結末です。
そのあたりの心理描写が上手くて独特の味を醸し出していました。大人向けの味わいのあるストーリーといった感じですね。小五郎も随所でいい味を出していました。