(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)
江戸川コナン 毛利蘭 阿笠博士 目暮警部 高木刑事 灰原哀 鈴木園子 新出智明 伴場幸哉(41) 布袋鋭司(39) 泰山薫(34) 暮木義人(45) 加藤智美 アナウンサー 係員 運転手 鑑識 ジン ウォッカ ベルモット ジョディ先生 赤井秀一 |
本編の主人公、正体は工藤新一 本編のヒロイン、新一の幼なじみ 新一の家の近所に住む自称天才科学者 警視庁捜査一課警部 巡査部長、目暮の部下 黒の組織から来た謎の少女、本名宮野志保 鈴木財閥の令嬢、蘭の同級生で親友 青年医師、新出医院の跡取り息子 ポルシェ928オーナー ポルシェ356Aオーナー ポルシェボクスターオーナー ポルシェ911ホーナー 「おもいっきりサンデー」のグルメコーナー担当 「TMSニュース」のキャスター 東都デパート地下駐車場係員 地下駐車場で足止めされた東都デパートの客 鑑識員 黒の組織の男、新一に毒薬を飲ませた人物 黒の組織の男、ジンの手下 黒の組織の女、映画女優クリス・ヴィンヤード 帝丹高校英語教師 正体不明の謎の男 |
高山みなみ 山崎和佳奈 緒方賢一 茶風林 高木渉 林原めぐみ 松井菜桜子 堀秀行 坂口侯一 梅津秀行 山像かおり 加藤治 茂呂田かおる 中村尚子 高瀬右光 堀尾雅彦 布目貞雄 声の出演なし 声の出演なし 小山茉美 一城みゆ希 池田秀一 |
得体の知れない謎の人物に後をつけ回されて気疲れしたのか、東都現像所から戻った灰原哀は体調を崩し高熱を出してしまいます。しかしその日は日曜日でほとんどの病院も休診日。そして新出先生とも留守なのか連絡が取れない状態でした。
それでも彼女の体調をひどく心配する阿笠博士とコナンは何とか彼女を診てくれる病院を探し出してきます。
杯戸町にある東都デパートの中にあるというその病院を目指して、博士とコナンは灰原を連れて博士のビートルで出発しますが、その病院もその日は患者が立て込んでいるらしく2時間待ちということでした…。
そこで二人は暇つぶしと食事も兼ねて東都デパートの中を見て回ることにし、デパートの地下駐車場に車を向けます。
到着すると、それまで横になっていた灰原哀は何とか自力で起き上がり車を降りますが、そこでまたもや彼女に恐怖が降りかかります。目の前に現われたのは何とジンの愛車ポルシェ356A。 もっともコナンに言われてよくよく見れば、その車のボディの色はグリーン。どうやらジンの黒いポルシェ356Aとは別物のようでした。
少し気分も落ち着き辺りをよく見渡してみると、そのグリーンのポルシェの付近には赤色と青色のもう2台のポルシェが。どうやらポルシェ好きの連中が集まってデパートで食事でもしているような印象でした。
そうこうしていると、駐車場の入り口から、今度は白い色のポルシェがこちらに向かってやって来ます。ポルシェから降りてきた3人の話を聞くと、どうやら彼らはお互いポルシェ仲間でもあり、ゴルフ仲間でもあるらしく、車で酔いつぶれて眠っている男を含めて四人で、いつもこの地下駐車場に車を止め、白色のポルシェで四人連れ立ってゴルフに行くということのようでした。
ゴルフから戻った四人のうち、酔いつぶれた一人を車に残し、彼の酔いが醒めるまで三人はデパートの中で時間をつぶすと言い残してその場を去っていきます。
振り返るとそこには、思った通り帝丹高校の英語教師ジョディ・サンテミリオンの姿が。しかも彼女と連れ立って蘭と園子の姿も見えます。どうやら三人も評判の玉子粥目当てにやって来たようです。
ジョディたちに気を取られていたコナンがしばらくして辺りを見渡してみると、人気の店ということもあってか、「おもいっきりサンデー」というTV番組の取材班も来ていることに気づきます。
蘭と園子がレポーターの加藤智美の姿を見てはしゃいでいると、何と当の加藤智美が突然コナンの方にやって来てインタビューを始めたのでした。
地下駐車場に戻り、ビートルに向かって駆けていく二人を待っていたのは、中年の男の悲鳴にも似た大声。コナンが振り向くと、その男は行きがけに出会ったポルシェ仲間の一人のようでした。
車の中をのぞいたまま驚愕の表情でその場に呆然と立ち尽くす男の視線の先には……酔いが覚めるまでと一人で休ませていたポルシェ仲間の一人の男の、苦悶に満ちた表情で事切れている無残な姿が……
同じ頃、雨模様の都内の街道を颯爽と駆けていく一台の車の中には、謎の男赤井秀一の姿が…。そして彼の運転席の傍にあるのは、東都現像所でコナンや灰原哀たちを写した一枚の写真…この写真の中に彼の追い求める人物がいるのか……
その写真を眺めながら運転を続けていた赤井が、ふと何気なしにつけておいたTV画面を見ると…何という偶然か、そこにはぎこちなさそうにインタビューを受けるコナンの姿が…!!
阿笠博士のビートルのナンバープレート。164で「ひろし」なのでしょう(笑)
今回登場の布袋氏の車もポルシェ356Aでした。
前後編作品にも関わらず、後編の冒頭恒例の前編のあらすじ紹介がまったくありませんでした。
時間が足りなかったからでしょうか?またはコナンが後編で事件のあらましを詳しく語るシーンがあったからかもしれません。
怪しげな行動をとる二人がまた…。そして最後にはなんと…
順番に京風らーめん、洋食屋、イタ飯、中華料理、玉子粥の〈樽雅亭〉と見て回りました。
どちらも原作にはなかった設定。加藤智美についてはこれがサブキャラクターデザインということになるのでしょうね。
いよいよ黒の組織の話も一つの節目を迎えることになる、その決定的な事態を迎える今回の事件です。事件はポルシェ仲間の殺人事件と、何かを追い続ける赤井とジョディの怪しげで不気味な行動を交互に描き出すことで、より一層緊迫感が増していっています。
そしてラストで明かされる衝撃の結末には原作を読んだ時も震え上がったのを鮮明に思い出します。この後の例の節目の事件の重大な伏線がこの事件で引いてあって、あとで見返すとそういうことだったのかと唸らずにはいられないでしょう。
一方ポルシェ仲間の事件の方はというと、こちらのトリックも面白く成る程と関心させられましたが、私はあまり車の知識がないので残念ながらトリックは読み切れませんでした。伏線もあまりなかったように感じます。
地下駐車場という暗がりを上手く利用したトリックで、実現可能性はあると思う半面、危険性もかなり高いという感じは否めない部分はありますが、早くこの場から脱出しなくてはいけないという焦る気持ちを抑えつつ事件にぶつかっていくコナンの姿がとても印象的な事件でした。
とにかくラストに尽きる、これを読んだら凍り付いてしばらくは眠れないかもしれない、ちょっと怖い事件でした。