(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)
江戸川コナン 灰原哀 目暮警部 高木刑事 白鳥警部 佐藤刑事 吉田歩美 小嶋元太 円谷光彦 小林澄子先生 鴨井五十吉 笠倉那海(27) 染井芳郎(30) 少年時代の白鳥 思い出の少女 高校生 高校生 書店店長 売店店員 ゴメラ 妖精エメラ |
本編の主人公、正体は工藤新一 黒の組織から来た謎の少女、本名宮野志保 警視庁捜査一課警部 巡査部長、目暮の部下 警視庁捜査一課警部 警部補、目暮の部下 帝丹小学校に通うコナンのクラスメート 帝丹小学校に通うコナンのクラスメート 帝丹小学校に通うコナンのクラスメート 帝丹小学校1年B組担任 白鳥家執事 観客 証券会社勤務、笠倉那海の交際相手 少年時代の白鳥警部 少年時代の白鳥警部の思い出の少女 書店にいた高校生 書店にいた高校生 書店店長 映画館の売店の店員 大怪獣 ゴメラのパートナー、指輪の妖精 |
高山みなみ 林原めぐみ 茶風林 高木渉 井上和彦 湯屋敦子 岩居由希子 高木渉 大谷育江 加藤優子 長克巳 冬馬由美 声の出演なし 本田貴子 ??? 志賀克也 白熊寛嗣 柳沢栄治 加藤優子 ??? 湯屋敦子 |
ある土曜日の夜の警視庁、粘り強い捜査で事件を早期解決に導いた白鳥警部と佐藤・高木両刑事はお互いに健闘を称え合い満足そうな表情でいました。ところが佐藤刑事から労いに手渡された缶コーヒーを見た白鳥警部は、とある過去の記憶を呼び覚まされてせつない表情に…三人で食事をしないかという佐藤の提案も丁重に断り警視庁を後にしたのです。
そして翌日の日曜日のお昼、非番の白鳥警部は映画を鑑賞するために杯戸シネマを訪れていました。休みといっても一人で映画を観るだけだとどこか寂しげな様子…ところがそこに現れたのはコナンたち少年探偵団の面々。そして意外そうな表情で白鳥警部を見ており…
白鳥が見る予定だった映画は「ホワイトクリフ」という映画でしたが、インターネット予約の際に間違えたのか出てきたチケットには「大怪獣ゴメラ ファイナル」の文字が…。しかしたまの休日子供気分に浸るのも悪くないと考えた白鳥を見て、コナンは佐藤刑事のことは諦めた方がいいかもしれないと先日見た佐藤刑事と高木刑事のことを話そうとしますが、白鳥はそう簡単に諦めることはできないと言い、彼が小学生だった頃のエピソードを語り始めたのです。
それは白鳥警部の人生を変えた運命の人の話─本屋で参考書を選んでいた時のことでした。一人の少女がチンピラ風の高校生二人が漫画本を服の中に入れる所を見たと言って、臆することなく捕まえようとします。少女は体格差もあり抵抗むなしく突き飛ばされてしまいますが、そこに白鳥が助けに入り周りの大人たちが集まってきて万引き犯は敢えなく御用となったのです。
気がつくと少女はどこかに消えており、白鳥は執事の鴨井五十吉が運転する車に乗り書店を後にしようとします。とそこへ車の窓をノックする音がして、振り向くとそこに立っていたのは先ほどの少女でした。
少女はさっき助けてくれたお礼だと言って、笑顔で白鳥にファーストフードのコーラを手渡します。カップにはストローの包み紙で作ったという桜の輪がつけられていて、少女いわく勇気の印だというのです。桜といえば警察の人がみんなつけているマーク、強くて優しくてカッコいい正義の花だと少女は言うのでした。
白鳥が刑事になったのも実はこの出来事があったためで、そのため自分の人生を変えた運命の人だというのでした。そしてその少女、どうやら佐藤刑事の顔立ちにそっくりだったらしく、彼女と捜査一課で再会した時には結ばれる運命だと確信したというのです。
ところが白鳥はその時少女の名前すら聞いておらず、灰原哀は本当に佐藤刑事だったのかと率直な疑問を投げかけます。あの男勝りの佐藤刑事してはやることが女の子っぽく、それが白鳥にもひっかかっていたというのですが……
白鳥警部の思い出話が終わったちょうどその頃、13時5分の上映開始時間を迎えた探偵団たちはポップコーンとジュースを買って席へ急ぎます。白鳥警部も思い出のコーラを注文し席へ向かいますが、彼の席は中央最後列、中央最前列の探偵団たちとは通路を挟んで真ん前の位置でした。チケットを確認すると白鳥は席に着こうとしますが、その時後ろから来た若い女性とぶつかってしまい、思い出のコーラは見るも無残に床の上に巻き散らされてしまいます。
白鳥とぶつかった女性は丁重に謝るとすぐ新しいのを買ってくるからと言ってその場を離れます。そして戻ってきたその女性が差し出したコーラには、あのストローの包み紙で作った桜の花が…。
その若い女性は名前を笠倉那海といい、桜の花は子供の頃からの癖らしく包み紙をもらうと思わず作ってしまうというのでした。そして席もなんと白鳥の隣─運命的なものを感じる、そう感じる白鳥だったのですが…。
それからゴメラの映画の上映がはじまり、探偵団たちは夢中で映画に熱中していましたが、白鳥は元々観たい映画ではなかった上に寝不足もありウトウトとしていたのでした。それを見た歩美が普段よく眠れない刑事だから仕方ないと言うと、それを聞いた笠倉那海は少し何か考えた後、実は警察に相談に行こうと思っていたのだと自らの悩みを白鳥に話しはじめたのです。
笠倉那海が悩んでいるというのはストーカー被害でした。誰かに尾行されたり出したゴミを荒らされたり、無言電話もあるというのですが、一応付き合っているという恋人には相談していて今自分の住むマンションに居てもらっているというのです。
恋人がいると聞いた白鳥は思わず顔を引きつらせますが、そこは刑事としてなぜか一緒についてきた探偵団たちとともに彼女の部屋に向かいます。
ところがマンションに到着し部屋のドアを開けると、白鳥たちの目の前に現れたのは、廊下で頭から血を流してうつ伏せに倒れている彼女の恋人の無残な姿…そしてその手には携帯電話が握られていて……。
事件解決の翌日、非番を利用して杯戸シネマに映画鑑賞に訪れた白鳥警部は偶然少年探偵団と出会い、インターネット予約のミスもあって一緒にゴメラ映画を鑑賞することになってしまいます。
白鳥警部は佐藤刑事に思いを寄せていましたが、それは小学生の時に起きた本屋で出合った思い出の少女だと思っているからでした。万引犯の高校生に絡まれている所を白鳥が助け、お礼にもらったコーラについていたストローの包み紙で作った桜の花。彼女の笑顔と桜の花が「強くて優しくてカッコいい正義の花」という彼女の言葉が、白鳥の胸には今でも深く刻み込まれていたのです。とはいうもののその時少女の名前を確認した訳ではないらしく…。
映画館に入場した白鳥は席に着こうとした際に一人の若い女性とぶつかりコーラをこぼしてしまいますが、女性がお詫びの印にと買ってきてくれたコーラにはあの思い出のストローの包み紙で作った桜の花が…
運命的な出会いを感じた白鳥でしたが、映画が終わると自分が刑事だと知った彼女にストーカー被害を相談され、彼女のマンションの部屋に探偵団たちを連れて向かうことになったのですが、そこで彼らを待ち受けていたのは何と…。
番組内で表示されている電話番号に電話すると抽選で前編では「天空の難破船 前売券(一般)」を、後編では劇場グッズテレフォンカードをそれぞれ20名様にプレゼントという企画をやっていました。
まず前半は白鳥警部が買ったチケットの表記が原作ではスクリーン3で席がFの25で値段が1800円、タイトルは「大怪獣ゴメラ ファイナル」になっていますが、アニメではスクリーン3、13時05分開演、O列10番で値段1800円、タイトルは「大怪獣決戦ゴメラファイナル」となっています。
その後笠倉那海の部屋の家宅捜索が警察により行われますが、その際目暮がコナンに部屋の隅でおとなしくしているように言うセリフと、戸棚を空けて驚いた白鳥警部にどうかしたかと聞くシーンの部分が逆になっている以外は、若干のセリフの追加・変更はありますがほぼ原作どおりの構成でストーリーが展開されていきます。
まず前半については冒頭高木刑事から目暮警部に電話がかかってくる前に部屋の中を捜索したがストーカーの痕跡は見当たらない旨の目暮警部のセリフが若干追加されています。
それ以外については後半も含めて若干のセリフの変更とカットはあるものの、ほぼ原作どおりの構成となっていました。
その日白鳥警部と少年探偵団たちが訪れた映画館
その日非番だった白鳥警部が観るはずだった映画。残念ながらインターネットで予約した際に1段間違えたらしく、出てきたチケットはゴメラの映画のものでした。
映画の名前については言うまでもありませんが、この当時公開されて大ヒットを記録した三国志映画の「レッドクリフ(赤壁)」のもじりだと思います。
その日少年探偵団たちと白鳥警部が見ることになった映画の名前。アニメでは大宝配給で「大怪獣決戦ゴメラファイナル」となってました。ちなみに前作は「さらばゴメラ」、その前が「ゴメラよ永遠に」だったそうです。子供たちが夢中ならOKかもしれませんが、露骨過ぎる気も(苦笑)
少年時代の白鳥警部が思い出の少女からもらったドリンクはこのハンバーガーショップのものでした。
今回は白鳥警部の恋の話ということで、正直ここ最近見たコナン作品の中でもっとも感動でした。まさか想い出の少女が小林先生だったとはサプライズな結末でしたし、その前に犯人の女の醜い一面を見て非常に気分が悪くなっていたこともあって、ものすごく心温まりました。
それにしても白鳥警部は心のきれいな人間ですね、20年以上も小学生の頃の思い出を大切にしてきていたんですから。ここまで白鳥警部はどちらかというとあまりいい役回りではなく、今回も冒頭で佐藤&高木のラブラブぶりをこれでもかというぐらい見せつけられ落ち込んでも仕方ない感じでしたが、頑張っていればこんな感じでそのうちいい事があるんだなと、今回の話は結構励まされたというか勇気をもらいました。
いろいろ良い事や悪い事、楽しい事や悲しい事を経験して成長していくもので、犯人の女の言っているように良い方面に変わっていったり悪い方面に変わっていったり、新たな出会いもあるのでしょうけど、良い想い出を大切に心の中に温めていれば少なくとも今回の犯人のように誤った方向には行かない気がする、そんな事を考えさせられた作品でした。
ミステリー的な部分については、今回は犯人も明らかにはっきりしていましたし、白鳥警部に渡されたコーラに睡眠薬が入っていた事さえ予想できればあとは簡単ですから、難易度的にはそんなに難しくなかったと思います。私も白鳥警部ずっと寝ていてそんなにゴメラつまらなかったのかと後でツッコミを入れてやろうと考えていたら、そういう事かという感じで閃きました。
最後にこれはトリビアかもしれませんが、大怪獣ゴメラに寄り添う妖精エメラについては、63「大怪獣ゴメラ殺人事件」では佐藤刑事の声を担当している湯屋敦子さんが当時担当していました。まだこの当時佐藤刑事というキャラクター自体未登場だった訳ですが、その後再登場した138-139「最後の上映殺人事件」では別の方に変わっていたのですが、何と今回はエンディングのテロップでは明記ありませんでしたが、声を聞いている限り湯屋敦子さんが担当されていましたよね。
これはファンには粋な計らいというか、気づいた時にはちょっと嬉しい発見でした。今後もエメラと佐藤刑事の二足のわらじということになるんでしょうか。高木刑事の高木渉氏も元太も担当していますので、面白い偶然ですよね。