名探偵コナン484-485「黒い写真の行方」

(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)

タイトル
File484-485 黒い写真の行方
英題
The Black Photograph's Whereabouts
放映日
2007/8/20・8/27(前編・後編)
原題
第56巻
File7「西からの手がかり」
File8「写真の行方」
File9「カンパニー」
ジャンル
本格
事件現場
都内のマンション302号室 西郡宗兵の部屋
管轄
-
登場人物
江戸川コナン
工藤新一
毛利蘭
阿笠博士
灰原哀
鈴木園子
服部平次
水無怜奈
本堂瑛祐
大滝警部
西郡宗兵(32)
早織
多湖
古庄
瑛祐の父
配達員
ジン
ウオッカ
本編の主人公、正体は工藤新一
本編の主人公、高校生探偵
本編のヒロイン、新一の幼なじみ
新一の家の近所に住む自称天才科学者
黒の組織から来た謎の少女、本名宮野志保
鈴木財閥の令嬢、蘭の同級生で親友
西の高校生探偵、新一のライヴァル
日売テレビ アナウンサー
蘭のクラスに来た水無怜奈似の転校生
大阪府警警部
模型店店長
西郡の元彼女
西郡のモデラー仲間
西郡のモデラー仲間
瑛祐が子供の頃大阪にいたという謎の人物
宅配便の男
黒の組織の男、新一に毒薬を飲ませた人物
黒の組織の男、ジンの手下
高山みなみ
声の出演なし
山崎和佳奈
緒方賢一
林原めぐみ
松井菜桜子
堀川りょう
声の出演なし
声の出演なし
声の出演なし
小野坂昌也
櫻井智
北島淳司
石井真
声の出演なし
川中子雅人
声の出演なし
声の出演なし
あらすじ
「多分、この部屋に何者かが忍び込んでいたんだよ… しかも…ついさっきまでね…」

 日付は8月の終わりに入ったものの都内はまだ残暑の厳しさが残っていました。そんな中ここ最近怪しげな行動を取り続けている本堂瑛祐と極秘入院中の水無怜奈についての情報収集を頼んでおいた服部平次から下校途中のコナンに連絡が届いたのです。

 すると水無怜奈については情報らしい情報はほとんど得られなかったものの、本堂瑛祐については彼が小さい頃に父親に伴われて大阪の通天閣のそばのお好み焼屋にしょっちゅう来ていたという事が判明したのです。しかもその店長というのは本堂瑛祐の父親と妙にウマが合ったらしく、店を閉めた後も二人で話し込んでいたのだというのでした。

 そのお好み焼屋の店長については高齢だったためもうすでに他界していましたが、店長には孫がいて、その孫になら何でも話していたのではないかというぐらい可愛がっていたというのです。しかもその孫、大阪で4年間の大学生活を終えたのち東京に戻り、現在は都内で模型店を開いているというのでした。

 その貴重な事実を耳にしたコナンはその足で阿笠博士の屋敷に向かい、博士に頼んでさっそくそのお好み焼屋の店長の孫という人物と連絡を取ります。すると男は本堂瑛祐の父親と目される人物について、2、3度会っただけでよく覚えていないものの、偶然一枚写真を撮っていたことを博士たちに教えてくれたのでした。何でもその写真本堂瑛祐が彼のカメラをイタズラしていて偶然に撮れたものだというのですが……

 それを聞いたコナンはその写真を見せてもらおうとその男と夜8時に会う約束を交わし、博士と哀を引き連れてその男の住むマンションへと向かったのです。

 その男─西郡宗兵の部屋へとやってきたコナンたちは、さっそく本堂瑛祐の父親と目される人物が写っているらしい問題の写真を見せてもらおうとします。ところが西郡が本棚の一番上の段から写真の収めてあるアルバムを取り出そうとすると、そこにアルバムはなく、またパソコンに入っているはずの写真を呼び出そうとパソコンを立ち上げてみると、消した覚えもないのにデータはなぜか消えてしまっていたのです。あまりの唐突な出来事に首をかしげる西郡でしたが…

 ところがコナンは現場に残されたいくつかの痕跡から、西郡の部屋につい先ほどまで何者かが侵入していたのだと彼の目の前で推理を展開し始めます。そして玄関の扉にはこじ開けられた跡もなく、キッチンの小窓もロックされていて、唯一開いていたベランダの窓も飲み屋がたくさんあり人の多い通りに面していることから侵入は不可能と判断、その人物は合鍵を持っている人物に違いないという推理に到達したのでした。

 すると西郡の部屋の合鍵を持っていた人物というのが何人かいたことが分かったのです。その人物とは西郡の元彼女の早織、それにモデラー仲間の多湖と古庄の3人でした。

 この点西郡は3人とも空き巣に入るような人間ではないと主張しますが、コナンは何とか早く犯人を捕まえて問題の写真を取り戻したい一心から、巧みに西郡を誘導して警察を呼ぶ前に3人に電話をかけさせ、様子をうかがうことにしたのです。すると……

今回の見どころ
本堂瑛祐の父親と目される人物の写っているという写真を求めて…

 夏の暑さがまだ残るある日のこと、「服部平次との3日間」の事件の際に水無怜奈と本堂瑛祐について調査を頼んでおいた服部平次から連絡が届きます。何でも大阪府警の大滝警部の捜査により、本堂瑛祐が以前大阪のとあるお好み焼き屋に父親に連れられてよく来店していたというのです。

 そのお好み焼き屋の店長は高齢だったためもう既に他界していましたが、その店長には孫がいてよく可愛がられていたというのでした。

 そこで博士に頼み現在は東京で模型店を開いているというその孫に連絡を入れたコナンでしたが、するとその孫は瑛祐の父親と目される人物が写っているという写真が手元に残っていることを告白。
 それを聞いたコナンは博士と哀を連れ、その日のうちに彼の住むマンションを訪ね、写真を見せてもらうことになったのですが…

原作との相違点
前編

 まず冒頭の下校途中の園子と蘭とコナンが暑さにうんざりしながら歩くシーンですが、原作では園子のセリフから始まる所、アニメでは猛暑で陽炎が揺れる町並と木の枝に止まって鳴いているセミの姿、それに太陽の光が燦々と照りつけるシーンが追加され、より暑さが強調される出だしとなっています。ちなみに今回の放映は8月末ということもあり、蘭のセリフも「もう9月に入ったのに」から「もう8月も終わりだっていうのに」に、園子のセリフが「授業」から「講習」に変更されていますね。

 それから服部平次との電話でのやり取りでは原作では名前しか登場のなかった大滝警部が映像つきで登場。また平次と通天閣の周りを聞き込みするシーンでも二人で揃って登場しています。また話が本堂瑛祐の話題になるとアニメでは瑛祐の小さい頃の姿が回想シーンとして何回か挿入されています。

 そして平次との電話を終えたコナンは、原作ではすぐに博士の家に向かいそのまま問題のマンションへと向かうのですが、アニメにはその前に蘭に電話を入れて今晩は博士の家に泊まるからと伝えるシーンが新たに追加されています。そしてその直後哀が風呂から出てコナンの前に現れるシーンではコナンのセリフが「風呂早っ…」から「もう出た…」に変わっていますね。

 続いて舞台は西郡宗兵の住むマンションへと移りますが、博士たちが彼と出会うシーンがかなり念入りに描かれていて、サスペンス感たっぷりな演出が加えられています。

 そして部屋に通された後、西郡がエアコンをつけるシーンでは灰原が日中の暑い日差しの中を歩くシーンが回想で挿入されています。またコナンの何者かが部屋に侵入したのではという推理のシーンでは、黒犯人が怪しげに動き回るシーンがふんだんに追加され、視聴者が現場を想像し易いように工夫が凝らされていました。

後編

 後編は原作にほぼ忠実に作られていました。強いて挙げるとすればまずコナンが容疑者三人の背格好を西郡に訊ねた際に早織のことを結構太っていると言った時に、イメージの中の早織が「失礼しちゃうわね」と言うシーンが追加されています。

 そしてエンディング後には原作にはない、マンションを後にし博士の家にビートルで向かうシーンが追加されてる、以上の二点ぐらいです。

豆知識
米花ホテル (ホテル)

 コナンの作品中で頻繁に登場するホテルの名前。調べてみると16「骨董品コレクター殺人事件」、43「江戸川コナン誘拐事件」、54「ゲーム会社殺人事件」、96「追いつめられた名探偵!連続2大殺人事件」、364-365「シンクロにシティ事件」などで名前が登場しています。
 江戸川コナン誘拐事件で捕われたコナンが暗号解読をしたエピソードなどはもう随分前の事件で何だかとても懐かしい気がしますよね。

 ちなみに西郡宗兵の元彼女の早織はその日このホテルで新しい恋人とイタリアンを食べることになっていたそうです。 

 またこの米花ホテル以外でコナンで有名なホテルといえば、76「コナンvs怪盗キッド」、176-178「黒の組織との再会」などの舞台となった杯戸シティホテルが有名ですね。

ティーガー I (戦車)

 西郡宗兵のモデラー仲間の一人の多湖がその日一日部屋にこもって作っていたという模型の名前。

 ちなみにこのティーガー I (アイン)というのは第二次世界大戦にドイツが使用していた戦車の名前なのだそうです。詳しくはフリー百科事典ウィキペディアのティーガー I のページを参照下さい。

NEXTコナンズヒント
File484 洗濯機
File485 時計の文字盤
コント
File484
哀「博士、洗濯物は…」
阿笠「すまんのう、哀くん」
哀「自分でね」
阿笠「え、ドライやね…」

File485
哀「博士、時計持ってる?」
阿笠「腹時計なら今鳴っとるぞ」
哀「まもなく8時です」
OP
涙のイエスタデー」(GARNET CROW)
ED
I still believe ~ため息~」(滴草由実)
監督
佐藤真人
構成
File484 青木雄三
File485 佐藤真人、山本秀世
絵コンテ
File484 青木雄三
File485 佐藤真人、山本秀世
演出
File484 古川政美
File485 江島泰男
作画監督
File484 都竹隆治/サブキャラクターデザイン 佐々木恵子
File485 アベ正己/総作画監督 菅野智之/サブキャラクターデザイン 佐々木恵子
ビデオ
-
DVD
PART16-6
評価

■以下ネタバレつき感想■
(未見の方はご注意下さい)

感想
評価 ★★★★

 今回の作品は本堂瑛祐の父親らしき人物が写っている写真が手に入るかどうかという、非常に緊迫した回となりました。

 もっとも事件自体は結局黒の組織とは何の関係もなく、写真を盗んだ犯人を西郡の知人で合い鍵を持つ三人から推理して当てるという窃盗事件であり、また派手なアクションも一切ない何とも小さな事件です。
 しかし個人的には今回の作品は作中に散りばめられた手がかりをヒントにじっくりと推理を楽しめる、推理好きには楽しい回だったと思いますね。

 床の上に落ちた汗、なぜか湿っている椅子、揃えられたトイレのスリッパ、そして三人の携帯電話での西郡とのやりとり、宅配員の訪問と手がかりはたくさんあり、それらを総合していくと、犯人が誰か、そしてその犯人がまだマンションのどこかに隠れている事まで分かる訳ですが、その隠れている場所というのも盲点というか結構ユニークです。
 更に実はコナンたちも一度ベランダに出て犯人のすぐ近くまで来ていたというのが後で分かって…まんまとダマされたというか、何だか心憎い結末ですよね。

 そして結局コナンは写真をゲットして瑛祐の父親だという人物の顔を拝むことができる訳ですが…これについては今回は結論は出ません。これから果たしてどういう展開が待っているのか、期待して待ちたい所です。

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