(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)
江戸川コナン 毛利蘭 毛利小五郎 目暮警部 芦屋暎子 谷口美香 江田 鑑識員 |
本編の主人公、正体は工藤新一 本編のヒロイン、新一の幼なじみ 蘭の父親で私立探偵 警視庁捜査一課警部 有名なファッションデザイナー 芦屋暎子の秘書 芦屋暎子の事務所のあるビルの受付係 鑑識員 |
高山みなみ 山崎和佳奈 神谷明 茶風林 吉田理保子 深見梨加 秋元羊介 高木渉 |
とある日曜の都内某所ビル8階。その日は休日のためなのかビルの中は明かりもなく真っ暗。しかしそんな暗闇の中を一人静かに歩く女性の姿が…
きれいに化粧をし、流行の最先端を行くファッションの服装を身にまとい、誰が見ても素敵な身だしなみをしているその女性でしたが、足元を見ると、なぜかそれとは不調和なスニーカーを履いていました。そして彼女はフィッティングルームの方へと静かに歩いていったかと思うと急に引き返してビルの非常口の方へと向かいます。口元には不敵な笑みを浮かべながら……
一方同じ日の丁度同じ時刻、小五郎、蘭、コナンの三人はバスの後部座席に座りながら目的地に着くのを今か今かと待っていました。バスの中は乗客もまばらでしたが、道路の方は休日にもかかわらず車で大渋滞。こんなことなら電車で行った方が良かったと相変わらず愚痴の絶えない小五郎でしたが、蘭はというと花束を大事そうに抱えながらこれから会いに行く芦屋暎子のことで頭が一杯の様子。
三人が会いに行く芦屋暎子というのは日本でも指折りのトップデザイナーで、小五郎の話では先日ファッションショーが出展するはずだった冬物の服とよく似たデザインのものをライヴァル会社に先に出されてしまったために中止になるという不幸はあったものの、依然業界では根強い人気を集めているというのです。
そして蘭は幸運にもその大ファンである芦屋暎子のデザインする服のモデルを務めることとなり、小五郎とコナンの付き添いで彼女の事務所のあるオフィスビルを目指しバスに乗り込んだという訳でした。
ビルの前に到着すると、いつもはだらしのないあの小五郎が、何と鏡を手に念入りに身だしなみをチェックしていました。どうやら先ほどの芦屋暎子の説明といい、口では否定するものの小五郎も芦屋暎子の大ファンで、会うのを楽しみにしているのは明らかでした。
中に入ると、受付には江田という男がいて、芦屋暎子は今外出中で、もう少しで戻ってくると教えてくれます。休日ということでビルの中は静かで人気は全くなく、中にいるのは自分たちだけのようでした。しばらく江田と話をしていると、芦屋暎子が戻って来たらしく、大きなバッグを大事そうに抱えながらビルの中へと駆けてきます。
遅れてきたことを丁重に詫びる彼女に蘭は改めて今回のモデルの件で感謝の言葉を述べ、それから小五郎とコナンを自己紹介しますが、芦屋暎子は名探偵として名高い毛利小五郎の名前を聞いた途端に顔色が真っ青になります。コナンはそれを不思議そうに眺めていたのですが…
小五郎が蘭から花束を取り上げて芦屋暎子に渡そうとしていると、ビルの中にまた人が一人入ってきました。センスの良い服装にきれいに化粧をしたその若い女性は谷口美香といい、芦屋暎子の秘書を務めているということでした。
しかし話を聞いているとどうやら谷口はもうすぐ秘書を辞めるらしく、彼女は小五郎たちに軽く挨拶すると、芦屋暎子に対しては休日出勤の代わりに一日早く辞めさせてもらうと不満そうに話しかけます。
芦屋暎子は谷口の要求をしぶしぶ承知し、彼女には8階のフィッティング・ルームに行き先に準備しているように命じ、蘭たちには自分はこれから15階の社長室に行き、蘭からもらった花を活けるついでに書類を取ってくるので、ロビーのソファで待っているようにと言い残し、エレベーターの方へと向かっていきます。
ビルにはエレベータは三つあり、一番左のものは15階の芦屋暎子の社長室まで直通。芦屋暎子はこちらに乗り込んで社長室へと向かっていきました。
真ん中のエレベーターは8階までは直通で、そこからは各階に止まり。芦屋暎子が隣りのエレベーターに乗り込んだのと時を同じくして、秘書の谷口はこちらを使って8階のフィッティング・ルームに向かっていきました。
そしてしばらくすると…突然一番左のエレベーターが1階に引き返してきて、ひどく慌てた様子で芦屋暎子がロビーの方へと戻ってきます。どうやら社長室から谷口の携帯に電話をかけても出ないことを心配し、受付の江田と一緒に彼女がいるはずの8階に様子を見に行って欲しいということのようでした。
それを聞いた江田は芦屋を落ち着かせながら、様子を見に行くため真ん中の8階直通のエレベーターの前にやってきてボタンを押しますが、不思議なことにエレベーターは8階で停止したまま動きませんでした。
そこで江田と芦屋、それに小五郎たちも加わり、8階止まりで各階に止まる一番右のエレベーターで8階へと向かいますが……8階に着くと、真ん中のエレベーターの前では秘書の谷口美香が胸にナイフを突き立てられて服を血で真っ赤に染め、自らの体でエレベーターの扉を遮るようにしながら仰向けの態勢で息絶えていたのです。
そしてエレベーター付近の床の上には何者かが非常口を目指して逃げていったような足跡が残されていて……
ビル荒らしの犯行か? しかしコナンは芦屋暎子の数々の不可解な行動から、彼女が犯人であると確信します。ところがその彼女にはその時15階にいたという鉄壁のアリバイが……