(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)
江戸川コナン 毛利蘭 毛利小五郎 目暮警部 高木刑事 白鳥警部 佐藤刑事 千葉刑事 杉山次郎 松宮次郎 警察無線 警察無線 松宮一郎 |
本編の主人公、正体は工藤新一 本編のヒロイン、新一の幼なじみ 蘭の父親で私立探偵 警視庁捜査一課警部 巡査部長、目暮の部下 警視庁捜査一課警部 警部補、目暮の部下 捜査一課刑事、目暮の部下 米花レンタカー 店員 爆弾犯 捜査一課刑事 捜査一課刑事 3年前に自殺した松宮次郎の兄 |
高山みなみ 山崎和佳奈 神谷明 茶風林 高木渉 井上和彦 湯屋敦子 千葉一伸 ??? 鳥海勝美 木村雅史 川中子雅人 声の出演なし |
兎追いしかの山、ほふな釣りしかの川─レンタカーのハンドルを握りながら国道を進んでいく小五郎はいつになくご機嫌な様子で歌を歌いながら車を走らせていました。それもそのはず、米花レンタカーの杉山何某の名刺と一緒にクリップで留められたチラシには”あの名湯がびっくり半額!!”の文字が躍っていたのです。行き着く先には温泉に美味い料理に美味い酒、しかもそれが半額で楽しめる…とあれば、小五郎が浮かれるのも当然ではあったのですが…
ところがそんな小五郎たちをパソコンのモニター越しにじっと観察する一人の男がいたのです。男は小五郎たちの会話を見届けると、やがて受話器を手に取り、とある所に電話をかけたのでした。その場所とは─
それからほどなくしてレンタカーが10キロを走破し高岡町に入った頃、小五郎の下に一本の電話がかかってきたのです。ハンドルを握る小五郎の代わりに蘭が電話に出ると電話の主は目暮警部で、警部は緊迫した調子で次のような事実を伝えてきたのです。
小五郎たちの乗る車に爆破装置が仕掛けられている…!? 爆破装置は10キロを走行するとスイッチが入る仕掛けになっていて、しかもスピードが時速20キロを下回ると、爆破するように設計されているというのです…! そしてそれが嘘や冗談ではないことを示すためなのか、次の瞬間、小五郎たちの車が走る道路のそばの給水塔が、激しい音を立てて爆破され……
犯人の強い悪意を感じ取った小五郎たちは言葉を失いますが、目暮警部は三人を救うために全力を尽くすことを約束。目暮が千葉刑事の運転する車の中から、白鳥警部がヘリコプターで上空から接近するなど、警察庁の刑事たちを総動員し直ちに緊急配備を引きます。
目暮は次に犯人の割り出しにかかりますが、当の小五郎には、犯人像に具体的な心当たりはないようでした。ところが目暮が小五郎に”杉山”と名乗る男から犯行を予告する電話があったと告げると…
何か閃いたらしい小五郎が次の瞬間取り出したのは一枚のチラシ…”あの名湯がびっくり半額!!”と記されたそのチラシは、小五郎が米花レンタカーで店員の男から半額キャンペーンだといって薦められたものだったのです。
有名な探偵である小五郎を殺害すれば話題になるから……犯人は目暮にそう告げたというのですが、いったいなぜ小五郎は狙われるのか、皆目見当もつかない様子でいました。
犯人が小五郎たちの動きをつぶさに把握し、まるでデモンストレーションであるかのように給水塔を爆破したことを考えると、とりあえず犯人の指示に従わざるを得ない…目暮たちが状況を掴めるまで、小五郎は犯人が指示した通り、米花インターから首都高速に入りレンタカーを走らせ続けますが、ふとガソリンメーターに視線を移すと……
犯人はなぜ小五郎を狙うのか? そして目暮たち警察は小五郎たち三人をこの危機的状況から無事救い出すことができるのでしょうか…!?
半額のチラシに心動かされ、レンタカーを借りて温泉に行くこととなった小五郎。蘭とコナンももちろん一緒で楽しい旅になるはずが、そこへ突然目暮警部からの電話が。そして警部は小五郎の駆るレンタカーに爆破装置が仕掛けられていると告げてきたのです…!
一体誰が何の目的で…!? 時速20キロを下回ると爆破する装置が仕掛けられているというその車から、三人は無事に脱出することができるのでしょうか?
冒頭で蘭が読んでいた道路地図の名前。ちなみに目的地の温泉までは110キロ。そして事件が発覚したのは、およそあと100キロとなった10キロ地点でした。
首都高速の看板にあった名前。小五郎は高岡町付近を走行中に電話を受け、それから米花インターから首都高速に入りました。
そのすぐ後で警察は8号線の高岡入口方面付近を封鎖し、その周辺の迂回路の確保に成功しました。
今回は30分作品としては傑出した面白い作品でした。まあこの乗り物が一定のスピード以下に減速したら爆弾が爆発するという設定自体は映画「時計じかけの摩天楼」でもありましたので真新しいものではないのですが、それを補ってあまりある緻密な構成の脚本だったと思います。この点今回は皆さんの評価も文句なく高いものでしたね。
謎解き部分もレンタカーを止めて救い出すのではなく、ローラーを上手く使って車を走らせたままで救出するという捻りの聞いたものでしたが、それ以上に今回はストーリーのテンポの良さが際立っていて、ハラハラドキドキの連続でした。更に娘の蘭のことを気にかけ、事件が片付いた後には犯人にも温かい言葉をかける小五郎の人間的な魅力も見ごたえがありましたし、30分でこれだけ楽しめれば言うことはないでしょう。また音楽の使い方や作画もとても良かったと思います。
一点だけ作品とは全然関係ない部分で残念だったのがエンディングでのテロップです。なぜかヘリコプターから捜査を指揮していたはずの白鳥警部の名前がありませんでしたね(苦笑)