名探偵コナン348-349「愛と幽霊と地球遺産」

(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)

タイトル
File348-349 愛と幽霊と地球遺産
英題
Love, a Ghost, and a Wordly Inheritance
放映日
2004/1/26・2/2(前編・後編)
原題
TVオリジナル
ジャンル
本格
事件現場
鬼沢郷・永倉巌邸前
管轄
岐阜県警(松代刑事)
登場人物
江戸川コナン
毛利蘭
毛利小五郎
阿笠博士
灰原哀
吉田歩美
小嶋元太
円谷光彦
川治健作(37)
坂木庄吉(52)
桑島和明(44)
好井ルミ子
木下加奈子
田山恵子
広井昭
永倉巌(50)
永倉君子(45)
永倉栄治(20)
乙沢まみ
女将
団長
観光客
村人
村人
村人
村人
村人
松代刑事
本編の主人公、正体は工藤新一
本編のヒロイン、新一の幼なじみ
蘭の父親で私立探偵
新一の家の近所に住む自称天才科学者
黒の組織から来た謎の少女、本名宮野志保
帝丹小学校に通うコナンのクラスメート
帝丹小学校に通うコナンのクラスメート
帝丹小学校に通うコナンのクラスメート
観光客、石岡邸に宿泊
観光客、永倉邸に宿泊
観光客、永倉邸に宿泊
観光客、永倉邸に宿泊
観光客、永倉邸に宿泊
観光客、永倉邸に宿泊
観光客、永倉邸に宿泊
民宿主人
永倉巌の妻
永倉巌の息子、宝石強盗犯、1年前に自殺
永倉栄治の幼なじみ、10年前に病気で他界
食事処〈鬼沢〉の女将
火の用心の見回りをしていた男
観光客、小五郎にビールを注いでいた人
鬼沢郷の住人
鬼沢郷の住人
鬼沢郷の住人
鬼沢郷の住人
鬼沢郷の住人
岐阜県警刑事
高山みなみ
山崎和佳奈
神谷明
緒方賢一
林原めぐみ
岩居由希子
高木渉
大谷育江
戸谷公次
丸山詠二
飛田展男
大本眞基子
手塚ちはる
落合るみ
土田大
藤本譲
久保田民絵
声の出演なし
西原久美子
佐藤しのぶ
大西健晴
小林杏奈
大西健晴
岡本寛志
平井啓二
中尾良平
馬場圭介
堀本等
あらすじ
「この世に論理と推理で解明できないものなんて何もないのさ」

 風情がある、昔懐かしい感じがする、郷愁を誘う─確かにもうすぐ地球遺産に登録されるという話題の村だけのことはあると、合掌造りの家々を眺めながら感嘆の声をあげる蘭や少年探偵団たち。そしてコナンの話によると、最近はそれに加えて別の話題でも盛り上がり一層観光客が集まるようになったというのです。

 ─それは蘭が最も苦手とするもの…そう幽霊。半年ほど前に子供の幽霊を見たという目撃情報が相次ぎ、噂が噂を呼んで今の賑わいになったということでした。
 しかし事件解決のお礼に招待されたせっかくの旅行なのだからと、小五郎は幽霊よりももっと古き良き日本の美を味わうようにと珍しくもっともな発言。ところが当の本人が味わったものというのが……

 地球遺産でもありながら民宿でもある─コナンたちが泊まる合掌造りの家はタイムスリップしたような雰囲気を味わえる、何ともいえない情緒を感じさせてくれる建物でした。合掌造りの中は上下に三階層になっていて、外から見るより部屋の数も多く、昔は大家族で住んでいたことが窺い知れます。どうやら民宿としてもたくさんの人間が泊まれそうな感じでした。
 思ったとおりその民宿にはコナンたちに加えて他の客達も何人か一緒に泊まるらしく、しばらくするとコナンたちと同じように合掌造りの建物に感動しながら数名の男女がやってきます。まるで昔の大家族を再現するようなアットホームな雰囲気が期待されたのですが…

 古臭い、風呂とかはちゃんとあるのか?、エアコンは無いだろうな…─皆がタイムスリップしたようなこれから始まる民宿での一夜に期待を抱き盛り上っている中で、パンチパーマに口鬚を生やした、いかにも感じの悪いヤクザ風の男は妻楊枝を吐き捨てて、難癖をつけながら他の客にも絡もうとします。’心ならずも’眠りの小五郎であることを明かした小五郎の機転で何とかその場は上手く収まったのですが…

 宿を間違えたことを知らされたそのヤクザ男はふて腐れてその場を去り、しばらくして夜がやって来て晩餐が始まります。
 蘭と少年探偵団は味噌の香りが食欲をそそる獅子鍋や岩魚に舌鼓を打ち、他方小五郎は冬は熱燗に限ると、昼間のビールの次は今度は日本酒で体を温め皆満足な様子。
 ところがそんなほろ酔い気分も瞬時に覚めるような大きな怒鳴り声が突如屋内に響き渡ります。

 どうやら声の主は民宿の主人・永倉巌のようで、例の幽霊騒ぎを宿泊客の中の若い女性二人組・ 好井ルミ子と木下加奈子に訊ねられてひどく憤慨しているようでした。慌てて妻の君子がなだめますが、村の人間は皆迷惑していると一向に怒りが収まらない様子。
 そしてまたしても小五郎の機転で、主人にも一献捧げられてその場は上手く収まったのですが…

 一転辺りは酒宴の場と化してしまい、ほろ酔い気分ですっかり出来上がってしまっている男たちの姿が。それではと若い男女は先に休むと言い残してその場を去り、蘭やコナンも先に休もうと席を立ちます。

 ところが少年探偵団の三人はこれから出かけ何とか幽霊の正体を突き止めてやると、夜の冒険に闘志満々。先に休んで本でも読むからと上手くその場を切り抜けた灰原とは対照的に、コナンは三人に付き合わされて夜の冒険に同行することになります。

 鬼沢郷の夜はいつも石を切る音とともに「火の用心」の声に包まれる─火事が起きやすい合掌造りの茅葺きの家が多いため、村全体で協力して毎日行っているという見回り。コナンたち少年探偵団一行もそれに参加しながら、夜の冒険をすることに。ところがその途中、突然歩美の姿が見えなくなって…

 大人たちも協力し皆で探し回った末、歩美は水神様の杉の木の根っこの中で眠っているところを無事に発見されます。
 目を覚ました歩美の話によると、見回りの途中に10歳くらいでおかっぱ頭をした赤いスカートの女の子を目撃し、気になって水神様の前まで後を追いかけていたら突然ふわっと消えてしまい、それきり見えなくなったというのです。

 その話を聞いた民宿の主人永倉巌とその妻君子は、昨年自殺した自分の息子・栄治の幼なじみ・まみのことを思い出します。所が彼女はすでに10年前に病気で…そして永倉巌が口にした奴らの「栄治のような奴は息子ではない」、そして「奴らの好き勝手にはさせない」という言葉の意味は…?

 何とか自分の見た女の子のことを信じて欲しい歩美は、翌日コナンたちを伴って捜査を開始。永倉栄治や乙沢まみのことなどを調査。その後女の子が消えたという水神様の現場を捜索しますが、そこでコナンたちは現場付近で何かをしている怪しい人影を目撃します。

 その夜─コナンたちは上から聞えてくる人の足音で眠りを妨げられます。誰かが上の階にいる─音のした最上階ヘ向かったコナンたちはそこで怪しい人影を目撃。しかし人影の方がコナンたちに気づくのが早く、人影は窓から縄を伝って外へ逃走。途中で火の用心の提灯を手に一人見回りをしていた男性を刺して…

 コナンたちが男性が刺された現場に到着すると、今度は通りの向こうから悲鳴が。どうやら声の主は蘭のようでした。そして一緒にいた歩美と蘭の二人が見つめる視線の先には、男性を刺したと思われる血まみれの刃物と昨晩歩美が見たというおかっぱ頭の少女の姿が……!?

豆知識
鬼沢郷 (地名)

 実在するのかと検索してみたら一件だけHIT。茨城県鹿島郡と出ましたが、本当にそうなのかは分かりませんでした。

 ただ、結局後編を見てみたら「岐阜県警」と出ましたので茨城県ではなく岐阜県で決まりですね(笑) そしてそれならばやはり合掌造りで有名な世界遺産の白川郷がモデルということで間違いないかと思います。

ノスタルジー (フランス語)

 英語では nostalgia (ノスタルジア)、そして日本語に直すと郷愁。離れ故郷を懐かしむ気持ち、望郷心ともいいます。

NEXTコナンズヒント
File348 ルーぺ
File349 電話番号
コント
File348
コナン「次回は解決編、っていうかさっきの誰?」(NEXTコナンズヒントで”ルーペ”と言った人についての言及)
元太「すっごい人」
コナン「えっ、すっごい人…?」

File349
小林アナ「問題です。毛利探偵事務所の下にある喫茶店の名前は?」
元太「お姉ちゃん、ビール注いでた人?」
(おそらく観光客役で登場したよみうりテレビの女性アナウンサーの小林杏奈さん)
OP
君と約束した優しいあの場所まで」(三枝夕夏 IN db)
ED
君という光」(GARNET CROW)
監督
佐藤真人
脚本
宮下隼一
絵コンテ
三家本泰美
演出
File348 谷田部勝義
File349 大庭秀昭
作画監督
File348 村中ひろび/サブキャラクターデザイン 佐々木恵子
File349 志村泉/サブキャラクターデザイン 佐々木恵子
ビデオ
PART12-9
DVD
PART12-9
評価

■以下ネタバレつき感想■
(未見の方はご注意下さい)

感想
評価 ★★★

◆前編を振り返って
 30分でしたが、今回はいろいろな事件やエピソードが入り混じってとても複雑な感じを受けました。あらすじも既にUPしましたが、予想どおり長くなりました(苦笑)
 今回は小五郎も蘭も灰原さんも少年探偵団も自分の役どころをしっかりと演じてくれていて、とても原作の雰囲気に近い作品だったと思います。

 肝心の事件ですが、どうやら本格作品のようです。私が気になった違和感を一点だけ。事件と関係あるかどうかは分かりません(笑)、なぜ冒頭で永倉夫妻の民宿に入宿しようとしたヤクザ風の男・川治健作が自分の所ではなく石岡という人間の民宿の客だと永倉巌の妻・君子には分かったのか?

◆後編を振り返って(総括)
 最後まで見た感想ですが、作品としての出来栄えは並という所でしょうか。犯人あては正直もう少しひねりがあってもと思いましたが、トリックの方はなかなか面白かったですよね。ただあの発想は合掌造りに住み慣れていないとまず湧いてこないため推理するのは厳しいかもしれません。しかしとてもユニークで良かったと思います。

 ただ肝心の幽霊の正体の方がちょっと…。あれでは本格作品としてはルール違反と言われても仕方がないかもしれません。

 全体としてみるとトリックだけが目立って素晴しかったですが、あとは前編で非常に期待が持てただけに残念でした。キャラクターは松代刑事が後編で登場しましたが群馬県警の山さんと結構かぶっていた感じがします(笑)

 それから少年探偵団が犯人とはいえ大人にあれだけ偉そうに言うのが、どうも子供らしくなくて私は好きではないんです(苦笑) まだ小学一年生ですからね。

 前編の段階での私の違和感というのは、なぜまだ川治健作が名前も名乗っていない段階で顔を見ただけで自分の所の客じゃないと分かったのか?、これがとにかく不思議で仕方がなかった訳です。
 そこで永倉君子とはひょっとしたら知り合いなのではないか、二人で協力して事件を起こしたのではないか? それならミステリとしては面白いなというのが前編を見た感想でした。

 結局後編を見てみると犯人あてに関しては前編には手がかりらしいものは一つもなかった訳です(ルーペの跡だけで推理するのはちょっと無理です・笑)から、推理はしなくて正解でしたが(笑)、私の願望は見事に却下されていましたね(苦笑)

 ただあの家のすり替えという(犯人と視聴者にとっての)トリックは見事でしたね。正直今回はそれだけが目立った良い点でしたが、幽霊をブロッケン現象のせいにしたり(これはミステリとしてはルール違反)、水神様の付近で川治健作が何かやっていたことや川で発見された服についての解答が全くありませんでしたし、その辺りが本格作品としてはちょっと不親切だった気がします。前編で結構期待していただけに落胆も激しかったです。

 それでもやっぱり水準は超えてしまうのがコナンのオリジナル作品のすごい所です。あの家のすり替えトリックには感心しました。今回はそれで満足ということにしましょう。

豆知識
ブロッケン現象(グローリー)

 周囲の開けた山頂に霧があり、太陽光線が水平に近い角度で入射するとき、太陽を背にして頂上に立つと、その人の影が前面の霧の壁に映り、影の回りに光の輪が現れる現象。霧粒にさしこんだ光が回折して起こる。御光。後光。
 ドイツのハルツ山脈のブロッケン(Brocken)山でよく観測されるところからこの名があり、「ブロッケンの妖怪」とも呼ばれる。日本では御来迎(ごらいごう)、仏の御光(ごこう)と称して尊ぶ(gooの国語辞典検索─三省堂提供「大辞林 第二版」より)

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