(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)
江戸川コナン 工藤新一 毛利蘭 工藤優作 鈴木園子 上戸彩(20) 幸田文江(80) 幸田綾子 松子 設楽雅子 八百屋 ユキ 里菜 夕夏 諏訪 小林 北田 教師 |
本編の主人公、正体は工藤新一 本編の主人公、高校生探偵 本編のヒロイン、新一の幼なじみ 新一の父親で世界的に有名な推理小説家 鈴木財閥の令嬢、蘭の同級生で親友 人気アイドル女優 上戸彩の知り合いのお婆さん 幸田文江の一人娘、17歳で他界 幸田文江の友人 設楽記念館の主 ”41-831”の帽子を被った八百屋の主人 女子高生探偵、ドラマの主人公 ユキの親友 ユキの親友 押華高等学校 生徒 押華高等学校 生徒 押華高等学校 生徒、テニス部員 押華高等学校 教師 |
高山みなみ 山口勝平 山崎和佳奈 声の出演なし 松井菜桜子 上戸彩 池田昌子 声の出演なし 峰あつ子 藤夏子 菅原淳一 上戸彩 小野涼子 雪野梨沙 声の出演なし 声の出演なし 小西克幸 天野由梨 |
何でこんな春のうららかな日にうら若き乙女がハタキがけなんかしなければいけないのか…またしても休日を利用して今は誰も住んでいない工藤優作邸の大掃除をすることになった蘭とコナン、そしてそれに付き合うことになった園子。
広い屋敷ということもありとても一日では掃除しきれない工藤邸でしたが、その日はその中でも一番大変そうな、天井にまで届かんばかりの高さの本棚にびっしりと本が並べられた工藤優作の書斎を掃除していたのです。
頼まれてもいないのに工藤邸に押しかけ愚痴をこぼしながらも何とかハタキがけを頑張っていた園子でしたが、優作自身の著書が並べられた一角を掃除し始めると、優作がまだ若かった頃に書いたという、以前TVドラマ化もされた「女子高生探偵ユキの事件簿」という小説に目が止まり、懐かしそうな様子で本をパラパラとめくり始めます。
すると本には一枚の写真が挟まれていて、床の上に落ちたその写真を園子が拾い上げて見てみると、写真には工藤優作夫妻と蘭、それにサッカーボールを手にしている新一、そしてその四人に囲まれるように一人の若い女性が写っていました。
その女性の名前は上戸彩といい、20歳という若さながら近年めざましい活躍を見せている人気女優でしたが、何とその上戸彩が初めて主演を務めたドラマというのが、他でもない優作が書いたその「女子高生探偵ユキの事件簿」だったのです。
そして今園子が手にしている写真はTVドラマ化が決定した際、上戸彩がマネージャーとともに原作者である優作のもとに挨拶に訪れた時のもので、それはもう今から4年も前、蘭と新一が中学1年生の時のことだったのです。
写真を見てその時のことを懐かしそうに思い出す蘭。ところが話をしているうちに蘭はその時からずっと気になっていた”あること”を思い出してしまったのです。
蘭は彩が工藤邸を訪れる以前から彩のファンだったらしく、大喜びで色紙を持って工藤邸を訪れたのですが、新一の方はまったく関心がなかったのかずっとサッカーボールを相手に一人で庭で遊んでいました。ところがそんな新一の方を彩が妙に真剣な表情でじっと眺めていたのです。それから彩は新一に声をかけ二人は何かを話し始めたのですが、それが遠くにいた蘭には聞こえなかったらしく…
そこで蘭は後になって新一にその時何を話していたのか聞いてみたのですが、新一の返事は「別に」の一言のみ…。そのためその時二人が何を話していたのか、蘭はずっと気になっていたのでした。
ところが何という偶然か…ちょうどその話をしていた真っ最中に工藤家のチャイムを鳴らす音がして、蘭が応答に出ると門の前には帽子にサングラス姿の若い女が立っていました。そして若い女は蘭の誰かという問いかけに迷ったものの、意を決して「上戸彩」と名乗ったのです。
突然の有名人の訪問、しかもたった今話をしていたばかりの彩の訪問に驚きと興奮を隠せない蘭と園子。そして今回その彩が工藤家を訪ねてきた理由というのは、何と新一に対する事件調査の依頼だったのです。
もっとも新一は携帯電話もほとんど留守電になっていて不在がち、また小五郎もひどい二日酔いで使い物にならず…そこで蘭たちが彩から話を聞いた上で、新一の携帯電話の留守電にメッセージを入れて相談してみるということになり、とりあえず蘭たちが彼女から詳しく事情を聞いてみることになったのです。
彩の依頼内容というのは次のようなものでした。彩の住むマンションの近くに幸田文江という80歳になる一人暮らしの老婆が住んでいるのですが、彩は彼女ととても仲が良いらしく、仕事がオフの日にはよく彼女の家に遊びに行くというのです。
そして今日も仕事がオフということで昼前にフラッと立ち寄ってみたらしいのですが、なぜか家の中には誰もいなかったというのです…。
文江は普段から玄関の鍵をかけずに近くに買い物に行くこともあるため、今日も同じように考えてしばらくテレビを見ながら茶の間で時間を過ごしていたのですが、結局文江はいくら待っても戻って来なかったため、心配になった彩は近くの八百屋に様子を見に行きます。
すると文江は少し前に八百屋の前を通りかかったらしく、八百屋の主人に「米花町」に行くとだけ答えてさっさと行ってしまったというのでした。しかも顔の表情は強張っていていつもと様子が違っていたというのです。
そこで彩はタクシーを飛ばして米花町にやって来たのですが、文江がこの町に来た理由がさっぱり分からなかったため捜しようがなく…
そんな時、4年前に一度会っただけでしたが、ちょうど米花町に住んでいて今は高校生探偵として活躍している工藤新一のことを思い出し…何とか相談に乗ってもらおうと思、たった今工藤邸を訪れたという訳だったのでした。
それから幸田文江について彩から話があった後、今度は彩に対して文江の家を訪れた時の様子を詳しく聞いてみることになったのですが、コナンはテレビの主電源や飲みかけのお茶などの状況証拠から、文江は茶の間でお茶を飲みながらテレビを見ていた際にふと何かを思い出して慌てて出て行ったと推理します。
そこで俄然その時文江が見ていたテレビ番組に関心が集まったのですが、携帯電話で番組欄を検索してみると、何とその時刻にやっていた番組というのが、上戸彩が主演し工藤優作が若かりし頃に書いたというあの「女子高生探偵ユキの事件簿」の2時間ドラマの再放送だったことが分かったのです…!
文江が米花町を訪れた理由とは? そして文江は今どこに? 更には蘭が気にする4年前の新一と彩の秘密の会話の内容とは?
4年前に工藤優作原作のテレビドラマ「女子高生探偵ユキの事件簿」で主役を務めた上戸彩。
その彩の知り合いの老婆が謎の失踪をし、米花町に行ったことが分かり、彩も後を追って米花町へ。ところがそこで消息は途絶え、彩は4年前にドラマの挨拶のために工藤邸を訪れたことを思い出し、その時会った今は高校生探偵の工藤新一に相談を持ちかけようと4年ぶりに工藤邸を訪れるのですが…。
果たしてコナンは文江を探し出すことができるのか、4年前に会った際に新一と彩が話していた会話の秘密や小五郎顔負けの迷推理を披露する鈴木園子嬢の大暴走と見どころ満載の傑作サスペンスです。
工藤優作著。少し前に上戸彩主演でTVドラマ化される。コナン曰く、優作が若かりし頃に書いていた本で、今読むと結構恥ずかしかったりもする作品なのだとか。
「闇の男爵(ナイトバロン)」の著者としては世界的に有名ですが、こんな本も書いていたんですね(苦笑)
それからコナンが携帯電話で番組欄を検索するとこの番組の再放送が出てくる訳ですが、そこには上戸彩主演の他に共演の名前として愛内里菜と三枝夕夏の名前がありました。これはビックリですね(笑)
「女子高生探偵ユキの事件簿」で登場した高校の名前。
朝の9時から日売テレビでやっている情報番組話題。テレビ番組欄によると情報てんこもりなのだそうです。
正式名称は設楽しゅんいち記念館といいますが、作中表記がなかったため省略しました。10年ぐらい前に亡くなった音楽家の古い洋館をピアニストで夫人の設楽雅子がそのまま記念館にしたもの。音楽室は2Fにあります。
4年前に放映された上戸彩演じるテレビドラマ「女子高生探偵ユキの事件簿」は、製作当時に米花町でもロケをやったことがあったらしく、米花駅、米花公園とこの記念館などで撮影をしたのだそうです。
そしてドラマの中で主人公のユキは、殴られてこの記念館の地下室に閉じ込められたのだとか。
エンディング後にコナンが本屋を見上げるシーンで壁に貼られいてた広告に名前があった雑誌。
他に「SDB(スーパーダイジェストブック)」やヨンデーコミックス赤山剛昌原作「AKIBA」(新装版)の広告がありました。
今回の作品評価は1点の割合が普段よりかなり多く評価が極端に割れているのですが、これはまあスペシャルサポーターというものを支持していない方の票なのかなと個人的には思っています。率直に言ってそういう方も作品は作品として見て頂きたいとは思いますが、まあ評価は自由ですから仕方ない所でしょう。
今回は特別出演もあってかなり気合いの入った30分でした。ストーリーも見ごたえがあって個人的には笑いあり感動ありの充実した内容だったと思います。
ミステリーとしては殺人事件も起きず、犯罪らしい犯罪も一切なしでトリックなどもありませんし、意外性のあるストーリーでもありません。失踪事件を追いかけるという結構地味な内容なのですが、新一と上戸彩が4年前の約束を果たして名探偵と人気女優になり、その二人の特技を生かして幸田文江の自殺を止めるというのはなかなかに素晴らしいアイデアだったと思いますし、よく考えられた設定だと感心しました。
この点殺人事件がよっぽど好きなのか、上戸彩が殺人事件の犯人で女優としての演技を生かして新一(コナン)と対決するという予想をしていた方も一部にはいらっしゃるようですが、殺人事件が起きなくてもこれだけ面白い、そして素晴らしい話が作れる訳ですから、素直に評価すべき所はすべきだと思います。それとたまに「コナンは殺人事件ばかりだ」と批判する輩もいるのですが、こういう作品を目にするとそれはやはり見当外れだということがはっきりしますよね。
それから再放送をきっかけに娘のことを思い出して死のうとする老婆の心情が理解できないと一部で批判している人間がいるのですが、大切な人を失った悲しみの深さがそういう人間には分からないということでしょう。
そういう感情というのは実際にそういう苦しみを受けた人間にしか分からないものですし、この老婆の場合は未婚の母でかけがえのないたった一人の娘を失い、あとは天涯孤独の人生を歩んできて80歳になっている訳ですから、天国の娘の下に行きたいという気持ちになっても私には全然おかしくないと思いますが。何かそういう批判を聞いていると残念ですし、悲しくなってしまいますね。
最後に今回は女子高生探偵として園子も大活躍(?)するのですが、今回の園子には大ウケでしたね(笑) やはり小五郎や園子というのはこれぐらい暴走してくれないと、名探偵コナンという作品は盛り上がってこないです。久しぶりにいいものを見せてもらいました(笑)
ただ今回の作品で首を傾げた点が一つ、設楽記念館で蘭と園子と彩の三人ですが、人に質問したら「ありがとう」ぐらい言ってから立ち去って欲しかったです。
最後に質問したコナンが設楽夫人に「ありがとう」と言ってくれているのがせめてもの救いですが、さすがに何も言わずにさっさと行ってしまった三人にはちょっとビックリしてしまいましたよ(苦笑)