(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)
江戸川コナン 毛利蘭 毛利小五郎 大山将(53) 中原香織(30) 金澤智康(48) 飛田銀二(31) 江角果歩(30) TVの女(光江) TVの男(勉) |
本編の主人公、正体は工藤新一 本編のヒロイン、新一の幼なじみ 蘭の父親で私立探偵 東都大学医学部第一外科教授 東都大学医学部第一外科助手 東都大学医学部第一外科助教授 東都大学医学部第一外科助手 東都大学医学部第一外科助手 メロドラマ「愛こそすべて」に出演する女優 メロドラマ「愛こそすべて」に出演する俳優 |
高山みなみ 山崎和佳奈 神谷明 藤本譲 山田栄子 篠原大作 遊佐浩二 石塚久美子 岩井由希子 高木渉 |
気の進まないまま蘭とコナンに連れ添って雪山にスキーをしにやってきた小五郎は、雲ひとつない大空と白銀に彩られた大自然の雄大さをじっくり味わうこともできぬままに夕暮れが迫り、スキーを終えることになってしまいます。
ところが蘭とコナンの悪ふざけのせいか、小五郎はスキーで転倒した弾みで貸別荘の鍵をどこかに落としてしまったというのです。辺りには電話ボックスもなく周囲の別荘はすべてまだ建築中で人もおらず、スキーバスも既に出た後…「唯一遠くに見える豪華な別荘」が一件あるきりで…
「あんな所に別荘を建てる成金野郎の世話にはならない」と、小五郎が仕方なく貸別荘のドアを破ろうとしたその時でした。
突然背後から車に乗った男の声がして、すぐに小五郎が名探偵の毛利小五郎であることに気づきます。
どうやらその男─大山将は小五郎の大ファンらしく、いつも新聞で推理を読むのを楽しみにしているというのでした。そして「唯一遠くに見える豪華な別荘」を指差して、自分の別荘の電話を使うことを勧めてくれたのです。
「気品溢れる色とデザインが、建てた人間の人柄を表している」と別荘の前までやって来た小五郎は大山の別荘を絶賛。なおも小五郎が獅子の飾りに見とれている間に、大山は蘭とコナンからも自己紹介を受けます。そしてしばらくすると大山は「馬が欲しかった」と謎めいた言葉を残して別荘の中へと入っていったのでした。
大山というのは東都大学医学部第一外科で教鞭を執る教授でまた医師でもありました。そして先日も「大腸癌に対する遺伝子治療の開発」という論文を発表して学会で大いに注目を集めた有名な人物だったのです。
その日大山の別荘には、そんな彼の名声や人望を慕って集まってきた同じ東都大学医学部第一外科の大山の教室員の医者たちが親睦を深めるために集合したという訳でした。彼らは昼間はスキーを楽しみ、それから夜は大山を囲んで鍋を楽しみながら酒を酌み交わすことになっていたのですが…
その宴会の席に加わった小五郎たちは同席した医師たちから大山の才能の凄さをこれでもかというほどに聞かされますが、その場にいた大山もそれを聞いてまんざらではない様子でした。
そして宴は楽しい雰囲気の中延々と続いていくかと思われましたが、9時少し前に酒のつまみが残り少なくなってしまったため中原香織がふもとのコンビニまで買い出しに向かったのを皮切りにして、大山は最近はまっているという土曜9時からのメロドラマ「愛こそすべて」を観るために一人教授室に向かい、飛田銀二は滑り足りないと言い残してナイタースキーに向かい、助教授の金澤智康はつまみが来るまでのんびり風呂にでも浸かると言い残して部屋を出て行ってしまったのです…
結局宴会の場には僅かな時間生ゴミを外に出しに行っていた江角果歩と蘭とコナン、そしていつの間にか顔を真っ赤にして、麻酔銃の力を借りるまでもなく気持ちよさそうに眠りこけている小五郎の四人が残されただけとなります。
それから更にしばらく時間が経ち…9時50分過ぎになると外は猛吹雪に見舞われていましたが、宴会場には再び人気が戻り始めます。
まずふもとのコンビニに買い出しに行っていた中原香織が買物袋を抱えながら戻ってきます。次にナイタースキーに行っていたはずの飛田が吹雪のために11時の予定よりも大幅に時間を繰り上げて帰宅。更には風呂に浸かっていた金澤もすっきりした表情で部屋に戻ってきたのです。
ところが10時10分を過ぎても大山の姿だけはありませんでした。1時間のメロドラマはもうとっくに終わっているはず…その頃は宴会場にいた一同も、いつものように録画したビデオを何度も巻戻して見ているであろうと全く気にしていない様子だったのですが…
しかしその頃大山の教授室では…何と大山は全身を血まみれにして両手を後ろ手に縄で縛られ、口には猿ぐつわを咬ませられた状態で床の上でもがいていたのです…!!
そして背中には包丁を突き立てられた状態で、ひどく呼吸が苦しそうな様子…。
どうやら何者かに背後から襲われて縛られた上で背中を包丁で刺されたらしいのですが、意識はまだかろうじて残っているようでした。そして大山は襲われた際に顔を見たのか、彼を襲撃した犯人が誰か既に分かっているらしく…
「最初からこういうつもりで別荘に呼んだのか…」─大山はそのことを後悔しつつも、何とか自分をこんな目に遭わせた犯人に対して一矢報いようと必死で智恵を振り絞ります。
「そうここにはあの名探偵の毛利小五郎がいる…彼ならばこのメッセージに気づいてくれるはず…」─薄れ行く意識の中彼は最後の気力を振り絞り、犯人を示すダイイング・メッセージを部屋の中に残します。それから間もなくしてついに力尽き、小五郎に全てを託して息を引き取ったのです……