(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)
江戸川コナン 毛利蘭 毛利小五郎 灰原哀 目暮警部 白鳥警部 西山幸男 山口史織 小出英樹 水野薫子 黒沢直介 桝田大蔵 長谷部 亮二 警官 警官 司会 受付 ユウ ヒナコ フー |
本編の主人公、正体は工藤新一 本編のヒロイン、新一の幼なじみ 蘭の父親で私立探偵 黒の組織から来た謎の少女、本名宮野志保 警視庁捜査一課警部 警視庁捜査一課警部 事件の被害者 第一発見者、映画専門店”名画館”の店員 化粧品店”マーメイド”店長 野次馬の中にいた不審な若い女 井上デンタルクニリックの客 国会議員 桝田大蔵の秘書 天津甘栗の売店の店員 警察官 警察官 ”ザ・ランナウェイスペシャル”の司会者 井上デンタルクリニック 受付係 ランナウェイガールズの一人 ランナウェイガールズの一人 ランナウェイガールズの一人 |
高山みなみ 山崎和佳奈 神谷明 林原めぐみ 茶風林 井上和彦 声の出演なし 松谷彼哉 宮本充 ゆかな 森田成一 村松康雄 梁田清之 三戸耕三 蓮池龍三 小山裕通 岩田光男 百々麻子 声の出演なし 声の出演なし 声の出演なし |
月曜の夜7時30分から放映される日売TV企画のテレビ番組”ザ・ランナウェイスペシャル”─下町人形町から挑戦者の三人が、生放送の30分以内に3つの町を逃げ回るランナウェイガールズと呼ばれる5人の女性を捕まえることができたら何と賞金100万円がもらえるとうその番組がスタートし電気店に並ぶテレビに映し出されている頃、蘭とコナンはとある商店街にやってきていました。
しかしそこは近年の大型のショッピングモールの進出の影響をもろに受けてでもいるのか、客もまばらで閑散としていたのです。何とか客を集めようと広場には30分の時を刻む大きな砂時計が作られたりはしているものの、その効果は未だに客足には表れておらず…
そもそも二人がその商店街を訪れたのは小五郎と三人で夕食にイタリア料理を食べるため。ところがお目当ての店の様子を見にいっていた小五郎が戻ってくると、あいにく店は満席…何とか8時に予約を入れてきたので、それまでの30分間は自由行動だと言い出し、自分はさっさとパチンコ店に入っていってしまったのです。
そんな小五郎のお気楽な行動に呆れる蘭たちでしたが、仕方なく時間をつぶすためコナンは米花ブロードモールの2階にあるミステリー専門の本屋に、蘭は洋服店に行くと言い残し3人はそれぞれ別々の行動を取ることになります。
小五郎と蘭と別れたコナンはさっそく米花ブロードモール向かいますが、すると2Fの本屋に行くための階段には「改装中 ペンキぬりたて」の文字。どうやら一日通行止めらしく、コナンは作業員からもう一方の正面入口の階段を使うように言われます。そこでコナンがもう一方の正面入口の階段へ行くと、目の前では天津甘栗の出店が立っていました。コナンはそれに一瞥をくれた後階段を上ろうとしますが、とそこへ突然上の方から女の悲鳴が聞こえてきたのです。
慌ててコナンが悲鳴のあがった2Fへ向かってみると、通路の真ん中あたりでスーツ姿の若い男が背中の左側の辺りを血で真っ赤に染めてうつ伏せの状態で倒れていました。
どうやら背後から刃物で刺されたらしく、まだ息があることから刺されてからまだ間もない様子だったのです。そしてそのすぐそばにはもう一人の若い男が、慌てた様子で電話をかけていたおり、どうやらその男は警察を呼んでいるようでした。
それからコナンが現場の様子を調べ始めますが、その時コナンの肩を後ろから叩く人物が…驚いて振り返ってみると、それは灰原哀で、何でも同じ建物の中にある医学書専門の書店をたまたま訪れていて悲鳴を聞いたというのです。
偶然現場に居合わせた彼女に驚くコナンでしたが、そうこうしているうちに今度は目暮警部と白鳥警部が現場に到着。しかしまだ時刻は7時38分を回ったばかりで、でコナンは警察のあまりの到着の早さに驚きを隠せないでいました。
現場に到着した目暮警部は直ちに関係者から事情を聴きはじめるますが、すると被害者が西山幸男という男性であること、第一発見者は事件のあった2Fで映画専門店の店員を勤める山口史織という女性であること、そして警察に事件を通報していた若い男は同じくこのビルで化粧品店を経営する小出英樹という名前であることが判ります。
そしてそれだけではありませんでした、実はこの三人、何とお互いに面識があったのです…! 小出の話によると西山という男はブロードモールでは有名なごろつきで、商品を引っかき回したり、店員に難癖をつけては困らせることがしばしばで、ブロードモールに入っている店は皆何かしらの嫌がらせを受けていたことを証言したのでした。
そしてそんな西山から小出も慰謝料と称して多額の金を絞り取られており、また山口史織も西山から嫌がらせは受けていなかったもののしつこく言い寄られ揉め事が絶えなかったらしく…二人とも被害者の西山を恨み、犯行に及ぶ動機を十分に持っていたことが判明したのです。
とそこへパチンコを終えた小五郎が景品の袋を大事そうに抱え蘭と一緒に現場に姿を見せたのです。とその時でした。名探偵である小五郎の名前が出てきた瞬間、周囲を取り囲む野次馬の中に顔色を一変させた人物がいたのです。しかしその若い女の微妙な表情の変化をコナンは見逃すことはなく……
それからコナンはもう一度一人で事件を整理し始めます。自分が階段を上りかけた頃に悲鳴が上がり、自分はすぐに現場に駆けつけた…また現場の状況から犯人が被害者を刺してから時間は経っていなかったはず…そしてもう一方の階段は通行止め…となれば犯人が外に逃げようとすれば、コナンが上ってきた正面入口の階段を降りるしか逃げ道はない…
そこでコナンは正面入口で甘栗を売っていた亮二という若い男に事情を聴くことにします。すると亮二は悲鳴の前には誰も目の前を通らず、悲鳴の後に見たのも上がっていった人物は何人かいたが降りてきたのは今来たコナンが初めてと証言し…
となれば犯人は当然まだモールの中にいるはず…それに気づいたコナンは警官たちに誘導されてモールの外に出ようとしていた人々に慌てて建物の中に戻るようにすべきと目暮警部に訴えたのですが、とその時でした。先ほどの野次馬の中で顔色を一変させた例の若い女が慌てて階段を駆け下り、外に逃げ出そうとして…
イタリア料理を食べようととある商店街を訪れた小五郎、蘭、コナンの三人。ところが小五郎の不手際で店の予約が取れたのは夜8時で、それまでの30分間、三人は各自思い思いの場所で時間を潰すことになってしまいます。
そこでコナンはミステリー専門の書店のある米花ブロードモールに行くことにしたのですが、ちょうど書店のある2Fへ向かう階段に差し掛かったところで、上の階から女性の悲鳴がするのを耳にします。
慌てて現場に駆けつけるコナンでしたが、すると現場には背中の左側を刃物のようなもので刺され血で真っ赤に染めたままうつ伏せに倒れている男の姿があり…
すぐに警察が駆けつけて捜査が開始されますが、ほどなく現場の状況から未だ犯人が建物の中にいることが分かり、入口は警察の手により完全に封鎖されてしまいます。
そんな中警察もコナンも犯人の割り出しに全力を注ぎますが、まるでその時刻ちょうど放映されていた生放送の30分番組に重ね合わせるかのように、事件はリアルタイムで意外な方向に進展していて…
月曜夜7時30分から日売テレビ放映されている生放送番組。今回はこの番組の放送をバックに事件が進行していくという一風変わった趣向が凝らされていました。
番組の内容としては挑戦者の3人が、町中を逃げ回る5人のランナウェイガールを生放送の30分以内に全員捕まえることができれば賞金100万円がもらえるといういたって単純なものです。ただまだ実際に賞金をゲットできた人はいないようですが。
今回は東京の下町人形町が舞台で、他に2つの町の名前が司会者から挙がったのですが、名前がよく聞き取れませんでした。そして番組の最後に次回の舞台は米花町と言っていましたね。機会があれば是非また別の作品でこの生放送番組を使ってもらいたいものです。
ところで気になったことが一つ、日売テレビの月曜夜7時30分といえば「仮面ヤイバー」の放映時間のような気がするのですが…
米花ブロードモールの2Fにある、コナンもたまに訪れるというミステリー専門の本屋。
同じく米花ブロードモールの2Fにある医学書専門の本屋。事件当時灰原哀がこの店の中にいました。
西山が踏んづけていたDVDのタイトル。元ネタは映画「未知との遭遇」でしょうか。
米花ブロードモール 3F
診療時間 10時~20時
定休日 日・祝・第三水曜日
尚、初診の方は必ず保険証をお持ちください。
今回の作品全体としては小五郎が文字通りフィーバーしていましたし(笑)、雰囲気作りというかTV放送をバックに事件捜査を進めていき、右上に時刻表示をつけるなどいろいろな趣向を凝らしていた点など評価すべき点は多々あると思います。ただ一応ミステリなので細かい点を気にしなくてはいけないのですが、そうすると結構粗さが目立つというか大ざっぱな部分も多かったのではないでしょうか。
それを一番象徴していたのが3Fでの灰原哀との会話部分で何とも支離滅裂。他に逃げそうな場所はなさそうというけれども店の中に客のふりして入ることも十分考えられる(というかそれしか考えられない気がする)し、コナンが言ったように犯人はまだ建物の中にいるのは明らかな訳ですから直ちに店の中にいる客という客全員の身体検査をすべきじゃなかったのかなと思います。
また財布が盗られていないから物取りの線はないというのは理解できますが、被害者と犯人が揉めているならその声を誰かが聞いていたはず→だからその声を聞いてた人物がいないということは怨恨の線もない→だから犯人は刺すことだけを目的にしていたのではないか、という推理ですが、これは無理があるというか飛躍し過ぎなんじゃないでしょうか。怨恨が理由であることが即ち被害者と言い争わなくてはいけないということにはならないからです。
なぜならここでは怨恨で衝動的に刺したということしか考慮されていないのですが、怨恨で以前から恨みに持ち計画的に刺したことも可能性としては考えられなくはないからです。まあ確かに計画していたのならもっと人気のない所でやればいい訳で白昼堂々とこんな人気の多い所で刺すとは考えにくいとは思いますけどね。可能性がゼロと言い切るのもどうかと。
それと今回のタイトルであるリアル30ミニッツというのと今回の事件にいったいどんな関連があるのかが最後まで分からなかったです。生放送番組と並行するように、実は刺殺事件の裏で犯人が真の狙いである国会議員の桝田大蔵を襲う時刻が刻一刻と迫っていたと解釈すれば良いのでしょうか? 個人的にはこの生放送番組と事件とが後で何らかの繋がりがあることが分かることを期待していたんですけどね(苦笑)
あとは作画が今回はいつもとかなり感じが違ったのが印象的でしたが、ただ個人的には今回の作品、テンポが軽快で結構楽しめました。じっくりと謎解きをしていく重厚なミステリが好みの方にとっては少し物足りない30分だったかもしれませんが。