映画「迷宮の十字路」聖地巡礼の旅 先斗町

先斗町(ぽんとちょう)は京都を代表する繁華街の一つで、鴨川のすぐ西側を南北に通る非常に細い道に多くの店が軒を連ねています。
そして祇園甲部・宮川町・上七軒・祇園東とともに京都の五花街の一つで、北側に舞妓・芸妓が舞を稽古・公開する場である先斗町歌舞練場があるほか、20を超えるお茶屋が現存しています。

お茶屋があるのは三条通の1筋南から四条通にかけてあることから、作中に登場する「桜屋」も架空のお茶屋ですが、そのモデルがあるとすればこの三条から四条の間の先斗町通にあると推測されました。

まず作中で先斗町として紹介されるシーンの場所については、探索の結果概ねここではないかという場所を突き止めることができました。
それが上記の写真で、通りの左側の一番手前の町家の格子窓の位置やその奥の町家の雰囲気、何よりも右側にある町家の屋根の造りとその上に突き出ている街頭などはそのまま忠実に再現されていますよね。

次にお茶屋「桜屋」についてですが、冒頭の写真の中では路地の左側の手前にある町家がありますが、ここは「井雪」というお茶屋で、その右隣りの町家が桜屋の建物がある場所になります。

しかしこの場所にあるお店は「ひろ作」といい、家庭料理のお店でお茶屋ではないようです。
ただし店の名は開店当時にオーナーだった芸妓さんのおかあさんの名前から付けられたそうで、花街とまったく無関係なお店ではなく、芸妓さんもよく訪れる店なのだそうです。

桜屋のお座敷の中については、お座敷遊びをしたことがないので当然ですが全くモデルは判りません(苦笑)

最後にせっかくですので、作中に登場している花街の豆知識について

まず冒頭に舞妓の千賀鈴さんが舞を披露していますが、その際に踊っているのは「祇園小唄」という非常に有名な曲になります。

元々は作家・長田幹彦のベストセラー小説「祇園夜話」を映画化した1930年(昭和5年)の「祇園小唄絵日傘」の主題歌として大流行した昭和の名曲で、祇園甲部を指導する京舞四世・井上八千代が振り付けをし花街を代表する舞踊曲としても知られるようになりました。

舞妓さんはその修行期間にあたる「仕込み」の頃から毎日のように舞う曲で、京都で舞妓さんがイベントに登場する際に披露される舞といえば大体この曲が多いです。

「月はおぼろに東山」の歌詞ではじまり、4番までありますが、いずれも最後は「祇園恋しやだらりの帯よ」で締めくくられます。

月はおぼろに東山
霞む夜毎のかがり火に
夢もいざよう紅桜
しのぶ思いを振袖に
祇園恋しや だらりの帯よ

夏は河原の夕涼み
白い襟あしぼんぼりに
かくす涙の口紅も
燃えて身をやく大文字
祇園恋しや だらりの帯よ

鴨の河原の水やせて
咽(むせ)ぶ瀬音に鐘の声
枯れた柳に秋風が
泣くよ今宵も夜もすがら
祇園恋しや だらりの帯よ

雪はしとしとまる窓に
つもる逢うせの差向(さしむか)い
灯影(ほかげ)つめたく小夜(さよ)ふけて
もやい枕に川千鳥
祇園恋しや だらりの帯よ

作中では最後の4番の「川千鳥(かわちどり)」の所から曲を聞くことができるかと思います。

ちなみに「だらりの帯」とは舞妓さんがしている帯のことで、結んだ後の残りの帯が地面すれすれまでに垂れ下がる姿がとても印象的です。後姿を見れば分かりますが、非常に長く見えます。

他にも舞妓さんは地毛ですが、芸妓はかつら、舞妓さんはおこぼと呼ばれる高下駄を履くことが多いなど、よくよく違いを比べてみると舞妓さんと芸妓さんには大きな違いがあるのが分かります。

ちなみに舞妓さんは芸妓になるまでの修行期間のことで、15歳ぐらいで花街に入り、20歳ぐらいで通常は芸妓さんになります。

最後に小五郎が遊んでいたお座敷遊びについては、細かいルールまでは説明しませんが(笑)、最初のは「金毘羅船々(こんぴらふねふね)」、2つ目のは「とらとら」といいいます。

TOPへ

名探偵コナンカレンダー

×