(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)
江戸川コナン 工藤新一 毛利蘭 毛利小五郎 安藤礼子(43) 八木沢巧(32) 椎名涼介(38) 川口みずき(27) 牛窪剛三(51) 友永久寿男 フロント係 受付 和尚 安来刑事 椿刑事 広瀬刑事 |
本編の主人公、正体は工藤新一 本編の主人公、高校生探偵 本編のヒロイン、新一の幼なじみ 蘭の父親で私立探偵 短大国文科助教授 和菓子店 主人 歯科医 図書館司書、安藤礼子の教え子 投資家 なにわ証券岡山支店勤務 ホテル松江 湖水館フロント係 ルイス・C・ティファニー庭園美術館受付嬢 月照寺住職 島根県警松江署 刑事 島根県警松江署 刑事、安来の部下 島根県警松江署 刑事 |
高山みなみ 山口勝平 山崎和佳奈 神谷明 鈴鹿千春 田中正彦 遊佐浩二 吉田小南美 広瀬正志 菅原淳一 宮下富三子 ??? ??? 宇垣秀成 三宅健太 千葉一伸 |
紅葉の真っ只中の秋の列車の旅─。小五郎が商店街の福引で当てたという島根県松江市への温泉旅行へ向かう列車の中で、小五郎はいつもどおり真っ昼間から缶ビールを飲みながら、自分の天才(強運?)ぶりを蘭と小五郎に自慢して聞かせるのでした。そして今回の旅行の計画はコナンによって立てられたのだといいます。一体どんな出来事が三人を待ち構えているのでしょうか…?
松江に到着すると、三人は松江の名所旧跡を順番に見学して回っていきます。松江城の天守閣で市内や宍道湖の景色を一望した後は城山稲荷神社、小泉八雲旧居を見学し、それから宿泊先のホテル松江・湖水館へ向かいます。
中に入るとホテルの窓からは先ほど松江城から眺めていた宍道湖が一望でき、コナンも蘭もしばらくその美しい眺めに見とれていました。
そしてシジミと聞いた小五郎が思い出したように松尾芭蕉の句を詠み上げたのをきっかけとして、三人は大阪の連句の会の仲間のメンバーと知り合います。
彼らはこの松江に連句旅行に来たらしく、メンバーも短大教授の安藤礼子をはじめ和菓子店経営の八木沢巧、歯科医の椎名涼介、図書館司書の川口みずき、投資家の牛窪剛三と個性ある顔ぶれが揃っていました。
しかしそのメンバー同士の仲は必ずしもすべて上手くいっているという訳でもなさそうな様子。特に投資家の牛窪は、半分はメンバーの金を巻き上げるために会に参加したらしく、和菓子屋の八木沢も歯科医の椎名も彼との間に金銭トラブルを抱えているようでした。
夕陽を眺めながら温泉に浸かり、その後は小五郎たちは名探偵の話をぜひ窺いたいと会の夕食に招待されることになります。八木沢の唱歌「ふるさと」の演奏が終わる頃には皆ビールも進み、小五郎にメンバーが共著で書いたという俳句の入門書が贈られるなど、宴は和やかな雰囲気で進んでいきます。
しばらくするとメンバーは明日の連句会用の発句を詠んでくる場所をくじで決めることになり、早速抽選が行われます。
牛窪剛三は松江城、八木沢巧は月照寺、川口みずきは塩見縄手、椎名涼介は庭園美術館…審査役の安藤礼子を除く4人の行き先が決まり、朝9時出発でそれぞれが発句を作り、11時半に玉造温泉に集合してそこで連句の会が開かれることになりました。
翌日蘭とコナンは松江温泉駅からのバスに乗り、縁結びで有名だという八重垣神社を訪れます。15分以内に紙が沈めば早い時期に恋は実り、更に近くで沈めば身近な人間がその相手となる…人気の鏡の池の恋占いを期待に胸を膨らませながら試している蘭でしたが、その傍でコナンは複雑な思いでそれを見つめます。
小さくなってしまったことを伝えられないでいる今の状況では、神様が何と答えようとも自分の力ではどうしようもない…子犬の頭を撫でながらやり切れない気持ちを押し隠し、コナンは蘭とともに神社を後にしようとします。
その時でした。突然蘭の携帯が鳴り、出てみるとそれは小五郎からのものでした。小五郎の話では、何と連句の会のメンバーの一人である牛窪剛三が先ほど遺体で発見されたというのです。
遺体が発見された場所は松江城内の搦手之虎口公園の中にある竹林の間に造られた遊歩道の上で、被害者は頭を鈍器のようなもので数回殴られて息絶えていました。殴られている時頭を庇ったのか腕時計が壊れ、止まった時刻は10時5分を指していてどうやらこれが死亡推定時刻と考えて間違いなさそうです。
そして被害者の右手は何かを指すようにして人差し指が伸ばされ、その先端にはこすれたような血の痕が…指指す方向にあるものは竹…!?、これは被害者のダイイング・メッセージなのでしょうか?更に現場には一枚破り取られたメモ帳が残されていて…謎はますます深まるばかりでした。
島根県警松江署に呼ばれた連句の会のメンバーは、そこで県警の安来刑事と小五郎から取り調べを受けることになります。牛窪剛三の連句の会での態度から、4人とも殺害の動機が充分にある考えられたからです。
そして死亡推定時刻と思われる10時5分のアリバイ確かめるため、4人にそれぞれ事情を聞いていったのですが……
「秋高し 我が人生に 憂いなし」 | (牛窪剛三 松江城にて) |
「神々も 集いて見るや 鹿の窓」 | (椎名涼介 ルイス・C・ティファニー庭園美術館にて) |
「大亀に 蟷螂(とうろう)が斧 振り上げて」 | (八木沢巧 月照寺にて) |
「やわらかき 日当たる方へ 紅葉舞う」 | (川口みずき 塩見縄手の武家屋敷にて) |
(注)審査役の安藤礼子は句は詠みませんでした(島根県立美術館を見学) |
何人かで句をつなげていく遊び。俳諧体の連歌、すなわち俳諧のこと。俳諧の発句(第一句目の長句)が独立して俳句と呼ばれるようになった明治以降、特に連歌や俳句と区別してこの呼称を用いる。
原則として複数で五七五の長句と七七の短句とを交互に付け連ねるもの。歌仙(36句)・世吉(よよし)(44句)・百韻(100句)などの形式がある(gooの国語辞典検索─三省堂提供「大辞林 第二版」より)
別名千鳥城。1611年に堀尾吉晴の手で5年の歳月をかけて建築され、京極忠高と続いた(いずれも嫡子がなくお家取り潰し)後、徳川家康の孫の一人・松平直政が信州松本から移り、以後明治維新まで18万6千石の大名として代々その子孫がこの城を居城としました。
天守閣は当時のまま残されていて、全国で現存する12の天守閣の一つとして国の重要文化財にも指定されています。
三人もここを訪れて松江の景色を眺めていましたが、高所恐怖症の小五郎が何気に高い所を怖がっていたのが面白かったですね(笑)
宍道湖で獲れる鱸(スズキ)、白魚(シラウオ)、公魚(ワカサギ)、蜆(シジミ)、モロゲエビ(車えびの一種)、鯉(コイ)、鰻(ウナギ)のこと
スズキは奉書焼、シラウオは酢みそあえ、ワカサギは甘露煮、シジミはみそ汁、モロゲエビは煮付け、コイは糸造り、ウナギは蒲焼にして調理するのが一般的に親しまれているようです。
怪奇短編集「怪談」を書いたことで有名。ギリシャに滞在していたイギリス人の軍医の父とギリシャ人の母の間に生まれますが、幼少の頃父母が離婚して母親はギリシャに帰り、父親も病没したため伯母に引き取られて育てられます。そして1869年19歳の時にアメリカへ渡り、ジャーナリストをしながら著作活動も活発に行います。
1890年に来日し、松江中学の英語教師を手はじめに熊本から神戸へと移り住み、1896年に東京帝国大学英語英文学教授に招かれてからは東京に移り、教鞭の傍ら「怪談」などの著作活動も行いました。その後早稲田大学英文学教授となり1904年に病没。
松江時代に知り合った家政婦の小泉セツと結婚し、長男が誕生したのをきっかけとして日本に帰化し、「小泉八雲」と改名。以後亡くなるまでずっと日本で生涯を過ごしています。
最も有名な「怪談」には巻頭の「耳なし芳一」をはじめ「ろくろ首」「雪女」など18編が収録され、小泉八雲の没後の1904年に刊行、アメリカなど世界的にも広く紹介されています。
最後に作中でコナンが「怪談」の話をしてお化け嫌いの蘭を脅かしているのが面白かったです(笑)
江戸時代の代表的俳人・松尾芭蕉が1689年(元禄2年)に奥の細道の終点・大垣で詠んだ俳句。
江戸・深川の芭蕉庵から日光(栃木)、仙台・松島(宮城)、出羽・平泉(岩手)、上越(新潟)、越中・高岡(富山)、加賀・金沢(石川)、越前・敦賀(福井)などを経て美濃・大垣(岐阜)が旅の最終地点。その後芭蕉は大阪・南御堂で間もなく息を引き取りました。
他に「閑(しずけ)さや 岩にしみ入 蝉の声」(山形県・立石寺(りっしゃくじ))、「夏草や 兵(つわもの)どもが 夢の跡」(岩手県・平泉)などの句が有名。
全国でも有数の和菓子・お茶の街として有名。松江の場合は松江藩7代藩主・松平出羽守治郷(不昧公)が〈不昧流〉という茶道を完成させ、その茶会で数々の和菓子が使われたことが発展に大きく寄与したそうです。