(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)
江戸川コナン 毛利蘭 工藤有希子 鈴木園子 鈴木次郎吉 樽見猪彦(58) 華村政之輔(63) 刑事 刑事 刑事 女性 中森警部 茶木神太郎 怪盗キッド ファントム・レディ |
本編の主人公、正体は工藤新一 本編のヒロイン、新一の幼なじみ 新一の母親で元人気女優藤峰有希子 鈴木財閥の令嬢、蘭の同級生で親友 鈴木財閥相談役、鈴木史郎会長のいとこ 龍馬展主催者 鑑定家 捜査二課刑事、中森警部の部下 捜査二課刑事、中森警部の部下 捜査二課刑事、中森警部の部下 龍馬展の客 東京警視庁 捜査二課警部 東京警視庁 捜査二課警視 神出鬼没の大怪盗、通称怪盗1412号 昭和の女二十面相と謳われた怪盗淑女 |
高山みなみ 山崎和佳奈 声の出演なし 松井菜桜子 永井一郎 佐藤正治 千田光男 川中子雅人 川村拓央 坂詰貴之 寺門真希 石塚運昇 田中信夫 山口勝平 声の出演なし |
日本を今一度、洗濯いたし申候─この有名な言葉を残した幕末の志士・坂本龍馬。その龍馬にまつわるイベントとして先週から鈴木財閥は鈴木大博物館で「龍馬展」を開いていましたが、何とそこにあの怪盗キッドからの予告状が届いているということをコナンは蘭の親友の鈴木園子から聞かされます。
「龍馬展」には園子の叔父・鈴木次郎吉が欲しくても手に入れられなかったという龍馬が高杉晋作からピストルと一緒に譲り受けたといわれるバックルの所に大きなルビーの埋め込まれたガンベルトが目玉として展示されているらしいのですが、そのガンベルトを含めコナンにはキッドが「龍馬展」で盗みたいものなどあるとは思えないらしく…
盗んだ物を返しに来る!?─その頃警視庁捜査二課ではキッドの逮捕に執念を燃やす中森警部が茶木警視からキッドの予告状について説明を受け驚いている所でした。
現在開催されている「龍馬展」にて3つの品を返却すべく近日参上いたします…予告状にはそう記されていたというのですが、3つの品とは「龍馬展」の主催者である樽見猪彦が20年前にも「龍馬展」を開催していて、その際に盗難にあった展示品─暗殺の前夜に妻のお龍に宛てた書きかけの手紙、暗殺された時に龍馬の血痕が付着したという近江屋の盃、暗殺の際に龍馬が懐に忍ばせていたピストルであるスミス&ウェッソン第I型─以上の3点でした。
ところが20年前の当時この3つの品を盗んだとされていたのは怪盗キッドではなく、昭和の女二十面相と謳われた怪盗淑女ファントム・レディというのが警察の知る所だったのです。ファントム・レディはその後犯行をぱったりと止め、その2年後に怪盗キッドが現われるようになったことから、二人は師弟の関係だったとも思われるというのですが、果たして…!?
一方「龍馬展」が開催されている鈴木大博物館では、蘭とコナンが園子に連れられて次郎吉に会いに来ている所でした。某局のドラマに端を発する龍馬ブームに加えキッドの予告状が届いたとあって行列ができる盛況ぶりでしたが、次郎吉ば自分が主催者なら新聞やTVコマーシャルをもっと打ってこの数倍は客を集めたと豪語。そしてにもかかわらず他人の展覧会のために場所を提供したのは主催者の樽見がこれまでにも「義経展」や「信長展」などを開催する度に警備がずさんでその度に盗賊被害に遭っているため、今回もキッドにガンベルトを易々と盗まれかねず、そのような状況で素人に任せる訳にはいかないと考えたからだというのですが…
鈴木大博物館に到着したコナンたちは主催者の樽見の計らいで特別に開場前にガンベルトを見せてもらうことになります。そしてその目利きは確かだが鑑定料は法外で滅多に仕事を引き受けないという鑑定家・華村政之輔の鑑定によると牛革の具合、バックルのルビーに加え、龍馬が手紙でそのベルトの図解までしていることからガンベルトは本物と言わざるを得ないということでしたが、確かに実際にその目で見てみると雰囲気の出ている逸品だったのです。
ガンベルトの他にも館内を見渡してみると龍馬が子供の頃に隠れん坊をした時に入って出られなくなり困ったという壺や、龍馬が見て褒めた仏像、龍馬が欲しがったケン玉…とまさに何でもアリの状態。更には幕末の腐敗を嘆いて思わず書いてしまったという掛け軸も飾られていたのですが、本物かどうか疑わしい限りだという次郎吉の言葉にコナンも激しく同意するのでした。
しかも保険金も雀の涙ほどで入場料も安く、盗まれたら大損するはずにも関わらず……何となく主催者や鑑定家に対する胡散臭さを拭い切れないでいる次郎吉。更にいつもならキッドを捕えようと息巻いているはずですが、今回はキッド対策はほとんど何もしていないというのでした。何かを盗みに来るのならそれを阻む手立てを考えるが、返しに来るのは止めようもなく、3品とも懐に忍ばせやすい小さな物ばかりで…「怪盗キッドお宝返却予想地」というスペースを作るだけで精一杯だったのです。
そしてもう一つ問題が…警備のために姿を見せていた警視庁捜査二課の中森警部の話によると、予告状は本物に間違いないものの、日時やそれを匂わす文章がまったくないというのです。これまでそのような事は一度もなかったらしいのですが、一体キッドは何を待っているというのでしょうか!?
その後いよいよ「龍馬展」は入場開始となりますが、蓋を開けてみると一番人気となったのは何とあの返却予想地…龍馬が泣いているというコナンの思いもうなずける結果となってしまいます。もっとも警察の警備は万全で返却予想地前にできた行列の中には警察官が紛れていて不審な行動をした人間はすぐに捕まえられる態勢にはなっていたのでした。
そしてほどなくして遂にキッドから日時の入った予告状が届けられたのです。明日20時、閉館間際に例のピストルなどを持参し、幕末の志士坂本龍馬の名の下に…今一度洗濯いたし申候…
次郎吉が予告状を読み上げるのを聞いた「龍馬展」の客たちは一斉に歓声を上げ、館内からはキッドコールが沸き起こります。洗濯…水…、その時ふとひらめいたコナンが外に出てみると、空は曇り今にも雨が降り出しそうな天気に変わっていて……
前の週から鈴木次郎吉が所有する鈴木大博物館で開かれているという龍馬展。そこに何とあの怪盗キッドからの予告状が届けられたのですが、何と今回キッドは盗んだ物を返しに来ると予告してきたのでした。
龍馬展には龍馬が高杉晋作からピストルと一緒にもらったというバックルの所に大きなルビーの埋め込まれたガンベルトも展示されているのですが、果たして「今一度洗濯いたし申候」と宣言するキッドの目的とはいったい!?
一方キッドを捕らえることに執念を燃やす次郎吉も今回はどこか胡散臭い感じのする樽見猪彦と鑑定家の華村政之輔のために場所を提供しているだけな上、返しにくるだけなものを防ぐ有効な手立てもないということでどこか気乗りしない様子。
それでも明朝20時閉館間際に参上するとの再度の予告状が届けられると、空港の搭乗口ばりに金属探知機のついたゲートをすばやく置き、同じくキッド逮捕に執念を燃やす中森警部の指揮の下警察も万全の警備体制を整えたかに思えたのですが……
「この電話番号に電話して、スペシャルメッセージを聞くと応募したことになるよ!」というメッセージとともに
前編では「名探偵コナン 夏の怪盗キッド祭り番組オリジナルQUOカード(500円分)(非売品)を150名様」に、
後編では「名探偵コナン 夏の怪盗キッド祭り番組オリジナルストラップ(非売品)を100名様」に
プレゼントのキャンペーンが開催されていました。昨年の映画公開時同様にエンディングテーマの際にはエンディングテーマの画面が少し小さくなって空いたスペースにキャンペーンの応募方法などが明記されていました。
まず冒頭オープニング前には中森警部&茶木警視が登場する直前まで原作第1話の3ページ分のストーリーがあり、そこから1話目の最後までストーリーが進んでいきますが、細かいセリフの変更・カット・追加などはあるものの全体的に原作にほぼ忠実な構成となっています。
大きな違いとしてはCM直前にどんよりとした雲に覆われたビルの頂上に「今一度洗濯し申候…ってな」というセリフつきで姿を見せるシーンが追加されている所ぐらいでしょうか。
後半は原作2話目の鈴木大博物館の入口前に空港の搭乗口みたいなゲートが設置されて園子が「さすがおじ様!やるゥ~!!」と発言する所まで進みますが、その前のページの後半部分のコナンが引っ掛かるといって頭の中で考え事をする部分は園子のセリフの後、前編の最後を締める形で移動されています。
そしてその代わりではないですが、移動した部分にそのままスッポリと原作第3話目の1ページ目部分のゲートを設置し万全の体制を整えた中森警部が、モニター室でモニターを見ながら部下に異常がないか確認して今度こそ必ず捕まえてやると息巻くシーンが追加されています。
まず前半の冒頭は前編の最後の中森警部がモニター室で部下の刑事たちに異常がないか確かめるシーンからコナンが思索にふける所までが再び流れ、その後は前編最後に移動した原作3話目1ページの部分がカットされたりいしていますが、怪盗キッドが姿を見せる所まで大きな変更点はなくストーリーが進んでいきます。
特に目立った所としては園子が携帯を出して時間を確かめる際に19時56分04秒と原作ではなっているのがアニメでは秒が削除されて変わりに8月27日(土)と日付が追加されています。
後半については細かいセリフの変更や追加、カットはあるものの概ね原作に忠実な流れでストーリーが進行していきます。
土佐藩出身で幕末に活躍した人物で、土佐四天王の一人。今回の作品が収録されている原作コミックス第70巻では表紙も飾っています。
上士と郷士の差別が大きな問題だった土佐藩で育ち、のちに脱藩して勝海舟に師事し神戸海軍操練所で学んだ後、京都や長崎などを中心に全国を駆け回り各藩の志士たちと交流を図ります。
やがて西郷隆盛と桂小五郎の仲介役を務め倒幕の中心となる薩摩・長州藩による薩長同盟を締結に尽力したり、維新政府の綱領の原本にもなった「船中八策」を上奏して15代将軍・徳川慶喜による大政奉還の成立に貢献するなど、明治維新に大いに影響を与えた人物とされています。
しかし明治新政府の樹立を見ることなく、大政奉還成立の1ヶ月後に盟友中岡慎太郎とともに近江屋事件で暗殺され悲運の最期を遂げました。わずか33年の短い生涯でしたが、亀山社中(後の海援隊)の結成や、姉・乙女に宛てた手紙のやりとり、妻のお龍の機転で危うく難を逃れた寺田屋事件やお龍と日本初の新婚旅行に行ったというエピソードなど数多くの有名な逸話が残っています。
ちなみに維新当時は注目されない忘れられた存在でしたが、日露戦争時に皇后の夢枕に龍馬が立ち日本軍を勝利に導いたというエピソードなどをきっかけに有名となり、更に戦後1960年代に入ると人気作家・司馬遼太郎の小説「竜馬がゆく」が大ブームとなり、以後国民的人気を得るようになりました。現在でも戦国武将の織田信長とともに歴史上の人物では常に人気ランキング上位の常連に名前が挙がります。
2010年に放映されたNHK大河ドラマ。脚本・福田靖で主演は福山雅治。香川照之の演じる三菱財閥の創始者で龍馬と同郷だった岩崎弥太郎の視点から物語が描かれる所が斬新で、人気や知名度だけに頼らず実力派の俳優を揃えたこともあり評価も高く、視聴率も概ね順調でした。
また大河ドラマ初の「プログレッシブカメラ(通称30Pカメラ)」の採用により従来に比べリアルかつ深みのある映像が実現され、近代化以前の日本の姿を忠実に再現していると評判になりました。確かに本当に映像が美しかったです。
そしてこのドラマをきっかけに2010年には再び龍馬ブームが巻き起こり、龍馬ゆかりの土佐・桂浜や京都・長崎などを中心に特別展やイベントも多数企画され大いに盛り上がりました。今回の作品の原作はまさにそのブームの真っ只中に少年サンデーに連載されています。
長州藩藩士で幕末に活躍した人物。吉田松陰の松下村塾で学び、上海へ留学の後は桂小五郎(木戸孝允)や久坂玄瑞らと共に尊攘運動に加わり各藩の志士たちとも交流を図ります。
長州藩が倒幕へと舵を切ると奇兵隊などを創設して幕府と戦います。そして長州征伐では幕府と戦い大勝利へと導き、長州藩の復権に大きな功績を残しますが、ほどなくして肺結核にかかり療養生活を余儀なくされ龍馬より先立つこと約半年前に29歳でこの世を去りました。
破天荒という言葉がぴったり来る人生だったらしく豪快なエピソードには事欠かない人物ですが、行動の人でもありました。龍馬とも親交が厚かったらしく、上海で購入したピストルを龍馬に贈ったというエピソードも残っており、今回のお話でもその件が登場していますよね。
昭和の女二十面相と謳われた怪盗。今回キッドが返却しに来るという3点を盗んで後にレディは犯行をやめ、その2年後にキッドが現れたことから、中森警部たち警視庁はレディとキッドは師弟と弟子の関係と考えているようですが、果たしてその真相は…!?
鈴木次郎吉が所有する博物館。潮留公園前にあるそうで、過去には356「怪盗キッドの驚異空中歩行」でも登場しています。
作中でコナンや次郎吉が言っている通り、たぶんどれも実在しない胡散臭い品かと(苦笑)
今回はキッドが登場する話でしかも坂本龍馬にちなんだお話ということで龍馬結構好きなので楽しみにしながら読みました。
内容としては何とキッドが今回は盗品3品を返却しに来るという風変わりな事件で、結局樽見&華村の悪巧みを暴き立てる義賊的な話となりました。そのためいつもとはちょっと違う印象もありますが、海外ミステリーでもルパンやサイモン・テンプラーなど義賊的な話は結構ありますし、たまにはこのような趣向もアリかなと思います。
ただ鈴木次郎吉氏もちょっとおとなしめだったこともあり、スリルや緊迫感という点でいつもに比べたら少し物足りなかったかもしれませんね。中森警部や次郎吉もいつもと何かが違ってやりにくかったことと思います(苦笑)
そしてこの話の前後には怪盗キッドスペシャルということでまじっく快斗の原作が多数映像化されました。そちらについてもきちんとまとめた上で、いい機会なのでまじっく快斗関連のコンテンツも少し強化できればと考えています。