(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)
江戸川コナン 毛利蘭 毛利小五郎 横溝刑事 寺泉大五(60) 黒岩善吉(45) 勝呂久志(28) 野田一雄(50) 大竹一郎(55) 相良新介(37) 亀岡丈二(40) ボーイ 検死官 鑑識官 |
本編の主人公、正体は工藤新一 本編のヒロイン、新一の幼なじみ 蘭の父親で私立探偵 静岡県警警部 霧が峰ホテル 社長、フェラーリ所有者 霧が峰ホテル 支配人 霧が峰ホテル フロント係 霧が峰ホテル ガードマン 旅行代理店経営、キャデラック所有者 自動車修理工場経営、ベンツ所有者 不動産会社経営、ジャガー所有者 霧が峰ホテル ボーイ 検死官 鑑識官 |
高山みなみ 山崎和佳奈 神谷明 大塚明夫 城山堅 長克巳 遊佐浩二 山口嘉三 嶋崎伸夫 花田光 金尾哲夫 井上隆之 千葉一伸 長嶝高士 |
コナンや蘭、阿笠博士などが懸賞やクイズで旅行に当選する中で、そういったものにあまり縁のなかった小五郎。ところが今回は何とその小五郎自らが福引で一等を当て静岡まで旅行にやって来ていたのです。もっともその旅行というのが想像していたものとはかなり違っていたらしく……
蘭とコナンが元気そうに遠くの景色を楽しむ中、小五郎は何十メートルも後方に置いて行かれ、フラフラになりながら蘭とコナンを追いかけていました。せっかく福引で当てたにもかかわらずバスの便もないこんな不便なホテルに招待とは…こんなことなら二等の「○○○○○○食べ放題」の方がまだ良かった……それが小五郎の素直な感想だったのです。
苦労しながらもようやく目的地の霧が峰ホテルに到着した小五郎は、フロント係の勝呂久志に送迎バスもないことへの不満をぶちまけて蘭に窘められますが、そんな中小五郎と蘭のそばからいつの間にかコナンの姿が見えなくなっていました。
蘭がコナンを探してみると、コナンはロビー近くに作られた展示場に置かれていたクラシック・カーに夢中になっていたのでした。
ジャガーxk120、メルセデスベンツ300SL ガルウィング、キャデラック・エルドラド・コンバーティブル…どれもマニアの間では伝説となり、コレクターの間では憧れの的とも言える車だったのです。
後からやってきたフロント係の勝呂の説明では、ホテルのオーナーは大変なカー・マニアらしく、このようなヒストリック・カーの展示場を作るためにわざわざホテルを改築したほどだというのです。
そして更に奥の空いたスペースには、社長の自慢の愛車だというフェラーリ・ディーノ206GTを展示する予定にもなっているというのです。フェラーリの創始者エンツォ・フェラーリの若くして亡くなった息子の名前が付けられたこの車は152台しか生産されていないという極めつけの入手困難車で、コナンもただ驚かされるばかりだったのです。
しばらくするとオーナー社長の寺泉大五が噂の赤いフェラーリ・ディーノを運転してホテルへと到着し、支配人の黒岩善吉の出迎えを受けます。
東京から運転してきたということで疲労の色も濃いかと思われたのですが、展示されれば今までのように好きな時に乗り回すことができなくなるということで、展示するのを一日先に延ばし今日一日愛車とともに過ごしたいと黒岩に告げるなど、元気一杯の様子でいたのです。
その一方で黒岩から名探偵の毛利小五郎が宿泊しているという知らせを聞き……
一方小五郎たちはというと、部屋に通されたものの一つしかないベッドに不満が爆発。「ソファを使えばいい、福引に当たっただけでもラッキーだと思わなければ」という蘭のポジティブな言葉にも納得がいかない様子でいたのです。ベランダの外に出て二人のやり取りを聞いていたコナンも小五郎の我がままにはただ呆れるばかりだったのですが…
ところがそんなコナンのすぐそばで、とても穏やかとはいえない会話が突然聞えてきたのです。その男の声はコナンのいるベランダ越しに隣の部屋のベランダから聞えてきて、「大丈夫、任せろ…明日の午後3時にオープニングセレモニーが開かれる。だから今夜が最後のチャンスだ…」「…とにかく計画通りやるから心配するな…」と誰かと電話で話しているかのような口調でした。
ベランダとベランダの間は壁のようなもので仕切られていて会話の主の男の顔などは分かりませんでしたが、足元だけは仕切りの間に隙間があり、そこから男の白い靴がはっきりと見て取れたのです。
結局その後コナンは蘭に呼ばれて部屋の中に戻ったためその後の様子は知る術もありませんでしたが、部屋の中に戻ってみるとまだ小五郎は不満を口にしているのでした。
ところが、そんな小五郎の不満を瞬く間に解消する事態がこの後待ち受けていたのです。何と小五郎はしばらくするとホテルのオーナー社長である寺泉から相談を持ちかけられたのです…。
「展示場をオープンするな 後悔するぞ」─数日前に送られてきたというその新聞か雑誌から切り抜かれた文字を貼り付けて作られた脅迫状には迫力こそ感じられませんでしたが、それでも万が一のことを考えて寺泉は小五郎にボディガードを依頼してきたのです。
そしてホテル自慢のスイートルームを提供してもらうことを条件にその依頼を引き受けた小五郎だったのですが……
それから依頼を引き受けた小五郎は蘭とコナンを伴って寺泉と一緒に晩餐を楽しむことになります。ところが、そこへホテルの従業員からとんでもない知らせが舞い込んできたのです。
知らせを受けた小五郎たちがヒストリック・カーの展示場に駆けつけてみると、一人の小太りの男がスパナを手に展示されている青いキャデラックに手をかけようとしている所だったのです。ところがよくよく事情を聞いてみると、何とその車はその男の所有する車らしく、自分で自分の車を壊そうとしていた所だったのです…!!
一体なぜそのようなことを? 小五郎もコナンも不思議がっていましたが、その男─大竹一郎の、小五郎たちの後からやってきた寺泉に対し敵意をむき出しにした態度が全てを物語っていたのです。
大竹をはじめ、騒ぎを聞き駆けつけた相良新介と亀岡丈二の三人は、ともに小さいながらも事業を営む経営者で、しかもクラシック・カーの愛好家でした。そしてキャデラックは大竹の、メルセデスベンツは相良の、ジャガーは亀岡がそれぞれ苦労して手に入れた彼らの愛車だったのです。
ところが三人とも最近の不況で経営が苦しく、そこで寺泉から愛車を担保に低い利子で金を借りることになったのですが、寺泉は三人に対し裏で経営の妨害工作をして返済期日までに金を工面できないように仕向け、結局三人は愛車を取られてしまう形になってしまったというのです。
これでは騙し取られたも同然、三人はそのように考えているのでした。
しかし寺泉は、平然としながら妨害していた証拠もなしに滅多なことを言うものではないと三人に警告。そんな暇があれば金を返す手立てでも考えるようにと三人を嘲笑うのでした。
それから三人を脅迫状の主であると決めつけて非難し、どんな妨害があろうとも展示場のオープンにこぎつけてみせると自信たっぷりに宣言したのです。一方コナンは、三人のうちの一人の靴が数時間前にベランダで物騒な会話をしていた男のものと同じであることに気がついて……
それからしばらくしてすっかり夜もすっかり更けた頃、小五郎たちは寺泉から提供されたスイートルームでのんびりとくつろいでいましたが、外から聞えてくる車のエンジン音を聞いて驚きます。なぜならそのエンジン音はフェラーリ・ディーノ…とすれば寺泉がこんな夜遅くにどこかへ出かけようとしていることになるからでした。
外に出てみると辺りはすっかり濃い霧に包まれ、数メートル先は視界も効かない状態でした。そんな中しかも脅迫されている身の寺泉が一人で夜のドライブに出かけることに不安を抱く小五郎でしたが、寺泉は例の三人との口論ですっかり気分を害されたため気分転換を図ると言って聞かなかったのです…
翌日の朝9時…まだ濃い霧に包まれた霧が峰ホテルには、未だに戻らない寺泉を心配する支配人の黒岩の姿がありました。そんな黒岩を小五郎はオープニングセレモニーは午後3時からで充分間に合うといって励まします。
すると気持ちが落ち着いたのか黒岩は寺泉が携帯を持っていたことを思い出し、自分の携帯を使って寺泉と連絡を取ろうとします。そして小五郎がその携帯を受け取って寺泉と会話を始めたのですが…
ところが電話に出た寺泉は呻くような調子で「どこだここは? 真っ暗じゃないか…」という謎めいた言葉を残し、一方的に電話を切ってしまったのです…。
それから更に一時間が経過した午前10時…寺泉を心配する小五郎や黒岩は蘭の突然の悲鳴に慌てて外に駆け出します。一体蘭に何が…!? そして未だに戻ってこない寺泉は一体今どこに…!?
牛肉、豚肉、カニとくれば… あとはご想像にお任せ(笑)