(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)
江戸川コナン 毛利蘭 吉田歩美 小嶋元太 円谷光彦 鈴木園子 倉橋治(43) 倉橋恵子(38) 宮坂裕弥(30) 秋本冴子(25) 喜多川美紀(22) 山本英司(21) 沖田光夫(23) 鷹山慎吾(28) |
本編の主人公、正体は工藤新一 本編のヒロイン、新一の幼なじみ 帝丹小学校に通うコナンのクラスメート 帝丹小学校に通うコナンのクラスメート 帝丹小学校に通うコナンのクラスメート 鈴木財閥の令嬢、蘭の同級生で親友 ペンションオーナー 倉橋の妻 俳優 女優 メイク係 アシスタントディレクター カメラ助手 カメラマン |
高山みなみ 山崎和佳奈 岩居由希子 高木渉 大谷育江 松井菜桜子 辻親八 天野由梨 子安武人 大原さやか 小野涼子 川田紳司 矢部雅史 西村朋紘 |
これから向かう離島の近くは超キレイなお魚がいっぱい泳いでいる─蘭と園子に加えコナン、歩美、元太、光彦と日に焼けるのが嫌だという理由でパスした灰原哀を除く少年探偵団の面々はきれいな海と周囲を飛び交うカモメに大興奮の様子でしたが、コナンは離島の上を覆うようにかかるどんよりとした雲が気になっており…
島に到着した蘭たちは園子行きつけのペンションを訪れ、部屋に荷物を置いてさっそく潜りに行こうとしますが、ペンションのオーナー倉橋から今嵐が近づいていて危険なため海には入らない方がいいと止められてしまいます。
きれいな魚たちを見れずガッカリしたものの、考えてみればこの時期は台風シーズン…部屋に荷物を置くと海は諦めてペンションの近くの林の中を散策していた一行でしたが、すると向こうの方で何かの撮影が行われているのが目に入ってきたのです。
血まみれのシャツを着て右手にナイフを持っているのは宮坂裕弥という俳優で、昨年お酒に酔って傷害事件を起こしてニュースになり主演していたドラマが打ち切りに。それ以来テレビでサッパリ見なくなっていたらしいのですが、いったいこんな所で何を撮影しているのだろうか…気になった一行は木の陰に隠れて撮影の様子を見学することにしたのです。
ほどなくカメラが回り始め、宮坂は女優の秋本冴子の手を引きナイフを手にポーズを決めます。蘭たちのそばにいたメイク係の喜多川美紀の話によると今回の撮影は宮坂のプロモーションビデオの撮影らしく、冴子と二人で無人島に流れ着いた宮坂がすぐれたサバイバル能力で危険から冴子を守るというストーリーになっているらしいのだが、辺りを見渡すと道路には車が走り自販機まで設置されていて…。
しかし問題の宮坂裕弥はどうも女グセの悪い男のようで、以前秋本冴子と噂になっていたにもかかわらず、今度はメイク係の喜多川美紀にも手を出しているらしく二人がとても仲の良さそうな雰囲気。その一方で秋本冴子は一人自分でメイクをしており…何やら嵐を予感させる空模様と同じように撮影現場にも不穏な空気が漂っていたのです。
その後も怪しい雲行きの中で撮影は続き今度はシーン14、宮坂が崖下の冴子を助けようと崖を滑り降りる場面となります。崖の上にはアシスタントディレクターの山本英司が待機していて携帯電話で宮坂に準備OKを伝えますが、その時崖の上にはもう一人宮坂と同じ血まみれのシャツを着た沖田光夫というカメラ助手の男がいて山本の携帯を奪い取ると徐に宮坂に抗議をはじめたのです。
どうやら沖田は元体操部で運動神経だけはいいことから崖の上から滑り降りるスタントを宮坂の代わりにさせられようとしていたのですが、沖田はその事を伝えられていなかったらしく宮坂から止めてもいいがギャラは一銭も払わないと言われて渋々その役目を引き受けることになったのですが…。
その光景を崖下から見ていた探偵団たちは、このスタントがいくら何でも無茶だとひどく心配しますが、意を決して沖田は崖を滑り出します。ところがやはり無茶だったのか途中でバランスを崩して転げ落ち、岩にぶつかって宙に浮いたかと思うと木の枝が危うく顔に刺さりそうになるのをギリギリの所で回避しそのまま一気に崖下まで滑り落ちていったのです。
その様子を撮影していた鷹山慎吾もさすがに沖田の状態を心配しますが、沖田は何とか無事だったようですぐに起き上がろうとします。ところがその沖田に対し宮坂がかけた言葉というのが何と……
何か落ち方に迫力がない…もう一回だ…その言葉に沖田もマジ切れ寸前となりますが、見るに見かねた蘭と園子が撮影を止めようと間に入り…。
更に崖の上にいたADの山本が崖下へ降りて宮坂たちの所へ駆けつけようとしますが、その途中元太が飲んだコーラの缶につまずきその拍子に小道具のナイフを汚してしまいますが、すると大切な小道具を汚した山本に激怒した宮坂はいきなり殴りかかり…。
とそこへついに雨が降り出しはじめて撮影は中断、水入りとなり撮影クルーは機材を片付けはじめ、蘭たちも慌ててペンションに戻ります。ところがその間隙を縫うように何者かが小道具のナイフを拾い上げて……
一行がペンションへ戻ると風呂の準備は既にできていましたが、オーナーから食事の用意ができるまでちょっとしたレクレーションでもして親睦を深めないかと提案されると探偵団たちは大喜びで賛成するものの、撮影クルーたちの反応は冷たいもので修学旅行じゃあるまいし勘弁して欲しい、機材の点検があるのでと体よく断られてしまいます。
それからオーナーと探偵団たちが七並べをして楽しんでいる間、隣のリビングでは蘭と園子がメイク係の喜多川美紀から宮坂について話を聞かされることとなります。宮坂はいつも今回のような感じなのではなく以前起こした事件で落ちた人気を回復させようと必死になっていて、今回のプロモーションビデオも自費制作でこれに賭けている。だからナーバスになってしまっていると彼女は宮坂を擁護しつつ色々と嫌な思いをさせてしまったことを蘭たちに詫びるのでした。
しかしそんな蘭たちの会話のことなど知る由もなく、ついに悲劇の幕は切って下ろされたのです。メイキングを撮るからカメラを回して部屋に来いとカメラマン鷹山から宮坂の伝言を伝えられられたカメラ助手の沖田がコナンたちが七並べをしていたリビングに飛び込んでくるなり慌てふためいた様子で宮坂が自分の部屋で死んでいると叫んだのです。
それを聞いたペンションオーナーの倉橋やコナンたちはすぐに宮坂の部屋に向かいますが……宮坂はナイフで心臓を一突きされ仰向けの状態で既に息絶えていたのですが、現場を見るなりコナンは遺体の様子に何か違和感を感じたらしく……
南海の離島にある園子がひいきにするペンションに遊びにやってきた蘭と園子とコナン、それに少年探偵団の三人は、嵐が近づき海に潜れない代わりに島内で行われていた俳優・宮坂裕弥の自費制作のプロモーションビデオの撮影を見学することになります。
ところが撮影がはじまるとカメラ助手の沖田に無茶な崖滑りのスタントをさせたり、小道具のナイフを汚したADの山本を殴りつけたりと宮坂の横暴な態度が目につき撮影の空気は最悪に…
幸か不幸かその時ついに雨が降り出して撮影は中断、蘭たちも撮影スタッフたちもペンションに戻ってくつろぐこととなったのですが、そんな中自室で休んでいた宮坂が何者かにナイフで心臓を一突きされて殺害されるという事件が発生。
撮影スタッフたちは皆何かしらの不満や恨みを宮坂に持っており、嵐がひどく警察がしばらく到着できない中ビデオカメラを回して、それぞれが事件当時の状況を弁明することになったのですが…
沖縄県のとある島にある倉橋治とその妻の恵子が経営するペンションの名前。園子が大変ひいきにしているようです。屋根の上にシーサーの置物があるのが沖縄県らしいですよね。
ちなみに前編では沖縄の沖の字もなかったのですが、後編ではリビングの本棚にある本に沖縄に関連した本がいっぱいありましたし、エンディング後の船にも「沖縄県警察」という文字が確認できました。
沖縄の建物の門柱や屋根の上に必ずと言っていいほど置かれている置物。人や家や村に災いをもたらす悪霊を追い払い幸せを願う魔除け・招福のシンボルとして大切にされています。
今回は久しぶりのTVオリジナル作品でしたね。2011年は2月まで3作品連続でTVオリジナルでしたがその後この前の作品までずっと原作が続いていて実に半年ぶりです。原作は原作でもちろん面白いのは面白いですが、アニメコナンの魅力の一つがこのTVオリジナルストーリーでもあるので、いろいろと都合はあるのでしょうがもう少しバランスよく原作とTVオリジナルを見られたらとは正直思います。
そして今回の舞台は沖縄県でした。前編では沖縄表記はありませんでしたが屋根の上のシーサーの置物などからすぐに沖縄と想像がついたかと思います。もっとも後編では最後の船の所で沖縄県警のものとはっきり書かれていましたが。
ちなみにコナンで過去沖縄県が舞台となった作品といって思いつくものといえば、291-293「孤島の姫と竜宮城」と371-372「物言わぬ航路」の2つがあります。そして162「空飛ぶ密室 工藤新一最初の事件」では羽田空港から沖縄へ向かう飛行機の中で事件が起きたりもしていますね。
今回の作品は非常にオーソドックスな本格謎解きミステリーで、ナイフに付いた染みと逆さまになったリキッドファンデーションの2つがポイントとなりました。リキッドファンデーションを逆さまにしてドッキリを示唆させるというのは被害者のイタズラ心から来たものでなかなか面白かったと思いますね。
ただ犯人については正直すぐ当たりがついて実際本当にその通りの犯人でした。まあ大体ミステリーの容疑者っていうのはきちんとしたアリバイがある人ほど怪しい訳で、しかもそれがコナンたちやペンションの主人を除くと一人だけということになるとまあ臭いかなと思ってしまいますね。そうなると犯行時刻が発見よりも前か後になることも想像できる訳でそこまで来ればもう真相にたどり着くのは難しくないと思います。
ミステリーばかり読んでいるコアなファンにとっては更にもう一捻り欲しい気もしないでもないですが、こういうオーソドックスなのもまた気軽に楽しめるので個人的には好きですね。
犯人については同情の余地などまったくなくて、その程度の理由で殺されては被害者もたまらないですね。確かに孫の晴れ姿を見られなかった祖母は気の毒かもしれませんが、それ以上に孫が自分のためにこんな殺人犯になってしまったことを知ったらあの世で悲しむだけです。
役者の世界は厳しいことばかりかもしれませんがどんな仕事だって楽なことはありませんし、秋本冴子が最後に行ったように人のせいにしている暇があったら歯を食いしばって自分自身努力していくしかないのだと思います。
それと一つ気になったのが前編冒頭で撮影現場にコナンたちが遭遇した際には無人島の設定にもかかわらず道路を車が行き来していたのに、事件が起きた後は暴風雨に閉ざされた南の島だから犯人はペンションの人たちの中に必ずいると急になっているのですが、これはちょっとおかしい気がしました。
まあ島の地図実際に詳しく見ていないのでペンションと撮影が行われていた林がどれぐらいの距離にあるかも分からないので何ともいえない部分ですが、細かいことにうるさいファンにはツッコミを入れられてしまいそうな部分ですね。