名探偵コナン352-353「フィッシング大会の悲劇」

(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)

タイトル
File352-353 フィッシング大会の悲劇
英題
The Fishing Tournament Tragedy
放映日
2004/2/23・3/1(前編・後編)
原題
TVオリジナル
ジャンル
本格
事件現場
奥谷湖 ほんすじ上流川岸
管轄
神奈川県警(横溝重悟警部)
登場人物
江戸川コナン
毛利蘭
吉田歩美
小嶋元太
円谷光彦
鈴木園子
横溝重悟
水井純一(27)
鮎川沙織(27)
船木敏彦(35)
鱒渕拓也(29)
蟹江健介
鮎川
鑑識
刑事A
刑事B
釣り人
アナウンス
警備員
本編の主人公、正体は工藤新一
本編のヒロイン、新一の幼なじみ
帝丹小学校に通うコナンのクラスメート
帝丹小学校に通うコナンのクラスメート
帝丹小学校に通うコナンのクラスメート
鈴木財閥の令嬢、蘭の同級生で親友
神奈川県警警部、静岡県警横溝警部の弟
大会運営委員
大会参加者、昨年度の大会優勝者
フリーライター、月刊バスに投稿
大会参加者、一昨年度の大会優勝者
鱒渕の友人、釣り名人
鮎川沙織の父親
鑑識員
神奈川県警刑事、横溝の部下
神奈川県警刑事、横溝の部下
大嶽岩で釣りをしていた大会参加者
アナウンス担当の大会関係者
九谷橋駐在の警備員
高山みなみ
山崎和佳奈
岩居由希子
高木渉
大谷育江
松井菜桜子
大塚明夫
里内信夫
紗ゆり
大滝進矢
櫻井孝宏
谷山紀章
声の出演なし
古田信幸
大西健晴
吉田裕秋
並木伸一
小林ゆう
高瀬右光
あらすじ
「お前たちは確か… 煙りの小五郎の…」

 緑豊かな木々の生い茂る山間を抜けると、そこには美しい水面が一様に広がる広大な湖が。そしてトロッコ列車はその湖を跨ぐようにして山間に架けられた鉄橋を滑るようにして進んで行き、気がつくといつの間にか乗客の真下には一面に湖が広がり…それはまさに絶景と呼ぶにふさわしいものでした。

 蘭とコナンは園子の父親の鈴木財閥会長・鈴木史郎がスポンサーを務めるバス釣り大会に参加しないかと園子から誘われ、その話を聞きつけた歩美、元太、光彦の少年探偵団の三人をも引き連れて、5キロの大物が釣れることもあるというバス・フィッシングの聖地奥谷湖に向かうトロッコ列車に乗り込んだのです。そしてその美しい眺めを目の当たりにして一様に感動していた、という訳でした。

 電車が奥谷湖駅に到着すると、駅前には今回蘭たちを招待した大会委員長代理兼プレゼンターの園子が、いつもと変わりないお調子者ぶりで5人を迎えます。
 それから園子の案内で、蘭たちはバス釣り大会の出場登録をするために受付へと向かい、運営委員の水井純一の手で参加手続きを済ませ、更にはフィッシング大会に向けて自分たちが使用するルアーの品定めを始めます。

 芋虫のようなソフトベイトのルアーやカエルの形をしたものなど様々あり、歩美やコナンたちも興味深そうにそれらを眺めていました。

 そこへ現われたのは黒々とした長い髪を後ろで束ねた、紫色の服装がよく似合う美しい女性。どうやら大会参加者らしいのですが、探偵団たちも大会に参加すると聞き、お互いの健闘を祈って握手を求めてきます。
 その美しく優しそうな表情の彼女と握手をした元太と光彦は、思わず鼻の下を伸ばして幸せそうな表情を浮かべていましたが…実は彼女こそ今大会の優勝候補筆頭で、昨年度のフィッシング大会優勝者でもある鮎川沙織だったのです…!!

 そんな大いに注目される存在であるせいか、沙織の周りには彼女を付け回すカメラマンの姿もありました。男の名前は船木敏彦というフリーライターでしたが、沙織はそんな船木を迷惑そうに感じながらも決して相手にはせずにその場を離れていったのです。

 そしてその沙織の歩いている道路の反対側から、紺色のセーターにオレンジのジャケット姿の若い男がやって来て、沙織と何やら話しながら歩いていきます。
 その男こそもう一人の優勝候補の鱒渕拓也で、こちらは一昨年度の優勝者だというのです。どうやら今年も二人の優勝争いになりそうだと、運営委員の水井純一は蘭や園子たちに得意げに説明して聞かせるのでした。

 午前10時になるといよいよ〈鈴木カップ奥谷湖大会〉の第一日目がスタートします。ルールは簡単で、参加者は釣り上げたバス5匹を持って午後4時に大会本部前に集合。5匹の総重量で順位が決定するというものでした。元太たち少年探偵団は優勝を目指し、意気込んで運営本部を後にしたのですが……

 ところが探偵団たちはポイントにする場所を巡って意見が対立。バスは藻や倒木がある所に隠れていることが多いというコナンの主張に対し、元太と光彦はボートは利用した方がいいのではとコナンの言うことを全然信じていない様子。

 しかしそんな中四人のすぐ近くで優勝候補筆頭の鮎川沙織が同じようにして釣りを始めたのを見て、元太と光彦は態度を急変。何とか沙織にいい所を見せようと真剣な面持ちで釣り糸を垂らし始めたのです。

 それから数十分が過ぎ…意気込んで釣りを始めた探偵団たちでしたが、バスは思うように四人の所にはやって来ませんでした。やっぱりボートの方が良かったのでは…と光彦が優柔不断なことを言っていると、そこへ例のフリーライターの船木が様子を見にやって来ます。
 彼は〈月刊バス〉という雑誌に記事を書いているらしく、今回の大会の記事を来月号に掲載するために取材をしているというのでした。しかしなかなか釣れない探偵団の神経を逆なでするかのように船木は写真を一枚撮らせてくれと頼んできて…
 そんな船木に元太は精一杯の抵抗を見せますが、一方探偵団たちのすぐ近くのポイントでは鮎川沙織が調子良さそうにバスを釣り上げていました。

 一体なぜこうも違うのか?不思議に思った元太と光彦は、沙織の秘密を探ろうと彼女のルアーに近づいていったのですが…結局すぐに沙織に見つかってしまいますが、心優しい彼女は元太たちに匂いのついたルアーを貸し与えてくれたのでした。

 ところが彼女のルアーの効果も全く表れず……運営本部に戻って来た四人は計量に向かうことさえありませんでした。結局四人とも収獲はゼロで、四人を出迎えた蘭と園子もただ苦笑いするばかり。
 その一方で探偵団の近くで釣りをしていた沙織は、13524グラムを釣り上げて周囲の予想どおりにその日1位の栄光に輝きます。それを見た探偵団たちは何とか自分たちも頑張らねばと、明日の2日目に雪辱を誓い合うのでした。

 大会が終わり宿を訪れたコナンは、風呂にでも浸かって日中の疲れを癒さんと浴場に向かいます。
 するとそこには例のフリーライターの船木が優勝候補の一人の鱒渕拓也に向かって何やら話をしているようでした。そして船木の話を聞いた鱒渕は馬鹿なことを言うものではないと不愉快そうにしながらその場を去っていったのです。
 一体二人の間にはどんなやりとりがあったのか? コナンはそれが気になって仕方がない様子でした。

 風呂から上がったコナンは蘭たちとともに広場でくつろいでいましたが、ふと広場の壁に飾られている「平成13年2月24日 釣人 蟹江健介」と記名された魚拓に目が留まり、しばらくそれをじっと眺めています。するとそこへ先ほど船木と言い争っていた鱒渕がコナンの所にやってきて、その蟹江という人物が自分の友人で、釣りの名人「だった」と懐かしそうに話してくれたのでした。

 一方広場のソファでは蘭と歩美が鮎川沙織を相手に釣りの話で盛り上がっていました。沙織の話によると、彼女は釣り人だった父親の影響で、子供の頃から遊園地にも動物園にも行かずに川や海で釣りばかりしていたというのです。それを聞いて歩美と蘭が驚いていると…

 そこへまたしても例のフリーライターの船木が現われ、今度は沙織に絡み始めます。「自分にそんな口を聞いてもいいのか?」と言葉遣いは丁寧なものの、いかにも脅迫者然とした態度で沙織に接する船木は、彼が掛け持ちしている雑誌〈レールマニア〉の仕事の手伝いをして欲しいと、この辺りの地理に詳しいという沙織に頼みにやって来たのでした。
 沙織はそれをしぶしぶ承知しますが、船木の登場によりその場は一気に暗い雰囲気に変わってしまったのです…

 翌日の大会二日目─あくまで岸近くでの釣りを主張するコナンと、理屈はどうであれ昨日岸で一匹も釣れなかったことからボートでの釣りを主張する元太と光彦はついに意見がまとまらず、結局別々の場所で釣りをすることになります。

 そんな中歩美はどちらにするか迷っていましたが、その時探偵団の前を通り過ぎていった鮎川沙織が九谷すじに向かうことを聞き、一緒に連れて行って欲しいと頼み込みます。しかし沙織は危険な場所だからとそれを断り、結局歩美はコナンと二人で丘釣りをすることになります。
 一方それを聞いた元太と光彦は、二人で密談をしながら九谷すじへボートで先回りする計画を立てたのですが…

 そしてそれぞれが思い思いのポイントで釣りを開始。そんな中コナンたちのことを心配する蘭と園子は、コナンが向かったほんすじの上流のポイントへ向かって歩みを進めていました。
 蘭と冗談を言い合いながら歩いていた園子が何気なしにふと横を向くと、川岸の所で岩に隠れるようにして横になっている人間の姿がありました。

 そして園子が、あまりに釣れないのでふて寝でもしているのかと、冗談をエスカレートさせながらそばへ近づいていってみると…

 何とそこに横たわっていたのは、崖の上の山道から転落して頭を強く打って亡くなったと思われる、フリーライターの船木の変わり果てた姿だったのです…!!

 すぐに警察が呼ばれて神奈川県警の横溝警部の指揮の下に捜査が開始されます。ところが調べを進めていくうちに、船木が亡くなっていた場所では半年前にも同じようにして「蟹江」という名前の人間が亡くなっていたことが判明して……

今回の見どころ
横溝重悟警部再登場

 今回は弟の方ということで、皆から怖がられていました(苦笑) ただ鈴木財閥のご令嬢の園子にあれだけ堂々としてズバッと言えるのは彼の良い所かもしれませんね。

 あとは元太と光彦をまったく相手にしないシーンが笑えました。怖いキャラのはずが、どことなく可笑しいと感じるのは私だけでしょうか(笑)

 オリジナル初登場で、これからも活躍を期待したいです。神奈川県警ということで近場ですから。

奥谷湖略図

桃色が蘭と園子が歩いていった川岸の道(約20分かかります)
▼湖の上の矢印は元太と光彦が九谷橋からダムの上を通ってボート乗り場から九谷すじへと
 登っていった経路(ひょっとすると九谷橋を越えた更に上流かもしれません)
紫色が鮎川沙織がほんすじと九谷すじの分岐点から九谷すじの上流へと向かったと考えられる経路
なお右岸から左岸へはダムの上の橋からしか行き来できないそうです
(理由は分かりませんがトロッコ列車の鉄橋からは無理ということのようです)

一応前編をもとに作成してありますので間違っているかもしれません
(コナンたちが上流に向かったと蘭が言っているので、奥谷ダムのある方が下流のはずですが、
もし逆ならコナン&歩美と船木の位置関係は全く逆になるはずです(念のため)
後編を見て逆なら修正したいと思います。

  大会
運営
本部
奥谷ダム(下流)
ボート
乗り場
九谷すじ


元太
光彦
鱒渕
鉄橋

コ&歩
NEXTコナンズヒント
File352 釣り竿最新モデル
File353 ホクロ
コント
File352
光彦「あっ、魚が今いないいないばあした!」
歩美「えっ、まさかな…」
元太「ぎょっ…」

File353
コナン「次回の舞台、熱海といえば?」
歩美「温泉!」
光彦「まんじゅう!」
元太「うな重!」
歩美&光彦「そりゃないぜー…」
OP
君と約束した優しいあの場所まで」(三枝夕夏 IN db)
ED
眠る君の横顔に微笑みを」(三枝夕夏 IN db)
監督
佐藤真人
脚本
小木曽豊斗
絵コンテ
File352 三家本泰美
File353 遠藤克己
演出
File352 戸澤稔
File353 横田和善
作画監督
File352 増永麗/サブキャラクターデザイン 佐々木恵子
File353 川島明子/サブキャラクターデザイン 佐々木恵子
ビデオ
PART12-10
DVD
PART12-10
評価

■以下ネタバレつき感想■
(未見の方はご注意下さい)

感想
評価 ★★

◆前編を振り返って
 今回は完全に本格推理を意識した作りになっていますね。しかも容疑者がこれだけ少ない訳ですから、いわゆるハウダニット形式(どうやってやったか?)が一番の焦点だと思います。ということでやっぱり推理しないと勿体ないので推理しています(笑)

 お話としては元太が冒頭からさっそく笑いを誘ってくれますし、橋の上でコナンと別れる時の台詞も最高でした。更には「1たす1は?」に対する回答など、見ごたえ充分でした。ちなみに今回のネクストコナンズヒントの高木渉氏はもっと可笑しかったですが(笑)

 今回のお話は鮎川沙織が全てといってもいいお話でした。それにしても元太と光彦の顔はかなりだらしない表情でしたね(苦笑)
 彼女が犯人でないことを元太や光彦の代わりに祈りつつ、前編の感想はこれで終わりにしたいと思います。

 以下今回の話は登場人物の場所的関係が重要と思われますので、整理してみました。感想というより推理ノートですが(笑)
1 被害者船木の死亡推定時刻は15分から30分くらい。つまり大会二日目が開始された10時直後から10時30ぐらいまでの間と推定されます。
2 死体発見現場はほんすじ上流の川岸の岩の上。どうやらすぐそばの崖の上を通っている山道を歩いていた船木が足を滑らせて崖下(川岸)に転落して頭を打ったという線が濃厚でした。ところが被害者が頭を打ったと思われる物が発見されず横溝警部は途方に暮れてしまいます。

 コナンと歩美はその30メートルほど上流で釣りをしていましたが、船木の悲鳴は聞えなかったというのです。そして蘭と園子はそのコナンたちの様子を見に行って船木を発見したという訳です。そして上流に向かった蘭と園子がその前に鱒渕がトロッコ列車の鉄橋のすぐ下のポイントで釣りをしていたのを見ています。

 そして大会運営本部から死体発見現場までの蘭と園子が辿った道は約20分の道のり。湖はボートを使わない限りはダムの上の道を通るしか渡る方法はありません。更に言うと右岸からダムの上の道路を渡って左岸の運営本部までは約5分以上かかります。

以下はネタバレですが、とすれば右岸にいた人間は一度ダムの上の道路を5分以上かけて渡り、そこから蘭たちが通った道筋で現場に行くしかない訳(ボート乗り場からボートを使うと上流を遡るため更に時間がかかるということでしょうか?)ですから、犯行は時間的に言って不可能…
 そのためほんすじと九谷すじの分岐点から九谷すじを上流へ遡っていた鮎川沙織には到底犯行は無理…と思わせたいというのがこの作品の意図なのでしょうか(笑)

 ということであれば「ミステリとして話を盛り上げるため」には犯人は必然的に鮎川沙織しか考えられなくなり、真の犯行現場も九谷すじ近くということになります。そうであれば被害者が頭を打った物が現場から発見されなかったのも、30メートル先にいたコナンと歩美が悲鳴を聞かなかったのも納得のいく話です。
 ではどうやってほんすじの上流まで運んだかといえば、これはトロッコ列車を使ったとしか考えられないでしょう。丁度トロッコ列車は下の地図をご覧になればお分かりかと思いますが、九谷すじからほんすじ上流へと向かっています。

 それにしてももしこの通りなら次回予告でちらっと見えた線路はヒントとしては分かり易すぎて、少しまずかったような気がしますが(苦笑)
 また、もしこれで被害者のすぐそばにいた鱒渕の方が犯人だとしたら、それこそ苦笑いするしかありませんし(笑)、更に運営委員の水井が犯人という結末なら脱帽するしかないですが、後者に関しては多分そういうことはないでしょう(笑)

 前編を見た限りでは沙織と船木が対岸を並行して九谷すじを上流へと歩いているシーンがありますから、ボートがない以上は沙織はどこかで船木のいる側の岸に向かわなければいけない訳ですが、おそらく九谷橋を渡って右岸にいる船木を殺害し、丁度その付近を通っているトロッコ列車を利用して何らかのトリックを使って死体を移動させた…これが考えられる精一杯の推理でしょうか。
 あとは元太たちがボートの上で拾い上げた木の板?が何を意味するかですが、これはさっぱりです。NEXTヒントの釣り竿最新モデルも同様にさっぱり意味不明です。

 個人的に鮎川沙織の方が犯人だとすると、何だか悲しすぎる結末になりそうですから外れていることを期待しています。ということでこのあたりでご勘弁を(笑)

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