(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)
江戸川コナン 毛利蘭 毛利小五郎 鈴木園子 鈴木綾子 本堂瑛祐 山村刑事 槙野純(29) 天堂享(30) 倉本耀治(30) 保波倫子(28) 警官 |
本編の主人公、正体は工藤新一 本編のヒロイン、新一の幼なじみ 蘭の父親で私立探偵 鈴木財閥の令嬢、蘭の同級生で親友 園子の姉、大学院生 蘭のクラスに来た水無怜奈似の転校生 群馬県警のヘッポコ刑事 ミュージシャン、ドルクスのメンバー ミュージシャン、ドルクスのメンバー ミュージシャン、ドルクスのメンバー ミュージシャン、ドルクスのメンバー 群馬県警の警察官 |
高山みなみ 山崎和佳奈 声の出演なし 松井菜桜子 声の出演なし 野田順子 古川登志夫 安藤麻吹 高田裕司 矢尾一樹 引田有美 小上裕道 |
園子のお姉さんの知り合いのペンションで避暑する─そう園子から言われて園子とコナン、それに本堂瑛祐と一緒に4人で山道を歩いていた蘭。ところがその蘭たちが向かった先というのは実は……
蘭たち一行が到着したすぐ先に見えたのは、崖を隔てた向こう側にある別荘風の建物。そう、その建物は他でもない鈴木財閥所有の別荘─以前園子の姉・綾子が催した大学のOB・OG会で繰り広げられた凄惨な殺人事件の舞台となり、しかも蘭自身も犯人の包帯男から命を狙われたあの曰く付きの別荘だったのです…!
それを知った蘭は当然のように帰りたがりますが、園子は最初からそれを察知していたのか途中で車を降りて山道を歩いていくことにしたため、方向音痴の蘭はどうすることもできず、結局渋々園子の別荘に向かうことになったのです。
ところがここでまたしても蘭の強運がものをいったのか…鈴木財閥所有の別荘へと続く吊り橋が手抜き工事のためか落ちてしまっていて、4人は別荘に向かうことができなかったのでした。園子の姉の綾子が来るのも夜になってからであり、送迎の車も帰しかつ携帯電話も圏外となると……
やっぱり山を歩いて降りるしか……途方に暮れそう考え始めた蘭と園子でしたが、コナンの一言ですぐ近くに別の別荘があるのを見つけます。そこで電話を貸してもらおうとその別荘まで出向くこととなったのですが…その別荘でまたしても凄惨な事件が待ち受けていようとは、まだその時は蘭も園子も知る由もなかったのでした。
ほどなくその別荘に到着し、蘭と園子は何度もチャイムを鳴らしますが、中からの応答はなく一度は諦めかけます。しかしそうこうしているうちに車に乗った男女三人組が別荘に戻ってきて、蘭たちは事情を話した上で中に通してもらえたのです。
しかしホッとしたのも束の間、蘭たち4人、特にお化け嫌いの蘭にとっては、非常に有り難くないこの別荘にまつわる話を中に入るなり聞かされることになります。何とこの別荘も、鈴木財閥所有のあの別荘に勝るとも劣らない曰く付きの別荘だったのです…!
今回親切にも蘭たちを中に通してくれた男女というのはインディーズシーンでは名の知れたドルクス(DORCUS)という名前のバンドのメンバーたちで、落ち着いて作詞作曲や練習ができる場所を探していた所偶然この別荘を見つけ、掘り出し物といっていいぐらいの格安の値段で買ったというのでした。ところがその格安だった理由というのが、何とも奇妙で恐ろしいものだったというのです。
何でもこの別荘、元は大金持ちの兄弟が建てた別荘で、この時期になると兄弟はそれぞれの嫁を連れて一カ月ぐらい避暑に来ていたらしいのですが、とある日の夜、兄の方が突然妙な事を言い出したというのです。
この家の窓から得体の知れない魔物が舞い込んだ─大金持ちの兄はそう言って魔物が入ってきたという窓を釘で打ち付けて開かないようにしたというのでした。ところが今度はもう既に魔物は屋敷の中に棲み付いてしまっていると言い出し、床や壁紙を取り替えるなどこの別荘の大改装に乗り出したというのです。
しかし話はそれで終わらず、ついに事件が起きてしまったのです…。次の年のある日、裏庭でガーデニングをしていた兄嫁が釘で打ち付けて開かなくなったはずの窓が開いていて、何かがずっとこちらを覗いているのを見てしまったのです。そしてそれから数日も経たないうちに、兄嫁は魔物に取り憑かれでもしたかのように別荘の2階で首を吊って自殺しまったというのでした…。
更に兄の方も、自殺した彼女の後を追うようにして3階の自分の部屋から身を投げて自殺してしまったというのです…。
結局残った弟夫婦が、その嫌な思い出を早く忘れたいと別荘を非常に安い値段で売りに出し、それを今回ドルクスのメンバーたちが安く買ったということらしいのですが…
ドルクスのメンバーたちは魔物など信じていないのか、そんな曰く付きの別荘だということにもまったく動じる様子もなく、問題となった2階の釘で打ち付けられた窓もそのままにしてあるというのでした。そこで蘭たちは興味本位で問題のその窓を見せてもらうことにしたのですが、実際に見てみると話の通り何本もの釘が窓に打ち付けられており、ビクともしない状態で閉ざされていたのです。
ところが蘭たちが問題の窓を恐る恐る眺めていると、突然一人の女が現れて誰彼構わず怒りを露わにしたのです。
その女というのは、蘭たちが別荘を訪れた際に車に乗って戻って来て蘭たちを中に入れてくれた三人の男女、
槙野純、天堂享、倉本耀治に加えもう一人のドルクスのメンバーらしく、彼女は部屋に入るなり静かにするようにと怒鳴り散らし、勢いよくドアを閉め瞬く間に部屋を後にしたのでした。
彼女は名前を保波倫子といい、メンバーの中で曲作りを担当しているらしいのですが、この別荘にやって来て以来ずっと鬱気味で機嫌が悪く、他のメンバーたちは困っている様子でした。もっとも彼女の書く曲のおかげでドルクスは人気を保っているため、彼女に文句も言えないらしく…
それからしばらくして園子が姉の綾子と連絡を取ることに成功し、2時間後に迎えが来ることになり、この曰く付きの不気味な別荘から早く立ち去りたいと思っていた蘭はホッと胸を撫で下ろします。ところがやはりコナンといえば事件が付き物…事件はコナンを待ってはくれなかったのです。
綾子が到着するまでの時間つぶしということで、蘭たちは釘で打ち付けられた窓がなぜか開き、そこから魔物がじっとこちらを覗いていたという問題の裏庭を興味本位で見に行くことにしたのですが、実際に裏庭に来て見ると、問題の窓は内側から釘が打ち付けられているため、外から見ただけでは他の窓と何の変わりもありませんでした。
ところが本堂瑛祐がすぐ近くの木の上に置かれた巣箱を見つけ、皆がそれに気を取られている間に、事件は発生したのです。
再び本堂瑛祐が巣箱から別荘の窓へと目を転じると、何と開かないはずのあの窓が開いて、中から何かがこちらを覗いていたというのでした…! それを聞いたコナンは急いで別荘に戻り、2階の釘で打ち付けられた窓を確認しますが、窓は完全に閉まっており、釘を抜いた形跡もなかったのです……。
更に…時を同じくするようにして、今度は廊下の方からドアを何度も叩いて何事かを叫んでいる男の声が聞こえてきたのです。そして中では、部屋の主がロープで首を吊られた状態で天井からぶら下がっており……
今回は「山荘包帯男殺人事件」で登場した鈴木財閥の曰く付きの別荘の近くにある別荘に行くことになった蘭と園子、それにコナンと瑛祐が、またしても事件に巻き込まれます。
発生したのは別荘の住人であるミュージシャン〈ドルクス〉のメンバーの一人の変死事件で、事件当時現場は密室。これが他殺だとすると、犯人は一体どうやって犯行を行いどうやって現場を立ち去ったのかが問題になる訳ですが…
一方でその別荘には釘で打ち付けられた窓に関する恐ろしいエピソードも残されており、今回事件が起きた際にも事件当時本堂瑛祐がその窓が開いて中から何かが覗いているのを目撃するという奇妙な出来事も起こっていたのです。
これは偶然の出来事なのか、様々な謎が複雑に絡み合うためやや難易度の高い謎解きミステリーです。
今回も細かい修正・カット・追加は数多くありますので、大きな変更点だけ。まず冒頭の鈴木財閥の別荘までの山道を歩いていくシーンで、本堂瑛祐が荷物持ちをさせられるシーンがありますが、この部分が大幅に追加されていて、瑛祐君にとってはかなりしんどいことになっています(苦笑)
次にドルクスの別荘を訪れた蘭たちが、チャイムを鳴らしても全然応答がなかったために歩いて山を降りることにし再びジャンケンをするシーンが原作にはあるのですが、アニメではこのシーンがカットされています。
それからここが最も大きな変更点ですが、封印された窓の隣りの部屋で遺体が発見される際、原作ではドアを叩いていたドルクスのメンバーがCDをドアの下の隙間から投げ入れた時に変だと気づいてその隙間から覗いて足が宙に浮いていることを発見するのですが、アニメでは最初はドアを叩くだけで中からはやはり応答はないのですが、この時点ではドアの下から中を覗くことはせず、先に大声を変に思った他のメンバーや蘭たちが姿を現わします。
そしてその後になってドアの下の隙間から部屋の中を覗くのですが、この時点でも中の様子が暗くてよく分からず、結局コナンが鏡を斜めに使って足が宙に浮いているのを発見することになります。この事件発生当時の描写はかなり厚く描き直されていて、なかなか興味をそそるストーリー構成になっていますね。
更に現場を訪れた山村刑事が最初は自殺に見せかけた他殺だと珍しく良い推理をするのですが、蘭と園子に状況を説明されてあっさり自殺に切り替えた時、原作ではコナンが「切り替え早っ…」と心の中でつぶやくのですが、それがカットされているのは面白いシーンだけに何か勿体無いですね(苦笑)
他にも被害者の持っていたメジャーにも使えるキーホルダーのメジャーの長さが4mから5mとになっていたりしていますが、それ以外はほぼ原作に忠実に作られており、後半に至ってはほとんど変更点はありませんでした。
今回園子と蘭、コナン、それに本堂瑛祐の4人が最初に向かった別荘は鈴木財閥所有の山奥の別荘でしたが、この別荘というのは以前殺人事件の舞台となった曰く付きの別荘です。
その話は原作では第5巻に掲載されていて、これは鈴木園子の原作初登場作品でもありますが、園子の姉の綾子の大学のOB・OGが集まった中で凄惨な殺人事件が発生し、更には蘭も命を狙われるというスリルとサスペンスも満点の本格謎解きミステリになっています。
アニメでは1996年に放映されているので、今回の「封印された洋窓」の放映の何と10年前の放送ということで、コナンの歴史の長さを実感できますね。
この作品については詳しくは当サイトの事件ファイル34-35「山荘包帯男殺人事件」を参照下さい。
蘭たちがミュージシャンのドルクスが活動拠点としている別荘を訪れた際に、メンバーの一人天堂享が発した言葉。
これは「一般ピープル(一般人)」の略で、1970年代に流行した言葉だそうですが、現在ではあまり使われていないそうです。