(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)
江戸川コナン 毛利蘭 毛利小五郎 鈴木園子 山村刑事 水無怜奈 本堂瑛祐 三角篤(32) 安実 鑑識 鑑識 ジン ウオッカ ベルモット キャンティ コルン |
本編の主人公、正体は工藤新一 本編のヒロイン、新一の幼なじみ 蘭の父親で私立探偵 鈴木財閥の令嬢、蘭の同級生で親友 群馬県警のヘッポコ刑事 日売テレビ アナウンサー 蘭のクラスに来た水無怜奈似の転校生 会社員、事件の依頼人 三角の恋人、事件の被害者 鑑識員 鑑識員 黒の組織の男、新一に毒薬を飲ませた人物 黒の組織の男、ジンの手下 黒の組織の女、映画女優クリス・ヴィンヤード 黒の組織の女、スナイパー 黒の組織の男、スナイパー |
高山みなみ 山崎和佳奈 神谷明 松井菜桜子 古川登志夫 声の出演なし 野田順子 家中宏 大坂史子 大西健晴 今村直樹 声の出演なし 声の出演なし 声の出演なし 原作のみ 原作のみ |
その日の毛利探偵事務所はいつもとまったく雰囲気が違っていました。いつもなら事務所の机の上には昼間から飲み捨てられた缶ビールの缶が散乱し、競馬新聞やら沖野ヨーコのライブを録画したビデオテープやらで部屋の中は散らかり放題…。肝心の事務所の主の方もネクタイを緩めボサボサの頭に無精ひげを蓄え、競馬新聞に目を通しているか、人気アイドルの映像を前に下劣な奇声を上げている姿が、実際に事務所で目の当たりにしなくても容易に想像できたのです…。
そして蘭が学校から戻ってきてはじめて部屋の整理整頓が行き届き、探偵事務所としての体裁と威厳を保てるようになるのが当たり前の状態だったはずなのですが…。
ところがその日の事務所の中といえば…部屋はきちんと整頓されてピカピカ、しかも机の上には事件の書類が整然と並び、肝心の事務所の主の方も髪はきちんと整えられ、クリーニングの行き届いたスーツとネクタイできっちりと身を固め、手にした事件の書類に真剣な眼差しを注いでいたのです…。
毛利探偵事務所に、あの美人アナウンサーの水無怜奈に似た”女子”高生がやって来る…しかもその子は他でもない小五郎の大ファンで…今回の小五郎の豹変ぶりもやはりいつもと同様に美人の女性が絡んでいたらしく、学校から帰宅した蘭とコナンはそのあまりにも分かり易い性格にただただ呆れるばかりでした…。
もっとも小五郎には悪いことに、今回事務所を訪問するのは水無怜奈に似た"男子”高校生だったのですが…
それから間もなくしてその転校生が探偵事務所に到着。水無怜奈に似ているという話を聞いたコナンは、黒の組織との関連も考えて険しい表情を崩さないでいましたが、事務所に現われた肝心のその男子高校生の方はというと……
コナンの予想は違う意味で大きく裏切られたのでした。事務所を訪れたのは名前を本堂瑛祐といい、青年いうよりは少年と呼んだ方がいいぐらいの華奢な体をした、まん丸の眼鏡をかけた男の子で、入ってくるなり何かにつまずき眼鏡が吹っ飛ぶほど派手に床の上に転がったかと思うと、眼鏡がないせいもあってかそばにいたコナンを小五郎と見間違えて挨拶をはじめ、今度はきちんと小五郎に向けて挨拶しようとしたものの深々と下げた頭がコナンの頭を直撃…もんどりうって後ろの棚に背中をぶつけると、今度は棚の上にあった荷物が落下し彼の頭を直撃して…
少々どころかかなりドジでおっちょこちょい…しかも本人が言うにはトーストを落とせば100%バターを塗った面が落ち、キャンプに行けば真っ先に蚊に刺され、集合写真を撮ればなせか自分だけ目をつぶっていてと、運にも見放されているというのです…そんな本堂瑛祐がその日探偵事務所を訪れたのは、ツイてない自分に小五郎の”運”を分けて欲しいからだということなのですが…。
眠っている間に事件を解決しているというその小五郎の運の良さに惚れ込み、何とか”眠りの小五郎”を見せて欲しいとせがむ瑛祐。小五郎も、そしてコナンも違う意味で瑛祐の話を聞いて胆を冷やしますが、そこへタイミングよく事件の依頼人が現われて、図らずも小五郎は名探偵ぶりを瑛祐に見せざるを得なくなったのです…。
今回の事件の依頼人は名前を三角篤といい、太い眉毛に立派な顎ひげを蓄えた30代前半の男でした。そして依頼内容はというと、行方不明になった彼の交際相手の女性を捜して欲しいというものだったのです。
何でも二人は一緒に暮らしているらしいのですが、今朝起きてみると急に姿が見えなくなり、彼女の実家に電話してみたもののおらず、携帯電話も電源が切られているというのでした。そして彼の口ぶりからすると、その原因は昨日の晩に二人がしたという些細な口ゲンカだと考えているようなのです。
そこでその内容を詳しく聞いてみると、最近仕事が忙しすぎてなかなか二人の時間を取ることができないことに対する不満という、よくありがちな他愛もないもの。
単なる家出で2、3日もすれば戻ってくるのではと小五郎も三角を説き伏せようとしますが、何でも彼女が乗っていった車に至急会社に提出しなくてはいけない重要な書類が置き忘れていたらしく、そんなに待てないというのです。
結局仕方なく事件を引受けた小五郎でしたが、そばにいたコナンは女性の方が三角の大事な書類が車の中にあることを知った上で出て行ったことを知り、彼女はもう一度やり直したいと思っていると推理。
そしてその絶好の場所といえば二人が出会った場所…きっと彼女は三角にそこへ迎えにきてもらいたいと思っているのでは…と流れるように推理は展開していき、小五郎たちは三角と彼の交際相手の女性が出会ったという群馬のスキー場を目指すことになったのです。
三角の話によると二人が出会った場所というのは、スキー場に向かう山道の途中のどこか。彼女は友達と三人で車を運転してスキーにやってきたものの途中で車がエンストし、そこに偶然三角が通りかかったのがきっかけだというのでした。
そこで小五郎はレンタカーを借り、いつものように蘭とコナンをお供に依頼人の三角、そしてひょっこりついて来た本堂瑛祐の5人で、雪が降り積もる群馬の山の奥深くにあるというその現場へと向かいます。
するとコナンの推理どおりに、二人が出会ったという思い出の場所に交際相手の女性が乗っていったと思われる三角の車が駐まっており……
今回の注目点は何と言っても蘭たちのクラスに転校してきたというアナウンサーの水無怜奈似の男子高校生、本堂瑛祐でしょう。キャラ的には完全におとぼけキャラで今回登場した山さんこと山村刑事とよく似ていますが、このキャラが出てくるととにかく笑えてくるのがGOODなキャラクターです。
何か重要な役回りを担っているのか、それともただ単に本当に転校してきただけなのかは分かりませんが、とにかく目の離せない注目キャラになりそうですね。
今回はほぼ忠実に原作どおりの展開でした。ただ原作の49巻File8、つまりこの話の一番最初の1ページは丸ごと割愛されていて、いきなり蘭と園子の転校生がいつ来るのかという会話からスタートします。
それからセリフに関してはいつもどおり若干の追加や変更、カットはありましたが、気になったのが園子の「メガネのガキンチョ」というセリフ。園子は話の前半にしか登場していないのにも関わらず3回もこのセリフを話しています。すっかり口癖になりつつありますね(笑)
コナンと蘭が昔二人で遊んでいたTVゲーム。双六のゲームだったようです。
今回の事件現場となった車の中に置かれていた被害者のバッグの中にあった小説の名前。その日に発売されたばかりで「Sunday Books」と書かれたブックカバーも発見されました。
ちなみにこのタイトル、何のもじりか気になる所ですが、おそらく映画化もされた高村薫氏の大ヒット小説「レディ・ジョーカー」のもじりなのではないかと想像しています。47巻の名探偵図鑑でも登場してきていますので。