(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)
江戸川コナン 毛利蘭 毛利小五郎 横溝刑事 鈴木史郎 青野木亮蔵(65) 矢倉守雄(42) 三村ゆかり(33) 青野木亮一(28) 花崎芳子(40) 刑事1 刑事2 |
本編の主人公、正体は工藤新一 本編のヒロイン、新一の幼なじみ 蘭の父親で私立探偵 静岡県警警部 鈴木財閥会長、園子の父親 茶道家元 弟子、骨董商主人 弟子、会社社長 家元の息子 家政婦 横溝の部下 横溝の部下 |
高山みなみ 山崎和佳奈 神谷明 大塚明夫 声の出演なし 塚田正昭 田原アルノ 勝生真沙子 一条和矢 さとうあい 千葉一伸 小西克幸 |
園子の父親で鈴木財閥会長の鈴木史郎の代理として茶道の家元である青野木亮蔵の茶会に出席することになった小五郎は、蘭とコナンの二人を連れて青野木邸へとやってきます。
名探偵の毛利小五郎「先生」にお会いできて光栄だという家政婦の花崎芳子の言葉に思わず有頂天になる小五郎と、さすが茶道の家元といわんばかりの立派な屋敷を眺めて感動している蘭の傍らで、茶会なんて堅苦しい集まりになぜついて来てしまったのかと、コナンは頭を抱えていたのですが…
しかしいざ邸の中に入ってみると、蘭と同じようにしてその風光明媚な屋敷の造りに嫌でも興味をそそられるのでした。中でも金色に輝く池を眺めたコナンはその不思議な光景に心を奪われます。今頃の季節になると陽射しの傾きによって水面の色が五色に変化するというその池のほとりに建てられた青野木邸は、そのため〈五彩の水御殿〉と呼ばれてこのあたりでは有名だというのでした。
しばらくするとそこへ家元の二人の弟子がやってきて、小五郎たちと挨拶を交わします。骨董商主人の矢倉守雄と会社社長の三村ゆかりの二人は、名探偵の小五郎が気難しいことで知られるという家元とどう対峙するか興味津々の様子でいたのでした。
一方家政婦の花崎が池の真ん中に建てられた茶室〈五彩庵〉へ家元を呼びに行っている間に、もう一人の人物が邸に姿を現わします。まだ若い男性でしたが礼儀正しい言葉使いに凛とした姿勢で座っているその姿は、まさしく次期家元にふさわしい印象を見る者に与えます。それもそのはず、彼は家元の一人息子の青野木亮一だったのです。しかし本人には家元の座を継ぐ意思は毛頭ないらしく…
しばらくすると小五郎たちは、白湯を頂きながらこの五彩の水御殿に伝わるという忌まわしい迷信について弟子の一人の矢倉から話を聞かされます。
江戸時代末期、池は冷たく清らかな水を満々と湛え、今よりずっと大きかったのですが、ある日そんな池のほとりに美しい娘が現われ、笛を奏でては池の色彩を変え訪れる人々を楽しませていました。その話を聞いた大金持ちのある商人がその娘をいたく気に入って娶り、池のほとりに屋敷を建てたのです。
そして娘は池は自分ひとりのものとし、誰も踏み込ませないことを条件にその求婚に応じたのです。
ところが商人は約束を違えて池の真ん中に寝室を作ってしまいます。しかもそれだけに止まらず、すぐに取り払うようにせがむ妻に逆に腹を立て、殺害し池に沈めてしまったのです…!!
すると数日後……池から突然大蛇が現われて、その商人に襲い掛かったのです。何とその娘の正体は実は大蛇で、池に棲む魔物だったのです…!!!
商人は傷を負ったもののかろうじて寝室の中に逃げ込み、室内に張られた魔除けの札の効果もあってそれ以上襲われることはありませんでした。しかし魔物は昼夜を問わず商人が寝室から出てくるのを待ち続けたためについに商人は疲れ果て……建物の中で首を吊ったというのです……
そして今も池の色が変化するのは、魔物が時々娘の姿となって笛を奏でているからと言い伝えられているというのですが…
美しい池にもそのような忌まわしい言い伝えがあることに衝撃を受ける三人でしたが、矢倉の話が終わると家政婦の花崎の案内で、二人の弟子とともに家元を会うために池の真ん中に建てられた〈五彩庵〉へと向かいます。
最近家元は滅多に外に出ないらしく、特に屋敷から茶室へと通じる橋を一人で渡ることは絶対にしないということで、小五郎たちは弟子たちとともに直接茶室へと向かうことになったのです。
ところが茶室に着いてみると、家政婦の花崎の呼びかけにも中からは応答がなく、仕方なく小五郎は廊下に面した障子を少し開けて中を覗き込みます。すると中からは烈火の如く怒った様子で家元が現われて…神聖な茶室を汚す不届き者と小五郎と怒鳴りつけるのでした。幸い家政婦のとりなしでその場は上手く治まりますが…
気を取り直して弟子たちとともに茶会に参加することとなった小五郎と蘭、コナンの三人。ところが茶室の中に通されてみると、部屋の中には先ほど弟子の一人の矢倉から聞かされた迷信を恐れてか、壁という壁に魔除けの札が張られていたのです…。
それから家元は、矢倉が入手してきたという茶碗の話を聞き、自分の「最後の」茶を飾るにはふさわしいと意味深な言葉を残し、夜の茶会の準備をすると言って再び一人茶室に閉じ籠ったのです……
小五郎たちが屋敷の2階の部屋に戻り再び池を見下ろしてみると、池の水面の色はいつの間にか今度は緑色に変わっていて、水底が見渡せるようになっていました。そして次は赤くその色合いを変えていくと、家政婦の花崎は得意気に話していたのですが…
そこへ茶会には出席していなかった亮一が突然姿を現わし、自分の大切にしていた釣り竿が家元の指図で焼かれて無残な姿に変わってしまったことに怒りを露わにします。小五郎を怒鳴りつけたことといい、常軌を逸した行動に首を傾げる小五郎でしたが…実はそれにはちゃんとした理由があったのです…。
家元は昨年茶室が完成した直後に妻を亡くしたらしいのですが、その妻というのが池に伝わる伝説を重んじて最後まで池の真ん中に茶室を建てることに反対していたというのです。その話を聞いた小五郎は、どこかで同じ話を耳にしたことを思い出して…
ひょっとすると家元は例の迷信を恐れて気難しくなっているのか…!? 茶室の中の魔除けの札といい、どうやらそう考えるのが妥当といった所でした。
しかし、そんな厳重な警戒を強いていたはずの家元を嘲笑うかのように、殺人者の魔の手が襲い掛かり……