(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)
江戸川コナン 高木刑事 灰原哀 吉田歩美 小嶋元太 円谷光彦 新井巡査 秋本靖代(24) 小田原鉄二(33) 高柳(夫) 高柳(妻) 内海 津瀬 ドラマの主人公 |
本編の主人公、正体は工藤新一 巡査部長、目暮の部下 黒の組織から来た謎の少女、本名宮野志保 帝丹小学校に通うコナンのクラスメート 帝丹小学校に通うコナンのクラスメート 帝丹小学校に通うコナンのクラスメート 米花警察署 米花駅前交番勤務の警察官 OL、歩美の知り合いで米花町3丁目在住 ラーメン屋〈鉄龍〉店主 〈鉄龍〉の常連客 〈鉄龍〉の常連客 酔っ払いの男 ベイカウォーカーの編集者、小田原の高校の同級生 ドラマ「走れ!警官100人大捜査網」の主人公 |
高山みなみ 高木渉 林原めぐみ 岩居由希子 高木渉 大谷育江 三戸耕三 金月真美 神奈延年 小形満 岡本嘉子 辻親八 松本保典 渋谷茂 |
月初めの日曜日の朝のこと、米花公園の前には元太に呼び出された探偵団たちが全員勢揃いしていました。何でも急いで教えたいすごい情報があると元太は言うのですが……
しかし元太がもたらした情報は既に探偵団全員が気づいていたことらしく、それに気づいたのは自分だけだと思ったらしい元太はガッカリ…一行はほどなく米花公園を後にします。
それからドラマの話題で少し盛り上がった後、彼らの前にピンク色の袋を大事そうに抱えた一人の若い女性が姿を現わします。その女性は名前を秋本靖代といい、現在は米花町3丁目に住んでいるものの以前は歩美の家の近くのマンションに住んでいたため歩美とは顔見知りのようでした。
その歩美は元気に挨拶を交わすと靖代に買い物の途中かと訊ねますが、すると靖代は郷里から名物のお菓子が届いたため、お巡りさんにおすそ分けするために持ってきたのだと歩美に答えたのです。
靖代の話によるとそのお巡りさんというのはひげもじゃで、名前は分からないものの真面目なとっても良い人物だというのですが…それを聞いたコナンはその人物に興味を抱いたらしく、探偵団たちとともに靖代に付いて米花駅前の交番を訪ねることになったのです。
ところが靖代と探偵団たちが米花駅前の交番でそのお巡りさんについて尋ねてみると、交番にいた新井巡査からは意外な答えが返ってきたのです。ひげもじゃでメガネの警察官など、この交番はおろか米花警察署内にはいない…靖代はパトロール中の所に何度も出会っていると必死に説明しますが、いないものはいないとしか巡査も答えようがなかったのです。
しかしそのような警察官が存在しないのは実は当然のことだったのです。なぜなら規則で制服警官はひげを生やすことは許されていないからでした。つまり靖代が出会ったお巡りさんというのは真っ赤なニセモノ、ニセ警官だったのです…
そこで探偵団たちはそのニセ警官について更に詳しく調べようと高木刑事を呼び出します。高木刑事は毎度毎度自分が呼び出されることに困惑の表情を隠せませんでしたが、ニセ警官が出没していると聞き…
警察官でない者が警察官のふりをするのは身分詐称の中でも特に絶対に許されない犯罪行為…高木刑事はそう靖代に説明し、彼女がそのニセ警官と出会った時のことを詳しく説明するように求めます。ところが…
そのニセ警官、靖代が残業続きのため終電に乗って帰宅すると毎日のようにパトロールをする姿が見られたらしく、また何日か前には深夜雨の降る中でコンビニから出てくるお年寄りの夫婦に付き添ってあげていたり、更には昨晩は酔っている男性を支えてあげている姿を目にするなど、話を聞けば聞くほど良い人物で、靖代が本物の警察官と間違えるのも無理はなかったのです…。
そして靖代だけではありませんでした。実際にそのニセ警官と出会ったというお年寄り夫婦も「とっても親切な優しいお巡りさん」と証言したのです……いったいそのニセ警官、何のためにそんな恰好をして町内をうろうろしているのでしょうか?
月初めの日曜の朝早く、米花公園近くを歩いていた探偵団たちは以前歩美のマンションの近くに住んでいたという秋本靖代という女性に偶然出会います。
すると彼女は今から自分の田舎からお菓子が届いたためそれをお巡りさんにおすそ分けしに行く所だと言うのですが、その警察官の人相というのがメガネにひげもじゃらしく…
制服警官はひげを生やすことを許可されていない…そのことを知っていたコナンはそれがすぐにニセ警官だと推理。すると案の定米花署にはそのような警官はおらず、高木刑事とともにそのニセ警官について探偵団たちは詳しく調査することになったのです。
ところが靖代をはじめそのニセ警官と出会った人は皆その警官がとても良い人だったと証言したのです。その一方で米花駅前交番の新井巡査は、その人物が警官を装って町内を物色し空き巣を働いているのではと推理するのですが…
前日の夜に探偵団たち全員が見ていた2時間ドラマ。今回のドラマのタイトルは「走れ!警官100人大捜査網」で、そのドラマの撮影に使われたのが米花公園でした。
しかしただ制服警官がわんさか出てくる絵の面白さを狙っただけだったためか、ドラマとしては最低だったとコナンからも灰原哀からも酷評されていましたね(苦笑)
サンデーマートという名前の、コナンではすっかりおなじみの見た目は明らかにファミリーマートとしか思えないコンビニエンスストア。
今回は突然妻がサイダーを飲みたい(ないし夫がプリンを食べたい)と言い出したために雨が降る中夜のコンビニを訪れた高柳という名前の老夫婦がこの店から出てくる所を、ニセ警官が付き添ってあげている姿が目撃されていました。
米花町3丁目川口ビル1Fにあるラーメン屋。毎月第3日曜日が定休で、営業時間は11時から24時。主人の小田原鉄二は強面でちょっととっつきにくいもののラーメンはとても美味しいらしく、秋本靖代や高柳夫婦がよく訪れていたといいます。
雑誌にも紹介されるほどの有名店で、雑誌には”味の決め手は特製香味油”とありました。そしてそれを見た元太は…
ベイカウォーカーという名前のラーメン屋の〈鉄龍〉の紹介記事が載っていた雑誌。後半すぐの編集部の入っているビル映像からして青学出版の発行でしょうか。
この系統の雑誌といえば東京は東京ウォーカー、関西は関西ウォーカー、東海地方は東海ウォーカー、九州は九州ウォーカー、北海道は北海道ウォーカーというように角川書店からかなりたくさんの名前で発行されていて各地で名前が違いますが、もっと細かく町ごとにウォーカーも出ているみたいですね。
今回の話は非常に怪しい人物が登場するという、シャーロック・ホームズ作品を彷彿とさせる内容のお話でした。こういういかにも怪しげな人物が登場する話というのが管理人は大好きでして、今回の作品は特にお気に入りになりそうな作品です。
それにしてもこういう不器用な人間というのはどこにでもいるものだと思いますが、思いつめた結果こんな事をしてまで思いを寄せる女性を守るというのはまあそうはないでしょう(苦笑) でもこの馬鹿みたいな実直さというのは私は嫌いではありません。
この点実際に制服を拝借したり身分を詐称することはもちろんいけないことではあるのですが、結局誰にも迷惑はかかっていない訳ですし、何とも奥ゆかしくて思わず応援したくなってしまうじゃありませんか(笑)
まあそうはいっても最後は結局勇気を持って行動しなくてはいけないのでしょうが、その過程に人間こういう思い悩む時期もあっていいのではないかなとも思いますね。
ミステリとしても怪しい人物がクローズアップされるが実はこれが本当は良い人物で、別に悪者がいてその空き巣犯人を捕まえるという構成はとても面白かったと思いますし、その犯人当て部分にも靖代の証言などに上手く伏線が張ってあったりして、よくできていたと思います。
しかし何といっても今回の作品、一つ一つのセリフ回しがとても印象に残りました。
ニセ警官かもしれないと言われてもあんなに良い人はいないと反論する靖代や高柳夫婦の姿も心を打ちましたし、新井巡査からニセ警官が空き巣犯人かもと言われてショックを受ける靖代を見て「人間不信になるのも無理はない」と言った灰原哀の言葉とか、いったんは逮捕はしたものの結局厳重注意の上小田原鉄二を釈放した警察の対応とか、最後の靖代の「またラーメン食べに行きます」というセリフまで、今回の作品のセリフには一つ一つに血が通っていたというか、人の気持ちというか思いが込められていた気がします。
口では上手く説明するのが難しいのですが良くない作品のセリフというのは何か嘘臭く響くものですが、今回は何かこう心に響くものがありました。もちろんミステリーというジャンルに入るお話ではあるのですが、単なる謎解きだけで終わるのではなく、こういった登場人物のやり取りなどの部分にも神経を使ってもらうと、何度も見直したくなるより良い作品に仕上がるのではないでしょうか。
他に気になったことというと、今回は歩美が災難でしたね(苦笑) 元太から香味油とジュースと2度も服にかけられてしまっていました。しかし一回目の香味油の方は実は謎解きに直結する重要なヒントでしたよね。解いたのはコナンではなく鉄龍の主人でしたが。
それともう一つ気になったのが鉄龍の定休日です。どう見ても主人一人で経営してそうな店なのに、営業時間が11時から24時で休みが毎月第3日曜日だけというのはちょっと(苦笑)