(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)
江戸川コナン 毛利蘭 毛利小五郎 目暮警部 高木刑事 トメさん 広田雅美 貝塚士郎 岸井 小山 村田 支店長 ジン ウォッカ 宮野明美 明美の妹 |
本編の主人公、正体は工藤新一 本編のヒロイン、新一の幼なじみ 蘭の父親で私立探偵 警視庁捜査一課警部 巡査部長、目暮の部下 鑑識員 四菱銀行・米花支店 行員 銀行強盗犯、元レーサー 四菱銀行・米花支店のガードマン 四菱銀行・米花支店のガードマン 四菱銀行・米花支店のガードマン 四菱銀行・米花支店 支店長 黒の組織の男、新一に毒薬を飲ませた人物 黒の組織の男、ジンの手下 黒の組織の女 黒の組織の女、明美の妹 |
高山みなみ 山崎和佳奈 神谷明 茶風林 高木渉 中嶋聡彦 玉川紗己子 声の出演なし 千葉一伸 声の出演なし 声の出演なし 中博史 堀之紀 立木文彦 玉川紗己子 声の出演なし |
ある日の正午過ぎ、銀行に振り込まれた探偵料を下ろすため、蘭とコナンを引き連れて四菱銀行の米花支店へとやって来た小五郎は、振り込まれたいた依頼料が思ったより多かったことに大満足でいました。更に通帳を書き換えようと窓口に向かうと、そこには眼鏡のよく似合う広田雅美という美人の女子行員が座っていて、またまた大満足。喜び勇んで彼女に手続きを頼もうとしたのです。
ところが整理券を取り順番が来てみれば、お目当ての広田雅美は昼食時間なのかいつのまにか姿が見えなくなっていて…
一方先に事務所に戻ることとなったコナンは銀行を出ると、ターボエンジン付スケートボードを抱えて通りを銀行の専用駐車場に添って右の方へ歩いていました。
ところが通りに出てすぐ、右手にあった専用駐車場の方から突然妙な音が聞えてきたため、コナンはそばにあった車の影に隠れて奥の方の様子を窺って見たのです。
すると駐車場の奥の方では、二人の覆面を被った人物が、それぞれショットガンと拳銃を警備員の男性につきつけて、現金輸送車に積んであった現金を自分たちの車に運び込むように脅していたのです。そしてその傍には別の二人の警備員たちが身動き一つせずに路上に倒れていたのす…。
ところがそこへ不意に小五郎と蘭がやって来て、コナンに何をしているのかと訊ねたのです。そしてコナンが二人に気を取られている隙に、強盗犯の二人は自分たちの車に乗り込み、駐車場を出て猛スピードで通りを走り去っていったのです。
後のことを小五郎と蘭に託し、コナンは一人ターボエンジン付スケートボードで犯人たちの車を追跡していったのですが…
ところが犯人たちの乗った車はプロレーサー並のスピードで走り続け、しかも遮断機の降りた踏み切りも強引に突破していき、舌打ちして悔しがるコナンを嘲笑うかのようにして、そのまま遠くの方へと消え去っていったのです…
すぐに警察が駆けつけ捜査が始まると、今回の銀行強盗で犯人たちが奪っていった現金は何と10億円にものぼることが判明し、小五郎たちを驚かせます。もっとも幸いなことに警備員たちは軽傷で済み、しかもコナンが犯人たちの車のナンバーを確認していたため、彼らの証言を手がかりに犯人を追跡していくこととなったのです。
犯人たちに襲われた警備員の岸井の証言によると、彼は銀行の裏口の前に停車した輸送車の荷台に入って現金を下ろす準備をしていたらしいのですが、そこへ突然窓ごしに銃弾が飛んできて、幸い弾は外れたものの更に割れたガラス窓ごしに犯人の一人によて拳銃で脅されたというのです。
そして運転席にいるはずの小山と村田という警備員にインターホン越しに何度も呼びかけますが応答がなかったため二人は殺されてしまったのだと思い、仕方なく扉を開け犯人たちの指示どおりに現金の入ったアタッシュケースを犯人たちの車に運んだというのでした。
ところがコナンはその岸井の証言にひどく不自然で曖昧な点があることに不審を抱いていたのです。そしてその頃になって銀行に戻って来た広田雅美にも…
それから警察の捜査の甲斐もあって、犯人たちが乗り捨てていった車が堤無津川の河川敷、TR線の鉄橋の脇で発見されます。
しかし現場の遺留品の鑑識を担当したトメさんによれば、車の中からも後部座席にあった空のジュラルミンケースからも指紋は一切検出されず、運転席のシートの上に捨ててあった覆面と手袋からも指紋は期待できないだろうというのでした。
ところがその覆面をよく見てみると、内側にはかすかではあったものの犯人の痕跡が残されていて…
結局事件は単なる強盗事件として警察の手で捜査が進められたのですが、コナンは何かひどく不吉な予感がして仕方がなかったのです。
そして数日後の夜─強盗事件の際に襲われて犯人の車に現金を運び込んだあの警備員の岸井は、雨の降る中傘を差しながら銭湯からの帰り道を一人で歩いていました。そこへ背後から黒い車が静かに近づいていき…
更に別のアパートでは一人の若い男が、ベッドの上で胸を血で真っ赤に染めて冷たくなっていたのです。そして部屋の床の上には、ピンク色の口紅が転がっていて…
ということで今回のこの事件が灰原哀が登場する前の最後の事件となりました。この作品は2巻所収の「奇妙な人捜し殺人事件」が、アニメではあのような形でジンとウォッカが登場せずに終わってしまったために生まれた副産物のようなものですが、放映されるまでは、どうやって灰原哀の登場を迎えるのかと気を揉んだものでした。
この直前やたらとTVオリジナルが続いてずい分待たされたのですが、それほど違和感もなく、何とか上手く次作の129「黒の組織から来た女」へと繋げられてホッとしたのを思い出します。
灰原哀の登場で良くも悪くもコナンの世界観が微妙に変化し、それまで蘭と小五郎一辺倒だったキャラの登場の仕方も、次の作品での灰原哀の登場を機に様々なキャラが登場するようになりました。言うならばこの事件でコナンは一つの区切りを迎えたと言ってもいいでしょう。
個人的にはここまでの作品は小五郎も蘭も思う存分活躍していたので、特に思い入れが強いものが多いです。
今回の作品は高木刑事もトメさんも登場しますし、小五郎も最初に出てきますが、今回は決して笑えない作品ですね。やっぱり重苦しい、しんみりとした雰囲気になっています。
また今回はスケボー、発信機、伸縮サスペンダー、犯人追跡メガネと阿笠博士の発明品が数多く登場しています。