(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)
江戸川コナン 毛利蘭 毛利小五郎 目暮警部 武居勝彦 花井亜希子 武居直子 まさひと 船長 刑事A 刑事B |
本編の主人公、正体は工藤新一 本編のヒロイン、新一の幼なじみ 蘭の父親で私立探偵 警視庁捜査一課警部 会社社長、有名な乗っ取り屋 武居勝彦の秘書 武居勝彦の娘、蘭と新一の同級生 花井亜希子の幼い弟、4年前に他界 船乗り、警察の捜査に協力 目暮の部下 目暮の部下 |
高山みなみ 山崎和佳奈 神谷明 茶風林 阪脩 小山茉美 岩井由希子 声の出演なし 中村秀利 千葉一伸 高木渉 |
ある暑い夏の日の昼下がり、約束の1時まであと5分ほどに迫った港湾埠頭に密かに停められた車の中で、警視庁捜査一課の目暮警部は部下の刑事たちに自らの指令を発している所でした。
─人質の安全が最優先であり決して無理はしないように……そう、目暮警部は誘拐事件の身代金の受け渡しという緊迫した空気の真っ只中にいたのです。
誘拐されたのは乗っ取り屋として悪名高い会社社長・武居勝彦の娘・直子で、そんな父親からは想像もできないほど可憐で可愛らしい少女でした。
しばらくすると犯人から武居社長へと電話がかかってきます。変声機か何かで声色を変えているその声は金の確認を求め、それに応えるように武居社長は金の用意ができていることを告げ、更に直子の姿を一目見せて欲しいと懇願します。
そこで電話は切れ……やがて現われたのは灰色のワンボックスカーでした。車は武居の乗っているベンツの近くの止まったかと思うと、武居社長の要求に応えるようにして窓からは目隠しをされ口にガムテープをされてひどく怯えた様子の少女の姿が現われます。
そしてそれを見た武居はうろたえながらも金の入ったトランクを手に車を降りようとしますが……
その時でした。電話の声の主は警察の存在に気づいたらしく、武居には取引の中止を告げ、そのままワンボックスカーをスタートさせ港を走り去っていきます。
慌てて追跡を開始した警察の車のサイレンの音がこだまする中、港に残されたのは落としたトランクから飛び出した数枚の一万円札と大量の新聞紙の切れ端が風に舞い散る中を一人茫然と立ち尽くす武居の姿だけでした…。
一方警察の懸命の追跡もあってか、ワンボックスカーは必死の逃走を試み速度をどんどんと上げていっているようでした。それが災いしたのか……港から川沿いに上流の方へと逃げ続けていたワンボックスカーは、急カーブにさしかかった所で右に曲がりきることができずにそのまま直進。フェンスをぶち破って前方を流れる川の中へと突っ込んでいってしまいます。そして車はそのまま深い川底へと沈んでいってしまったのです……
やがて誘拐された武居直子とは同級生だったという蘭と小五郎、そして今回の事件の指揮を執った目暮が見守る中、警察の手によってワンボックスカーは川底から引き揚げられます。それをそばで見つめるコナン(新一)も、いつも寂しそうにしていたという武居直子のことを思い出し複雑な心境のようでした。
ところが急な流れの川のためか、引き揚げられた車の中には犯人も武居直子の姿もありませんでした。そして遺体も上がらないことに悲しみをより深くする蘭…。
武居社長も警察に対し怒りを表す一方で、悲しみを堪えて何とか犯人だけでも突き止めて欲しいと警察の代わりに小五郎に捜査を依頼するのでした。
武居の屋敷へと招待された三人はそこで武居社長の秘書を務め、若くして亡くなった彼の妻に代わり母親のような存在として直子と接してきたという花井亜希子から事情を詳しく聞かされます。そして直子の部屋を調べることで事件の真相に一歩でも近づこうと懸命の捜査を開始したのですが……