(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)
江戸川コナン 吉田歩美 小嶋元太 円谷光彦 高木刑事 千葉刑事 松原千春 岩田巌(30) 片山美砂 藤倉エイジ 鶴間 管理人(岡野) 大崎 井上 マリコ 家坂 家坂の妻 |
本編の主人公、正体は工藤新一 帝丹小学校に通うコナンのクラスメート 帝丹小学校に通うコナンのクラスメート 帝丹小学校に通うコナンのクラスメート 巡査部長、目暮の部下 捜査一課刑事、目暮の部下 1年B組生徒、コナンたちの同級生 機械メーカー研究所所員、ガチガチ規則男 スナックのホステス、事件の被害者 金貸し ヤクザ風の男 岩田が以前住んでいたマンションの管理人 三光精密技術研究所勤務、岩田の同僚 井上法律事務所経営、岩田の学生時代の友人 スナックのホステス、片山美砂の同僚 岩田がアルバイトをしていた町工場の経営者 家坂の妻 |
高山みなみ 岩居由希子 高木渉 大谷育江 高木渉 千葉一伸 南央美 難波圭一 唐沢潤 声の出演なし 天田益男 北村弘一 白鳥哲 安井邦彦 笠原留美 楠見直己 岡本嘉子 |
その人のことを探偵団たちが知ったのは昨日のことでした。学校の教室のごみ箱にペンを捨てようとした時、元太が間違って燃える方のごみ箱に入れてしまい、それをクラスメートの松原千春に注意されたのですが、その際千春は自分のアパートに住んでいる岩田巌という人物を引き合いに出し、彼がいたら30分は説教される所だったと元太を脅かしたのです。
千春の家は親がグリーンハイツという名前のアパートを経営していて、岩田という男はそのアパートに3か月ほど前から住んでいる住人らしいのですが、何でもゴミの出し方に物凄く厳しいらしく、変な時間に出したり、分別していないと出した人物を突き止め、ちゃんと規則を守るようにと言ってそのゴミを突き返すというのです。
やり過ぎなのではと元太は言い、コナンもそこまでするのはどうかと首を傾げますが、千春はまじめできっちりした人だと彼を高く評価しているらしく、それを聞いた光彦もとても立派な人物だと感心の様子。そしてそれだけに止まらず光彦はその岩田を明日見学しに行こうと言い出し…その日の朝、探偵団たちは岩田という人物を見にグリーンハイツを訪れたのです。
探偵団たちが到着すると、グリーンハイツの前には期待どおり岩田巌が姿を見せていて、時間外に、しかも分別せずにゴミを出した鶴間という名前の男性を厳しく咎めている所でした。そしてその口調は一方的で激しく、怒鳴り声に近いもので、注意された鶴間も素直に受け入れない様子。
しかし鶴間は周囲で見つめる主婦たちの視線が気になるのか、腹を立てながらも岩田からゴミを受け取り渋々その場を立ち去っていきます。すると主婦たちは勇気ある岩田の行動を拍手を持って讃えたのです。
そんな岩田を光彦は社会生活のルールを守らせようとする姿勢がとても勉強になると絶賛しますが、コナンや元太は個人的に注意してやればよいものを皆の前で晒し者にするようなやり方に、後で逆恨みされるような事にならないかと心配な様子でその場を後にしたのでした。
そしてその3日後、事件が発生。岩田巌が殺人事件に巻き込まれたというのですが、ところがその事件というのはコナンが心配したものとはまったく正反対…何と岩田は被害者ではなく加害者として警察から取り調べを受けているというのです…!
意外な展開に驚いたコナンたちは、直ちにグリーンハイツに向かいます。するとアパートの前では既に警視庁の捜査陣が捜査をしている所で、その中にはあの高木刑事もいたのでした。そこでコナンは顔見知りのこの刑事から事件のあらましについて詳しく説明を受けることになったのです。
高木刑事の事情聴取を受けた岩田の話によると昨晩の深夜3時頃、岩田は喉の渇きで目が覚め台所で水を飲んでいたらしいのですが、ふと窓の外を見ると一人の女がゴミを出そうとするのが目に入り、放っておけなくなった岩田は外に飛び出し、その女に注意しようとします。
すると前から岩田のことを不愉快に思っていたらしい清水美砂という名前のその女は、ごちゃごちゃうるさいと逆ギレし、落ちていた鉄パイプを手に取るといきなり岩田に殴りかかってきたというのです。
このままでは殺される…とにかくその鉄パイプをもぎ取らなくてはと思って岩田が女に体当たりを食らわすと、女は勢いよく吹き飛ばされて電柱に後頭部を強打…そのまま息を吹き返すことはなかったというのでした。
すぐに岩田は警察に自首しますが、岩田の言っていることが事実だとするとそれは立派な正当防衛。違法性が阻却されて殺人罪に問われることはない訳ですが、真夜中の出来事ということもあり目撃者も期待できそうになく…被害者が本当にいきなり鉄パイプで襲ってきたのかどうか証明するのは困難であり、高木刑事も頭を抱えていたのです。
岩田のことを尊敬している光彦は彼はまじめで嘘をつくような人物ではないと必死に訴えかけますが、高木刑事も岩田の言っていることを鵜呑みにすることは職務上できるはずもなく…
そこで高木刑事は岩田が本当に信じてよい人物なのか、グリーンハイツに引っ越してくる以前にまで遡り彼の人物像を探ることになったのですが…
コナンたちの同級生の松原千春の親が経営しているアパートに3か月前から住んでいるという岩田巌という男性。何でもゴミの出し方に異常なまでに厳しいらしく、守れない人間に対しては激しい態度で臨むらしいのですが、そのあまりの厳しさゆえに逆恨みされないかと、話を聞いたコナンは心配するのでした。
ところがその岩田が何と被害者としてではなく、加害者として事件に巻き込まれたのです。清水美砂というホステスをしている女が深夜ゴミを出しているのを目撃し、注意しようとした所彼女は突然鉄パイプで岩田に殴りかかり、それを防ごうと揉み合っているうちに女が電柱で後頭部を強打して命を落としてしまったというのです。
ルーズな女性と規則に厳しい男がたまたま近所に住んでしまったがために起きた、偶発的な悲劇…岩田のこの主張が通れば事件は正当防衛として処理されるのは確実でした。そこで高木刑事は裏を取るため、岩田という人物の周辺を詳しく調査し始めたのですが…
岩田巌が3か月前から住み、松原千春の親が経営するアパートは、この不動産屋に物件の管理を任せていたようです。アパートの前には「グリーンハイツ 空室有 日売不動産」の文字がありました。
岩田巌の勤務している研究所の名前。
岩田の学生時代の友人の井上が経営する法律事務所
米花町の米花駅の北側、千春のアパートの近くにある寺。どのような漢字を使うのかは不明(作中明記なし)
コナンで近年よく名前の出てくる引越し屋。他にも401-402「宝石強盗現行犯」や418「米花町グルニエの家」などに登場しています。
2006年最後を飾る作品となった本作は30分ものの短編でしたが、皆さんの評価も結構厳しい感じでしたし、かく言う私も皆さんと同じような評価でした。結構厳しく評価していますので、その点ご了承の上で以下お読み下さい。
とにかく今回は犯人当ては最初から皆無みたいなものですし、ミステリとしては犯人を有罪とする証拠探し一点ですが、そのヒントというのがあまりにも露骨で分かり易すぎましたし、一方でアクションやサスペンスなどの話を盛り上げる要素も皆無。
加えてラストはお涙頂戴の人情話で泣かせようという意図は分かるのですが、犯人に潔さがなくあくまでも犯罪から逃れようとしているのがとても見苦しく、共感もできませんでした。結局後に残ったのはやりきれなさと虚しさだけということで、後味も良くないですし、この話から一体何を感じ取ればいいのでしょうか?
最近TVオリジナルでは事あるごとに言っていますが、こういう話は2時間もののサスペンスではいいのかもしれませんし視聴率も取れるのかもしれませんが、コナンではあまりやってもらいたくない気がします。一応子供向けの作品でもあるのですから、もっと子供が喜ぶような要素も盛り込んでもらえないと…こういう作品ばかり放送していると、小さいお子さんからそっぽ向かれてしまいます。
それとこの脚本家の方が書く高木刑事というのがちょっと説教臭い感じがしてあまり共感できませんし、高木刑事が探偵団たちを連れて捜査するのも…「出所したらミサというホステスと組んでまたひと儲けするつもりだ」…これって小学1年生の子供たちに堂々と話すべき内容じゃない気がしますが(苦笑)