(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)
江戸川コナン 毛利蘭 毛利小五郎 目暮警部 小嶋元太 円谷光彦 吉田歩美 涼子 男A 男B 男C 男D 警備員 仮面ヤイバー ジョッカー |
本編の主人公、正体は工藤新一 本編のヒロイン、新一の幼なじみ 蘭の父親で私立探偵 警視庁捜査一課警部 帝丹小学校に通うコナンのクラスメート 帝丹小学校に通うコナンのクラスメート 帝丹小学校に通うコナンのクラスメート 米花デパートのエレベーターガール デパート強盗団 デパート強盗団 デパート強盗団 デパート強盗団 丸丹デパートの警備員 子供達に大人気の特撮ヒーロー ヤイバーの宿敵 |
高山みなみ 山崎和佳奈 神谷明 茶風林 高木渉 大谷育江 岩井由希子 佐々木優子 中村大樹 松尾銀三 山崎たくみ 巻島直樹 千葉一伸 ??? ??? |
「地球の平和はこのヤイバーが守る!!!」─なぜ高校生にもなってこんなものを見なくてはいけないのか…小さくなった新一=コナンは、現在丸丹デパートで開催されている仮面ヤイバー・ショーをたくさんのちびっ子たちと観賞しながら、ひとり心の中でぼやいていました。でも今自分の正体がバレては元も子もない…コナンは気力を振り絞って小学生になりきりヤイバーへと声援を送るのです。
ショーが終わると歩美、元太、光彦と前述のコナンは、憧れの仮面ヤイバーからサインをもらい、更には一緒に記念撮影。みんな大満足の様子でヤイバーの歌を歌いながら帰宅の途に着きます。
ところがその帰り道…元太は自分がもらったヤイバーの色紙がいつの間にか失くなっていることに気づき愕然とします。一生の宝物にしようと思ったのに…元太の落ち込みように同情したコナンは、元太が色紙を忘れた場所を推理してやり、それをもとに探偵団たちは色紙を取りに再び丸丹デパートへと引き返していったのです。
するとデパートはすでに閉店時間も過ぎ、あと10分でセキュリティー・システムが作動し、中からは出られなくなる所でした。それまでに何とかして色紙を探し出し、デパートの外へと出なくてはいけない…意を決した探偵団たちは警備員の目をすり抜けデパートの中へと侵入。無事色紙の方は発見に至りますが、間一髪のところでセキュリティー・システムが作動し、脱出には失敗。四人は敢え無くデパートの中に閉じ込められてしまいます。
愕然とする歩美、元太、光彦でしたが、コナンは警備員室へ行き事情を話せばきっと外に出してくれると冷静に三人を励まし、四人は急ぎ警備員室へと向かいます。ところが警備員室では…
コナンが警備員室のドアをそっと開いて中を覗いてみると、そこでは仮面ヤイバーやジョッカーの手下の恰好をした若い男たちが数名、机の上にデパートの見取り図を開き何やら相談しているようでした。そして部屋の隅には猿ぐつわをかまされ、縄で縛り上げられた警備員とコナンたちを笑顔で見送ったデパート・ガールの姿が…男たちの会話を総合すると、どうやら連中はデパート強盗団らしく、これから6階の宝石売り場に向かい、売場にある宝石を根こそぎ奪う計画を立てているようでした。
それを耳にしたコナンたちは急いで警察に連絡を取ろうとしますが、コンピュータ制御された従業員室の電話は全てがつながらず、途方に暮れてしまいます。
そして何とか外部と連絡を取ろうと必死に手段を考えていると、その時廊下の向こうからこちらに向かって歩いてくる男たちの足音が聞こえてきて……
仮面ヤイバーショーを見にデパートにやって来た少年探偵団たちは、元太が忘れたヤイバーのサイン色紙を取りに戻った際、閉店しセキュリティーシステムが作動したデパートの中に閉じ込められてしまいます。そしてそこで偶然デパートを荒らしている強盗団に出くわし……
深夜のデパートで繰り広げられる探偵団と強盗団の追いかけっこをテンポよく描いた冒険&サスペンス・ストーリー。またラストに用意されている意外な結末にも注目です。
今回の事件の舞台となったデパートの名前。名前の由来はデパートの丸井(OIOI)と伊勢丹を掛け合わせたものといった所でしょうか
建物の構造は完全には把握できませんが、垂れ幕に「5階リニューアルオープン」とあり、犯人たちの会話から6階が宝石売場、7階が骨董品を展示した特設会場があることが分かります。そして5階までは表示板によると次のような感じになっているようです。ヒックーコストアはスーパーのピーコックストアのもじりだと思われます。
5階 インテリア・寝具
4階 ゴルフ・スポーツ用品 電器・メガネ
3階 婦人服・特選・きもの
2階 婦人カジュアル トラッド
1階 婦人雑貨・貴金属・時計
B1 ヒックーコストア(スーパー、食品等)
B2 駐車場 セキュリティ オフィス
当日は仮面ヤイバーショーが開催され、これを探偵団たちが観賞し、記念撮影にサインまで手に入れてゴキゲンで家路に着こうとしたのでした。
子供たちに大人気の特撮ヒーローで、もちろん少年探偵団たちも大ファンです。探偵団たちを語る上では外せないキャラクターでもあり、この後も何度となく名前やグッズが登場して、コナンのストーリーをより面白いものにしてくれています。
アニメでは12「歩美ちゃん誘拐事件」でも登場しましたが、本格的な登場は今回が初めて、ヤイバーキックも炸裂し、大満足の探偵団たちでした。
仮面ヤイバーについては、詳しくはキャラクターファイルの仮面ヤイバーのページをご覧下さい。
強盗団が使用していたトランシーバーについていたロゴ。KENWOODのもじり。
小五郎が読んでいた雑誌の名前。スクープ写真などで好評を博した新潮社発行の写真週刊誌FOCUSのもじり。
FOCUSは1980年10月に創刊され、一時は200万部を超える発行部数を誇りましたが、写真週刊誌のイメージ悪化とともに徐々に売上げを落とし、2001年に休刊(事実上の廃刊)に追い込まれています。
蘭が電話をかけようとした際にテーブルの上に置かれていました。NTTの電話帳であるタウンページのもじりだと思われます。
3回目のオリジナルストーリーで、今回は小五郎や蘭も登場しますが、主役として活躍するのは少年探偵団たちです。仮面ヤイバーの戦闘シーンも用意され、探偵団の子供らしい活躍が楽しめる好編でした。
ジャンルとしては冒険ストーリーというかサスペンスというか、強盗団たちとの追いかけっこが深夜のデパートを舞台に繰り広げられます。マネキンとかその他いろいろな小道具やら大道具も多数登場し、デパートという舞台の特性を上手く利用した楽しい作品に仕上がっています。
しかしこんなに派手にいろいろとできたら本当に楽しいでしょうね(苦笑) デパートの損害を計算したら大変な金額になるでしょうし、そう考えると何のお咎めもなかったのは何よりでした。
一方でコナン他、探偵団たちの帰りを心配して待つ蘭と、そのためになかなか晩御飯を作ってもらえない小五郎の二人のやり取りも随所に挿入されて、それが話を効果的に盛り上げていました。なかなか晩飯にありつけず何度もガックリする小五郎はちょっと可哀相でしたが(苦笑)
探偵団たちも今回は大活躍で、元太は「殺される前にうな重一杯食いてえ」とお約束のうな重節で楽しませてくれましたし、申し訳なさそうにデパートの食べ物を食べる歩美ちゃんも性格がよく現れていましたし、光彦が酒に弱いことという発見もありました。何よりも子供たちが活躍する話は元気があっていいですよね。
またそれらに加えてラストにひと捻りあって、意外な結末を迎える所も見逃せません。傑作というところまではいかないかもしれませんが、充分に楽しめる佳作だと思います。