(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)
江戸川コナン 毛利蘭 毛利小五郎 目暮警部 高木刑事 法月徳馬(75) 浜崎ミツ 兼村恒夫(28) 桐谷輝彦(35) 茂木隆(25) 警官 前田浩介 男の子 |
本編の主人公、正体は工藤新一 本編のヒロイン、新一の幼なじみ 蘭の父親で私立探偵 警視庁捜査一課警部 巡査部長、目暮の部下 紙芝居屋の老人、事件の目撃者 法月徳馬と一緒の写真に写っていた老婆 手配中の詐欺グループの一員で事件の被害者 手配中の詐欺グループの主犯格 手配中の詐欺グループの一員 畑端駅でスリの男を逮捕した警察官 スリの男 紙芝居を見ようとした少年 |
高山みなみ 山崎和佳奈 小山力也 茶風林 高木渉 城山堅 江森浩子 声の出演なし 黒田崇矢 鈴木千尋 河野裕 杉山大 橘U子 |
TR東都環状線で夏葉原駅から米花駅に戻ろうとしていた蘭とコナンは、その途中夏葉原駅の改札で入場に手間どる老人の男性にさっさと行けと乱暴を働く若い男の姿を目撃します。その光景に眉をひそめつつも米花方面の電車に乗り込んだ二人は夏葉原から下野、鳥谷、夕暮里と進み畑端駅へと向かっている途中でした。
ところがそこへ突然「スリだ! 誰か捕まえてくれ!」というスーツ姿の男性の叫び声が聞こえてきます。声のした方を見ると先ほど夏葉原の改札で老人に乱暴を働いた男が財布をひったくりこちらに向かって走ってくるのでした。
周囲の乗客が狼狽する中で蘭は勇敢にも止まるように男を制し、そしていつでも空手の技が繰り出せるように身構えますが…。
ところが蘭の姿を見たスリの男はナイフを取り出し、それを見た乗客たちはパニックとなり一斉に逃げ出します。しかし蘭のそばにいた小さな子供がつまずいて転倒、それを助けようと蘭が両手を差し伸べた隙を突いて男はナイフを蘭に向かって突き出し……
瞬間コナンも凍りついたその瞬間、蘭を間一髪の所で救ったのは…何と先ほど夏葉原の改札でスリの男に乱暴を受けたあの老人だったのです。老人は剣道の心得があるのか杖を剣代わりに見事に男の手首を叩きナイフを弾き飛ばしたのでした。
その後スリの男は畑端駅で警察官たちに逮捕され、事件の当事者となった蘭はホームの先で参考人として事情聴取を受けることになります。当然蘭を間一髪の所で救った老人も事情聴取の対象となるはずでしたが、老人はそのまま何も答えずに出発間際の電車に乗り込んでしまったのです。年配の女性と二人で写っている一枚の写真をホームに落してしまったことにも気づかず…
それからしばらくして事情聴取から開放された蘭とコナンは再び東都環状線に乗りますが、駒入、富士見を通り過ぎ次の巣亀駅近くの鉄橋の高架下で今度はパトカーが何台も止まっているのを目撃し…。
気になった蘭とコナンは電車を降りて現場に駆けつけますが、するとそこには目暮警部と高木刑事がいて捜査の真っ最中。まず被害者は兼村恒夫といい、独り暮らしの老人に取り入って信用させ架空の投資話を持ちかけて大金を騙し取る手口で、自殺や破産など多くの被害者を生み出した手配中の詐欺グループの一員であまり同情できる人物ではないことが判明します。
次に死因はというと何と額を一撃…傷はその一箇所のみで、それを聞いたコナンは争った形跡もなく兼村もかなり強そうな体格にもかかわらず一発で仕留めるというのは相当な使い手だと考えているようでした。
蘭とコナンが現場に現れたことに目暮は驚きますが、すると今度は先ほど蘭をスリ男から救ってくれた例の老人が現場に現れ蘭とコナンが驚く番となります。
老人は名前を法月徳馬といい、何と今回の事件の目撃者で、蘭たちと畑端駅で別れた後に電車の中からある男が人を棒で殴るのを目撃し米花駅で電車を降りて交番へ駆け込んだというのです。
そしてそのある男というのが桐谷輝彦という髪を金色に染めた長髪のチンピラ男で何と詐欺グループの主犯格、既に警察によって身柄を確保され目暮の下にちょうど連行されてきた所だったのですが、桐谷はちょっとこの辺りを散歩していただけだと頑なに容疑を否定。取調べに対しても兼村の知り合いと名乗る人物から兼村が待っているから来いと電話があった、自分はハメられたのだと主張するのでしたが…。
桐谷が取り調べを受ける一方でコナンは法月徳馬が額への一撃で被害者が死亡したという場面を電車から目撃したという証言に不審を感じ、巣亀警察署にいた高木刑事に小五郎からの頼みだと偽って調査を依頼。それから自分も直接法月徳馬のことを調べるべく、老人が紙芝居屋をしているという山茶花公園に向かったのですが、何とそこにはなぜか蘭もやって来ていて……
TR夏葉原駅から米花方面行きの電車に乗った蘭とコナンは車内でスリ男に遭遇しナイフで襲いかかられますが、法月徳馬という老人に間一髪の所で助けられます。
犯人の身柄を警察に引渡し事情聴取を受けるため畑端駅で降りた蘭たちですが、法月老人は事情聴取を受けることもなく電車に乗り込んでしまい、その後蘭たちも事情聴取が済むと再び電車に乗り込みますが、今度は巣亀駅近くの鉄橋の高架下で何か事件が発生しているのに気づき、電車を降りて現場に駆けつけることに。
兼村恒夫という詐欺グループの一員が額を一撃し殺害されたその事件を担当するのは目暮警部と高木刑事で、既に犯人として同じ詐欺グループの主犯格の桐谷輝彦が目撃者の証言により逮捕されていたのですが、何とその目撃者となった人物というのが蘭を救ったあの法月老人であることが分かり…
「この電話番号に電話してスペシャルメッセージを聞くと応募したことになるよ!」というメッセージとともに「15周年記念限定オリジナルクリアファイル(非売品)を150名様」にプレゼントのキャンペーンが開催されていました。昨年の映画公開時同様にエンディングテーマの際にはエンディングテーマの画面が少し小さくなって空いたスペースにキャンペーンの応募方法などが明記されていました。
コナンではすっかりお馴染みの電車ですが、出てくる度に駅の名前が微妙に変わっているんですよね(苦笑)
ちなみに今回の路線図は下記のようになっていました。95「小五郎のデート殺人事件」とほぼ一致しています。
古橋→銅座→無楽町→南東京→三木橋→仏田→夏葉原→下野→鳥谷→夕暮里→畑端→駒入→富士見→巣亀→小塚→沢袋→東沢袋→米花→緑台→小久保→空宿→恵木寿→川品→芝浜→岡松町
法月徳馬老人が使っていたICカードの名前。おそらくJR東日本のPasmoとSuicaを組み合わせた名前だと思われます。
「NIMITOPS」は夏葉原駅の改札前にあったコンビニの名前。看板のデザインといい明らかにミニストップのもじりですね(笑)
ちなみに後半入ってすぐ、コナンがスケボーを手に携帯で高木刑事と電話をかけている時に後ろの方に「Rowsan」というローソンをもじったようなコンビニも見られました。
法月徳馬老人が紙芝居屋をしている公園の名前。たくさんの子供たちが熱心に老人の紙芝居を見ていました。
法月徳馬老人の家のすぐ近くにある中華飯店の名前。
事件後半に登場する建設会社の名前。
よく登場する新聞ですが、ラストに事件について大きく報道しています。
今回のお話は法月徳馬という剣道5段の腕前を持ち強さと厳しさと優しさを兼ね備える蘭も尊敬する素晴らしい老人が登場する訳ですが、その老人が犯人という何ともやり切れなさを残す作品ですね。
ラストにコナンがどんな事情があろうとやってはいけない事があると締めくくりますが、それは分かっていても老人を騙して詐欺を働く人間のクズのような連中に自分の大切な人の命を奪われたら、思い止まれるかというと結構大変かもしれません。いろいろと考えさせられるお話でした。
しかし子供も大人も関係ない…叱るべき時は叱る…でも、ちゃんと許してあげる優しさも必要という点には激しく同意したいですね。
最近は正しく子供を叱れない大人も増え、叱った方が逆に大人から文句を言われたりすることもありますよね。そんなクレーマーやモンスターペアレントなどが増えたせいかそれを避けるためにお互い関わり合わない、無関心であることが一番のような世の中になっていますが、そういう状況がかえって誰にも相談できない社会的な孤独者を生んでいるような気がします。
一方ミステリーとしての出来栄えはというと、これはなかなか良く出来ていたのではないかと思います。ICカードと切符を使って途中の駅で降りた記録を残さないというのも面白いトリックでしたが、逆にそれが指紋付きの切符という決定的な証拠を残すことになるのだから皮肉が効いています。
ただ唯一残念だったのが、ICカードの記録に途中の駅で降りた記録がないという推理する上で一番の前提となっている事実が最後の最後になって初めて分かる点です。
推理する方としてはその事実を知らされていないと巣亀の防犯カメラが故障中だったことや巣亀駅が老人が多い駅だというヒントを出されてもそれが何を意味するのかまったく分かりません。そういう意味で推理をさせるならもっと早くICカードの記録のことは視聴者に提示すべきではなかったかと思う訳です。
あと気になった点といえば、蘭が法月老人の家を訪れた時に鍵がかかっていなかった点がちょっと不自然だった反面、作画は今回はすごくきれいで見ていて惚れ惚れするぐらい完成度が高かったという点でしょうか。