(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)
江戸川コナン 阿笠博士 灰原哀 吉田歩美 小嶋元太 円谷光彦 横溝重悟 名取深汐(28) 丹沢純作(34) 鉄山厳治(67) 寺堂雲平(33) 刑事 刑事 旅館の主人 従業員 仮面ヤイバー |
本編の主人公、正体は工藤新一 新一の家の近所に住む自称天才科学者 黒の組織から来た謎の少女、本名宮野志保 帝丹小学校に通うコナンのクラスメート 帝丹小学校に通うコナンのクラスメート 帝丹小学校に通うコナンのクラスメート 神奈川県警警部、静岡県警横溝警部の弟 女優、温泉旅館の女将役 深汐のマネージャーで元俳優 脚本家 俳優、血煙ヒットマン役 神奈川県警刑事 横溝の部下 神奈川県警刑事 横溝の部下 湖望旅館 主人 湖望旅館 従業員 子供達に大人気の特撮ヒーロー |
高山みなみ 緒方賢一 林原めぐみ 岩居由希子 高木渉 大谷育江 大塚明夫 櫻井智 小杉十郎太 仲木隆司 平川大輔 柳沢栄治 鳥海勝美 岡和男 隅本吉成 声の出演なし |
阿笠博士に連れられて箱根にある箱根温泉湖望旅館にやって来たコナンたち少年探偵団の面々。その旅館の主人が博士の発明をいたく気に入り大量に購入してくれたはいいが故障がちなこともあり、一度修理に向かうのに付き合っての温泉旅行だった。博士の運転するビートルで大はしゃぎの探偵団たちだったが、言わずもがな今回も事件に巻き込まれることになり…
旅館に到着した博士はさっそく温泉内で修理を開始。問題の発明品は天下の大泥棒・石川五右衛門を象った人形で、風呂に入った五右衛門の人形を湯船に浮かべると湯の温度から温泉に含まれる成分や効能などを測定し教えてくれるという優れ物でしたが、可動部分が摩耗し内部が漏水してしまいのぼせたようにボンと爆発してしまうのでした。ただ博士によると一晩で修理可能なもののようで温泉の主人もひと安心します。
とそこへ現れたのは一人の美しい女性。名前は名取深汐といい、女優でその日は撮影でこの温泉を訪れているらしく、撮影前に5つの風呂すべてに入っておきたかったのに入れないことに不満な様子。彼女は以前初代「仮面ヤイバー」の恋人役もやっていたため少年探偵団たちもよく知っている女優でしたが、作品内で見せていた可愛らしさや優しさは面影すらなくツンツンした態度でした。彼女に続けて姿を見せたマネージャーの丹沢純作によると、役に集中しているためイラついているだけだというのですが……
その名取深汐が出演するというのが、来年公開予定だという映画「血煙ヒットマン」シリーズの最高傑作だという「鮮紅の原泉」。「血煙ヒットマン」シリーズは殺し屋が主人公の話でなぜか毎回温泉街で仕事を依頼され湯煙が血に染まるからその名がついたらしく、大きく分けて主人公が若い頃の青年編と年老いた頃を描いた老年編に分かれ、これまでに色々な役者や監督の手によりリメイクされているのでした。
その「血煙ヒットマン」シリーズの中で唯一の中年編なのが今回の「鮮紅の原泉」で、ある事件を境に殺し屋から足を洗っていた主人公が、温泉旅館の女将のために初めて無償で殺しを決意し、完全な密室殺人を作り上げるという内容で、随分昔に白黒で撮られたきり合う男優がいないという理由でリメイクされなかったのだといいます。ところが今回脚本家の鉄山厳治が自らのデビュー作でもあるこの作品を自らリメイクすることになったというのです。
温泉旅館には名取深汐と彼女のマネージャーの丹沢純作の他に、その脚本家の鉄山厳治、それに見事血煙ヒットマン役に抜擢された俳優の寺堂雲平も姿を見せていました。ただこの脚本家の鉄山厳治、気分次第で脚本をガラッと変えてしまうこともあるらしく、女将役もヒットマン役も場合によっては変更するかもしれないと断言するのでした。
発明品のチェックを終えた阿笠と探偵団たちはそれから旅館の名物でここと鳥取県の羽合温泉にしかないという湖の上に造られた景色のいい湖上露天風呂に入ることにしたのですが、あいにく結構な混雑ぶりで仕方なく翌日の朝一番に入ることになり…。
そして翌日の朝4時半のこと、朝5時からの風呂に備えて早起きした探偵団たちは、ジャンケンで負けたコナンが自販機で飲み物を買って304号室の部屋に戻ってくるとさっそく湖上露天風呂へ向かおうとします。
ところが歩美が窓の外から見える湖上露天風呂を見下ろしてみると、脚本家の鉄山が風呂に向かって桟橋を渡っている後ろ姿が見えたのです。時計を見ると時刻はまだ4時43分で鉄山の抜け駆けに憤慨した探偵団たちは爆睡する阿笠博士を部屋に残して湖上露天風呂へと急ぐのでした。
入口の前には旅館スタッフがいて、鉄山はお得意様だから特別なのだと一度は弁解したものの時計を確認すると5時まであと10分ということもあり、探偵団たちも特別に入れてもらえることに。喜び勇んで風呂へと走っていく探偵団たち。ところがコナンが元太と光彦を伴って男湯に入り服を脱ごうとしていると、なぜか先に来ているはずの鉄山の服がないことに気づきます。するとその時…
女湯に向かった灰原哀と歩美の大きな悲鳴が聞こえ、何事かとコナンは急いで女湯に向かいます。すると女湯の中では後頭部から血を流して仰向けに倒れ息絶えた、脚本家・鉄山厳治の姿が……。
当初は湯船から出た時にうっかり石鹸を踏んで滑って転倒し湯船の周りの岩に頭をぶつけた不幸な事故と思われましたが、鉄山の体の上に水が溜まっているのを見つけたコナンは他殺を確信。
ところがそうだとすると一つ大きな問題が…現場の湖上露天風呂には事件当時はコナンたち以外に誰もおらず、また人が湖に飛び込んだ大きな音もしなかったことから完全な密室─不可能犯罪ということになり…
大量に買ってくれた発明品の修理もかねて箱根温泉の湖望旅館を訪れることになった阿笠博士とコナンたち少年探偵団。さっそく発明品の五右衛門人形のチェックしていると、血煙ヒットマンシリーズの名作「鮮紅の原泉」の撮影のため温泉旅館を訪れていた映画関係者たちが風呂を訪れたのに遭遇します。
その後この旅館の名物である湖上露天風呂に入りにいきますが大変な混雑のため一度は断念…翌日の5時、朝一番に改めて入り直すことになり無事に早起きをした探偵団たちですが、客室の窓から湖上露天風呂を見下ろすとまだ5時前にもかかわらず風呂に向かう脚本家・鉄山厳治の後ろ姿が見えたのです。
抜け駆けかと憤慨しつつ露天風呂の入口までやって来た探偵団はスタッフの粋な計らいで10分前に入場を許され喜び勇んで更衣室へと向かったのですが、するとなぜか女湯で脚本家・鉄山厳治が頭から血を流して倒れていて…
「この電話番号に電話してスペシャルメッセージを聞くと応募したことになるよ!」というメッセージとともに前編では「コナンたち(声優さん)から届く年賀状を20名様」に、後編では「2011年4月16日(土)公開劇場最新作 名探偵コナン『沈黙の15分(クォーター)』青山先生サイン入りポスターを5名様」にプレゼントのキャンペーンが開催されていました。昨年の映画公開時同様にエンディングテーマの際にはエンディングテーマの画面が少し小さくなって空いたスペースにキャンペーンの応募方法などが明記されていました。
まずオープニング前の冒頭については原作とほぼ同じでした。前半に入るとほぼ原作に忠実にストーリーが進んでいきますが、湖上露天風呂にコナンたちが向かった所で歩美の「ホントに湖の上に立ってる!」というセリフがカットされているのと、逆に諦めて戻ろうとした時に強い風が吹くシーンが追加されているという違いがあります。
「だったら犯人は決まりだぜ、警部さん…」という寺堂のセリフの直前まで進む後半に関しても水がお湯に置き換えられていたぐらいで、その他はほぼ原作に忠実なストーリー進行となっていました。ただこれは非常に興味深かったのですが、コナンが叫び声を聞いて女湯に向かった際に原作では歩美はカチューシャ(いつも頭につけているヘアバンド)は付けたままなのですが、アニメではカチューシャを外しています。
自分が記憶している限りでは歩美がカチューシャを外している姿って見たことがない気がするのですが、いずれにしても大変珍しいシーンなので要チェックかと思います。
後編はまず桟橋入口の従業員たちに話を聞く所で鉄山の様子がウキウキしていなかったかという横溝警部の質問の部分と、そのすぐ後の湖望旅館が鉄山脚本の映画のモデルになったことから有名になったこととその作品で使われたトリックを使ったのではないかという行がすべてカットになっています。
他にも後半に入ってすぐのようやく阿笠博士が起きてきた時にしゃべった最初セリフなど、前半も含めて話の筋に差し障りない範囲で全体的にカットや短縮されているセリフが見受けられます。
今回の事件の舞台となった温泉旅館。ここの主人が阿笠博士の発明品の五右衛門人形を大量に購入してくれたのが縁で今回コナンたちも訪れることになります。
5つの風呂があるらしく中でもここと鳥取県の羽合温泉にしかないという湖の上に造られた景色のいい湖上露天風呂が最も有名なのだとか。
ちなみにコナンたちが泊まったのは304号室(アニメでは305号室)、名取深汐は412号室(アニメのみ)です。。
安土桃山時代に都市部を中心に盗みを繰り返し、後に豊臣秀吉の手勢に捕えられ1594年10月8日に京都の三条河原で「五右衛門風呂」で有名な釜茹での刑で処刑された大盗賊です。
その後江戸時代になると浄瑠璃や歌舞伎の演題の中で義賊として扱われるようになったのがきっかけで人気を博し、今や伝説の大泥棒として認知されるようになり数多くの本やテレビ、ゲーム(有名なのはコナミの「がんばれゴエモン」シリーズ)などに登場しています。
ちなみに人気アニメ「ルパン三世」に登場する石川五右ェ門は彼から数えて13代目の末裔という設定になっています。
殺し屋が主人公の話でなぜか毎回温泉街で仕事を依頼され湯煙が血に染まるからその名がついたらしく、大きく分けて主人公が若い頃の青年編と年老いた頃を描いた老年編に分かれ、これまでに色々な役者や監督の手によりリメイクされているのだとか。
「血煙ヒットマン」シリーズの中で唯一の中年編で、脚本家の鉄山厳治のデビュー作。ストーリーはある事件を境に殺し屋から足を洗っていた主人公が、温泉旅館の女将のために初めて無償で殺しを決意し、完全な密室殺人を作り上げるという内容。
随分昔に白黒で撮られたきり合う男優がいないという理由でリメイクされなかったそうですが、今回ついにリメイクが実現することになったのですが…、あとは作品を見てのお楽しみです。
ちなみにテレビアニメのみですが旧作のポスターが登場していて、そこに監督・豊川弘行、主演・大林旭のクレジットを見ることができます。
鳥取県東伯郡湯梨浜町にある温泉で東郷湖の湖畔に温泉街があります。
アクセスはJR山陰本線倉吉駅からバスで約16分、タクシーで約10分だそうですが、倉吉といえば青山先生の故郷北栄町にある由良駅からJRで2駅とすぐそばなので、コナン通りや青山剛昌ふるさと館を訪問しつつこの温泉街を訪れることもできる位置関係です。
脚本家の鉄山厳治が受賞した賞で、記念品として豆粒ぐらいのシルバーの宝石のついた指輪が贈られたようです。
鉄山は講演会とかパーティーの挨拶とか、ここぞという時につけるお守りにしていたのだとか。
箱根の温泉で発生した密室殺人事件ということで、なかなかよく出来た不可能犯罪ミステリだったと思います。ちなみにこの作品は2011年に発売された「名探偵コナン メインキャストセレクション」でコナン役の高山みなみさんがピックアップしている作品です。
被害者の方が一晩温泉にいてずっと待っていたというのを証拠を一つ一つ丁寧に分析していってと、本格ミステリの完成度は相当高く意外性もあるので、皆さんの高評価につながったと思いますし私もそれには異存ないのですが、実は事件が起きる前に鉄山(に扮した犯人)が桟橋を歩いている姿を歩美が窓越しに見ていた時点でこれは本物の鉄山じゃないんだろうなあというのが何となく予想できてしまったので、ものすごく意外性があるとまで感じることができませんでした。
その分個人的な評価としては星1つ少なくなっています。たぶんこれが小説で叙述トリックだったらもっと簡単に騙されたかもしれません。
あとは今回の灰原哀はちょっとどころかかなり怖かったですね(苦笑) 何か禍々しい妖気みたいな物が出ているような…(光彦談)と言っている時のアニメの演出は衝撃的でしたし、まあコナンがちょっとデリカシーのない言い方したので仕方ないのでしょうが、エンディングについてもどんなホラー小説よりも背筋が凍りつくような衝撃の終わり方だったことは間違いないです(笑)