名探偵コナン488「テレビ局の悪魔」

(青山剛昌原作・小学館・週刊少年サンデー)

タイトル
File488 テレビ局の悪魔
英題
Demon of the TV Station
放映日
2007/10/22(秋のミステリー・スペシャル)(1時間SP)
原題
第57巻
File5「悪魔が来たりて…」
File6「悪魔のカラクリ」
File7「悪魔の涙」
ジャンル
倒叙
事件現場
日売テレビ 応接室
管轄
東京警視庁捜査一課(目暮警部)
登場人物
江戸川コナン
毛利蘭
毛利小五郎
阿笠博士
灰原哀
目暮警部
高木刑事
吉田歩美
小嶋元太
円谷光彦
沖野ヨーコ
円谷朝美
サタン鬼塚(32)
漆原典児(47)
井上和香
山本梓
稲森
三島
スタッフ
スタッフ
スタッフ
虎谷アナウンサー
司会者
ウキキ
仮面ヤイバー
本編の主人公、正体は工藤新一
本編のヒロイン、新一の幼なじみ
蘭の父親で私立探偵
新一の家の近所に住む自称天才科学者
黒の組織から来た謎の少女、本名宮野志保
警視庁捜査一課警部
巡査部長、目暮の部下
帝丹小学校に通うコナンのクラスメート
帝丹小学校に通うコナンのクラスメート
帝丹小学校に通うコナンのクラスメート
人気アイドル
光彦の姉
ロックグループ《三途のIII》ボーカル
鬼塚の所属する芸能プロダクション社長
人気アイドル
人気アイドル
鬼塚のマネージャー
日売テレビ AD
日売テレビ スタッフ
日売テレビ スタッフ
日売テレビ スタッフ
アナウンサー
クイズ番組司会者
よみうりテレビのマスコットキャラクター
子供達に大人気の特撮ヒーロー
高山みなみ
山崎和佳奈
神谷明
緒方賢一
林原めぐみ
茶風林
高木渉
岩井由希子
高木渉
大谷育江
長沢美樹
声の出演なし
桜塚やっくん
野島昭生
井上和香
山本梓
田中一成
三戸耕三
加瀬康之
渋谷茂
川中子雅人
虎谷温子
高橋茂雄
八木真澄
声の出演なし

(注)桜塚やっくん、井上和香、山本梓の3人はゲスト出演
  虎谷アナはよみうりテレビの女性アナウンサー
  高橋茂雄&八木真澄は吉本興業所属のお笑いタレント、サバンナのコンビ
あらすじ
「『信者朝美へ』と…」

 その日コナンは、阿笠博士の引率で灰原哀と少年探偵団の三人とともに日売テレビを訪れていました。
 彼らの目的は子供たちに大人気のテレビ番組”仮面ヤイバー”の撮影スタジオの見学。小五郎や蘭たちと親しくしている人気アイドルの沖野ヨーコがヤイバーのディレクターと知り合いだったため、彼女に招待され意気揚々と日売テレビを訪れたのでしたが…

 ところがいざテレビ局に来てみると、スケジュールが押していて見学者に対応できないという理由で、結局スタジオ見学はご破算に…。一同は仕方なくテレビ局の中を色々と見学して回ることとなったのです。

 そうはいってもテレビ局の中というのはやはり有名人だらけ。さっそく悪魔のような格好をした男が探偵団たちの目の前に現れますが、探偵団たちは彼の名前を知らなかったらしく…悪魔の男は苦笑いを浮かべて探偵団たちの元を去っていってしまったのです。

 ところがその悪魔の男性の名前が”サタン鬼塚”であると知った光彦は慌てふためきます。なぜならサタン鬼塚というのは《三途のIII》という名前のロックグループのボーカリストで、光彦の姉の朝美が大ファンのグループ。彼に会ったらサインをもらってきてくれと彼女に頼まれていたからでした。

 そこで探偵団たち一行は再び彼を捜そうとしますが、沖野ヨーコは自分の番組の出番が来たらしくADに呼ばれてすでに探偵団たちの下を去っており、仕方なく彼らは自力で”サタン鬼塚”を探すことになったのです。ところがそのサタン鬼塚はというと…

 彼はその日は午後2時からのトーク番組に出演する予定になっていたのですが、もう既に控え室に入っていました。後から来た彼のマネージャーは局入りが午後と聞いていたらしく少し驚いた様子でしたが、腹が減ったという鬼塚に中華の出前や細々とした用事を頼まれたためすぐに控え室を後にします。再び一人となった鬼塚はすると…

 彼はいつの間にか派手なメイクを落とし、彼が所属する事務所の社長のいる2階上の応接室にやって来ていました。どうやら鬼塚はその社長と昨日ひと騒動あったらしく、その事を詫びた後、仕事について社長といろいろ話を始めたのです。

 ところが鬼塚は突然身につけていたレインコートについて話を始めたかと思うと、おもむろにフードを被り、手にしていたナイフで社長を……

 一方サタン鬼塚を探していた探偵団たちはようやくの事で彼の控え室にたどり着いた所でしたが、アポなしだったためノックしていいのかどうか迷っていたのでした。とそこへ鬼塚のマネージャーが戻ってきて探偵団たちが部屋の中へ入るのを止めようとします。なぜなら彼は鬼塚から食事の後は仮眠を取るから起こさないように、と言われていたからでした。

 ところが探偵団たちとマネージャーが扉の前でひと悶着していると、騒動に気づいたのか扉は内側から開けられ、悪魔の格好をした鬼塚が自分から探偵団たちの前に姿を見せてくれたのです。そして鬼塚は光彦のサインの頼みにも快く応じてくれたのですが、そうこうしているうちにテレビ局の外にパトカーと救急車と思われるサイレンの音が響いてきて…。

 この近くで何かあったのだろうか…一同がそう思っているところに、TV局のスタッフと思われる若い男がやってきて、大変な事実を知らせてきたのです。

 それを聞いた一行は直ちに鬼塚の控え室の2階上にある応接室へと向かいますが、すると部屋の中には背中にナイフを突き立てられてすでに絶命している、鬼塚の所属事務所の社長の姿が……

今回の見どころ
日売テレビを舞台に再び…

 31「テレビ局殺人事件」や123「お天気お姉さん誘拐事件」などでも事件の舞台となった日売テレビ(NUT)で再び事件が巻き起こります。

 今回事件を起こしたのはロックグループのボーカリストのサタン鬼塚。しかし派手なメイクをした彼が人通りも多いテレビ局内で誰にも怪しまれずに2階上の応接室に行くことは不可能にも思えたのですが…!?

原作との相違点

 今回も引き続き秋のミステリースペシャルと題して1時間SPとして放映されましたが、冒頭ではサタン鬼塚と事件の被害者である所属事務所社長が電話で言い合うシーンが追加されています。これは原作では鬼塚の口から述べられるに止まった事項でした。

 そしてオープニングが始まると、曲が流れる中で探偵団たちが阿笠博士の家を出て博士の黄色いビートルでテレビ局に向かうまでのシーンが追加。探偵団たちが外で待たされる中阿笠と哀が博士の服のことで何やら揉めているようでしたが、博士は哀にいったい何を言われていたのでしょうか、気になりますね。また曲の後半ではテレビ局内の様子も描かれていました。

 車で移動という点では前の週と似ていますが、ファンとしれは嬉しいカットですね。個人的にもこういうシーンが物語が始まる前に観られるというのは、気持ちも段々盛り上がっていきますし、話にスッと溶け込んでいけるので好きです。

 その後は何といっても今回この年公開の映画「紺碧の棺」で応援団を務めた3人がゲスト出演しており、サタン鬼塚役の桜塚やっくんは別として、井上和香、山本梓のお二人は実名で原作にはないキャラクターとして登場している点が大きな変更点です。ちなみに二人は沖野ヨーコが出演するクイズ番組に対戦者として出演予定ということでした。

 ただ今回のお話は犯人が初めから分かっているいわゆる倒叙ミステリーだけに、作品自体に与える影響はほとんどないに等しいです。ただこれに関連して元太に”うな重”のセリフが追加されていたのは、思わずニヤリでしたね(笑)

 それからヤイバーロケがキャンセルになって、代わりに局内を見て回ることになった探偵団の3人でしたが、歩美は原作どおり「お天気お姉さん」に会ってみたいと言っていますが、光彦と元太もそれぞれ「虎谷アナ」と「やっくん」とセリフが追加されています。

 そしてこの直後にコナンと灰原が本堂瑛祐絡みの話をするシーンがあるのですが、これが軒並みカットされていて、そこに井上・山本のご両人の登場シーンが挿入されているという形になっています。

 更に、鬼塚の出演する番組がトーク番組からバラエティ番組に、光彦が鬼塚にサインをもらい忘れたことに気づいたシーンがやたら大袈裟に(苦笑) それ以外では鬼塚が光彦の姉・朝美のためにサインを書いた時、原作では光彦は「朝昼の朝に」と言うのですが、アニメでは「朝食の朝」となっています。

 それから事件が発生し目暮警部たちが現場に到着した後に原作では阿笠博士たちにまた事件現場で出くわしたために目暮警部は怪訝そうな表情を見せ、阿笠博士が事情を説明し、光彦の姉のためにサインをもらいに行ったことを説明する部分があるのですが、そこが丸々カットされています。

 また鬼塚の食べた中華三品を見てコナンが不思議がるシーンがあるのですが、そこで原作ではコナンは普通に「あれ? 変だなあ…」と言うのですが、アニメではこれが高山みなみさんお得意の「あれれ~でも変だなー…」に、鬼塚の自分の車はスモークガラス云々という部分がカット、謎が解けた2話の終わりから解決編の3話の間に相当する部分で、コナンが阿笠博士にどこに行っていたのかとたしなめるシーンが追加と、微妙な変更はいろいろとありました。

 エンディングテーマはこの週も1時間SPらしくサタン鬼塚のメイクやギター、ステージにスポットライト、それに折り鶴を題材にしたCGでカッコよく作られています。

 そしてエンディング後ですが、ここは完全にアニメオリジナルで、原作では出番がまったくなかった小五郎と蘭が登場。毛利探偵事務所で沖野ヨーコと井上和香、山本梓の3人が死闘を繰り広げたクイズ番組を三人で見るシーンが追加されています。ここでは小五郎が沖野ヨーコを応援してまたしても派手に馬鹿っぷりを見せてくれていて、小五郎ファンにはたまりませんね(笑)

 ちなみにクイズは沖野・井上・山本の三人がそれぞれ9問正解で横並びで最終第10問へ…そして第10問は「コナン・ドイルといえばシャーロック・ホームズ横溝正史といえば金田一耕助、では江戸川乱歩といえば…?」というものでしたが、ミステリーファンならもうご存知ですよね。

 そして早押しで解答権を得たヨーコは何とその解答を……ここから先は見てのお楽しみですが、このエピソードのおかげで今回の放送は何とも楽しいエンディングになっています。

豆知識
天福亭・雀々軒・栄林庵

 すべて中華料理の店で、サタン鬼塚がよく食べに行っていたそうです。今回の事件のあった日にはそれぞれラーメン、チャーハン、ギョーザを別々に注文していました。

 ちなみにもう一つ”悪魔屋”という店も出てきましたが、この店は料理ではなく不幸を届けてくれるそうですね(苦笑)

引越しのコマツ

 オープニングで博士たちがビートルで街を駆けていたシーンで背後にいた引越しトラックの名前。カタツムリがイメージキャラクターで何せロゴがデカかったので異様に目立っていましたね。

秘密のケンミンShow&エンタの殿様

 どちらも冒頭テレビ局に着いた探偵団たちが見ていた仮面ヤイバーのポスターの横に貼られていた番組ポスターで、実際に当時放映されていた日本テレビ(よみうりテレビ)系列の人気番組です。しかし「エンタの神様」の方だけなぜ「殿様」になっているのでしょうかね(苦笑)

ウキキとズーミン

 光彦が姉から頼まれたサインをサタン鬼塚からもらうのを忘れたことに気づいた直後、ヨーコを探そうと後ろを振り返った阿笠の目の前に”ウキウキワクワク ワイワイワイ”と言いながらとあるキャラクターたちが局の中に走って入ってきます。

 このキャラクターたちは、実は2007年からよみうりテレビのマスコットキャラクターに起用されたウキキと、系列の朝の看板番組である「ズームイン・スーパー」のマスコットであるズーミンです(ちなみにウキキにはミニニという同じくサルをモチーフにした相方もいます)

 そしてウキキが叫んでいたセリフですが、これはこの当時のよみうりテレビのキャッチフレーズ”ウキウキワクワクYTV”にちなんだものでしょうね。関西地方にお住まいの方にはすっかりお馴染みになっています。

NEXTコナンズヒント
【TV放映】
ローマ字
(次週放送が166-168「鳥取クモ屋敷の怪」の再放送のため)

【File489へのNEXTコナンズヒント】
ジャケット
コント
【TV放映】
コナン「次回はスパイダー屋敷」
元太「そんなにすっぱいのか?」
小五郎「蜘蛛のことだよ!」
(次週放送が166-168「鳥取クモ屋敷の怪」の再放送のため)

【File489へのコント】
蘭「次回はお母さんが大活躍!」
コナン「じゃあ、おっちゃんが大変だ」
蘭「何か言った?」
コナン「ううん、何でも…」
OP
グロリアスマインド」(ZARD)
ED
世界はまわると言うけれど」(GARNET CROW)
監督
佐藤真人
脚本
古内一成
絵コンテ
青木雄三、長尾粛
演出
大河桝玖、長尾粛
作画監督
アベ正己、山本道隆、増永麗
サブキャラクターデザイン 佐々木恵子/総作画監督 牟田清司
ビデオ
-
DVD
PART16-7
評価

■以下ネタバレつき感想■
(未見の方はご注意下さい)

感想
評価 ★★★

 今回は日売テレビを舞台にした倒叙もののミステリーで、しかも犯人はデーモン小暮閣下としか思えませんが(苦笑)、有名芸能人という、何だか31「テレビ局殺人事件」を思い出させるような内容でした。

 この点トリックについては折り紙を台紙にして鏡を作るというのはほぼ完璧に的中させることができましたが、それよりも決定的だった返り血の上からメイクをしてしまったという部分までは見抜けませんでしたね。折り紙の件だけならいかにも簡単でありふれた推理ですが、そこはよく考えられていろいろな伏線を張ってあるところが、コナン作品のスゴイところでもあります。水準作といっていい出来栄えではなかったでしょうか。

 そして何と言ってもアニメ化するにあたって「紺碧の棺」で応援してくれた桜塚やっくん、井上和香、山本梓のお三方がゲスト出演している所が見ものなのでしょう。桜塚やっくんは犯人のサタン鬼塚役を務め、なかなかの役者ぶりを見せてくれました(個人的にはデーモン小暮閣下が声優を務めるのではないかと原作を読んだ時点では思っていたのですが・苦笑)

 一方アイドルのお二人は元々原作にはないキャラでもあったため、完全なおまけになってしまっているのですが、そこは私の大好きな脚本家・古内氏の腕の見せ所というか、エンディング後の毛利探偵事務所で見たクイズ番組の放映で、沖野ヨーコとともに見せ場を作ってくれています。

 個人的には、小五郎好きでミステリー好きということもありますので、このエンディング後のエピソードがなんともいえずお気に入りです。特に最後の沖野ヨーコが自信満々で解答するシーンは何ともいえず微笑ましかったです(笑)

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