(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)
江戸川コナン 毛利蘭 毛利小五郎 北村源兵衛(68) 北村加代(61) 木下明子(26) 浅沼洋子(26) 川田刑事 |
本編の主人公、正体は工藤新一 本編のヒロイン、新一の幼なじみ 蘭の父親で私立探偵 温泉宿〈源兵衛の宿〉の主人 北村源兵衛の妻 女優、TVドラマ「雪女の恋」の雪女役 女優、明子の専属スタントウーマン 三日町署刑事 |
高山みなみ 山崎和佳奈 神谷明 鈴木昭生 相生千恵子 田中敦子 麻上洋子 幹本雄之 |
「私の肉体は滅びても、私の魂はいつの日にか雪とともに甦ると覚えておくがいい…」─雪山の温泉宿でテレビを見ながらくつろいでいた小五郎、蘭、コナンの三人は、ドラマ「雪女の恋」に登場した雪女役の女優の迫真の演技にいたく感心させられていました。特にお化け嫌いの蘭はそんな迫力ある演技に、もし本当に雪女がいたらと、真顔でちょっぴり怯えていたのです。そんな蘭にコナンは、そんなものが実在する訳がないと呆れていたのですが…
ところが、その時小五郎たちの部屋に現われた宿の主人の妻は、コナンの言葉に反論し、この辺りは昔から雪女が出没することで有名だと話して聞かせてくれたのです。
そして今夜あたりその雪女が出るかもしれないと、不気味な言葉を残していき…
三人がその日宿泊していたのは、雪の降り積もる山奥の情緒豊かな温泉宿〈源兵衛の宿〉。宿の主人北村源兵衛とその妻の加代の二人はとても温かい人柄で、それに加えて今時珍しいからくり人形が三人を接待してくれるというおまけもついていたのです。何でも源兵衛たちの前にそこの宿を経営していた人が置いていってくれたものだというのでした。
小五郎が人形が運んできた湯呑みを取ると、自動的に人形はお盆を懐に抱えて後ろを向き、そのまま静かに部屋を後にしていきます。一体どういう構造になっているのかと、コナンたちも興味津々に人形が去っていくのを眺めていました。
しばらく三人が主人の源兵衛たちと楽しく話をしていると、玄関の方から「今晩は」と呼びかける女性の声が聞えてきます。源兵衛が応対に出向いてみると、どうやら宿を予約しておいたという若い女性二人組のようでした。そして主人の源兵衛は新しいお客二人の名前を読み上げたのですが…
木下明子─何とそれは、先ほど小五郎たちが見ていたTVドラマ「雪女の恋」で雪女役を務めている女優の名前だったのです。あまりの偶然に小五郎も玄関まで飛んできて、先ほどまでドラマを見ていて、湖に身投げするシーンにいたく感動したと嬉しそうに木下明子に話しかけたのでした。
すると明子はそのシーンで湖に飛び込んだのは自分ではなく、その場にいるもう一人の女性、浅沼洋子だと説明。洋子は明子専属のスタントをしているらしく、言わば明子の影武者的な存在だと、小五郎たちにドラマの裏側について話して聞かせてくれたのです。
それから三人は再び自分たちの部屋に戻り、酔いが回ってぐっすり眠り込んでいる小五郎を尻目に、蘭とコナンは先ほどの女優二人組のことを興味深そうに話し合っていました。
そして夜も更けていき─そろそろ眠くなってきたのか蘭は欠伸をこらえ、明日の天気が気になると言いながら、部屋のカーテンを開けて窓から外の景色をぼんやり眺めていたのです。ところがその時…
何と蘭の視界には、雪が降り積もった山の斜面を白い服を身に纏った人影が駆け上がっていく姿が飛び込んできたのです…あれはひょっとして雪女…!?
驚いた蘭はコナンに雪女が出たと必死に訴えますが、すぐにコナンが窓の方にやって来て外を見てみると、もうそこには人の姿はありませんでした。しかし蘭は確かに見たと言って譲ろうとはしなかったのです。
しかし蘭の大きな声で目覚めた小五郎が、怖い怖いと思っているとただの雪の塊も雪女に見えるものだと蘭に言い聞かせると、蘭もそれで一応納得せざるを得なかったのです。
次の日の朝、小五郎たちも明子たちも晴れ渡った雪山でスキーを楽しむこととなり、準備に余念がありませんでした。特に明子と洋子の二人は、スキーウェアは勿論のこと、顔の部分にも覆面のようなものを身につける完全防備の態勢で雪山へと出て行ったのです。女優に日焼けは禁物とはいえ、小五郎が銀行ギャングみたいだというのもあながち的外れな意見とは思えない、重装備でした。
やがて日も暮れ、天候にも恵まれた雪山でのスキーを存分に楽しんだ小五郎たちが、源兵衛の宿に戻ってくると、山の天候は変わりやすいという言葉どおり、辺りは急に雪模様に変わってしまいます。それからすぐ後には、まだ滑り足りないという明子を残し洋子が一人宿に戻ってきて、更にしばらくしてその明子も無事宿に戻ってきます。ところがその明子はどこか体調でも悪いのか、苦しそうに咳をこらえながら奥へと消えていったのでした…
それから小五郎とコナンは源兵衛の宿自慢の温泉にゆっくり浸かり、その後同じ頃に湯に浸かっていた明子と洋子の二人と湯上がりの一杯をやりながら楽しく話をすることになります。
しかし明子はやはり体調が悪いらしく結局自分の部屋で休むこととなり、途中でウィスキーを届けてくれたものの、結局それ以外は小五郎たちと洋子の三人で楽しく杯を重ねていったのでした。
そして楽しい時間はあっという間に過ぎ─それから蘭は洋子と二人で温泉に行くこととなり、先に一人女湯へ向かい温泉に浸かっていました。しかし昨日の夜に見た雪女のこともあり、不安そうな様子で洋子の到着を待っていたのですが…
小五郎の言ったとおり、怖い怖いと思っているとそう見えてしまうものなのか…温泉に浸かっていた蘭が、昨夜雪女を見た辺りの山の斜面に再び目を移すと、何とそこには昨日と同じように白い衣装を身に纏った人影が、山を駆け上がっていくシーンが再現されていたのです…!!! あれはやはり雪女…!?
さすがの蘭も今度は相当堪えたらしく、温泉から上がるとそのことを小五郎とコナンに必死に訴えかけます。しかし小五郎は蘭の言うことをまるっきり信じていない様子でした。
ところが更にそこへ、洋子が慌てふためいた様子で駆け込んできて…何と明子が遺書を残して姿を消してしまったというのです…!!!
そして遺書の中で、明子は「雪女」の恰好で死にたいと書き残していて……