(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)
江戸川コナン 毛利蘭 毛利小五郎 横溝重悟 矢口久衛門(70) 矢口禄郎(42) 矢口明彦(37) 矢口公夫(32) 刑事 刑事 チンピラ チンピラ 店員 |
本編の主人公、正体は工藤新一 本編のヒロイン、新一の幼なじみ 蘭の父親で私立探偵 神奈川県警警部、静岡県警横溝警部の弟 資産家、事件の被害者 矢口家の長男、映画監督 矢口家の次男、サーフショップ経営 矢口家の三男、会社経営 横溝警部の部下 横溝警部の部下 借金の取立てをするチンピラ 借金の取立てをするチンピラ 地酒を販売する土産物屋の店員 |
高山みなみ 山崎和佳奈 神谷明 大塚明夫 加藤治 塩屋浩三 矢尾一樹 鈴木千尋 水内清光 河口博 蓮池龍三 川村拓央 樹元オリエ |
とある日の午前10時─蘭は小五郎とコナンを連れて三人で鎌倉を訪れ、鎌倉ガイドブックを片手に坂を登っていました。その坂を登ればアジサイで有名なお寺がありとても綺麗だというのです。ところがいざ坂を登り切ってみると目の前には一軒家があるだけで、アジサイの風景はどこにもありませんでした。どこで間違えたのだろう…と蘭が戸惑っていると……
突然前方に見える家の方から大きな銃声が鳴り響いたのです。驚いた小五郎たちは門の前まで駆け寄り玄関の扉を叩きますが、返事はなく家の裏手に回り込みます。すると家の中から姿を見せたのは顔を黒い覆面で覆い頭にフードを被ったいかにも怪しい男が…
男は小五郎たちに気づくとバールを振り回して静止を振り切り逃走します。一方コナンが部屋の奥の方に向かうと中では一人の老人が胸から血を流して仰向けに倒れていたのですが、コナンが遺体を調べると、血はすでに乾いているのに銃身はまだ温かく、さらに胸のあたりには何かの結晶が残っており…。
それから警察が到着して捜査が開始されます。事件を担当するのは小五郎もよく知る静岡県警の横溝警部の弟で神奈川県警の横溝重悟警部。まず横溝警部の部下の報告で被害者は矢口久衛門という名前でその家の主、そしてかなりの資産家だということが分かります。そして胸を至近距離から撃たれておりほぼ即死、凶器は遺体のすぐそばに放置されていた猟銃のようでした。
その後屋敷にやって来た被害者の長男で映画監督の矢口禄郎がまず事情聴取され、朝の6時に何をしていたか聞かれます。小五郎たちが銃声を聞いたのは10時でしたが、検死の結果死亡推定時刻は朝の6時ということが判明していたからでした。禄郎は新作映画の取材のために徳島にいて、朝6時半にホテルを出て東京に着いたのが10時半過ぎだと証言。LUNA航空1648便の航空券の半券も見せ、さらに矢口邸には依然は4、5人の使用人がいたものの半年前に全員首にしてしまい、今は広い屋敷に久衛門一人で住んでたと証言したのです。
被害者には他に2人の息子がおり、横溝警部たちはまず海沿いにあるサーフショップを訪れます。店の前ではヤクザ風のチンピラが2人金を返せと怒声を上げながら扉をドンドンと叩いていました。しかし横溝警部の姿を見ると2人はそそくさと退散、今度は横溝警部が警察だと言ってドアを叩くと髪を金髪に染めた紫のシャツの男が中から現れたのです。
中から現れた男は名前を矢口明彦といい被害者の次男でした。明彦は朝6時のアリバイを聞かれるとおもむろに5時45分と時刻の書かれた一枚のレシートを出してみせ、Janysという24時間営業のファミリーレストランに滞在していた、そしてそのファミレスは被害者の家からだと車でも1時間かかると証言します。
ところが明彦は店の開店資金を被害者から出してもらい、その後も度々資金援助してもらっていたものの最近は断られていたという有力な動機を持っていました。そしてそれを警察に喋ったのが兄の禄郎だと知ると、禄郎も被害者の金を当てにして映画を撮ったものの資金を出し渋られて借金まみれだと長男にも有力な動機があることを告白したのです。
それから横溝警部たちは三男にも事情聴取をします。すると三男も経営していた会社が倒産、いつもは援助してくれていた父親に手のひらを返したように借金を断られていて有力な動機を持っていたのでした。そして朝6時のアリバイについてはその時刻はまだ寝ていたと証言するのでしたが、そこで横溝警部は事件直前の朝5時頃に事件現場の近くで三男を見たという証言があることを話すと、三男はとんでもない事を自供し始めたのです。
何と三男は金を盗みに覆面姿で被害者宅に入ったものの、金庫は予想していたものより頑丈で盗むのは無理。途方に暮れていると被害者が猟銃を持って現われ、敢え無く正体もバレてしまい怒鳴られる始末。慌てて計画を持ちかけた次男の明彦のいるファミレスに逃げ帰ると、明彦は今度は自分でやる…そう言っていたのが朝の6時頃のことだったと自供したのです。
呆れるような3人の息子たちでしたが、それから3人は被害者宅に集められて部屋の中から何か失くなっていないかどうかを尋ねられます。すると被害者が集めていたという骨董品が失くなっていることが分かり……
蘭にアジサイが見たいとせがまれ鎌倉に観光に来た小五郎とコナンは、とある坂を登った所にある一軒家で突然銃声が鳴るのを耳にして現場に駆けつけます。
すると裏庭に出た所で覆面にフードを被った怪しい人物と遭遇しますが、バールを振り回して抵抗したため逃げられてしまうのでした。そして中では家の主で資産家の矢口久衛門が胸を銃で撃たれて亡くなっていたのでした。
すぐに神奈川県警の横溝重悟警部による捜査が開始され、被害者の三人の息子が事情聴取されます。三人は三人とも被害者に金を無心して断られていて有力な動機がありましたが、犯行時刻の朝6時に映画監督で長男の禄郎は新作映画の取材のために徳島に、次男でサーファーショップ経営の明彦は車で1時間ぐらいのファミレスにいたと証言。そして三男の会社経営の公夫はというと、何と被害者宅に侵入して窃盗を働こうとしたものの被害者に撃退されたと自供。しかもその一件には次男も関わっていたことを告白したのですが…。
この週から4週連続で開催されたプレゼント企画。この週はネクストコナンズヒントを書いて送ると、特別編集コミックス「名探偵コナンvs黒ずくめの男達」のコミックスが抽選で20名に当たりました。
今回小五郎たちは蘭がアジサイを見たいということで鎌倉に観光に来ました。そして冒頭に登場した鳥居などは名前こそ出ていませんが有名な鶴岡八幡宮だと思われます。鎌倉幕府の守り神として崇拝されてきた神社で鎌倉観光の名所の一つです。
本宮に続く大石段もありますし、その横にある樹齢800年とも1000年とも言われる大銀杏の木もありますので間違いないでしょう。写真はウィキペディアで確認できます。
ちなみにこの神社の大銀杏は2010年3月10日に折からの強風で根元から折れましたが、再生の努力が続けられて功を奏しているそうです。
長男の禄郎が徳島から乗ってきた航空券のチケットに書いてあった航空会社の名前。
次男の明彦が朝滞在していたという24時間営業のファミリーレストランの名前。某芸能事務所みたいですがジャニーズでいいのでしょうか。そしてこれは多分デニーズのもじりでしょうね。
今回は3人の息子が父親の財産をめぐって醜い争いを繰り広げるという痛々しい話でしたね。そして真相は単なる事故だったという逆の意味で驚きの結末でした。
ミステリーの世界ではよく事故とか自殺という結末の真相もありますが、大体反則というか動機がイマイチとか消化不良の話が多いのですが、本作はちゃんとした証拠がネットワークカメラを使って録画されていて、さらにそれを長男が遺産を独り占めにするために隠していたという結論にしている所も不自然さのない良い構成だったと思います。次男と三男が結託して盗みを働いていてほぼシロだと分かり、そうなるとアリバイがあまりにも確かすぎる長男が当然疑われ、替え玉という推理も出てこれで犯人は決定、なるほどと思った所でさらに意外な結末でしたからね。どんでん返しが見事に決まったよくできたプロットでした。
そして親の脛をかじる息子という最近社会問題になりつつある事を上手く絡め、しかも説教臭くならないように皮肉をこめてこんな大人にならないようにと視聴者に無言のメッセージを贈っているかのような締め方が何というか、本当にこの脚本を書いた方はいい仕事しています。最近オリジナルの完成度が高いのでファンとしては嬉しい限りですね。