名探偵コナン425「ブラックインパクト!組織の手が届く瞬間」

(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)

タイトル
File425 ブラックインパクト!組織の手が届く瞬間
英題
Black Impact! The Moment the Black Organization Reaches Out!
(仏 Impact Noir! Quand le bras de l'Organisation vous atteint)
サブタイトル
Side.1 暗殺者 (Assassin)
Side.2 侵入者 (Intruder)
Side.3 理由 (Reason)
Side.4 七つの子 (Seven Kids)
Side.5 キール (Kir)
Side.6 エディP (Edie P)
Side.7 二重人格 (Double Personality)
Side.8 標的 (Target)
Side.9 暗殺 (Assassination)
Side.10 ベインB (Vain B)
Side.11 受難 (Calamity)
Side.12 お気に入り… (My Favorite...)
放映日
2006/1/9(2時間半スペシャル)
原題
第48巻
File9「ピンポンダッシュ」
File10「新たなる黒の者」
第49巻
File1「ターゲットを追え!」
File2「新たなる指令」
File3「黒の組織vs.FBI」
File4「黒の組織vs.FBI 2」
File5「新しい先生(冒頭部分のみ)」
ジャンル
前半 本格
後半 サスペンス
事件現場
前半 日売テレビ局~杯戸町 水無怜奈の自宅マンション306号室
後半 米花市内(帝都第4駐車場~鳥矢街道~杯戸公園~鳥矢大橋~毛利探偵事務所~杯戸中央病院~米花公園)
(注)ネタバレになるため一部伏字になっています
管轄
-
登場人物
江戸川コナン
工藤新一
毛利蘭
毛利小五郎
阿笠博士
灰原哀
目暮警部
高木刑事
吉田歩美
小嶋元太
円谷光彦
鈴木園子
佐藤刑事
宮本由美
榎本梓
沖野ヨーコ
水無怜奈(27)
常磐栄作
千頭順司
土門康輝
毒島桐子
ボディガード
ディレクター
司会
所員
組員
偽刑事A
偽刑事B
女性A
女性B
女性C
男の子
ジョディ先生
赤井秀一
ジェイムズ
宮野明美
ジン
ウオッカ
ベルモット
カルバドス
キャンティ
コルン
キール
DJ
ケビン・ブラウン
本編の主人公、正体は工藤新一
本編の主人公、高校生探偵
本編のヒロイン、新一の幼なじみ
蘭の父親で私立探偵
新一の家の近所に住む自称天才科学者
黒の組織から来た謎の少女、本名宮野志保
警視庁捜査一課警部
巡査部長、目暮の部下
帝丹小学校に通うコナンのクラスメート
帝丹小学校に通うコナンのクラスメート
帝丹小学校に通うコナンのクラスメート
鈴木財閥の令嬢、蘭の同級生で親友
警部補、目暮の部下
交通課の婦警、佐藤刑事の親友
毛利探偵事務所下 喫茶店《ポアロ》店員
人気アイドル
日売テレビ アナウンサー
衆議院選立候補者、帝都大学薬学部教授
衆議院選立候補者、人気俳優
衆議院選立候補者、元自衛隊幹部
暴力団泥参会 幹部
ボディガード
日売テレビ ディレクター
選挙演説の司会者
選挙事務所 所員
泥参会 組員
誘拐犯
誘拐犯
公園にいた女性
公園にいた女性
公園にいた女性
杯戸町に住む少年
FBI捜査官
FBI捜査官
FBI捜査官、ジョディと赤井の上司
灰原哀の姉
黒の組織の男、新一に毒薬を飲ませた人物
黒の組織の男、ジンの手下
黒の組織の女、映画女優クリス・ヴィンヤード
黒の組織の男、スナイパー
黒の組織の女、スナイパー
黒の組織の男、スナイパー
黒の組織の一員
黒の組織の暗殺のターゲット
アメリカ大統領選の候補者?
高山みなみ
声の出演なし
山崎和佳奈
神谷明
緒方賢一
林原めぐみ
茶風林
高木渉
岩居由希子
高木渉
大谷育江
松井菜桜子
湯屋敦子
杉本ゆう
声の出演なし
長沢美樹
三石琴乃
声の出演なし
声の出演なし
福田信昭

まるたまり
千葉一伸
菅原淳一
水内清光
土田大
三戸耕三
徳丸完
中村秀利
半場友恵
城雅子
山縣里美
西村ちなみ
一城みゆ希
池田秀一
家弓家正
声の出演なし
堀之紀
立木文彦
小山茉美
声の出演なし
井上喜久子
木下浩之
三石琴乃
福田信昭
声の出演なし
(注)ネタバレになるため一部伏字になっています
※円谷光彦については、冒頭の放映10周年記念挨拶のシーンは、大谷さんが体調不良でしばらくお休みのため、折笠愛さんが代役を務めていらっしゃいます
あらすじ
「毛利さんに会わせたい人がいて…今呼んでみますから…」

 その日日売テレビの朝の人気番組〈朝生7〉の人気コーナーの一つ、「沖野ヨーコの4分クッキング」にゲスト出演することとなった毛利小五郎氏は、朝の生放送という素人であれば緊張して胃でも痛くなりそうなテレビの収録を終始堂々とした態度で無事撮り終え、いつも以上にご機嫌な様子で、滅多にない”わが麗しのヨーコ嬢”との楽しいひと時に酔いしれていました。

 一方日売テレビのスタジオ内には祝日ということもあり蘭とコナンの二人も見学に来ていて、内心ハラハラしながら小五郎の雄姿(?)を見守っていました。
 しかし二人の心配をよそに何事もなく撮影が無事終了すると、朝が早かったせいもあってか朝食抜きで見学に訪れたコナンの空腹は限界に達していたらしく、ヨーコの誘いで小五郎、蘭とともにテレビ局の食堂で遅い朝食をとることになったのです。ところがその席上にはヨーコと小五郎、蘭、コナンの他にもう一人の人物が同席することになり…

 「毛利さんに会わせたい人がいる…」─一緒に朝食を食べることになった沖野ヨーコがそう言って連れてきたのは、日売テレビでアナウンサーとして活躍している水無怜奈という若い女性でした。

 怜奈とヨーコは同じ局内で顔を合わせることもあってか親しそうに話をしているのですが、どうやらヨーコはただ親しいという理由だけで小五郎に怜奈を紹介したのではなく、名探偵としての小五郎に力を貸してもらえればという理由で、怜奈を小五郎に引き合わせたようなのです。彼女の依頼とはいったい…!?

 ピンポンダッシュ─何と怜奈が恥ずかしそうに相談を持ちかけたのは、他人の家の呼び鈴を鳴らしておいて家人が応答する前に走って逃げるという、あのタチの悪いイタズラに悩まされているというものでした。

 もちろんただのイタズラであれば通常は他愛のないことかもしれませんが、話を詳しく聞いてみると、ほぼ毎週土曜に決まって、しかも独り暮らしの女性の家に対するイタズラということらしく、そうだとすると何をしでかすか分からない恐ろしいストーカーに付きまとわれているとも考えられ、小五郎としてもそのまま放置しておくこともできなかったのです…。

 それに加えて熱烈に応援しているヨーコの頼みとあれば断ることなどできるはずもない小五郎は、そこで水無怜奈の住んでいる杯戸町のマンションを蘭とコナンを連れて訪れ、何とも不気味なストーカー犯人の正体を突き止めるために一役買うこととなったのです。

 ところが単なるタチの悪いイタズラと思われたこの事件、いざ解決してみると事態はコナンも予想がつかなかった意外な展開を見せることとなり……


「さあ、そろそろ時間よ…さっさと片付けて…私の出番は…なしにしてくれる?」

 水無怜奈のマンションでのストーカー騒動を無事解決したコナンは、度重なる偶然が重なって黒の組織の一味が、”とある人物”の暗殺を企てているという事実を知ることとなります。
 そして阿笠博士を呼び出したコナンは、雨の降りしきる中博士のビートルで一味を追跡しつつ、仲間の一人に仕掛けられた発信器と盗聴器から届けられる一味の会話に神経を集中しながら敵の出方をうかがっていたのです。

 コナンもよく知るあの”ジン”と”ウオッカ”に加え、”キャンティ”、”コルン”、そして”キール”…更に現場にはどうやらあの”ベルモット”までいるらしく…
 一体何人の人間が集まって今回の計画が実行に移されるのか知ることができず焦りの色を浮かべるコナンでしたが、都内のとある屋内駐車場に集まった組織の連中たちの会話から、何とか奴らの計画の全貌を知るための手がかりとなりそうな情報を得ることに成功したのです。

 今回組織が狙っているのは”DJ”と呼ばれる人物。時間は今日の13時、そして場所は”エディP”…何でも一味の中の”キール”というコードネームの人間がTVのインタビュアーを装って標的となる”DJ”を”例の”場所まで誘導。その上で”キャンティ”と”コルン”と呼ばれる人間が、その”DJ”を狙撃して片づけるということのようでした。…そしてベルモットはというと、どうやら”もしもの時”のために控えているというのです。

 ”DJ”、そして”エディP”…もちろんそれは外部の者に万が一にも悟られないための組織の人間が考え出した暗号であり、それが誰を指し、どの場所を示しているのか現段階ではコナンにはまったく想像もつかないのでした。
 唯一知ることができたのは、博士と一緒についてきた灰原哀によってもたらされた”キャンティ”と”コルン”の二人が組織の中でも腕利きのスパイパーとして名が通っているという情報ぐらい…

 このままでは情報が少なすぎる…降りしきる雨が一段と強くなり盗聴器からの会話の声も聴きづらくなってしまい焦ったコナンは、発信器からの情報を頼りに黒の組織の一味が作戦会議をしていると思われる地下駐車場にもっと近づこうと、ビートルを降りて雨の町中を駐車場へ向って走り出したのです。ところが…

 そのコナンの行く手を遮るようにして、何者かが突然コナンの目の前に立ち塞がり、コートのポケットに入っている”拳銃”のようなものをコナンの額に向けて突きつけてきたのです…!

 そして……ダン!…コナンが抵抗する間もなく、目の前の”拳銃”は火を吹いて…

今回の見どころ
新年の挨拶&黒の組織との闘いを振り返る

 冒頭は新年最初ということで恒例のレギュラーキャラたちによる新年の挨拶があります。今回はコナンと蘭と園子、それに阿笠博士と灰原哀、少年探偵団が登場。そして挨拶の後には何とコナンが「ぼくがいる」を熱唱するのですが…

 そしてスペシャルサポーターの挨拶を挟んで、今回は黒の組織が絡んだスペシャルということで、これまでのコナンと黒の組織との死闘を振り返るダイジェストのような映像も本編に入る前に追加されています。

 ちなみに今回の作品、原作では園子と少年探偵団たちには出番はまったくありませんが、アニメでは回想シーンとエンディングテーマ中の映像で探偵団たちには一応登場シーンが用意されています。
 それからエンディング中にはそれ以外にも目暮、佐藤、高木、ポアロの梓さんと園子、それに宮本由美婦警にも登場シーンが用意されていますね。

キャンティ、コルン、キール…新キャラ続々登場

 黒の組織の新たな展開ということで、今回は黒の組織関連で新キャラが3人登場しました。

 自分のことを「アタイ」と呼ぶ無邪気なお姉キャラのキャンティも、寡黙ながらも自分の気持ちは結構ストレートに伝える渋めのキャラのコルンも、謎だらけのキールも、3人ともが個性たっぷりの味わいあるキャラクターで、黒の組織のストーリー展開に彼らがどう絡んでいくか、ドキドキしながら作品を見て頂きたいと思います。

今回熱い応援メッセージを下さった方々(登場順・敬称略)

 上戸彩、藤井隆、今田耕司、倉木麻衣、叶姉妹、藤井秀悟投手(ヤクルト)という芸能界・スポーツ界など各方面からファンだと仰る方々が登場しました。

 そしてこのうち上戸彩さんは名探偵コナン10周年スペシャルサポーターを務め、この後10週にわたって10周年記念クイズの出題を担当することになります。

原作との相違点
ケビン・ブラウンは3度死ぬ

 今回は新年一発目の2時間半スペシャル、しかもアニメ放映10周年記念ということでかなり気合いが入っていましたね。脚本の方もすっかりお馴染みの古内一成氏が担当されていて、かなりオリジナルシーンが追加されていました。

 しかもただ無意味に追加されているのではなく、話の筋や展開に合わせて丁寧に、そして原作のイメージを壊すことなく、伏線などになったりと実に効果的に追加がなされています。詳しくはネタバレ感想でも触れたいと思います。

 まず冒頭に黒の組織のメンバーが狙撃の練習をしているシーンが数分に渡って追加されています。

 「ケビン・ブラウンは3度死ぬ」というセリフをはじめとし、今回から新たに加わった組織のメンバーのキャンティとコルンの登場シーンが大幅に追加され、この2人のキャラクターをイメージしやすくしてあるのは視聴者に分かり易いですし、ファンにも嬉しいことですよね。

 そして2人が500ヤード…、550ヤード…、600ヤード…と競い合って狙撃をしていくシーンは見ごたえもありました。

 またこのシーンの最後にはジンとウオッカ、それにベルモットも登場し、いよいよスペシャルが始まるんだな…と視聴者の気持ちをより一層盛り上げることにも成功していると思います。

 ちなみにケビン・ブラウン(Kevin Brown)氏ももちろんアニメだけで登場するキャラクターですが、冒頭の英語でのアナウンスを聞いている限りでは、大統領選の立候補者だと思われます。

挙動不審だな…

 今回は黒の組織とFBIの対決がメインということで、原作では警視庁の刑事たちには出番がなかったのですが、目暮・佐藤・高木とそれに交通課の宮本由美婦警に登場シーンが用意されていました。

 どこでどう出てきたというのは話の筋にも関係してきますので、詳しくは本編をご覧になって確認して下さい。ネタバレ感想でもチラッと触れています。

七つの子

 沖野ヨーコが「小五郎に会わせたい人がいる」といって携帯電話を使って水無怜奈を呼び出そうとした際、コナンがヨーコが携帯を使う姿を見てベルモットを思い出すシーンがありますが、その後灰原哀が”七つの子”のメールアドレスを「開けてはいけないパンドラの箱」だと言ったシーンも思い出して自重しようとする部分があります。

 その部分でコナンが「ヘイヘイ…わかってるよ」と心の中で言った後、原作では何もないのですが、アニメでは灰原哀のセリフが更に追加されています。

 どんなセリフかはこれも見るまでのお楽しみということにしておきましょう。結構笑えますね。ちなみにこれもネタバレ感想でチラッと触れています。

オムライスの方が良かったかな…

 灰原のセリフの追加直後、沖野ヨーコが小五郎に会わせるために水無怜奈を連れてくる直前の小五郎のセリフで、原作にはないものです。

 食後のコーヒーを飲みながらということなので別の何かを食べてそれが気に入らなかったということなのでしょうか? 何を食べたか気になりますね。

 ちなみに小五郎のバックの壁には「牛どん」と「おすすめランチ680円」の文字が躍っていましたが、朝ということなのでこれらとは別のものを食べたものを思われます(笑)

 それから怜奈がヨーコから紹介され怜奈が挨拶すると、小五郎たちも自己紹介を返すシーンが追加されています。やっぱり小五郎は自分から「名探偵」と言っていました(笑)

今、誰かに見られていたような…

 コナンが水無怜奈のマンションの玄関にガムを使って盗聴器と発信器を仕掛けている際に追加されているシーンで、これもアニメオリジナルです。

 ちなみにこのすぐ後に蘭がコナンに原作では「紅茶でいい?」と聞くのですが、アニメではなぜかジュースに変わっています。

看板(笑)

 今回もスペシャルということで前回の2時間スペシャル「甲子園の魔物」に続きたくさんの看板が目につきました。

 看板ばかりの野球場とは違って街中ではチラホラですが、それでもいろいろな看板がありましたので、看板マニアの管理人の手でここに記しておきたいと思います。暇な方はぜひチェックしてみて下さい。

 茂木証券、もみじ美容室、小山銀行、紳士服スズハ、カラオケミュウ、藤本クリニック、文山書店、大山証券、月日生命ビル、富士山銀行、坂上外科、小倉証券、サウスプラザ

豆知識
キャンティ、コルン、キール (酒)

 今回新たに登場した黒の組織のメンバーのコードネーム。もちろんすべてお酒に関するものです。

 まずキャンティ (Chianti) はイタリアのトスカーナ地方を代表する赤ワインの名前。風味豊かで口当たりも滑らかで飲みやすく、世界中で愛されています。詳しくはフリー百科事典ウィキペディアのこちらのページを参照下さい。

 次にコルン (Korn) はドイツの蒸留酒。無色透明で香りも強くなく、くせがないのが大きな特徴です。ちなみにドイツでは穀物のこともコルンと言います。

 最後にキール (Kir) はカクテルの一種で、白ワインにカシス・リキュールを加えたものをいいます。詳しくはフリー百科事典ウィキペディアのこちらのページを参照下さい。

水無怜奈について

 杯戸町のマンションの306号室に住んでいる(角部屋)
 現在は日売テレビの日曜夜のニュース番組に出演、画面の端に映っていることが多い。
 以前は日売テレビの”朝生7”で火木土の担当をしていた(そこで沖野ヨーコと知り合いに)

沖野ヨーコの4分クッキング (TV番組)

 日売テレビの朝の看板番組”朝生7”のコーナーの一つ。今回は小五郎がゲストで”ヨーコ風醤油ラーメン”を作りました。

 ちなみにその後の水無怜奈との話し合いの中では”朝からズームin!”と書かれたジャンパーを着ているスタッフも見えました。日売テレビで朝生7の前後にやっている番組でしょうか。

ピンポンダッシュ (イタズラ)

 他人の家の呼び鈴を鳴らしておいて家人が応答する前に走って逃げるという、タチの悪いイタズラ。詳しくはフリー百科事典ウィキペディアのこちらのページを参照下さい。

MONDAY、日売ジャーナル、THE エンタテイメント!、週刊日売芸能 (雑誌)

 すべて水無怜奈の自宅マンションにあった雑誌や新聞の名前。

ジキル博士とハイド氏 (小説)

 冒険小説「宝島」などでも有名なイギリスの作家R・L・スティーヴンスンの書いた小説。

 穏和な性格のヘンリー・ジキル氏が、自分が発明した薬を飲んで邪悪な性格のエドワード・ハイド博士になってしまうという二重人格について書かれたお話です。

 詳しくはフリー百科事典ウィキペディアの、「ジキル博士とハイド氏」についてはこちらのページを、R・L・スティーヴンスンについては当サイトのミステリー・推理小説データベースのこちらのページを参照下さい。

帝都第4駐車場 (駐車場)

 黒の組織の連中が作戦会議を開いていた地下駐車場。

カーナンバー&道路標識
以下のように今回車がたくさん登場しました。

 新宿500 ひ ・164 阿笠博士のビートル
 新宿500 ふ 1208 水無怜奈の車
 新宿300 き 8023 ジェイムズの車
 新宿300 そ 1034 FBIの車
 新宿540 あ 4368 ジンとウオッカのポルシェ356A
 新宿300 す ・925 キャンティの車
 9607 水無怜奈のバイク

それから下のような道路標識もありました(何だか聞いたことのある名前が・笑)

     高山
      |
 緒方  ── 林原  緒方方面に首都高があります。

鳥矢町 (地名)

 TVオリジナルのシーンで高木刑事が張り込みしていた容疑の対象だった犯人が捕まった場所。

NEXTコナンズヒント
竹刀
コント
【上戸彩さんのコナン10周年クイズを放送】
 第1問 「名探偵コナン」の中で一番多く事件を解決している人物は?
  【コナン】  【目暮】  【小五郎】
OP
衝動」(B'z)
ED
悲しいほど 貴方が好き」(ZARD)
監督
佐藤真人
脚本
古内一成
絵コンテ
佐野隆史、原田奈奈、羽原久美子
演出
佐藤真人
作画監督
サブキャラクターデザイン・作画監督 佐々木恵子
作画監督補 川島明子
ビデオ
-
DVD
PART14-10
評価

■以下ネタバレつき感想■
(未見の方はご注意下さい)

感想
評価 ★★★★★

 今回は放映10周年記念の2時間半スペシャルということでかなり気合いの入った作りになっていて、オリジナルシーンも数多く追加され、見ごたえのある2時間半になっていたと思います。

 新しくなったOPとEDも作品にマッチしていましたし、黒の組織の話ということもあってこれまでの黒の組織との闘いについても冒頭できちんと説明されていましたし、ジェイムズ・ブラックの登場シーンなどでも回想シーンを使ってキャラクターの説明があったりと、視聴者に分かり易い、丁寧な作品作りがなされていたと思います。

 それから2作前の423「探偵団と青虫4兄弟」で指摘したばかりなのですが、スプリンクラーを拳銃で撃って雨を降らせるシーンではコナンのメインテーマも使われていましたよね。あの演出が個人的にはとても嬉しかったですね。やっぱりコナンのメインテーマはいつ聴いても何回聴いても元気と力が湧いてくる名曲だと改めて再認識させられました。

 そして一番関心したのは、その数多くのオリジナルシーンのほとんどすべてが話の展開や謎解きと上手くリンクして、伏線になっていたり何かしらの意味がきちんとあったことです。

 まず冒頭のキャンティとコルンが360度バーチャルの映像の中で狙撃のトレーニングをするシーンが追加されています。

 大衆を前に選挙演説をするケビン・ブラウン氏を500ヤードの距離から、湖でボートに乗って釣りを楽しむケビン・ブラウン氏を550ヤードの距離から、夜の列車の乗車席で読書に勤しむケビン・ブラウン氏を600ヤードの距離から、そして最後にはアメリカン・フットボールの試合会場でVIP席から試合を見守るケビン・ブラウン氏を650ヤードの距離から…と射程距離を2人で競い合っていましたよね。

 そしてこのシーン、実はラストの毛利探偵事務所の場面で、赤井秀一が2人が射止めることのできた距離を大幅に上回る700ヤード以上の距離から正確に標的を狙撃するというシーンの凄さを強調し、ラストを盛り上げるのに一役買っており、ちゃんと意味を持ったシーンになっていたのにはまったくもって関心しました。

 ただ3度も撃たれたケビン・ブラウン氏は架空の人物とはいえ、本当に気の毒でしたが(苦笑)、新キャラであるキャンティとコルンの2人の活躍をじっくりと堪能することができましたし、個人的にこの二人、どちらもいい味を出していて好みのキャラなのでとても嬉しい追加でしたね。

 それからベルモットの追加シーンでは原作では名前だけちらっとしか登場しなかった泥参会の毒島桐子がセリフつきで”怖いヤクザ”ぶりを発揮していました。このシーンもこの後ベルモットが毒島桐子に変装するというシーンにちゃんとつながっていて、無駄のない追加シーンとなっています。

 そして黒の組織の話になるといつも影が薄かった小五郎が、今回は標的にされてしまうなど、小五郎の活躍も目立った回となりました。冒頭の我が麗しのヨーコ嬢との共演では鼻の下が本当に伸びていましたし(笑)

 またコナンとの絡みも小五郎のボケとコナンのツッコミが実に冴え渡っていて、またオリジナルで追加されたジキルとハイド氏の本の説明の後の小五郎がコナンの頭を鷲づかみにして「ガキのくせに妙なことばかり知っているんすよ…」と言いながら上下に動かすシーンなどはかなり笑えましたね(笑)

 黒の組織の回というのはいつもホラー的といいますか、重苦しくどちらかというと暗い感じがするのですが、今回はいつものホラーの要素ももちろん感じられましたが、一方で小五郎とコナンを中心にコミカルで楽しいシーンも数多くあり、両者のバランスが上手く取れていてとても楽しく作品を見られたのが今までと違って新鮮でもありました。

 次に本庁の刑事たちについては、今回原作では本来登場がなかった訳ですが、ピンポンダッシュの事件で火曜日の晩に隣りの「305号室に侵入した怪しい人物」と、その人物が残した「木美和」の暗号の謎を追加することによって、上手くオリジナルシーンで彼らを登場させることに成功しています。

 この部分でコナンにオモチャにされ、目暮警部に怒鳴られる高木刑事は周りにいた刑事たちには本当に挙動不審で怪しく、視聴者には可笑しく(笑)映ったことでしょう。いじられ役としては天下一品の高木刑事のキャラの特徴をよく掴んだ楽しいシーンでした。
 それと機械オンチの目暮警部のシーンもありましたよね。これもファンにとっては嬉しい追加で皆さん楽しめたかと思います。

 305室の侵入者の正体も暗号自体もそんなに難しいものではなくすぐに分かりましたが、こういう小さな謎をいくつも作って視聴者を飽きさせないストーリー展開は実に上手いと思いますね。

 他にも水無怜奈のマンションでガムを使って盗聴器と発信器を仕掛けているコナンが「誰かに見られていたような…」というシーンを追加し、これは後になってジョディ先生の登場の際の伏線となっていたり、エディPの暗号のヒントとして、水無怜奈が雑誌や新聞を整理している場面でジキルとハイド氏の本を登場させたりと(ちなみに雑誌や新聞を整理する場面はピンポンダッシュの犯人当ての伏線にもなっていますよね)、原作では若干少なすぎるかなとも思える謎解き部分のヒントに関して、手がかりとなるようなオリジナルシーンをいくつか追加することによって、視聴者により謎解きを楽しんでもらおうという工夫がいくつも凝らされているのも、アニメならではで非常に良かったと思います。

 以上のように今回はピンポンダッシュの犯人当て以外にも、組織の標的となっている”DS”の正体、”エディP”と”ベインB”の暗号解読に加え、上記のようなマンションでコナンを監視していた人物の正体や305号室の侵入者と窓に残された「木美和」の文字の意味、冒頭でバーチャル射撃のシーンをわざわざ追加した理由など、話につながりと意味を持った部分が多々あり、物語として本当に無駄がなく流れるようにストーリーが展開され本当に楽しい作品でした。

 私自身も今回の2時間半スペシャルは今までのスペシャルの中でも特に出来の良い作品だと感じましたし、それを裏付けるように今回の放映終了後から当サイトも通常に比べ倍以上のアクセスを頂くなどかなりの反響もあり、放送としては大成功ではなかったかなと思っています。

 ゲストの芸能人の方の応援メッセージも心強く嬉しい限りですが、毎回毎回このようなことをする訳にもいかないでしょうから、視聴者の関心を高めるのに一番大事なことはやは作品そのもののクオリティの高さなのは言うまでもないことだと思います。

 昨年は低迷を続けた視聴率ですが、こういった感じで良質の作品を提供していれば、良い方向に改善されていくのではないでしょうか。

 今回はほとんど文句をつける部分はない気がするのですが、あえて課題も挙げるとするならば、やっぱり色使いですかね。

 今回は作画は絵も文句なく良かったですし、全体的にはそんなに気にならなかったのですが、警視庁が登場した部分だけは何だかとても殺風景な印象が否めませんでした。

 高木刑事は元々グレーのスーツですし、由美さんは婦警ですから紺、他の無名の刑事たちもそんなに派手なスーツにはならないのはある意味当然な訳で、また警視庁の建物というのはお店とかのように派手に飾りつけをしたりしないのもまた当然な訳ですから、そうなると警視庁というのはどうしても白、黒、茶、紺、灰色などの、寒色系かつ彩度の低い色の服装や調度品などが当然多くなる訳です。

 そんな中で目暮警部のコートのオレンジとか、佐藤刑事の赤いスーツというのは色合いを出すにはもってこいな気がするんですけどね…この二人まであんな地味な色の服装をしていると、正直見ていて地味ですよね。美しくないです。

 一度カラーコーディネーターの方にでも見てもらったらきっと同じことを言うと思いますが、人間が色から受ける印象というのは決して馬鹿にならないものだと私は思います。他のファンの皆さんはどう思っていらっしゃるのか、是非アンケートでもしてみたい所ですね。

 それからOPとEDについても少し触れておきましょう。まず新しくなったB’zのOPテーマについては、映像とものすごくマッチしていて、これも今までの中のベストといっていいOPになっていますね。

 特に良かったのはシルエットでキャラクターや車や銃や弾丸が描かれていたのが、何だか007などの1960年代のアメリカ映画みたいでレトロな感じがして個人的には非常に気に入りました。
 また題名を紹介する際の演出もギターと相まって派手でしたし、英語ではなくフランス語の題名だったのも新鮮でしたしいろいろと趣向を凝らしていてOPテーマだけでも充分見ごたえのあるSPでした。

 一方EDについてはZARDということで前年の映画を思い出してしまうようなせつないバラードでしたが、映像でもキャラクターたちの日常生活のシーンが描かれていて、本編では登場しなかった園子や少年探偵団なども登場してくれてファンとしては嬉しい限りだったと思います。
 個人的には顔は映らなかったのですが、園子と蘭に飲み物を運ぶポアロの梓さんがちらっとですが登場していたのが嬉しかったですね。

 最後に上で触れた”七つの子”の灰原哀のセリフですが、「本当かしら…?」というものでしたね。個人的にはかなり印象に残っていて、結構可笑しかったです。
 こういう所は実に上手くオリジナルシーンを追加してあって、脚本家の方のセンスの良さを感じてしまいますね。

豆知識
杯戸公園 (公園)

 衆議院議員候補の土門康輝が日売テレビの独占インタビューを受けた場所であり、組織の連中に”エディP”と呼ばれていた公園。

鳥矢街道、鳥矢大橋 (街道・橋)

 コナンたちが阿笠博士のビートルで追跡していた際に通った街道と、コナンがジェイムズとジョディと一緒に車で探していた組織の連中に”ベインB”と呼ばれていた橋。

杯戸中央病院 (病院)

 FBIとの追跡劇でバイクから転倒して重傷を負った水無怜奈が入院した病院。この後水無怜奈はFBIの24時間の監視下に置かれることになりました。

米花公園 (公園)

 エンディング後コナンと灰原が今後のことについて話し合っていたお馴染みの公園。原作では町を歩きながらの会話で、この公園は登場しませんでした。

TOPへ

名探偵コナンカレンダー

×