(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)
江戸川コナン 毛利小五郎 目暮警部 灰原哀 十川刑事 広田刑事 石上保(35) 金丸研三(65) 今岡文枝(65) 村井千佳(22) チャチャ |
本編の主人公、正体は工藤新一 蘭の父親で私立探偵 警視庁捜査一課警部 黒の組織から来た謎の少女、本名宮野志保 捜査一課刑事 捜査一課刑事 喫茶店オーナー オフィス・カネマル社長、事件の被害者 清掃人 元女子大生 石上の飼い猫 |
高山みなみ 神谷明 茶風林 林原めぐみ 長嶝高士 鳥海勝美 竹村拓 徳丸完 片岡富枝 真田アサミ ??? |
時刻は朝の10時を少し過ぎた頃、たまたま公園の前を通りかかったコナンは突然灰原に呼び止められます。いったい何の用かと思えば、何と脚立代わり…木の上にのぼったまでは良かったものの下りられなくなった猫を救い出すため、ひと肌脱ぐこととなったのです。
右脚に少しケガをしていたものの何とか無事に猫を救い出した二人は、それから猫の飼い主を探して街へと繰り出します。するとほどなく石上保という近くで喫茶店を経営する男性が少し前から行方不明で探していたのだと名乗り出てきて…
事件は一件落着し、コナンと灰原はお礼に彼の店で冷たい飲み物をご馳走してもらうことになります。ところが二人が店の中に入ると、店の中にいたのは何と……
呆れつつもそれから二人は店内で時間をつぶしていましたが、するとそこへ一人の女が駆け込んできたのです。女は非常に慌てた様子で店のオーナーの石上を呼び、真剣な表情で早く一緒に来て欲しいと彼に同行を求めたのです。
そこでコナンと灰原も女が出てきた喫茶店の向かいにあるオフィス・カネマルに石上と一緒に向かったのですが…
するとオフィス・カネマルの事務室では、部屋に備え付けられた金庫の目の前で一人の男がうつ伏せの状態で倒れていました。男は後頭部を鈍器のような物で殴られたらしく、大量の血を流して既に絶命していたのです。それ以外に目立った点といえば、部屋の中に置かれた見渡す限りの招き猫…たくさんの招き猫が所狭しと棚に並べられ、一種異様な雰囲気を醸し出しており…。
ほどなく警視庁捜査一課の目暮警部が現場に到着し警察の捜査が始まります。すると被害者が名前を金丸研三といい、事件現場となったオフィス・カネマルの社長であること、もっとも会社といっても社員はおらず一人で金貸しを経営していること、そして金丸はまだ独身で家族はいないということが次々に判明していきます。
また検視官による検視も進められ、死因は固い物で頭部を強打されたためであり、それを裏付けるかのように、遺体のそばの床には招き猫のものと思われる破片が散らばっているのも確認されたのです。そして死亡推定時刻は今から数時間前の11時から午後1時までの間であることも判明し…。
その一方事件の第一発見者はというと先ほど喫茶店に駆け込んできた今岡文枝という女で、オフィス・カネマルの清掃人として週に一度オフィスを掃除に来る契約になっていたというのでした。そしてその日もいつものように1時半頃にオフィスを訪れ、そこで遺体を発見したというのです。
現場には金庫が開けられて荒された形跡があるものの、中には100万円近くの現金が残されており、手をつけられていませんでした。ところがパトカーの音を聞いて事件現場にやって来て捜査に協力することとなった小五郎が更に金庫の中をよく調べていくと…
中から出てきたのは一冊の帳簿。そしてその中には金丸から金を借りた人物として今岡文枝の名前があったのです。どうやら彼女は金丸から30万円を借金していたらしく、そこで厳しい取立てを受けて思い余ったあげくに凶行に及んだのだ…と小五郎はセオリー通りの推理を展開していきますが、案の定今岡文枝は猛反発し…
そうこうしているとそこに一人の刑事がやって来て目暮に何やら報告したのです。何でも隣りの社長室のデスクにあった日めくりのメモ帳に気になる書き込みがあるというのですが…
「9月3日12時30分PM 村井千佳」─どうやら金丸はメモの書かれたその時刻にその女性と会う約束をしていたようでした。しかもそれを裏付けるかのように、向かいの喫茶店のオーナーの石上が問題の時刻に一人の若い女性がオフィス・カネマルの中に入っていくのを目撃していたというのです…!!
石上によるとその若い女は、ブランドの服やバッグで飾り立てた派手な感じの女だったというのですが、10分程経った頃、慌てた様子でオフィスから出てきてそのまま走り去っていったというのです。それはまさしく死亡推定時刻の真っ只中であり、何らかの事情を知っているのは明か…そこで警察は管内全域に手配をしてその若い女の行方を追いかけることになります。
やがて問題の女─村井千佳は地下鉄に乗ろうとした所を呼び止められて警察に身柄を確保されます。そして目撃者の石上が面通しをすることとなり、これで事件は一件落着かと思われたのですが……
一方事件解決の目途が立ちホッとしたのか、小五郎は現場にある無数の招き猫に興味を抱きますが、この招き猫のコレクションという珍しい趣味、実は単に金銭欲を満たすためのもの、ただひたすら金が欲しくて集めていただけだったのです。
なぜなら左脚の猫は人を招き、右脚の猫はお金を招くと言われているからで、それを知った金丸はひたすら右脚を上げて手招きしている猫ばかりを集めるようになったというのでした。
とにかくドケチで金の亡者…今岡文枝の評する所によるとそれが金丸という男らしいのですが、その話を聞き終えたコナンがふと社長室の方を見渡してみると……
公園で木の上に登って下りられなくなったネコを助けたコナンと灰原は、飼い主を探して街を歩き回り、やがて石上保という近くで喫茶店を経営する男性が名乗りをあげます。
二人はそれからお礼にと石上の店で飲み物をご馳走になっていましたが、そこへ一人の女が店の中に飛び込んできて、すぐに一緒に来て欲しいと訴えるのでした。
女に連れられて喫茶店の向かいにあるオフィス・カネマルに来てみると、事務室には後頭部を殴られて息絶えているこの会社の社長、金丸研三の無惨な姿が…
金丸を襲った凶器はどうやら事務室の棚に所狭しと並べられた招き猫らしく、床の上には招き猫の破片が無数に散らばっていました。そして警察の調べで死亡推定時刻が割り出され、更に社長室に残されていたメモから、被害者が一人の若い女性その時間に会う約束をしていたことが判明します。
ほどなくその若い女は警察に身柄を確保され、事件は一件落着かに思えたのですが…
ダルマや福助と並び日本で縁起物としてよく知られている置き物の一つで、一般的には商売繁盛を願う目的で購入、贈呈されます。
江戸時代に江戸で生まれたそうですが、名産地としては常滑焼で有名な愛知県常滑市がシェア80%を占めており特に有名なのだとか。他にダルマで有名な群馬県高崎市でも生産されているそうです。
作中でも語られている通り右脚を挙げている猫は金運を招き、左脚を挙げている猫は人(客)を招くとされているそうです。また両脚を挙げたものもあるそうですが、これは欲張り過ぎだとかえって「お手上げ」になると敬遠されるようです。
詳しくはフリー百科事典ウィキペディアの招き猫のページを参照下さい。
石上保の経営している喫茶店。また石上は店と同じ名前の猫も飼っていました。
今回の事件の被害者の金丸研三が経営する会社。といっても社員はおらず一人で金貸し業を営んでいるだけでした。社長室と事務室があり、事務室には棚いっぱいに招き猫が並べられていました。
文字盤が1枚ずつめくれて時間が変わる時計。正式名称はフリップクロックと言うのだそうです。こんな感じの時計です。
現在ではデジタル時計が主流ですが、1970年代から80年代にかけてはどの家庭にもあったそうです。また駅や空港などの表示板にもよく使われていました。
今回の作品は30分作品としてはかなりよく出来た作品ではなかったかと思います。招き猫がテーマとなっていますが、右を挙げると金、左を挙げると人を招くというのは実際本当なのだそうで、それをトリックに上手く使って、女子大生の村井千佳が犯人ではないことを論理的に説明していますし、また最後に両手を挙げた場合にどうなるかとオチに使っていたりとしっかり練られていました。
他にもパタパタ時計も殺害時刻と殺害現場をはっきり示す証拠として実に上手く使われていたと思いますし、決定的証拠がなくて目暮警部が最後「よく調べれば…いろいろと出てくるだろう」という辺りは少しご都合主義な気もしますが、それでも本格謎解きとしてはなかなかしっかりとしたプロットだったと思います。
またキャラクターの描写も今回は冒頭の公園でのコナンと灰原のやり取りはかなり笑えましたし、喫茶店での小五郎の馬鹿騒ぎぶりも絵になっていたと思います(笑) そして捜査途中で目暮の部下の刑事たちが目暮を半ば無視して小五郎に報告していて、目暮警部がそれにちょっとムッとする所まで、いい感じで描かれていたと思いました。あとネコも可愛かったですよね。
それと今回一番気になったのが作品タイトルです。まあ招き猫の右と左を挙げた際の違いを意識して名付けたと言えばそうとも考えられなくはないのですが、明かにこの年に大ブレイクしたあの芸人を意識しているような気が(笑) タイトルを聞いた瞬間にこれはまさかゲスト出演か…と期待していたので、それがなかったのが残念といえば残念です。
全体的に見ると作画が少し独創的(苦笑)だった以外は十分及第点で、楽しめた30分だったと思います。