(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)
江戸川コナン 工藤新一 毛利蘭 毛利小五郎 目暮警部 高木刑事 服部平次 遠山和葉 トメさん 世良真純 大和敢助 上原由衣 諸伏高明 若松耕平 若松芹香(43) 若松育郎(25) 椎名正繁(56) 藤波純生(30) 佐竹好実(32) 米原桜子(23) |
本編の主人公、正体は工藤新一 本編の主人公、高校生探偵 本編のヒロイン、新一の幼なじみ 蘭の父親で私立探偵 警視庁捜査一課警部 巡査部長、目暮の部下 西の高校生探偵、新一のライヴァル 平次の幼なじみ 鑑識員 女子高生探偵、截拳道の使い手で蘭たちの同級生 長野県警警部 長野県新野署警部 長野県警刑事、大和警部のライヴァル 被害者でデザイン会社社長、平次の母の知人 被害者 耕平の妻、デザイン会社 副社長 被害者 耕平の息子、デザイン会社 社員 デザイン会社 専務取締役 デザイン会社 チーフデザイナー 秘書 家政婦 |
高山みなみ 声の出演なし 山崎和佳奈 小山力也 茶風林 高木渉 堀川りょう 宮村優子 中嶋聡彦 日高のり子 高田裕司 小清水亜美 速水奨 声の出演なし 野沢雅子 里見圭一郎 御友公喜 宮下栄治 柳沢三千代 丹下桜 |
死んだ人から手紙が送られてきた!?……それが今回服部平次がわざわざ東京にやってきた理由でした。何でもその手紙の送り主─若松耕平という男性は平次の母親・服部静華の知り合いで平次も何度か会ったことがある東京のデザイン会社の社長なのですが、その若松が先月軽井沢の彼の別荘で何者かに殺害されてしまったというのです。
大阪府警の大滝警部の調査によるとちょうどその日は若松氏の妻の誕生パーティーを別荘で開いていたらしく、若松氏は金銭目当てで忍び込んだ何者かと運悪く鉢合わせになり殺害されたのではと現地の警察では判断しているというのでした。
ところがその若松氏から送られてきたという手紙、送り主は彼の名前が使われているものの消印が軽井沢の事件の10日後になっていることから本人から送られてきたものではなく、文面を読んだ限りでは若松氏を殺害した犯人から送られてきたものとしか思えないというのです。
「親愛なる服部平次様…是非高校生探偵である貴方とお会いして私が犯してしまった罪を告白したい」…
「でも、お会いしても貴方に私がちゃんと見えるかどうかは少々疑問です…何故なら私は、貴方方人間が勝手に作り出した歪んだ存在…真面に見る事が叶わぬ幻なのだから…」
「それでも会いたいのなら次の満月の夜…私が殺めてしまった男の家でお待ちしております」…
そのような文面の手紙に加え、更に若松氏の大阪の実家の住所の記載とその実家の鍵が添えられていたというのです。ところが手紙にある「次の満月の夜」に平次はタイミング悪く風邪で体調を崩してしまい…
そこで手紙の主が言う「真面に見る事が叶わぬ幻」の正体を確かめるべく代役を買って出たのが何と平次の幼馴染みである遠山和葉…彼女は鍵を勝手に持ち出すと「肝試しみたいな物だから」と友達を3人引き連れてその若松氏の実家に行ってみたというのです。
幽霊屋敷といっても若松氏が大阪に帰った際には使っていたことから、屋敷の中はきれいに掃除がされていて電気も通じていたというのでした。しかも玄関のインターホンを鳴らしてもまったく応答がなかったことから鍵を使って中へ入ってみると、中はお洒落で途中からは肝試しならぬ「豪邸訪問」になってしまったというのです。
ところが楽しかったのはそこまで…調子に乗り風呂場はどうなっているのかと興味を抱いてドアを開けて中を覗いてみると…
和葉たちが風呂場で見たのは、何と髪の長い気味の悪い人がお風呂場の壁に寄りかかって座っている姿だったというのです!
ところがその直後に急に明かりが消えてしまい、どうしようかと4人でパニックでいるとカサカサという不気味な音が…そして怖いから家の外に出ようと言い出した途端に再び電気がついたというのですが、すると先ほどまで風呂場にいたはずの人物が忽然と消えてしまっていたというのです!!
更に風呂場には人の姿の代わりにワープロの文字で書かれた紙が残されていたというのですが、そこには「消えたのは己の肉体のみ…文字に非ず」と書かれていたといい……
その文字というのはアルファベットの3文字で、風呂場にいた人物の頭のすぐ横あたりのタイルに「EYE」と大きく刻まれていたというのですが、電気がついた後にはその文字も人物と一緒に消えてしまっていたというのでした。にもかかわらずなぜその紙には「(消えたのは)文字に非ず」と書かれていたのでしょうか…!?
しかし実は本題はここからでした。何と先月若松氏が軽井沢の別荘で殺された事件でも、和葉が見に行った大阪の若松氏の実家の風呂場と同じようなデザインのタイルの風呂場で若松氏が殺害されていたというのです!!!
しかも最初にその遺体が発見された時には被害者の血で書かれたダイイングメッセージがあったはずなのに、警察が来た時にはその文字は消えてしまっていたらしく……
若松氏の指には血がついていて明らかに何かを書いたのは間違いないのになぜか消えてしまった文字…タイルには上から下へ段々と薄い色に変わるグラデーションがかかっていてすり替えるのも難しい中で、一体犯人はどうやってその文字を消したのか…その話を聞き俄然興味が沸いた平次は、そこで東京にある若松氏の本宅を訪問し事件関係者から話を聞くことに…これが平次が東京へやって来た目的だったのでした。
そしてその話を聞いたコナンも平次と同じように興味を抱き、小五郎と蘭、それに和葉と5人で連れ立って若松氏の屋敷へと向かうことになったのですが…。
若松氏の屋敷に到着すると5人は亡くなった若松耕平氏の妻・芹香から出迎えを受けますが、それを皮切りに事件関係者たちと次々と顔を会わせていくこととなります。
まず耕平の前妻の息子だという育郎がやってきて、家政婦がおらず夕食がまだなことにひどく立腹している様子でいました。それから5人の後に続くように若松氏のデザイン会社で専務取締役を務めている椎名正繁とチーフデザイナーをしている藤波純生が一緒に屋敷の中へと入ってきます。
そしてその後は椎名がお土産に持ってきたバームクーヘンを紅茶と一緒に出すようにと、芹香に言われて姿を見せたのは若松氏の秘書を務めていたという佐竹好実、更には5人がリビングに招かれて紅茶を飲んでいると突然ドアを開けて家政婦の米原桜子が姿を見せてこれで主要な事件関係者が勢揃いします。ちなみに米原桜子は軽井沢の事件の遺体の第一発見者でもあったことから、平次はさっそく消えたダイイングメッセージについて彼女に尋ねようとしますが…。
ところがそれを遮るような形で、息子の育郎がバームクーヘンを早く切るようにと秘書の佐竹好実を急かすと、せっかく会社の主要メンバーが揃ったのだからと時期社長の話をしようと切り出します。
それから育郎は若松氏の血を引いている自分が当然次期社長になるべきだと言い出しますが、我慢ができないのかまだ皿に盛りつける前のバームクーヘンを一切れつまむとおもむろに食べ始めたのです。
ところがそのバームクーヘンを口にした直後、育郎は急に苦しみ出したかと思うと、そのまま床に倒れこんでしまい……
服部平次の母親の知り合いで東京でデザイン会社を経営する若松耕平が先月長野県の軽井沢で殺害され、その犯人と思われる人物が若松氏の名前を使い服部平次の元に挑戦状とも思える手紙を送りつけてきました。
手紙には若松氏の大阪の実家の鍵が添えられており次の満月の夜に待っていると書かれていたのですが、運悪く平次は風邪で体調を崩してしまい平次の幼馴染みの遠山和葉が友人3人を引き連れて様子を見に行くことに。
すると和葉たちはそこで風呂場に寄りかかる髪の長い気味の悪い人間を目撃するのですが、その直後に消えた明かりが再び点くと人の姿は跡形もなく消え去り、代わりにそばのタイルに「EYE」の文字が残されていたというのです。
ところが問題だったのは若松氏が軽井沢で殺害された現場というのも、和葉たちが見た大阪の実家のと同じようなタイルを持つ風呂場だということでした。しかも最初に遺体が発見された時にあったはずの血文字が警察が来た時にはなくなってしまっていたらしく…平次が大阪から東京までわざわざやって来たのはその不可解な謎に興味を抱いたからで、東京の本宅に連絡を取り事件について詳しく話を聴くことにしていたのです。
ところがコナンたちを引き連れて平次が若松氏の東京の本宅にやって来てほどなく、デザイン会社専務の椎名正繁が持ってきたバームクーヘンを食べた若松社長の息子・若松育郎が突然苦しみ出し……
「この電話番号に電話して、メッセージを聞くと応募したことになるよ!」ということで、EYEでは青山剛昌先生直筆「サイン入りポスター」を5名様、Sでは江戸川コナン役 高山みなみさん「サイン入りステッカー&缶バッジ セット」を10名様、Poisonでは劇場版名探偵コナン 11人目のストライカー公開記念「番組オリジナルQUOカード(500円分・非売品)を100名様、Illusionでは名探偵コナン×Jリーグ「コラボシール42枚セット」を100名様というプレゼントの内容でした。
まず前半、オープニング前は原作の第1話目の3ページ目の最初のコマまでですが、この部分は前の話651「コナンvs平次 東西探偵推理勝負」のエンディング後にも挿入されていて繰り返しになります。その際には大阪府警の大滝警部が名前だけ平次の口から登場するのですが、アニメではそれがカットされています。そして「殺される」という表現が「殺害される」にすべて変わっていますね。これは最近の放映ではすべてこうなってます。
それから被害者の若松宅を訪れますが、その際被害者の妻若松芹香の応対を受けた際の平次の(前話の新一=コナンとの推理勝負について)「ま、実際引き分けやったんやけどな…」という心の中のつぶやきがカットされ、その後の小五郎のバカ騒ぎについては原作どおりですが、アニメでは歯がキラリと光る演出が追加されていて妙に笑えます。
その後は出された紅茶の名前がプリンス・オブ・ウェールズからインペリアル・ウェールズに変わっているなど細かいセリフの変更やカットなどありますが、全体的に原作どおりに2話目の平次が警察を呼ぶように和葉に言う所まで進んでいきます。
そして後半は目暮警部ら警察の捜査陣が登場する所からはじまりますが、ここでは家政婦の被害者がとても食いしん坊でという一連のセリフのうち1コマがカットされている、パソコンに関する被害者の妻と秘書とのやり取りでウィンドウズとマックの商品名が伏せられてOSが違うという表現に変わっているなどの変更点はあるものの全体的に原作に忠実な作りで、容疑者全員の名前にSのイニシャルが入っているという所まで進んでいきます。
まず前半ですが、冒頭はイニシャルのSが容疑者全員についているという所まで前の話で進んでいたのですが、少し戻ってその直前のコナンの「ホラ、先日軽井沢の別荘のお風呂場で」という家政婦に対するセリフの所から再度スタートします。
それ以外については細かいセリフの変更や若干のカットなどありますが、全体的には原作どおりにコナンの早く上原由衣刑事に電話してみようよというセリフの所まで進んでいきます。
後半についてもほぼ原作どおりで進んでいき、原作3話目の最後までストーリーが進行していきます。特筆すべき所はありませんでした。
まず前半は原作4話目の冒頭からはじまりますが、全体的に細かいセリフのカットが目立ちます。そして蘭と和葉がコソコソと話をしているのを小五郎が咎めた時に原作では和葉が「こっちも実況見分中や!」と返す所がアニメでは「こっちは捜査会議中や!」に変更されています。
そして平次とコナンが家政婦と表にいる鑑識を借りて何やら調べ始めるシーンになると、表の鑑識というのが原作ではメガネをかけた中年風の男性になっていますが、アニメではここがはっきりとトメさんになっています。これは原作読んだ時にそうなるだろうと確信してましたが(笑)
その後も全体的にセリフの部分的なカットがやや目立つものの、全体的に原作に忠実な流れで4話目の最後までストーリーが進んでいきます。
後半は原作5話目の冒頭から容疑者たちが帰りたがるのを目暮が留めるシーンまでですが、こちらも多少のセリフの変更や細かいカットはあるものの、全体としては原作に忠実な作りとなっています。
まず冒頭ですが普段なら前回までのあらすじがある所が、今回はそれがなく直接に原作5話目の平次とコナンが夜空の見える中で事件について話し合う所からスタートします。
その後は和葉の平次が帽子のツバを後ろに戻したら自分の出番だと言って燃えているシーンの燃え方が異常なぐらい凄い(苦笑)のを除けば、ほぼ原作に忠実な作りで最終6話目の小五郎があるものを見て驚くシーンまで続いていきます。
後半についてもほぼ原作どおりですが、エンディング後の最後のオチのシーンの演出が…特に平次のセリフが何ともいえないぐらい笑えますね(笑)
亡くなった若松社長が好きだったという紅茶の銘柄。実際に存在する名前で不都合があるためか、アニメでは「インペリアル・ウェールズ」に変更されています。
ちなみに同じ名前はイギリスで王子に与えられる称号のひとつでもあり、連邦の一つであるウェールズの君主である「ウェールズ公」を意味するそうです。
今回の事件現場に使われた風呂場のタイルを見て長野県警の諸伏高明警部が説明した錯視現象(いわゆる目の錯覚)。
すべて同じ明るさのグラデーションでできている菱形を上下左右に同じ方向に並べると、本来はまったく同じ色と明るさのものにも関わらず上側を明るくすると上のものほど明るく見え、下側を明るくすると下のものほど明るく見えるように錯覚を起こす現象を指します。
いわゆる錯視(目の錯覚)の一つで、物の大きさを比べる時に人間は隣り合った所の長さを比べて見てしまうため、台形のような上下の辺の長さが違う図形を上下に並べると片方が大きく見えてしまうそうです。
100年以上前に心理学者のジャストローという人がこれを発見したためにこの名前がついたのだとか。
同じ文字を長時間見続けることにより脳が疲れて機能低下を起こし「この漢字ってこんな字だったっけ?」と感じ始めて混乱してしまう現象をいいます。
今回は錯視を題材にした面白いトリックでしたね、問題はどうやって被害者に2つのうちから毒を盛ったバームクーヘンを取らせるかだったのですが、そこで使われたこの錯視を使ったトリックは個人的には目からウロコで非常に良かったと思います。何よりもその前に伏線としてクレイジーダイヤモンドで錯視を登場させていたのに気づかなかったというのが悔しくてしてやられてしまったという感じでした(苦笑)
プロットとしては最初の社長殺害が今回とは別というか今回の事件の被害者の息子で、更に義理の母親に罪を着せて自殺に見せかけて殺害するという非常に手の込んだ形になっていました。そして「S」というのは最初の事件の若松社長のダイイングメッセージということでしたが、「EYE」というのは平次をミスリード役として東京に来させるため以外には結局何の意味もなかったということですよね。そのあたりがちょっと複雑過ぎて理解するのに苦労してしまった方もいるかもしれません。それぐらい今回はややこしい事件だったと思います。
ミステリーとしてはそのような感じで少し複雑だったものの高い評価ですが、物語としては何といってもラストの和葉が平次に告白するあたりが何とも微笑ましいというか、高木刑事ではありませんが見ている方が思わず赤面したくなってしまう内容でした。ただその後の展開が最高でしたね(笑)
特にアニメの演出が抜群で告白時の和葉の声がこだまする感じからキラキラ光って、エンディング後にそのキラキラが解けた後の平次が忽然と姿を消してしまっているというオチから、和葉が「ええええ!?」と叫んだ後の犬の吠える声、更にその後の平次のコナンに対する態度と表情が何ともたまらなく好きでしたね。久しぶりに大笑いさせてもらいました。
そして最後にやっぱり触れておかなければならないのが鑑識のトメさんでしょう。アニメのみチラっとですがこれで2012年も無事に登場を果たしてくれました。このキャラクター非常にマイナーですがいい味出していてサイト開設から10年ずっと応援しているキャラクターなので、こうやってたまにでもいいので姿が見られるとファンとしては嬉しいです。